本日よりVSヴァリアー編を開始します!
目標は2、3日に1話の予定ですが、スットクは6話しかありません。
かなり厳しいので、遅いときは4日ほど待ってもらうことになるでしょう。
出来るだけ頑張りますので、許してくださいw
今回もガッツリ一人称と三人称が混ざります。
黒曜編より読みにくいかなーと思ってます。
もちろん駄文です。
それでも読むという方はよろしくお願いします!
逃亡
電話を切り、重い腰をあげる。心の準備はしていたが、少し億劫なのだ。しかし、行かないという選択は私の中ではもう残されてはいない。そのためお母さんに出かけると声をかけ、待ち合わせの場所に向かった。
待ち合わせに向かう途中に、少し悩んだが電話をかけた。もしかすると向こうが出れない状況かもしれないと思ったが、問題なさそうだった。相手は相変わらずのお人よしのようで、私に気を遣い、いつも通りの声である。
『よっ。珍しいな、お前から連絡するのは……どうかしたのか?』
「同盟の君が来ないとヤバイ状況になる。君と一緒に来た人物はまだ手が出せないんだろ?」
何度も同じ失敗をディーノが繰り返すとは思わなかったが、念のために真っ直ぐ沢田綱吉のところへ行けと助言する。
『……わかった。ツナ達と一緒なのか?』
「今から合流する。もしもの時は引き伸ばす努力は――」
『――ちょっと待て! すぐにオレが行くからお前は手を出すな!』
最後まで話を聞け。努力はするが、期待するなと私は言いたかったんだ。それに最悪の場合、私はリボーンを盾にする気だったしな。しかし、ディーノが原作より早く来れそうなので、良しとしよう。
「ん、わかった」
『ぜってぇ無茶するなよ!』
そういって、ディーノは電話を切った。全く、私が無茶するわけないだろう。ディーノは一体何を勘違いしてるのだろうか。
沢田綱吉達と合流するとランボに飴をせがまれる。いつものようにポケットから取り出し渡すと、ランボが我侭を言い出した。
「オレッち、そっちがいいもんね!」
今日は普段私が食べている『ふしぎなアメ』以外の種類を用意していたため、珍しい飴がほしくなったようだ。少し悩んだが、ランボに渡す。ランボは嬉しそうに食べ始めたが、しばらくすると泣きそうな顔になっていた。
「ラ、ランボ!?」
やはり沢田綱吉はランボの保育係のようだ。ランボの異変にすぐに気付いたからな。
「いつもの飴をあげるから、それをここに出せ」
ランボにティッシュを渡し、今まで食べていた飴を吐き出させて新しい飴を渡した。何味を食べさせたのか、気になったようで沢田綱吉が聞いてきた。
「普通のレモンだけど、のど飴」
「それでランボは食べられなかったんだ」
「ん。のど飴は子どもの舌には刺激が強いからな。こうなると思った」
「なんで食べさせたの……?」
「経験させた方が早い」
沢田綱吉が「え」と呟いた声は聞かなかったことにする。それにどちらかというと感謝してほしいぐらいだぞ。今、ペットショップを通り過ぎたからな。下着のくだりは自身で回避してくれ。私はリボーンに用事があるのだ。
沢田綱吉を見捨てて、山本武のところにいく。リボーンは山本武の肩の上に乗ってるからな。
「神崎も勝負しようぜ!」
「……次の機会で」
私の顔を見ていきなり話題をふるな。普通は話の内容がわからないぞ。知識でゲーセンで勝負すると知っているからいいものの……。まぁどう答えても勝負は出来ないが。
「リボーン、コーヒー飲まないか?」
「ちょうど飲みてーところだぞ」
店を指しながら言えば、リボーンはすぐさま山本武の肩を降り、私の足元に来た。恐らく、話があるとわかったのだろう。
念のため、本当にコーヒーとココアを頼む。もちろんエスプレッソコーヒーである。ちなみに注文はしたが、リボーンが好きというのを知ってるだけで、私はエスプレッソコーヒーが普通のコーヒーと何が違うのかは知らない。
「あれから腕立て伏せを続けてるのか?」
「……続けてはいるが、小言弾は使えねぇな」
予想通りの答えなので、特に気にはならなかった。切羽詰る状態でなければ、死ぬ気弾を使っての特訓が出来ないからな。
「レオンに頼んで、死ぬ気弾を作り始めた方がいい」
「問題ねぇぞ。大量に作ってくれてるからな」
リボーンは原作より用意周到のようだ。恐らく今までの私の言動のおかげ?だろう。
「京子達に危険が及ぶのか?」
「……ギリギリまで待ってほしい。私は彼女に言ってほしいんだ」
笹川京子が沢田綱吉の隣に座る姿を見ながら言った。私が彼女の言葉を言ってもいいが、嬉しさが何倍も違うからな。
「ツナはサクラの言葉でも喜ぶぞ」
リボーンの気遣いに苦笑いしていると、大きな音が響いてきた。
「もう時間切れか。後は頼んだ」
「ああ」
リボーンが走ってる姿を見て状況を確認する。私は沢田綱吉達から少し離れた位置に居るし、原作でもこの建物の近くには来なかったので、動かないことにした。
遠くから見てると沢田綱吉がバジルに踏み潰されていた。相変わらず不憫である。そして、派手な登場をしたスクアーロを見て、のど飴を渡すタイミングがないかと真剣に考えそうになった。
リボーンが彼女達の誘導を始めた時に、私の方を見たので、さっさと行けという意味で手を振った。
2人がやられ、沢田綱吉が死ぬ気になった姿を見て、知識通りに進んでるとココアを飲みながら感心していれば肩に手を置かれた。驚きながら振り返る。
「もう少し、安全な、ところに、いろよ……」
