こうして好き勝手に書いてるものなのに、誰かに書いて欲しい。むしろ読むだけで在りたい。そんなことを思い始める私。オイオイ
今後、一気に加速予定……のはず。筆も加速して欲しい…。
・騒がしくなる世界 の巻
世界が『麦わら海賊団』のエニエスロビーを襲撃―――。この事件がニュースとして流れ、世間を騒がせた。
それと並んで、一枚の手配書が世界を驚かせた。
WANTED!【拳皇:ラオウ】―――3億―――
つまり【生け捕り】である。億どころか1000万を超えれば、例外を除き皆【DEAD OR ALIVE】:生死を問わず……そのはずなのだ。
しかし、初頭手配でこの値段。何よりも生存を条件とする事に世界は驚いた。
これはアルコル島にも騒動を及ぼした。
旧来の惰性的、外敵に対して従属的な守旧派が『あんな訳の分からないお尋ね者の指導など要らなかったんだ』と騒ぎ始めた。
一方、積極的に拳法を教わった者。それを見て自衛が必要と考え、島に防御施設を作り始めた改革派たちは反論した。
『彼が、ラオウが一体何の悪事を働いたと云うのだ?彼のお陰で我々は取り戻すべきものを取り戻した』
―――こう主張し、島は真っ二つになった。
ラオウがこれまで、この島に滞在した中でしたことは2つ。
彼の幼馴染である軍師がやった組織的な行動の指針作り。
リュウを始めとした拳法の教えを請いた者達への指導。
組織行動の指針によって、これまでなおざりだった島に入る船を事前の審査を細かく行うようになり、仮にそれをくぐり抜けても港に隠された砲台の標的にさらされるため、化けて入る海賊船は駆逐される。
港を使わず横入りしてきた無法者は、まず機雷の攻撃に晒され、上手く上陸出来ても拳法を教わった者達が遊撃で食い止め、最後は罠に嵌め、片付ける形になった。
前者に対してあまり関与しなかったが、後者の弟子と言える者達の育成にそれなりに関わっていた。
ただし『拳を教える』と言ったものの。ラオウがしたのは基礎と体力の訓練の仕方のみ。
具体的には、関節の柔軟性の強化。山林の野駆け。指弾などの各部位の強化。型稽古。―――要は基礎体力と拳法の基本技の指導。そして、多少苛烈な組手。
あとはラオウのやる修行を真似ればいいとするだけだった。
襲ってきた海賊は島民に対応できる者は残し、強者はラオウ自らの手で葬った。……門下の者達に技を見せつけるように。
(……あの軍師はこう在るべきだと、説きたかったのだろう)
核戦争で荒廃した世紀末の世界。
馴染みの軍師が隻脚のため指令が散漫となり、軍団長としての人材を、新たな軍師を求め臣下になるよう会いに行った者は『覇業を捨て民衆とともに立て。ならば共に戦う』とラオウに説いた―――森のリュウロウ。
一刻も早い平定がため、最も効率の良い恐怖をもっての統治を目指したラオウは、主張の違いからそのリュウロウと死合うこととなり死別した。どんな形であれ、例え悪人と呼ばれようとあの地獄と言える世界には時代を支える巨木こそ何より必要だった。あの時代の己の決断を悔いることなどラオウにない。
むしろ名も要らず、光も要らず。―――その覇業を終えた果てに求め続けた強敵・ケンシロウを己の前に送り出した天に感謝している。
この世界だからこそこう在れる。だからこそ、こう在る事も悪くないと思えている。
そんな心持ち故に島が割れてる中、改革派の人間に『貴方の意見を賜りたい』問われた時は割り切った返答をするだけだった。
「求められた故に応えたまで、うぬらが戦う意志を放棄するならば去るまでだ」…と。
そう突き放してはいても、ラオウを慕い教わりに来た者までもを突き放すことは出来ないでいる。
