ハイスクールD×D ~優しいドラゴンと最高の赤龍帝~   作:マッハでゴーだ!

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はじめまして、マッハでゴーだ!(びっくり)、です。


この作品は僕の処女作となるので暖かな目で見ていただけると幸いです。


それでは、どうぞ。


【第0章】 未来転生のニュードラゴン
第0話 転生の赤龍帝


 花弁が舞っていた。

 美しい色とりどりの花びら。

 壮大な草原の隅にひっそりと開花させている、名もなき花の数々。

 それは風によって花弁を散らし、その光景は酷く幻想的で、……そして走馬灯のようであった。

 ……だけどその美しい光景は次第に見たくもない光景へと変わっていく。

 色とりどりの美しい花弁は次第に全てが赤く染まっていく。

 まるで燃え滾るような血のように赤い花弁。

 色の上から色を塗り足したように……鮮血に覆われている。

 本当にそれは走馬灯のようで……俺は色々な大切な記憶を思い出して、意識が朦朧となる中で考えていた。

 ――――――俺は、決めていたはずだった。

 自分たちの運命を打ち砕いて、あいつを愛して、一緒に生きていくと……。そう決めたはずなのに、なんで俺は倒れている。

 目の前が血で真っ赤に染まり、ただ重い現実が俺に圧し掛かる。

 

『相棒……ッ!』

 

 心の中から唯一無二の相棒の声が響く。

 はは……ドライグ。

 そんな声を出すなよ……お前は何も悪くない。

 弱い俺に、才能なんて一つもなかった俺に力を与えてくれたのはお前だろ?

 だからお前はそんな声を出すな……最強のドラゴン、だろ?

 

『……相棒、お前は確かに弱い。……だが、これだけは覚えておいてくれ――――――相棒は最高の赤龍帝だった……ッ!』

 

 そっか……それを聞ければ、俺はもう―――心残りはあるに決まってる。

 でももうそれを叶えることはできない。

 俺は地面に倒れながら、自分の傍で血交じりに異様な光沢を放っている白銀の鎧を身に纏い、その鎧のいたるところから血を流している少女の元へ、這いながら近づく。

 俺の通る道は俺の鮮血で不気味に跡を描いていく。

 

「ミー……ごめん、な? …………。赤と白の宿命を俺がどうにかするって言ったのに……」

 

 息が絶え絶えになりながら、俺は既に息すらしていない最愛の人であった少女の頬を撫でた。

 冷たい……。

 凍るように冷たいのに―――ミリーシェの瞳から落ちるはずのないのに一筋の涙が落ちた。

 滴のような涙。今なお生きていると思ってしまうほどの人間味が帯びたその涙を見て、俺もまた涙を溢した。

 ……やりきれない気持ち、憎む様な禍々しい想い、様々な気持ちが交差する俺の心の中。

 そんな中で俺は思った。

 ―――これが神器(セイクリッド・ギア)を身に宿した人間の最後なのか……俺は空に手を伸ばす。

 手は震え、今すぐにでも地面に落ちるだろう……それでも思わずにはいられなかった。

 

「ミーと一緒に生きれたら、何も要らなかったのにな……」

 

 俺の中の相棒が何か叫んでいる……でももう俺には聞こえない。

 そうして俺―――赤龍帝、オルフェル・イグニ―ルの意識はそこで途絶えた。

 

―・・・

 ……真っ暗闇だった。

 俺は意識を失い、ただ無気力のように浮遊したような感覚に囚われていた。

 力なく、思いもない。

 全く感じたことのないような実感だ。

 ……これが死ってやつなのかな。

 それは分からない―――だけど全てを失った今ならどうだって良い。

 この暗闇に永遠に囚われるのも、今はどうだって……そう考えていると、きっと相棒は怒るんだろうな。

 だけど俺は―――もう、死んだのだから。

 今まで一緒だった相棒はもういない。

 俺に出来ることだって、やりたいことだって何もない。

 これが俺が消えるまでの猶予だっていうのなら、今は何も考えたくない。

 ただもう眠りたい……そう思っていた時だった。

 ―――何か、眩しいものが俺の眠りを妨げるように光を放つ。

 ……何の、光だ?

 俺は死んだはずだ……この体は崩れ去り、瞬く間に死んだはずだ。

 なのに何で意識がある? 視界に光景が見える?

 いや、そもそも……俺は―――誰なんだ(・ ・ ・ ・)

 意識はある。記憶もある。なのになぜ名前を思い出せない……、なぜ声を出すことが出来ない?

 なんだ……?

 声は出せるだろうけど、なんだ?

 このどうとも言えない感覚―――なぜ、なぜ俺は……

 

「お、おぎゃぁぁぁぁあああ!!!!」

 

 何で泣いているんだぁぁぁああああああ!!!??

 しかも赤ん坊!?

 一体何が起きているんだ!?

 先程まで全てがどうでも良いと考えていたけど、いくらなんでもこれは許容範囲外だ!!

 

『……とにかく、落ち着いたらどうだ?相棒』

 

 ……ッ!?

 その声は、まさか……ドライグ?

 

『ああ、そうだ……俺は相棒より前に目が覚めた。混乱すると思うが、まずは俺の話を聞いてほしい』

 

 ……ああ、ドライグの言うことなら、俺は信じれる。

 言ってくれ、一体何が起きているんだ?

 

『ああ、まず俺は相棒の存在……最高の赤龍帝、優しいドラゴンということは知っているが、肝心の相棒の名前が出てこないんだ』

 

 それは……俺もだけど。

 

『一応は俺も外を見ることはできるが……お前は赤ん坊になっているようだ、相棒』

 

 ―――はあ!?

 もしかして俺は過去に戻ってるなんて言わないよな?

 

『ああ、過去には戻っていない……過去に戻っているならまだマシだった―――むしろそれはある意味では逆かもしれない』

 

 ……まさか俺は

 

『勘のいい相棒は既に理解ぐらいはしているだろうが、相棒――――――お前は新しい人間に転生している』

 

 ……俺の勘は嫌に当たったのだった。

 かくして、始まった。

 俺の……名を忘れたから新しい名前で。

 兵藤一誠の人生が、赤ん坊からはじまったんだ。

 そしてこの時、俺は予想だにもしなかった。

 これから先に待ち受ける未来を……ただこの時は何も知らなかった。

 ―――選択はまだ先だ。

 だから今は俺は今の状況を見つめることしか出来なかった。




―追記―
2014 5/4 誤字修正&描写を追加しました!

2015 9/12 完全修正完了

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