クラスメイト K [本編&おまけ完結]   作:ちびっこ

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あけましておめでとうございます。
気のままに更新する作者ですが、今年もよろしくお願いします。


話し合い 1

 いざ、学校へというタイミングでリボーンがやってきた。

 

「ちゃおッス」

「……今日は休むか」

 

 制服に着替えたが、意味がなかったようだ。まぁ今から着替え直すのは面倒なのでそのままで過ごすが。

 

「雲雀恭弥への根回しはそっちで頼むぞ」

「わかったぞ」

 

 9代目が用意してくれたアジトへ向かうか。正直、どこで話をしても危険度は変わらない。それでもわざわざ移動するのはただ学校をサボることを、両親には知られたくないからだ。兄に頼んで、両親へ手回ししてもらう案もあったが、なんとなく嫌だった。……別に悪いことをしているわけじゃないんだけどな。

 

 いつも通りを装って、家を出ようとすればお父さんに声をかけられた。

 

「サクラ、桂には話しておきなさい。押しかけてくるよ」

「お、おう……」

 

 やはり我が家で一番怖いのは父である。兄が大人しく言うことを聞くはずだ。

 

 出鼻を挫かれた感があるが、私は「いってきます」と声をかけて家を出たのだった。

 

 

 家を出るとリボーンだけでなく、ツナとディーノも居た。どうやら軽く息が上がっているので、2人ともリボーンに振り回されたようだ。

 

 可哀想に、と同情な視線を向けつつ、移動し始める。途中でディーノは行き場所を察したようで、ツナにいろいろと教えていた。リボーンは何も言わないし、驚いている様子もないので、ポーカーフェイスでない限り知っていたのだろう。

 

 アジトにつけば、兄が出迎えてくれた。移動しながら連絡を入れたので、手を止めて待っていたのだろう。

 

「少々狭いが、ゆっくりしていけばいい!」

 

 ここは兄の家じゃないぞ。思わずツッコミしたくなるが、話が進まないので心の中だけに留める。

 

 休憩スペースはあるが、キリのいいところで各々で休憩するか、私達兄妹が一緒に一息いれるための場所なので2人がけのソファーしかない。一応、私は普段利用している側なので地面に腰をかけるべきかと思ったら、ツナとディーノに慌てて止められた。結局、私とツナが座り、ディーノが立つ形になり、リボーンはディーノの肩に座っている。ちなみに兄は作業に戻った。といっても、耳は傾けているだろうが。

 

「リボーンが来たってことは、夢で会ったんだろ?」

「ああ。サクラ、おめぇも会ったのか?」

 

 リボーンの質問の意味がわからず、僅かに眉を顰めたのが自身でもわかった。

 

「あいつはおめぇのことを知ってるようだっからな」

「知ってるだろうな。前に会ったことがあるし」

 

 真剣な表情でリボーンに見られているので、大げさに肩をすくめた。私にはどうしようもなかったのだ。話せなかったのも仕方がないことなのだ。

 

「ちょっと待て。オレらにもちゃんと説明してくれ」

 

 空気を変えるようにディーノが声をかけた。当たり前のように話を進めていたが、何も知らないツナとディーノは話についていけないだろう。それにリボーン達の夢で私の名があがったみたいだし、私もちゃんとした流れを知りたい。雲雀恭弥が桜クラ病にかかっていなかったというような予想外な内容はもう勘弁なのだ。

 

 黙って話を聞いて入れば、私の言動のせいで多少は順序は変わったものの、代理戦争に全員が参加という流れは変わらなかったようだ。

 

「つまり一言でいうと、アルコバレーノの呪いを解くために、力を貸してくれってことだ」

 

 微妙にセリフが変わったな。たとえセリフが変わっても、2人は手伝うと約束した。ここからが本番である。が、そもそもその前にアルコバレーノの呪いとは何かとディーノから質問が入った。

 

「これはオレの本当の姿じゃねぇ。本当のオレは超カッコイイだ」

 

 それについては私も同意見なので、何度か頷く。兄が羨ましがっているのは放置だ。素直になる努力はしているが、兄に面と向かってカッコイイというのは恥ずかしいのだ。

 

「サクラはリボーンの本当の姿を知ってるの!?」

「一応。……ツナはまず赤ん坊のイメージから抜け出せよ。リボーンは私達よりも身長が高いから」

「えーーー!?」

「うるせぇ」

 

 どうやら余計なお節介だったようだ。ツナがボコられてしまった。

 

「おめーら、気を引き締めろ。こっからが本題だぞ」

 

 痛がってたツナとフォローに入ってたディーノが真剣な目をしてリボーンを見た。そのリボーンは私の目を見ていた。

 

「確認するぞ。サクラはオレ達全員の呪いを解く方法を知っているんだな?」

「ん、知ってる」

 

 ウソをつく必要も誤魔化す必要もないので、はっきりと返事をした。

 

「え? でもさっきの話じゃ1人って……」

「だからリボーンはアルコバレーノの呪いを解くためと言ったのか……」

 

 そう。リボーンはオレの呪いを解くために戦ってくれとは言わなかったのだ。

 

「それじゃ、代理戦争なんてしなくていいんじゃ?」

「その代理戦争がカギを握ってるんだろ? じゃなきゃ、こいつが今までずっと黙ってる必要はないからな」

 

 知らない間にディーノの私への信頼度がヤバイことになっていた。慌てて否定する。私はそこまで出来た人ではない。

 