だから、北斗神拳を除いてこの世界で知った武術を含め、これまで見聞きした武術と"気"の初歩的な使い方を書いた指南書を集落から外れた庵に篭って書いている。もし去る事になっても力を求めるものに力を与えるために。
もっとも、どう使うかは当人次第だ。教えるものの知ったことではない。
(……少し、弱くなった)そうラオウは思う。
愛とは何かと知り、哀しみを背負った事により、情など不要。そう割り切っていた頃に比べて、余計な世話を焼いている己自身にラオウは戸惑っていた。
以前のラオウならば多少の愛着のようなものが湧いたからといっても、ここまではしなかったはずだ。何時か実弟に言われたことを思い出す。
『愛を心に刻み付け、哀しみを背負い続けた者だけが最強の男となるのだ』
その意味を知った今でも、相も変わらず強者を求め、賞金首となったことさえ楽しみ、孤高の中に彷徨しているラオウを見れば実弟:トキは苦笑混じりにこう言うだろうか。
『それが貴方の宿命か』……と。
あるいはこの状況を見て『貴方もそんなことがあるのだな。』と、あのすまし顔を止め、大笑いでもするだろうか。
手配書が出まわって数日後、伝書バットが修行を指南するラオウの下に手紙を届けた。
その日の稽古を終え、いつの間にか懐いたリュウが興味津々に届いた手紙を眺める。
「師匠、なに書いてあるの?」
「稽古以外で……師匠と呼ぶな」
北斗神拳伝承者でないのに"師匠"と呼ばれることにいらだちを感じるラオウだが、手紙のほうを優先する。
普段はリュウの姉が来れば、彼女に叱られて終わりなのであるが生憎、今日はまだ来ていない。
(実際に息子が自らの下にいたらこんな調子なのだろうか?)つい、そんなことを考えてしまうラオウ。
「し~ふ~、ラオウ、拳皇さまー」「ぬ……むう」
しつこいリュウを『軽く殴り飛ばしてやろうか。』そうラオウは思ったが【拳皇】と呼ばれると手が出しづらい。
過去同じ音で『拳王』と名乗っていたから、言われるとこそばゆい。最後に持ってくるあたり、この子供がラオウをどれだけ観察しているか示していた。
リュウの拳法に対する素質は相当のもので10代前半にも関わらず、同じ修行をしている5歳ほど年上の者と互角に戦えていた。雑魚の海賊くらい訳なく叩きのめした。
その才覚に、影からラオウの修行を眺めているだけでかなりの拳法を使った実弟:トキ、そして最高の才能を持っていた"雲のジュウザ"に近い才能と思い、懐かしく思う。
「おお、すごいよ。七武海なんて!」
横から手紙を眺め感嘆を上げるリュウ。内容は"七武海"勧誘だった。
『空いた席を埋めるためにその実力を買いたい。』とのことだ。
「政府公認などといっても、ここを荒らした海賊と同じだ。何故そんなことを思う」
「だってすごいじゃん。実力で世界政府に『力不足の自分たちを助けてください。』って言わせるんだもん。海賊は嫌いだけどそのくらい強いってすごいと思う。」
「ふん、そうか・・・」
こうも無邪気に言われると、悪い気はしないものだった。
もし、ラオウがリュウと暮らしたらどうなるか。というのをちょっと想像して書いてみました。はい、ホントに勝手な妄想です。
この島でラオウが教えたのは自己鍛錬についてこさせただけ。体づくりと拳法の基本技。見取り稽古。組手は死屍累々の地獄でした。多少どころでは無いです。
どうもラオウのケンシロウ化が進んでるような。元々のパーソナリティは似通ってるから、しがらみ・野望がなくなればこうなると思うんですが…。いいのかな、このまま書き続けて…。性格の土台を変えてる気は無いのですが、かなり変わってきてますから……。
割り切れてればいいのに、出来ない私。……チキンだ。