いや、本当にいろいろあったんですよ。テストとか受験とか……いろいろと!
連絡できたらよかったんですけど、PCも封印してたので
で、その反省についてすこしばかし言いたいことがあります。
あとがきにて表記しますのでチェックお願いします。
では、どうぞ。
「それじゃ、まず一つ目。君はどうして記憶がないの?」
真面目な顔で天使は小さくかぶりを振った。
「解りません。私は天使に転生してからの記憶しかありませんので、それ以前のことは何も解らないのです。気付けば、大老長様――あ、天界で一番偉い人が、天使について教えてくれたのです」
大老長様などと仰々しい名前に色々と想像を巡らせてしまう。
その過程に不意に思い当たることがあった。
――言ったら怒られるんだろうな。でも、気になるしな……と一人悶々と考える。
結局仕方ない、と覚悟を決め、非常にデンジャラスな質問をする。
「すっごく訊きにくいんだけどさ……その大老長様が君の記憶を奪った……とかないかな?」
言ってから後悔した。
なぜなら、天使の瞳がスゥーと細められ、敵意が宿ったからだ。ぞくりと這う背中の悪寒が昨夜の出来事をフラッシュバックさせた。
謝る形で言葉を続ける。
「ごめん。でも、今は可能性の話をしているんだ。私情抜きで判断して欲しい」
「……そう、ですね。少し感情的になりすぎたようです」
「いやいや。昨日よりマシだよ――ってうわ、すみません! だから、その握り締められた拳しまって!」
女の子がシャドーでブォンブォン鳴らすのは人間技じゃないと思うんだ。人じゃないけど、と内心舌を巻く。
「で、実際のどうなの? その大老長様に記憶を奪えるか奪えないか。勝手な先入観だけど、天使って何らかの不思議な力を使うんじゃないの?」
「あなたの言う通り天使は〈天聖術〉というオンリーワンな力があります。そして、〈天(てん)聖術(せいじゅつ)〉の特性は何かを『与える』こと。天使は〈天聖術〉と武器である〈神器〉を攻撃手段としています」
割と長めの説明を受け、小難しい授業の後みたいな渋面を浮かばせる。
話自体はとても有意義だったが、平然とこんなトンデモ話をする天使はやはり住んでいる世界が違う。
「ん? ってことは誰かと戦ってるの? 攻撃手段なんて言うくらいだし」
「はい、私達は悪魔と戦っています。今回この街に来たのもある悪魔を討伐するために来ました。情報によればその悪魔は数年前から力が弱っているそうで、ひっそり人を襲っては力を蓄えているそうです」
なんとなく予想できていたので特に驚きはしない。ただどんな姿なのかと異形の姿に想像が膨らむ。
「少し話が変わりますが、悪魔にも天使の対になる〈魔器(マギ)〉と〈呪印術(じゅいんじゅつ)〉があります」
「対になる。てことは呪印術の性質は『奪う」ということか……あ、じゃ、君の記憶がないのは悪魔が記憶を奪ったのか」
「はい、その通りです。そして、今回の討伐対象が私の記憶を奪っていたようです。それを知ったのは悪魔と出会ってからでした。当然、私は記憶の返却を求めましたが、悪魔は私の記憶を盾にしてきました」
「記憶を……?」
「はい、悪魔は『もし自分を殺せば記憶は一生戻らない。返してほしくばこちらの要求を呑んでもらう』と告げました。はじめは断りました。でも、最後は自分の欲に負けてしまい、悪魔の要求を呑みました」
あとは、概ね予想通りの展開だった。
その悪魔の要求は赤奈の命を奪うこと。だが、不思議なことに可能な限り〈銀鱗〉での殺害を要求してきたらしい。その意図は今でも分からないが、とにかく彼女はその交換条件を実行するために昨晩、病院に侵入した。結局、失敗してしまったわけだが
「本当にごめんなさい。私、最低なことをしました。自分のために人の命を奪おうとしたなんて天使失格ですね」
深々と頭を下げる彼女にかける声なんて一つしかなった。
「たぶん、僕が何を言っても君の罪悪感を取り除くことはできないと思う。でも、それでも何度でも言うよ。もういいよってね」
「……ありがとうございます」
天使は感謝の言葉を述べるが赤奈は自分の言葉が余りにもキザッたらしすぎて身悶えしそうになった。慣れないことはするべきではないと新しい教訓を胸に刻む。
「そいつの特徴とか分かる?」
「いえ、どうやら部分的に記憶を奪えるようで悪魔との会話しか覚えていません。代わりに少しだけ記憶を返してもらいました」
「へえ、いったい何の記憶?」
「家族の記憶です。幸せそうな家族でした」
天使は少し顔を赤らめ、嬉しそうに笑った。
はい。おつかれさまです。
まえがきでも言っていた通り発表があります。
えー、3週間ほっぽったわけですがその分を水曜と金曜に1話ずつ投稿をしたいと思います。
これから投稿できなかったらと遅れた分だけ次の週に間隔をあけて投稿したいです。
正直できるかどうかはわからないのですが、努力はします。
時間はもちろん午後6時
では、次は水曜日にお会いしましょう。