「アホンダラァ・・・。」
白ひげとロッキーは睨みあっていた。お互い実力は拮抗しているだろう。しかし、精神的余裕は断然白ひげにあった。
なぜなら、自分よりも力が劣るはずの人間がこれほど強いとは思わなかった方だ。
それも、今彼を戦闘で負かしている目の前の人間のみが、ではない。この広場に攻め込んできた人間達が自分の海賊団を圧していたのだ。
「よくも今まで散々してくれたな!!」
「こうしてやる!!」
今まで支配していた人間達が一斉に牙を剥き、そこらにある石や板切れを皮切りにそれぞれの家から持ってきたレンガや腐った卵、挙句の果てには調理用のフライパンを投げつけていた
「ヒャアアア!!」
「もう勘弁してくれ!!」
一方でロッキーの部下は今まで見たことのない勢いに飲まれて完全に勢いをそがれている。
中には屋根の上から銃で民衆を狙撃しようとする者はいるものの…
「疾風スクランブル!!」
「あぎゃあ!?」
「ばほふ!?」
そういったものは、逆に辻斬りことグンジョーの手によって真っ先に撃墜されていた。
(馬鹿な!俺の艦隊が1つ残らず全滅だと!?)
もはや、海賊団は壊滅状態だ。
主船を含めて船は全て一刀両断され、
「よそ見していいのか?」
「!?」
白ひげはすでに薙刀を使って振動発射態勢をとっていた。
「無駄だ!」
突っ込んでくれることを予想して、前みたいに腕を掴んでやろうとしたが、
「ウェアアアアアアアアアアアアアアア!!」
白ひげはそれをみこしてそのまま振動を放った。
「グオッ!?」
巨人族の持つ巨体でも吹き飛びそうになるほどの衝撃波。並みの人間だったらそれで戦いが終わってしまうだろうが、それでも耐えきったのはロッキーの船長としての意地だろう。
しかし、例え身体が大きくても所詮は人間。その身体には大きなダメージが刻み込まれいた!!
(な、何だこいつは!?本当に人間か?)
ロッキーは自分と対峙している相手が格下の相手とは思えなかった。
いや、そんなことがあるはずがない!!俺が最強だ!!
唯一の心の支えのみが、ロッキーの戦闘意欲を支えていた。
「チ、チビ人間んんん!!お、お前ぇぇぇぇぇ!!この、俺を怒らせたな!?」
ロッキーは懐から鉄球を取り出した。といっても、一つ一つが普通の人間ほどの大きさがある。
「貴様をこれでつぶしてやる!!」
一気にすべての鉄球を投げる。
ドン!!
その一つが白ひげに当たった。
(勝った!!)
ロッキーはそう確信した。
衝突で薪上がった粉塵がはれてくると…
(薙刀だけ!?)
そこには、白ひげの武器である巨大な薙刀のみしかなかった。
そう、身の丈ほどの薙刀を囮にして、白ひげ本人はすでにロッキーの懐にはいってきていたのだ。
「な、何をする!?」
白ひげの腕に振動エネルギーが溜まっていく!!
