大海賊時代に降臨する拳王 我が名はラオウ!!   作:無機名

22 / 24
気落ちがひどく、更新が遅れに遅れて申し訳ないです。とりあえず一話。
そして、やはりというか、予告のシーンまで届きませんでした。OTZ

UVERの『Fight For Liberty』が『北斗の拳』の者達の世界観・生き方に合ってるように思う、今日このごろ。



第22話

・シャボンディ諸島へ の巻

 

 氷結能力を持つ自然系:ヒエヒエの実。一瞬でモノを氷結させる能力。

 

『敵が自分たちより、遙かに強力な"覇気"を持っていても、ロギア:自然系の能力をもってすれば、消耗した敵に致命的なダメージを確実にもたらす。』

 

 そう考え、ここまで耐えていたセンゴクは、クザンの能力による冷気を感じた瞬間、(―――勝った。)そう思った。

 このタイミングに現れた青キジに対し、喝采を送っていた。

 

 だが、【拳皇】の気配を感じる辺りから、そんな期待を嘲笑うかのように大爆発が起こる。

 

「―――なっ!?」

「ク、クザン!!」

 

 100メートルほど離れたそこで起こった、周囲を薙ぎ払う爆発に驚きながらも、ガープとセンゴクの二人はその場に向かおうとする。

 しかし、そんな彼らの前にスモーカーが現れた。

 

「センゴク元帥。五老星から戦闘停止命令です。」

「―――なっ!?」「なんじゃと―――!?」

 

・・・・・・

 

 爆発を引き起こした攻防はほんの僅か、5秒にも満たない間に繰り広げられた。

 

「ちっ、油断したわ。よもやあそこまで力を持っていたとは。『英雄』……ただの称号ではなかったか。だが、"六式"。完全に見切った。」

 

 ラオウは、ガープとぶつけ合ったエネルギーの衝撃に吹き飛ばされながらも無事、着地していた。

 

 そして彼は抱いていた侮りを戒める。

 

 以前CP9のロートル、ラスキーへの追撃戦。そこで聞き出していた六式の技。

 ラオウはこれを『所詮、南斗の亜種未満』と過小評価していた。外功―――筋力を頼りとするのみの技であり、内功の爆発―――発勁。拳法の技とは無縁のものだと思っていた。

 それが全盛期を過ぎた老兵の、無い筈と慢心していた奥義に吹き飛ばされるという体たらく。

 

 多少離れた場に佇む二人の老兵を、ただの敵から死合うに足る強者とラオウは認識を改めた。

 

「―――アイス、タイム。」

 

 しかし、そこにこれまで警戒していた範囲外・想定外の方向、海から敵が来た。

 だが武術に浸り続けたその身は、驚きなど問題とせず、反撃を行う。

 

「むぅん!」

 

 右腕のバックブロー。多少の達人であっても即殺の拳を乱入者に叩きつける。

 ―――その手応えは人を殴った感触ではなく、氷の塊を殴ったもの。

 

「ぐっ――凍れ。」

 

 見聞色の覇気でラオウの攻撃の軌道を読んだクザンは、咄嗟に"覇気"の防御と、"悪魔の実"の流動化を同時に用いる。

 

 それでも、ラオウの闘気を込めた殴打によって、腹部から湧き上がる血の匂い、嘔吐感、骨が軋む不快感を感じる。

 しかし、それらを飲み込みながら、能力を発動した。この男を離すものか、逃がしてはならぬと、ラオウの腕を掴み、そのままその身を凍結させようとする。

 

 ガープとセンゴクが作ったチャンスを逃すわけにはいかない。世界政府・海軍に対し、間違いなく強大な敵となるだろう人物をココで逃す事は許されない。

 普段、クザンは『だらけきった正義』などといっても、その性根は誰よりも熱い。

 

「ぬう!?―――どりゃあ!!」

 

 体が凍らされる事を感じたラオウは、瞬時に"闘気"を左手の平に溜めると共に、それを高熱に変えクザンに叩きこむ。

 一瞬で人はおろか海を氷漬けにする冷気と、一瞬で鋼鉄を溶断する猛烈な熱を持つ"闘気"。

 ぶつかり合ったそれは、水蒸気爆発を引き起こした。

 

「どわぁっっ!!」

 

 クザンは叫びを上げながら海に飛ばされ、ラオウもまた爆発を正面からまともに受け飛ばされた。

 

