巨人の世界に現れた忍達。   作:ラリー

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2話 巨人と調査兵団

「我々、調査部隊はこれから里より半径一キロの地図を作成しつつ、

我々以外の人類を発見しだい、情報を収集します。

もし、戦闘が避けられない場合は敵を無力化しつつ後退しますが質問はありますか?」

 

「「「「「……」」」」」

 

ヒナタが選んだ忍達に任務の内容を説明するヒナタ。

集められた隊員たちは、彼女の話を黙ったまま一言一句聞き逃さないように

四人と一匹は真剣に耳を傾ける。

 

「質問が無いようなら、これより出発します。

いいですね?」

 

「「「「はっ!」」」」 「アン!」

 

隊員たちの返事と共に開かれた門から跳躍し、木から木へと飛び移りながら

移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒナタが率いる小隊が出撃した頃、里の壁では……

 

 

 

 

「こいつ等は一体どうなっているんだ……?」

 

巨人の調査をしている隊員から声が漏れる。

隊員達は巨人との意思相通を図ってみたが相手に知能が無い事で断念。

そこで、意思疎通が出来ないのなら生態の調査を開始したのだが、巨人達

は近寄ってきた忍達に攻撃を開始。

これに対し、忍達は応戦し巨人達を簡単に倒していくのだが……

 

「何で切り落としたはずの腕が生えてんだよ……」

 

そう、彼が言ったように腕を切り落とされても傷を付けられても

巨人達はすぐに傷口から蒸気のようなものを発生させて、まるで何事も

なかったかの用に腕も傷も再生させる。

 

「しかたがない……。サンプルとして数体は捕縛!それ以外の巨人は殲滅しろ!!」

 

傷を再生させる巨人達を見ていた綱手は埒が明かないと思い

数体をサンプルとして確保する事に決め、それ以外は殲滅する事にした。

綱手の指示を聞いた隊員たちはすぐに巨人を殲滅するため顔を忍術で吹き飛ばしたり、

心臓を貫き、胴と腰を真っ二つにするなど攻撃を加える。

しかし……

 

「なっ……」

 

巨人達は明らかに致命傷であろう傷を、さっきと同じように再生させていく。

あいつ等は不死身か……?

そもそも蒸気が発生している時点で生物なのか?

生殖器もなく人を本能で襲う……もしかしたら奴等は……。

綱手が巨人の正体について考えながら、巨人達と忍の戦いを見ていると

一人の忍が巨人の首を切り落とされ、地面に首のない体を叩きつける。

どうせ他の巨人のようにすぐ頭が再生するのだろうと見ていたら

巨人の損傷していない身体から蒸気が発生し、皮から筋肉、骨から蒸気が発生する

と共に巨人は、消滅した。

つまり巨人達の弱点は……

 

「首だ!総員、巨人どもの首を切り落とせ!!」

 

弱点が首だと判断した綱手は戦闘中の忍達に指示を飛ばす。

綱手の指示を聞いた忍達は巨人の首に狙いを済ませ

忍術、刀、忍具などを駆使してどんどん巨人達の首を飛ばし、駆逐していく。

そして最後の数体となったところで縄や鎖で巨人達をぐるぐる巻きにして捕縛。

 

「終わりましたね、綱手様。」

 

綱手の近くに居たシズネは周辺に巨人がいないことから終わりと判断し、綱手に

話しかけた。

しかし、終わったと見ていいこの状況に何か不満があるのか、綱手は苦い顔をしている。

 

「確かに終わったが……これは困った事になったぞ」

 

苦い顔をした綱手はポツリと呟くがその呟きは、シズネや他の隊員達には聞こえなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃の調査部隊では……。

 

 

地図を作成しながらヒナタを先頭に森を駆ける小隊。

ヒナタの持つ白眼のお陰で、巨人に遭遇することなく無事に進んでいた。

しかし……。

 

「小隊!一時停止!!」

 

何かに気づいたのか、驚いた表情のヒナタが後方に居る隊員達に停止の指示を

出した。

 

「ヒナタ様。何かあったのですか?」

 

突然の停止命令。

疑問に思った隊員の一人、マスクに銀髪がトレードマークである男。

はたけカカシが何があったのか質問をする。

 

「血の臭いがするから、きっとろくな事じゃねーぞ」

 

「…アウ」

 

鼻の良いキバと相棒の忍犬、赤丸は遥か前方の血の臭いを感じ取り、嫌な顔をして

ぼやく。

 

「血の臭いですか……ヒナタ隊長?」

 

キバのぼやきに反応する色白の青年サイ。

しかし、すぐにヒナタに視線を移すと未だに驚いた表情で何かを凝視している

様子のヒナタに声を掛けるが返事が返ってこない。

 

「おいおい、ヒナタ隊長。アンタ大丈夫か?」

 

さすがにヒナタの様子が変だと思ったもう一人の隊員シカマルが

ヒナタの肩を軽く叩きながら話しかける。

すると……

 

「ひ……人が…」

 

「人?人を発見したのですか?」

 

彼女が発した人と言う単語に反応し質問するカカシ。

人が殺し合いでもしているのだろうか?

しかし、そのくらいでこの人が動揺するだろうか?

