ここまでくるのに長かったw
よださん感想ありがとうございました。とても励みになりますww
では、どうぞ。
「ふぅー、ひどい目にあったよ。あんなに走ったら僕死ぬって」
「そのまま死ねばよかったのでは?」
仏頂面でそう評価を下す天使にガクリと肩を落とす。
赤奈はあの後、逃げ出した天使を追いかける羽目になった。
ただ、病弱の彼が日頃から鍛えてる天使に追いつけるはずもなく、中々捕まえれそうになかった。
結局、院内で走り回るな! と旧知の仲である院長に叱咤を受け、鬼ごっこは幕を閉じた。
しかし、お怒りになった院長様に今の今まで二人してこってりしぼられていたのだ。
ようやく解放された頃には時計は11時を回っていた。
誤解を解くことは叶わなかったが、今はそんことに時間を費やしている暇はない。
赤奈は部屋に着くなり、天使を外で待たせると、自分だけ部屋の中に入った。
母親の贈り物が詰まったクローゼットに迷わず突き進み、わずかながらにある男物の服と防寒性に優れたコートを着込む。
急いで着替え、天使を室内に招いた。
「えー嫌だろうけど、ここの服を使ってよ。さっきも言ったけどその格好は目立つし」
「いえ、ありがたくお借りします。それでは、先にバス停に待ってて下さい」
「え、バス停? わざわざ先に行かなくてもここで待ってればいいんじゃ……」
「分かっていませんねー。せっかくのデートなんですから、形から入らないと」
「デ、デート!? そ、それって僕のこと――――」
危うく続きを口にしそうになるが、ギリギリのところで踏みとどまる。
天使の思わぬ発言に頬が熱くなるのを赤奈は意識せずにはいられなかった。
「何慌てているのかは知りませんが、男女で遊びに行くことをデートというのではないのですか?」
「いや、そうだけど……そうなんだけど……………………ウーン」
半分的外れなその見解に赤奈はただ唸るしかできなかった。
天使の言い分は間違っていない。でも、赤奈はそこまで考えていなかった。
しかし、女の子を遊びに誘うということはそういうことなのだ、と今更のように気付く。
これではデートという単語を否が応でも意識せずにいられない。
――――いや、天使の方をか。
脳裏の片隅にそんな言葉が過る。
一人悶々と複雑な想いを巡らせていると急に背中を押す力が加わった。
「え、ちょっと!」
「いつまでここに居るつもりですか。これでは着替えることもできません」
天使は赤奈の背中をグイグイ押し、部屋の外に追い出す。
そして、腰に手を当て、強く警告をする。
「いやらしい赤奈さんだから初めに言っておきますが、聞き耳――――ましてや覗きなどをした暁には絶交ですからね!」
だから誤解だってば! と叫ぶ暇もなく、無情にも扉がスライドし、カチリ、と扉の閉まる音が廊下に響いた。
とりつく島もない天使にガクリと肩を落とす。
どうにかならないか、と思案するが、どうにもならないという結論以外出てきそうにない。
仕方なく、これ以上あらぬ疑いをかけられぬように赤奈はトボトボと歩きだし、この場を後にした。
ビューと強い風が赤奈の頬を叩き、堪らず体がブルっと反応した。
今日も最低気温を更新した空は、この時間帯なら晴れ晴れしているはずの太陽を分厚い雲で覆っている。
白いカットソーの上に黒のカーディガンを重ね、毛皮のコートを羽織った重装備でも肌寒い風は防げそうにない。
手の方も悴んできたので真新しいブラックジーンズのポケットからレザーグローブを取り出し、手にはめる。
それでも首筋までガードしきれていない。
だが、あいにくマフラーは待ち合わせていなかった。
せめてもの緩和としてコートの襟を立てて首を疼くめる。
「はぁー寒いな。なんでマフラーだけ無いんだよ」
独りごちるが、それ以前に何も天使の「バス停で待ち合わせ」をバカ正直に守らなくても良かったのだ。
「あ、ということは彼女もマフラーがないのか……んー」
あとで、デパートに寄ることを真剣に検討していると思考を強制切断もやむなしな美声が背中越しに届く。
「すみません。遅くなりました」
はいお疲れ様でした。
最近バイト始めたんですが、やっぱり働くってきついww
みなさんもバイトするときいろいろ気をつけましょう!
感想や間違いなど待っております。