ONE PIECE ~青天の大嵐~   作:じんの字

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開戦

「海賊を滅ぼせ!!」

 

「世界のクズどもめ!!この世から消し去ってやる!!」

 

「我ら海軍に栄光を!!」

 

 

かなり距離が離れているはずなのだが、この位置からでもどなり声が聞こえる。

 

人体って不思議。

 

 

「…好き勝手言ってるなぁ。」

 

「しょうがねえだろ。曲がりなりにも“正義”を司る集団だからな。」

 

 

ちなみに、俺たち即席海賊同盟は海軍の艦隊と対峙している。

 

隣には金獅子海賊団とロジャー海賊団の船が並んでいる。おおう、何と荘厳な光景。

 

金獅子海賊団の船は船首がライオンになっている。映画版で見た船のミニチュア版みたいだな。ゴツゴツした岩じゃなくてちゃんとした木だけど。

 

ロジャー海賊団の船は普通のガレオン船。何というか普通だな。オーロジャクソン号が見たかった、とは言わないでおこう。

 

さて、問題は・・・と、目の前の船団を見る。

 

今まで戦ってきたのは、見回り中に襲ってきたと思われる海軍船一隻。

 

もちろん、俺たちの敵ではない。速攻でご退場いただいた。

 

でも、今回は少し状況が違う。

 

敵は海軍の艦隊10隻。

 

もちろん、これほど相手にするのは初めてだ。

 

しかも、未確認情報だが、今回は今までの雑魚とは違う“実力者”がいるという話だ。

 

これまで大尉まで戦った事はあるけど、あの船には明らかにそれよりも上位の兵士がいるのだ。

 

いや、負ける気はないけどさ。

 

「“辻斬り”とエドワードの旦那。」

 

「何?どうかした?」

 

今話しかけてきたのは、そのロジャー海賊団からレンタルした人員の1人、オニキス君。

 

ちなみに、何故かりてきたかというと、レイリーの策で俺たちが海軍船で大暴れすることになった際、うちらはいいけど、誰がお前らの海賊船まもんの?というレイリーの意見にロジャーが「じゃあ持ってけ!!」とかしてくださいました。別にいいのに。当人たちは真っ青になっていたけどよかったんだろうか…。

 

てか、スパロー辻斬り言うなし。斬るぞ。

 

「何故か殺気を感じるのだが…。まあいいか。ところであんたらはどう攻める気なんだ?」

 

「どうって何が?」

 

「レイリーさんはああ言ってたが…。船長格だけで海軍の船に乗り込んで全て潰すなんてできるわけないだろう。あんたらなりに策があるんだろ。一応俺たちは味方なんだ。それぐらい教えてくれたっていいだろ?」

 

「いや、なにいってんの?俺達いつもその方法で勝ってきたんだけど。」

 

「え」

 

「エドワードが津波で船ごと沈めるか、俺が斬撃ぶっ放して船ごと斬るか、2人で乗り込んで全員倒すか、だよな。」

 

「え」

 

「というか、普通海賊ってそうするもんでしょ?俺は海賊じゃないけど。」

 

「」

 

 

何で絶望的な顔してんの?この世界の海賊ならそんなことサクッとやっちまうもんでしょうが。

 

 

「グンジョーとエドワードの旦那!!」

 

「「何だ?」」

 

「自分、強くなるっす!!」

 

オニキス君はいい笑顔で定位置に戻って行った。

 

後になって知ったのだが、この時の俺はだいぶ海賊の常識を逸脱した考えを持っていたのだった。

 

と、今の俺が知る由もない事実に首をかしげていると、伝令役の海賊が走ってきた。

 

 

「レイリー副船長から報告です!!全海賊は海軍との戦闘に備えろ!!」

 

「分かった。」

 

 

その報告を聞いた白ひげは船を操作しているロジャー海賊団の面々に指示を出した。

 

 

「戦闘準備!!手すきの奴は船を守る用意をし、帆を進めろ!!」

 

「…!!おう!!」

 

 

一瞬、命令すんな!!的な雰囲気を出したが、即座に指示に従うロジャー海賊団の皆さん。いやはや、すっごく優秀だね。

 

さて、俺も命令してみよう。

 

初命令だったり。ドキドキ。

 

 

「全速前進!!海軍艦隊の目の前に陣取れ!!」

 

 

決まった!!俺カッコイイ!!