カカシがそう思っていると、ヒナタの口から驚きの言葉が漏れる。

 

「人が…生きたまま巨人に……

 

    食べられています」

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

そう、彼女が見たのは人が断末魔をあげながら絶望の表情をうかべ生きたまま

巨人に食われる地獄だった。

いくら戦争を経験してきたヒナタでも驚いてしまうのは無理の無い光景だった。

 

「で、どうします?正直、めんどくせーけど情報を確保する為に巨人に襲われている

人を助けますか?それとも食われている人間を見捨てて、

巨人が人間を食うという情報を今すぐ里に持ち帰りますか?

まあ、助けるんだったら生存者が残っているのが前提となりますが……」

 

シカマルの提案を聞く、ヒナタ。

戦闘は出来るだけ避けなければならないが、今の里の状況を考えると

今まさに巨人に食われ、全滅しそうとなっている人たちを救い情報を少しでも得なくては

ならない。

それに情報を集めるのは大事な主であるケイゴの命令でも在る。

なにも全員助けなくてもいい、数人確保するだけでも情報は手に入る。

 

「これより、前方で巨人に襲われている人たちを救助します。

戦闘の際、不利を感じたら即、数人の人間を確保して里に戻ります。」

 

「「「「了解!」」」」 「アン!」

 

ヒナタ率いる小隊は救助活動をする為、再び森を駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

「人類をなめ…ぎゃぁあぁぁぁーーーー!!!」

 

パキ…パキ…

 

一人また一人と巨人に食われていく調査兵団の兵士達。

彼等は将来の領土奪還作戦のための布石として、壁外地域での補給拠点確保と行軍ルート開拓

の任務の為に森に来ていた。

しかし、森で巨人に遭遇。

彼等は剣を手に取り、勇ましく人類の勝利の為に戦いを挑んだのだが……。

巨人と彼等の力の差によりどんどん兵は命を落としていく。

それほど巨人と人類には力の差があったのだ。

 

「や、やめろーーーー!!!やめでぐれーーーー!!!!」

 

そして、また一人。

巨人の大きな手に捕まり、悲鳴を上げる。

 

男を掴んだ巨人は男を食おうと口を開け、男を掴んだ手を口に近づける。

開かれた口から漂う悪臭。

男はあまりの悪臭から吐き気を覚えたがそれどころではない。

このままだと、仲間達のように何も出来ぬまま食われるかもしれないのだ。

 

「いやだ……いやだーーーー!!」

 

巨人の前で叫び声をあげ続けるが、奴等は叫ぶ兵士に構う事無く

口に男の頭を入れる。

口の中に頭が入り、もうすぐ自分は噛み砕かれる。

 

兵士がそう思った時だった。

 

「八卦空掌(はっけくうしょう)!!」

 

 

聞き覚えの無い女の声が聞こえたと思った瞬間。

巨人の暗い口の中から光が差した。

そう、巨人の上顎から上の頭部が吹き飛んだのだ。

それを認識したと同時に襲う浮遊感。

気がつくと兵士はマスクをした見知らぬ銀髪の男に手を掴まれ

上空に飛んでいた。

 

なんだこれは……?

 

「っち!何だこいつ等は!?すぐに再生するぞ!!」

 

ある者は弾丸のように巨人の胸を貫き。

 

「再生能力か…めんどくせーが動きを止めるか…忍法・影縫いの術!!」

 

めんどうと言いながらも自分の影を伸ばし、この場に居る全ての巨人の肩、足、腕を刺し貫き

そのまま縛り上げる。

 

「あー…呆けている所すみませんが、巨人を倒す方法についてなにか知りませんかね?」

 

まるで夢ではないかと思うこの状況の中、

銀髪の男に連れられ、木の枝に辿り着くと銀髪の男が巨人の弱点について質問をして来た。

兵士は驚いた。

なぜなら、巨人を圧倒するほどの戦闘能力を持ちながら彼等は兵士なら

誰でも知っている巨人の弱点を知らないと言うのだ。

彼等が何者かは分からない。何故あのような人間離れした力がつけるのか分からない

分からない事だらけで疑問が尽きない。

しかし……。

これだけは分かる。

今、調査兵団が全滅を回避するには彼等の力が必要だと言う事だ。

 

「…うなじだ」

 

「?」

 

「巨人のうなじを狙え!!それが奴等の弱点だ!!!」

 

自分や仲間達を助けるため、藁にも縋る思いで男に巨人の弱点を

教えた。

 

「なるほど。心臓でも頭でもなくうなじですか……。

道理で倒しにくいはずだ。」

 

銀髪がそうぼやくと、不思議な構えをとる。

中腰となり右手を下げ、下げた右手首に左手で掴む。

すると…。

 

バチバチバチ!!

 

「て、手から雷が…」

 

ヒュン!!

 

兵士が銀髪男の手から雷が発生したと認識した次の瞬間。

男は姿を消した。

そして、巨人達は……。

 

ズズゥゥゥゥウゥウン!!

 

一体残らずうなじを大きく抉られ絶命し、巨人は全滅した。

 

 

 

 




現在公開できる情報
ケイゴの部下である暁はゲーム内でプレイヤーから『夢のハーレム』
『おっぱい暁』などチャットで囁かれている。

里の中の序列

ケイゴ>暁>隊員

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