「ぐぬっ―――っ!」

 

 

 余談だが、2ヶ月のアルコルの滞在期間。

 ラオウは未熟者には脅威となる"悪魔の実"のことを考え、見せる以外に教えることが出来ない、北斗神拳以外の技でソレに対抗する拳法を徒弟達に伝える事を考えた。

 熟慮の末、彼らに大まかな概要を伝えた拳法は【元斗皇拳】―――北斗神拳と同じく『天帝の守護の拳』と称され、あるいは北斗神拳を上回ると囁かれている拳法。

 技を伝えるため、ラオウ自身、技に磨きをかけていたことが幸いした。

 あの2ヶ月の修行がなかったら、これほど技を速く使うことは叶わず、右腕に致命的な傷をもらっていたことだろう。

 

 

 再び吹き飛ばされたラオウは、マリージョア中央側、センゴク、ガープたちのいる10メートルほど前になんとか着地する。

 

(ちぃ。おのれ、老兵ども……これを狙っていたか。)

 

 全身に擦過傷、切り傷、火傷と刻まれ。

 さらに凍傷、爆発のダメージを受けた右腕には、痺れを覚えているラオウだが、その表情は痛みの苦痛など浮かんでいない。

 来ないと思い込んでいた海側からの奇襲。

 最強といわれる白ひげと闘っていながらも"悪魔の実"の威力への軽視。そんな己の慢心、不甲斐なさに対する憤怒に満ちていた。

 

 かつて、エサで釣り、おびき寄せ、部屋ごと巻き込み自爆する。そんな作戦を画策した軍師―――"海のリハク"に突け入れられた以来の屈辱であった。同じことを繰り返してしまった。

 片膝をつきながらラオウは、北斗神拳は封じながらの不本意な戦いではあるが、死を覚悟する。

 

「……ぬ……むぅ?」

 

 しかし、追撃が来ない。

 

 真っ先に強襲するだろうセンゴクたちがいる場に、ラオウは目を移す。

 そこには、腕に巻かれた電伝虫に叫ぶセンゴク、傍らにスモーカーが冷や汗を流しなら立ち、少し離れたところで戦意を失って鼻に指を突っ込んでるガープの姿があった。

 

 場に戦意がないことを確認したラオウは、その雰囲気にため息をつき、とりあえず瓦礫に埋まった荷物を掘り出しはじめた。

 一方、海軍の元帥とその上司である五老星の言い争いはヒートアップしていた。

 

「なぜですっ!?あと少しで―――!」

『ならん。拳皇の力は未知数。戦争を控えたこの状況で、その様な敵と戦うことは認められん!!』

 

 五老星に近く行われる【白ひげ海賊団】との決戦の事を示唆されたことをセンゴクは悟った。

 

「しかし、ヤツをここで逃せば―――。」

 

 二の句に詰まりながらも、なお反論を重ねようとするが、別の声が落ち着きと威圧を込めて声を上げる。

 

『……センゴク元帥。君の正義は『仁義』だったはずだな?我々は【拳皇】に借りがある。"仁義"に背くわけにいかんのだ。』

 

 己の信条を引き合いに出され、絶句したセンゴク。

 そこに、これまでの緊迫した闘気を収め、いつもの呑気な雰囲気を醸すガープが、センゴクの肩を叩きながら辺りを見回し、言う。

 

「センゴク。これ以上、闘っておったら、ウザったい連中にナニを言われるか分からんわい。それに【拳皇】は……。」

 

 言うにつられてラオウのいる方向を見る。

 やる気を失った【拳皇】は、瓦礫の中から私物を取り出し、外套を纏い、荷物袋を肩がけにして踵を返そうとしていた。

 

「「…………。」」

「のぉ?」

 

 嫌な空気が辺りに流れる。根がとても真面目なセンゴク、スモーカーはそれぞれ固まってしまっていた。電伝虫の向こうで聞き耳を立てている五老星の面々も同様である。

 ラオウもまた絶句していた。

 

 ラオウは(漁夫の利を得ようとしている下衆の前で、これ以上の技を見せる気がしない。)こう考えた。

 だからこそ敵が引くならば、と去ろうとしていた。しかし、呼び止められてしまった。

 

 センゴクは途中から、(たしかに、立ち去ってくれるなら現状では最良。)そう考え、五老星との口論に没頭することにして、時が過ぎるのを待っていた。

 しかし―――気付かされてしまった。

 

 気まずい。

 

 ガープがすべきは、もはや災害と冠するに相応しいラオウを黙って見逃せばいいはずなのに、このド天然[大バカ]は空気を察しても、空気を読まない。

 そして、この固まった空気を読まないのもガープだった。

 

「ん?行かんのか?」

 

 ………………。((((―――お前が、原因だろ!?))))