息を切らしたディーノだった。まだ死ぬ気がとける前だったため、かなり急いで来たことがわかった。しかし、急に肩に手を置くのは止めてくれ。もう少しでココアをこぼすところだったぞ。
「急がないとあっちがやばい。でも彼が持ってる偽物のリングは持って行かせた方がいい」
今の間に沢田綱吉の死ぬ気が解けてしまったからな。ディーノは私の難しい注文に文句も言わず、向こうへいった。が、私のためにロマーリオを残してくれたようだ。他の部下はディーノと一緒に行ったので大丈夫だろう。
「怪我はしてねぇか?」
「大丈夫。それに、ここは安全なはず」
「……そうか」
ロマーリオとは特に会話することはなかったが、私の心配をしてくれていたようだ。
しばらくすると、ディーノがうまくやったようで、スクアーロが去って行った。私にはよく見えなかったが。なぜなら、ロマーリオがスクアーロから見えないように移動したため、私からも見えなくなってしまったのである。少し見たい気持ちもあったが、私への気遣いに感謝した。
全て終わったと思ったので、山本武と獄寺隼人に近付く。
「10代目は!?」
「大丈夫。ディーノが間に合った」
何も言い返さなくなった2人へ、救急セットが入ってるポーチを置く。
「……わりー」
これ以上は声をかけない方がいいと思ったが、山本武に謝られたので「気にするな」と返事をした。私が伝えたせいで原作より早く悔しい思いをしてしまったな。
「……君達の無事な姿を見れば、彼は喜ぶ」
リボーンに足手まといと言われることになるが、お互いに大丈夫な姿を見せた方がいいと判断したのだ。
2人を見送った後、ロマーリオに「もうボスのところに戻っていい」と声をかける。
「お嬢さんはどうするんだ?」
「私は特殊だろ? 門外顧問と会った方がいいと思って」
「行くならボスと一緒の方がいい。詳しく話してねーんだ」
ロマーリオの言葉に首をひねる。
「リボーンさんの判断で、お嬢さんのことはボンゴレにも報告してないんだ」
「……悪いな」
「オレたちは好きでやってんだ。お嬢さんが気にすることじゃねーぜ」
私が謝った意味をロマーリオは理解しているようだ。リボーンがそう判断でしたことで、恐らくディーノ達はかなり気を遣って調べたり行動をしたはずだからな。
結局、私は病院について行くことにした。ディーノはこれから雲雀恭弥の相手で忙しくなるからな。
当たり前のように病室で本を読んでいると沢田綱吉に「どうしてここにいんのー!?」とツッコミされた。
「成り行き」
「そ、そうなんだ……」
沢田綱吉が納得したようなので本の続きを読むことにする。
私が居たとしても話す内容は原作と同じ内容だろうと思い、本に没頭していると腕を掴まれた。一体なんだと思い顔をあげると沢田綱吉だった。
「家に帰って補習の勉強しなきゃ!! ね、神崎さん!!」
「私は補習を受けていないのだが――」
「――か、帰ろう!!」
ちょっと待て、なぜ私と一緒に帰ろうとするのだ。よくわからないが、あまりにも沢田綱吉が必死だったので、流されるように帰ってしまった。
――――――――――――――
残されたディーノは唖然としていた。サクラに詳しく話を聞くつもりが、まさかツナと一緒に帰るとは思わなかったのだ。
「……バジルは囮だったんだな……」
リボーンの声で我に返り、バジルも知らなかっただろうということや相当なキツイ判断ということを伝えた。そして、ディーノが知っているもう1つの情報も伝える。
「それにあいつもだ。『偽者のリングは持って行かせた方がいい』そう言った」
「……そうか」
リボーンもある程度は予想していたが、バジルは囮ということまで知っているとは思っていなかった。
2人は考える。どれだけサクラには辛い選択だったのだろうか――……と。
サクラはディーノにわざわざ言ったのだ。恐らく偽者のリングを持っていかせなければ、ツナ達に不利なことが起きたのだろう。そのためにはバジルが傷つくことに目をつぶらなければならない。
「ツナはわかっててやったのか……。そうじゃねーのか……」
「さぁな。オレにもわかんねーぞ」
ツナには何かを感じて一緒に逃げたのか。それとも単に一緒に逃げる仲間がほしかったのか。答えはわからなかったが、2人は前者の理由でツナがサクラを連れて行ったことを願ったのだった――。
――――――――――――――
気になることがあり、スクアーロは走りながら考えていた。もちろん警戒は解かずに。
短い時間だったが、スクアーロは跳ね馬の部下が自身から誰かを守るように行動していたことに気付いたのだ。そして、その部下がディーノが1番信頼している部下だったのも気になる要因の1つだった。
普通ならば、あの場面で優先するのはボス候補のツナである。もちろんボス候補の友人という意味で護衛したという可能性は否定できない。が、わざわざ1番信頼する部下をつけ、あの場から離れさせようとしなかった説明がつかない。スクアーロがひっかかるのは当然のことだった。
「ッチ」
せめて顔を見るべきだったと舌打ちをする。今から戻っても立ち去った後だろう。何より、スクアーロはハーフボンゴレリングを、自身のボスであるXANXUSに届けなければならないのだ。
「何を企んでる、跳ね馬ぁ゛」
声に出したが答えは返ってくることはなかった――。
こんな感じでVSヴァリー編はどうしても視点と場面がコロコロ変わります。
出来るだけ減らしましたが、これ以上は厳しかった……。