「否定はしないが、それが一番の理由じゃないぞ。下手なことを言えば、殺されると思ったから。どうせ今も監視されているだろうし」

 

 復讐者もチェッカーフェイスも覗き見能力を持っていたのだ。本当に私のプライバシーはどこへ行った。訴えたい。

 

 私の発言にツナはキョロキョロし出し、ディーノは険しい顔になった。

 

「ちなみにツナも時々監視されているはずだぞ」

 

 仲間だという意味で微笑めば、ツナも私と一緒で絶望し始めた。それを見て、ちょっと落ち着いた。我ながら、性格が悪い。

 

「まぁその話は横に置いといて」

「置いとかないでよっ!?」

「私は誰とも敵対する気はないんだ」

 

 監視している者にも向かって言っていることに、リボーンとディーノは気付いている。見せないようにしているが、2人とも武器に手を触れている。

 

「私が言っても信用がないと思うから教えると、この方法を考えたのはツナだ。決して頭がいいと言えないツナが、みんなが幸せになるために必死に考えた案だ」

「……褒めてくれてるんだよね?」

「もちろん」

 

 自信を持って言えば、なぜかツナが落ち込んだ。私にしては素直に褒めたのに。

 

「失敗すれば、アルコバレーノの呪いを受ける覚悟まで出来ているお人好しはそう居ない」

「えっ、ちょっと待って」

「だから失敗したら頼んだ。カッコワライ」

「ちょっと待ってって言ったよねー!? それも棒読みだしっ! 思っててもカッコワライとか普通口に出さないからーー!!」

 

 やばい、ツナの反応が良すぎてもっと何か言いたくなる。そう思っていれば、頭をポンポンされた。やめろという意味でディーノにされたと思ったが、彼は動いていなかった。ということは……。

 

「サクラ」

「……お兄ちゃん」

「ちゃんと伝えないと後悔するのはサクラだよ」

 

 ぐっと言葉に詰まる。

 

「すまないね、沢田君。サクラは素直じゃなくてね。僕達は出来るだけ平和に彼らの呪いを解きたいと動いていてね。僕達が平和に進もうとすればするほど、失敗への恐怖感が増しているのだよ。僕達2人で責任をとれるならまだ気が楽なのだけど、サクラでは責任が取れないんだ。不安を隠すために君をからかったようだ」

 

 兄の服を握る。これ以上は言わないでほしい。兄はそれだけでわかったのか、黙った。今度は真面目にツナと向き合う。

 

「どうしても私はあの未来にたどり着くまでの過程が嫌なんだ。だから、ツナ……頼む。力を貸してくれ」

「うん、わかった」

 

 あっさり返事をしたツナについデコピンした。

 

「いたっ! って、なんでしたの!?」

「ちゃんと意味がわかってない気がしたから」

 

 引っ掻き回せば、その未来に辿り着けないかもしれない。そうなれば、ツナは呪われてしまうだろう。もちろんツナだけじゃない。晴のおしゃぶりを継承するのは兄だろうし、他の属性も私が知っている人物になる可能性が高い。

 

「大丈夫、わかっているよ」

「……ごめん」

 

 私の謝罪がそんなに珍しいのか。ツナの驚いた反応を見て、ジト目で睨んでしまった。……もっとも、心の隅では自身の日頃の行いが悪いだけと、ちゃんと気づいていたが。

 

 ……本当に、君が嫌な奴だったら良かったのに。

 

「え? なに?」

 

 声に出したつもりはなかったが、どうやら呟いていたらしい。ツナが聞き返してきた。だが、もう一度言うつもりはない。嫌な奴だったら、私は何かしようと思わなかったのだから。言ってもしょうがないことなのだ。だから、違う言葉をかけた。

 

「君と友達になれて良かった」

「……オレもだよ!」

 

 私の発言に驚いたようだが、すぐにツナは返事をかえしてくれた。ふふふと笑い声をあげる。なんだが、楽しい。

 

「水を差したくねぇんだけどよ。話を戻すぜ。オレ達はどうすればいいんだ?」

 

 ディーノの的確なツッコミで、浮かれている場合じゃなかったと気付く。私が心の中で反省しているとボコっという音が聞こえた。

 

「ってー! なにすんだよ、リボーン」

 

 よく聞く言葉だが、発したのはツナではなくディーノだった。何があったとツナに視線で訴えたが、ツナもよくわからかったらしい。

 

「弟分に嫉妬とは醜いぞ」

「はぁ?」

 

 ディーノはよくわからなかったようだが、このパターンだとリボーンは適当なことを言わない。つまりディーノはツナに嫉妬した。今までの流れだと私が関係している。

 

「……悪い。私の中では助けてくれるものだと思ってた。君にもちゃんと言わなきゃダメだよな。……ディーノ、力を貸してほしい」

「えっ、あ……ああ。もちろん、協力するぜ」

 

 迷惑をかけている自覚があるのに、図々しくなるとか最悪だ。兄のように甘えてしまった。背伸びでもして大人にならなければ、恋愛対象にすら入らないのに、何をしているんだか……。

 

「何度も言うが、頼ってくれていいんだからな?」

「ん。ありがとう」

「ぜってー、気にしてるだろ……」

 

 礼を言えば、ディーノは頭を抱えた。なぜだ。

 

「あいつのことは気にすんな。話を進めっぞ」

 

 いつの間にか、ディーノの肩からおりたリボーンが話を戻す。……私はツナと一緒に同情の視線を送ったのだった。




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