大海賊時代に降臨する拳王 我が名はラオウ!!   作:無機名

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 いつの間にか通算UA5桁……まじですか!?こ、こんな駄文が……。

 さて、そろそろ政府・海軍側との接触をしようかと。北斗神拳はどの勢力にとっても脅威ですからね。悪魔の実なんざ問題にならないほど凶悪で応用が効き、敵将のみを知らぬ間に討ち取ることができて、時には一人で大軍を相手に戦える拳法なんて物騒この上ないです。

 拳王様にちょっとだけ海軍組織・政府を相手に荒らしてもらって、あとは頂上決戦でおしまいと言ったとこです。


第10話

・海賊達との別れ の巻

 

 

 稽古というには派手すぎる戦いの後、船長の無事を確認した【赤髪海賊団】の面々は『久しぶりに面白い勝負が見れた』と宴会を朝っぱらから始めた。それを尻目に出発を急ぐエースをシャンクスは見送っていた。

 しかし、その表情は暗い。

 シャンクスには自分が何を言っても、エースが止まるはずもないと分かっているから……。

 

「ティーチを追うんだってな……気をつけろよ」

(……嫌っているなら、嫌っているならば、こんなところで父親に似なくてもいいだろうに……。)

 

 そう、シャンクスは内心で愚痴らずには居られなかった。

 そして、止めることは出来るまい。―――と、諦めていた。

 

「ああ、ありがとう。気をつけるよ。」

「…………うぬでは勝てん。」

「アぁ!?」

 

 有無を言わさぬこの物言いは予想がつく。

 エースが不機嫌な声を上げ、声の聞こえた方向を見ると、稽古でボロボロになった道着を捨て、革ジャンをメインとしたラフな格好で、やはりラオウは立っていた。

 

 エースはつい激発しかけるが、ラオウの物言いは淡々と事実を伝えることから始まる。

 もちろん悪意をもって言うのではなく、ラオウなりの考え方がしっかりとあるゆえの言葉。

 それは白ひげに対する応対、二度の酒席で分かっている。だからこそ、しかし腸は煮えくり返っているが、エースは続きを促した。

 

「……なんでだよ。」

 

「うぬとヤツでは執念が違う。

 己が野望を押し殺し、貴様らの中で疑われもせずに紛れていた者が、その地位を捨て動き始めた。ならば計画と勝算が奴にはあろう。

 ―――かたや追う貴様は、敵討ちに酔っているのみ。それでは執念を糧にした者に勝つことはできん。その有り様で海賊王を超えるなどありえぬ。」

 

「うっせぇよ。俺らの旗を、オヤジを汚された!―――勝算もクソもあるか!!」

 

 そう言ってエースは船に乗り、メラメラの能力を使ってそれを一気に加速させ島を離れる。

 シャンクスとラオウに言葉を返す暇はなかった。

 

「ふん、無鉄砲な奴だ。」

「……白ひげに止めてもらうしか無いな。出来るだけ早急に……あんたも手伝ってはk「断る。」……あっ……そう。」

 

 そんなぶっきらぼうな返答をする拳法家に、積年のライバル【鷹の目】と似通っためんどくささを見い出したシャンクスだった。

 

(……あの時のケンシロウ以上の無鉄砲さよ。…………そうか……兄者。あの男は兄者に……。)

 

 片やラオウは思い馳せていた。

 誰よりも情愛を求めながらそれを手に入れることがついぞ出来ず。結果、情も愛も持たぬ悪に染まることで世から情愛を抹消しようとした男。―――そのあまりの孤独ゆえ、世を自らの破滅に巻き込み、道連れにしようとしていた悲しき兄。

 そんな兄と再会した時の、言い知れぬ感情をラオウは心の片隅に抱いていた。

 

 

・・・・・・

 

 

 それから10日ほどが経った。

 ラオウはレッドラインに更に近づいた、適当な……海軍と海賊勢力の入り混じったある島に降ろされることとなった。

 実際は一週間も有れば来ることの出来る島だったのだが、【赤髪海賊団】はロックスターに掛けられた術が本当に解かれているのか半信半疑であったため、最初の期限である30日を確かめるために、時間をわざと掛けた。

 

 余談であるが、ラオウに対し副船長ベン・ベックマンが、ラオウのその威風と見識から、興味本位で年齢を聞き、船長のシャンクスより10歳近くも歳下であることを知ると、他の船員と共に驚いていた。

 

 ラオウは『訳が判らん。』と唸っていたが、理由がなんとなくわかるシャンクスは、その日は一両日中不機嫌だった。

 

 また、世間ではその間に『医療大国:ドラム王国が突如襲来した海賊団に滅ぼされ消えた。』と、そんなニュースが新聞の片隅に載っていた。

 

「……世話になった。」

「なぁ、聞いてみたいと思ってたんだが、あんたの視点。これから世界はどうなると思う?」

 

 そうシャンクス聞かれると、ラオウはつまらなそうな顔をする。

 そして出たことは、かつての世界の不安定さの経緯、結末を知っているから出た言葉だった。

 

「戦争が起きる。勝者の安穏という幕間の中で栄華を貪ったのだ。世界政府。800年も続けば十分であろう。」

「革命軍にでも入ろうと?」

「くだらん。そこでも『功を成した』という勝者が敗者を虐げるだろう。意味など無い。」

「……ならば、何故、過去に平定を望んだんだ?あんたの言う『貪る者』って言うのも現れたんじゃないか?」

 

 シャンクスの目の前にいる男は今、『拳法家』と名乗り、己しか追求していない。加えて、何処か深い虚無の色すら漂わせている。

 しかし、エースを交えたあの酒席の話では平定のために走り回ったと言う。この違いは一体、何か……。

 

「時代の……天の意志だったからだ。天より授かった我が拳。天命に従って振るうのみ。」

「……よく判らん。」

「…………そうか。ならばそれで構わん。」

 

 そう言ってラオウは外套を翻し、シャンクス達から去っていった。

 




 妙に口数多くなっちゃったし……。拳王様らしくないかも。

 シャンクスがラオウの年齢の話で不機嫌だったのは、振り回される船員たちに『もっとしっかりしてくれよ。お頭』という視線を向けられてたからです。

 うーむ、海軍とあまりかかわらずにそのまま頂上決戦に端折ってもいいのだろうか……。

2013/08/01追記
ラオウ視点から見たエースの危うさを追加しました。

2013/12/17追記
更に加筆・修正

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