 

 奇妙にも、この感想で場は一致していた。

 とりあえず、ガープの破天荒に最も慣れているセンゴクがラオウに言う。

 

「命令だ。これ以上は戦わん。去れ。船をくれてやることは出来んがな―――。」

「……よかろう。奥義を尽くせぬ闘いなど、これ以上、望まぬわ。」

 

 去ることができるならばやってみろ。言外に込められた皮肉を気にもかけず、ラオウが身を翻したところだった。

 海に飛ばされていたクザンが突撃をかけてきた。彼には未だ停戦命令は伝わっていなかった。

 

「―――アイス塊 両棘矛[アイスブロック パルチザン]!!」

 

 次々とラオウに突き刺さる氷の槍。しかし、その姿は次の瞬間には消え失せる。

 攻撃が当たったかに見えたそれは、軽功術:【雷暴神脚】が見せた残像。本物のラオウは、その位置から離れた海側に立っていた。

 海軍元帥から大将、英雄:ガープ、スモーカーに至る面々が、そのあまりの速さに目を見張る。

 

「ふん、部下のしつけがなってないな。―――南斗雷震掌[なんとらいしんしょう]!!」

 

 高く突き上げた指を、ラオウは地面に突き刺す。

 そこから、地を奔った"闘気"はクザンの足元で火柱のように噴出する。

 

「ぐわあああ!!」「くっ!」「クザンっ!!」「うっ!」

 

 その"闘気"を真正面に受けたクザンが悲鳴を上げ、近くにいたセンゴク達は思わず防御態勢を取る。

 気柱が収まり、辺りを確認する余裕が生まれた彼らの視界に【拳皇】の姿は既になかった。 

 

「………逃げおったのぉ。」

「……ガープさん、こっちの心配はしてくれないんですか?」

「お前がそう簡単に、おっ死ぬタマかい。」

 

 彼らが"見聞色の覇気"で去ったラオウを感知すれば、どうやら"六式・月歩"の要領で、シャボンディ諸島に向けて海の上を走っているようだった。

 そのあまりにも見事な逃げ方に感嘆を上げるガープと、ラオウの闘気で全身に傷を負ってボロボロのクザンが言い合う。

 

「……とにかく、俺は五老星に【拳皇】について問いただしてくる。お前らは片付けを……。」

「ワシも行くぞ!」「……俺も。」

 

 上司に事の顛末を報告、戦闘停止の理由を伺いに行こうとするセンゴクに、ガープとクザンは付いていこうとする。

 …………しかし。

 

「―――へぇ、街をぶっ壊した男どもは、あたしに始末を全部押し付けようってんのかい?」

 

 彼らの背後から【拳皇】の覇気のソレとは別の……。しかし、逆らったら確実にひどい目に合うことが予測できる恐怖を感じさせる。そんなドスの効いた声を上げながら、笑顔を浮かべている者の気配がする。

 そして、勇気を振り絞って背後を見た彼らは、付き合いが長く、その手綱を握る老女の迫力に、恐れおののくことになった。

 




ちょっと拳王様っぽくない展開でありますが、もうい~や。原作完全崩壊のDD北斗の拳が原作者公認でありますし……。
こんな構成しか出来なくて申し訳ないです。そして、括弧統一が出来てない……。ダメダメです。

……………………とりあえず、散々プロットを練った結果、ラオウ様によるゴールド・ロジャー断罪は確定。こいつら完全にそりが合わないです。(大汗)
アンチ・ヘイトに加え、嫌われ系、SEKKYOU、チートになりかねないことに頭を痛めてます(拳王様はもともとチートですが)。

遅筆申し訳ない。批判を行うのはエネルギーの消耗が半端ないです。

テレビのコメンテーターとか、よくもあれだけ他人のことを、なんだかんだと言えるものだなぁ。と思えるこの頃。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。