「自分の行動を省みてみな。ま、俺はいまさら許す気はねえけどな・・・。アホンダラア」
「う、うわああああ!!やめてくれ、やめてくれ!!頼む、お宝は全部やるし、すぐにこの島から立ち去るからそれだけは勘弁してくr、ギャアアアアア!!」
次の瞬間、振動を帯びた白ひげの両腕が、弁明をするロッキーを無慈悲に、そして容赦なく…・そう、まるで対象物を挟み込む万力のように、ロッキーの顔に突き刺さった。
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
・・・・えげつねぇ。
白ひげとロッキーの決着を見ながらそう思った。
どうも、チキンハートことグンジョー君です。
俺もあれくらったんだよな?よく生きてられたな俺…。まあとりあえず戦闘は終わったみたいだし。
心なしかフラフラしている白ひげに話しかけてみた。
「ダイジョブー?」
「ああ」
「しかしすげえな。武器持っていたとはいえ巨人を倒しちゃうなんて」
「お前な、一応お前の発案だろ?信用してなかったのかよ」
「…いやしてたどもさ」
「何故一瞬口ごもったんだアホンダラ」
とりあえず戦いが終わったことを知らせなきゃな。
「お〜い、終わったぞ〜」
「だ、大丈夫ですか?すごい音がしましたけど!?」
直ぐ近くにいた町長さんが走り寄ってきた。
「おう、全部終わったぞ。」
町長さんの後ろからゾロゾロと他の町民達が続いてくる。
彼らはまず、気絶しているロッキーを見、そして沈没した船を見た後、お互いの顔を見たり、驚いたりしている。
「や。」
「や?」
「やったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
そして、次の瞬間には町長さんの歓喜の声が漏れていた。
「やった!!」「ロッキーが負けた!!」「俺たちは自由だ!!」「自由よ!!」「よかったー!!」
「フン、クソッタレどもが・・・。」
嬉しそうじゃん白ひげ。
こいつも気に入らない奴ぶっとばせてよかったのかもしれない。
まあいいさ。
「グンジョー。」
「何だ?」
「後は頼む。」
そしてバッタリ倒れこむ白ひげってえええええええええええええええええええ!?
「ゴー…ゴー」
寝てやがるコイツ。
よく見るとクマがある。
昨日は寝てなかったのか?
いや、ちょっと待て。
「」
そういえば、この町に来る前ずっと一人で飛ぶ斬撃の練習してた気がする。
あれ、俺が起きた時にはもうやってたから早起きしたんだと思ったんだけど、まさかこいつ寝ないでずっとやってたのか?
…アホだ!!未来の大海賊が形無しだ。この人の将来が非常に心配になってくる。
…でもま
「お疲れ様でした、っと」
ロッキーを倒した後、すぐに宴になった。
この1年間で溜まっていたものを発散するように町民達ははしゃいでいた。遠慮したのだが、俺と白ひげは主役だ何だとかいって一番いい席に座らされた…。
まさか、こんなふうになるとはな。(ちなみに、白ひげはいつの間にか起きて酒飲んでた。アル中め!)
で、酒を飲んでフラつく身体を無理矢理引きずるように俺は気晴らしに散歩してるんだけど…。
「ンゴー、ンゴー、ンゴー、ン…ンガッ!!」
「…」
人が倒れていた。それも、道端で仰向けに。あれ、というかデジャブ。最近こんな光景見たことある。
「ンガァァァァァ、ギリギリギリリ…」
「…」
てか、背中に“正義”って書かれている・・・海軍か?やれやれ、関わり合いにはなりたくないが、目の前で寝続けられるのは若干面倒だから、とりあえず起こしてやろう。
「すいません。起きてください」
「ンゴ・・・」
「こんなところで寝てると風邪をひきますよ」
「ンガ?」
ヒュゴッ!!
「おわあ!?」
バコン!!という音がして石造りの床が壊れた!?何この無駄なパワー!?寝ぞう?ただ寝ぼけているだけなのか!?
何という才能の無駄遣い!!
「む?」
パチンと鼻提灯が割れる音がすして、男が目を覚ました。
「お前誰だ?」
「あ?」
「俺はなんでここにいるんだ?」
「いや、質問したなら聞けよ。」
「そうだドーナツを8日間ぶっ続けで食ったからだった!!」
「自己解決してんじゃねえか。」
「そうだ、俺のドーナツは!?」
「…もういいや。」
何かこいつと話してると疲れる。というか、このノリ、そして雰囲気。それにmどこかで見た顔なんだよな?気のせいかな?
「あ、そう言えばお前、誰なんだ?」
「はい?」
「はじめて人に会ったら自己紹介が鉄則だろうが!?」
「いや、お前がいうなよ!!」
そしたらガハハハハ、そうか?などと言い出したので、思わずコケた。
…全く、気が滅入る。
「…分かったよ。俺の名前はグンジョー。賞金稼ぎだ。」
「そうか、俺は
「…ええ?」