情報収集した結果、内藤ロンシャンは咬み殺されたらしい。
私もまさか次の日には咬み殺されるとは思わなかった。雲雀恭弥は仕事が早いな。困った時はまた彼の靴箱に投函しようか……。いや、これ以上は危険だ。何度もすると身を滅ぼしかねないし、私が出したとばれると面倒なことになる。それに、内藤ロンシャンが咬み殺されたのは日ごろの態度が悪かったのもあるだろう。
……1度しか使えない手をここで使ったのは早計だったのかも知れないな。まぁ気分がいいので良しとする。
そういえば、雲雀恭弥で思い出した。風紀委員からのプリント……正しくは誓約書だな。先生からHRの時に紙を渡されサインをするようにと言われた。内容を読めば風紀を乱さないとか、夏休みの過ごし方の注意だった。正直、サインをする意味があるのかわからない。サインをしなくても乱せばボコボコにするだろう。彼はそういう男だ。会ったことはないが、原作知識でわかる。だから会いたくない。
サインをし回収すれば、今日の授業は終わりだったが、女子は強制居残りになった。……早く帰りたい。終わっても委員会の仕事があるので帰れないが。
残ってる女子は賑やかだが私の周りは静かだ。私は友達がいないので、誰かが話しかけてくることは無いからな。早く終わらせるためには積極的に自分から行動するしかないのだ。面倒である。
「神崎さん、一緒にどう?」
でた!ヒロイン!と言いそうになった。誰も話しかけようとしない私に声をかける君は天使と思う。だが、私の天使じゃなく沢田綱吉の天使になってくれ。そう、遠まわしに関わるなということだ。
「……大丈夫だ」
ヒロインとは関わっても大丈夫だと思うが、関わればこれからの危険度が高くなるのは想像できる。せっかくの誘いだが、断ることを選んだ。ヒロインが落ち込んでるが、私は知らない。
「あんた、人付き合いが苦手かもしれないけそれはないわ! それに気付きなさいよ。京子の誘いを断ると困るのはあんたよ!」
今度は黒川花の登場だな……。ここまで来ると感心する。
彼女は原作に何度か登場してるのにも関わらずボンゴレ狩りの対象じゃなかった。それはなぜか?彼女がヒロイン助っ人キャラだからだ。今回も落ち込んだヒロインを助けるために登場したのだろう。私は友情というのは目に見えないから信じないんだ。……本当のところは友達がいないからわからないだけだが。
それより、彼女が言ったことが気になる。なぜ彼女達以外と組むのは難しいのだ。今回は明後日にある調理実習のグループ分けだ。3、4人で1つのグループを作ればいいだけなのだ。どこかのグループに入り、私は机の端でおにぎりを握れば問題がないはずだ。
「はぁ……山本があんたを気にしてるじゃない。今まで女子にわざわざ挨拶しに行くことはなかったし……。あんたはクラスの女子から嫉妬されてて簡単に組めないわよ」
私の顔を見てわからないと判断して、黒川花は呆れながら教えてくれたが、聞き捨てならない!どうしてそうなってるんだ!?情報収集したがそんな話題はなかったぞ!
「まっ、山本は1人でいるあんたをほっとけないだけと思ってるから安心しなさいよ」
……それならば納得できるかもしれない。客観的に見れば私はボッチでクラスの人気者の山本武が私を心配して話しかけていると理解する。私からすれば良い迷惑だが。
……話を戻そう。わかっていても気に食わないものは気に食わない。それが感情というものだ。黒川花の安心しろというのは感情に振り回されいると本人達もわかってるからだろう。あしらい方で私が山本武に興味がないのは明らかだから噂も流れないのも理解できる。
……なぜ私が興味ないことに山本武は気付かないんだ。天然というのは面倒だ。はっきりいうべきかもしれないな。夏休みが終わっても同じようなら考えよう。それより今は調理実習のことだ。
「……今回だけ頼む」
笹川京子は嬉しそうな顔をして、黒川花は素直じゃないと呆れていた。私は素直に言ったぞ。2度と同じグループになるつもりはないからな。
私の周りに『にぎにぎっ』という擬態語が出てるだろうなと思いながら、おにぎりを握っている。そう、今日はおにぎり実習の日なのだ。昨日は問題なく普通に過ごしたさ。強いて言えば、実習があると知った兄がおにぎりを食べたいとうるさかったぐらいだ。現在進行形で平和である。
現在進行形の理由は、さっきにも言ったが私の周りには『にぎにぎっ』という音しかない。つまりヒロイン達と同じグループだが会話は無い。
もちろんヒロインは優しい子で、笹川京子は何度か私に話しかけようとしてる。そして、それを阻止するのは黒川花だ。彼女は私とヒロインが関わるのはまずいと直感で気付いているのだろう。流石ヒロイン助っ人キャラだな。……実際は私が関わるなオーラを出してるからだが。
無言で握っていたからか、もう握り終わり自分の分は片付けてしまった。私は普段から料理をしないので少し形がいびつになったが、味は問題ないだろう。ちなみに具は梅ぼしだ。……別に背中に立派に梅ぼしがあると誰かに言ってほしかったわけではないぞ。好きな具だからだ。ネコに言われたいのは否定しないが。そういえばブリガンテスだな。マニアックすぎる情報まである気がする……。ここまで細かいと忘れてしまう気がするのに、一向に忘れる気配がない。異常である。
少し自身の状況が気持ち悪くなったが、今からのことを考えるべきだろう。このまま沢田綱吉に食べられるか、どこかに行き防ぐか……。念のためにパンを持ってきているから食べられても問題はない。沢田綱吉はおにぎりしか興味ないからな。しかし、味わうこともせず食べられるのは腹が立つ。
この時にリボーンは学校にいず、教室から見えるあの建物から狙撃をする。……よく届くなと感心してしまった。話を戻そう。今回は建物から見えない位置にいれば問題ないのでは?
そうと決まれば、話は早い。外で食べよう
私の予想通り、沢田綱吉に邪魔されずグランドでのんびり食べた。だが6個は多かった。余ってしまったので、教室に帰る前に職員室により担任の先生にあげた。誰も来ないからゼロと思っていたらしく喜ばれた。もちろん、クラスの男子(モブ)にあげると面倒なことになりそうだったという本音は言わなかったぞ。
黒川花がボンゴレ狩りの対象じゃないのが不思議。
ちなみに主人公の行動は私が先生におにぎりをあげるタイプだから
もちろん、打算的な考えでw