 

しかし、何故かロジャー海賊団の皆さんの動きがピタリと止まる。

 

「?どうした?」

 

「あんた馬鹿かーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」」×14

 

総ツッコミ!?

 

「つくづく変な奴だと思っていたがこれ程とは!!」

 

「俺に任せろ!!全力でこの人の思考を人並みに戻してやる!!」

 

「いや!!こいつは“辻斬り”だ!!俺達まで巻き添えにするつもりなんだ!!」

 

「なに!?そんなことになったらロジャーさんとレイリーさんが黙ってないぞ!!」

 

え?なに?何で俺怒られてんの?

 

とりあえず彼らの話をまとめると、海軍の集中砲火を浴びるそんな作戦できるわけないだろう。俺たちゃいつでも死ぬ覚悟はできてるけど、そんな犬死だけはしたくないんだ。それなのになに考えてんだオマエ。バカー、タコー、アホー、ヒトデナシー、ヒトデヤロー。以上。

 

「上等だ。ならば、俺を倒してから先に行け!!」

 

さっきも言ったがこの時の俺はだいぶ海賊の常識を逸脱した(以下略でも、こうしていてもなにもはじまらないしね〜。殴って無理やりやらせるけども

 

 

「グンジョーの旦那。これでいいですかい?」

 

「グンジョーやっておいたぞ」

 

「おう、エドワードとオニキス君お疲れー」

 

 

もう目の前まできちゃってるしね。

 

 

「!!」×14

 

「よし、ほんじゃ逝ってみよー。」

 

「人殺しーーー!!!」×14

 

 

うるせえ、黙ってふんどししめなおせ。

 

しかし、しつこいようだが、この時の俺は(以下略

 

「全くお前は面白い事を考えるな」

 

「何が?」

 

「普通こんな馬鹿げた作戦しねえぞ?それにに乗った俺が言うのも何だがな。ま、一番槍ってのもわるかねえ。」

 

 

 

 

こちらに向かってくる2隻の軍艦をニヤリと笑って見つめながら白ひげは言い放った。

 

その手には薙刀が握られ、もう片方の手には振動エネルギーを溜めていた。

 

さてと、では俺も行きますか。

 

 

「「開戦だ」」

 

 

 

 

 

「バピエル中将!!海賊船が前進してきます!!」

 

 

この膠着状態を崩したのは海賊側からだった。

 

他の船よりも小さい海賊船がゆっくりと近づいてくる。

 

私はそれを確認しながらほくそ笑んだ。

 

馬鹿め!!自分からやられにくるとは!!

 

私が指示を出す前に2隻の軍艦がすでに撃破に向かっていた。優秀な部下たちだ。

 

しかし、歯ごたえがなかったな。悪党ならもっと抵抗してから散ってくれるのが一番よいのだが。

 

この作戦は私の存在感と共に、“能力”を上に見せ付けるチャンスでもあるのだからな。

 

 

「しばらく船内にいる。一段落したら報告せよ。」

 

「はい。」

 

 

そう言った後私は船内に戻った。

 

私がいなくてもクインテッドが何とかするはず。

 

私はあいつらが全滅するまで待っていよう。船長格はこの手で打ち取るがな!!

 

背もたれに身体を預け、手に持ったコーヒーを飲もうとした時だった。

 

 

「ちゅ、中将!!」

 

「何だ」

 

 

海兵の1人が私にあてがわれた部屋に飛び込んできた。

 

 

「そ、それが・・・。」

 

「一体どうしたというんだね?」

 

 

どうせたいした報告ではない、と思っていた私は次に聞いた彼の言葉を理解できなかった。

 

 

 

 

「軍艦2隻が・・・たった2人に破壊されました。」

 


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