山田先生・・・・・・いや、真耶さんとのデートを終えた俺はというと、今・・・・・・
実家に帰っていた。
さすがに長く家を空けているのでそろそろ手入れをしないと不味いからだ。
寮で生活しているとは言え、帰る家は此方なのだから当然のことである。
俺は帰るとさっそく正宗と一緒に家の掃除を始めた。
正宗は文句を言いながらも手伝ってくれた。
本人は既に諦めているらしい。
IS学園に行く前に徹底的に掃除したのでそこまで散らかっておらず、家の中はほこりが積もっているだけで済んでいる。
なので家の掃除はそこまで大変ではなかった。
しかし庭はそうはならず、雑草だらけの荒れ放題に戻ってしまっていた。
なので家に帰って一番大変だったのは庭の整理だったりした。
その日のうちにすべての掃除を終えたのは言うまでも無い話だ。
そして翌日の早朝、日が昇り始める頃合いに起き始め俺は鍛錬を始める。
IS学園では隣の部屋の住人などを気にして鍛錬は抑えめにしていたので、実家では思いっきりやれる。
いつも通りの筋トレから始まり木刀を持っての素振り、技の型などの訓練を行っていく。
それを二時間ほど掛けてじっくりとやっていく。
それが終わると最後には居合いの練習になる。
巻き簀を用意し、それを木の棒に巻き付けたものを用意。それを庭に突き立て、その目標に向かって木刀を振るう。目標は真剣並の切り口だ。普通の居合いと違い、木刀を鞘に収めてから振るうのではなく、青眼に構えてから間合いを詰めて振るう。
どちらかと言えば雪崩の方に似ている。
「・・・・・・・ふぅ、・・・・・・ふぅ・・・・・・」
精神を集中していき、巻き簀を見据える。
そして風が吹き止むと同時に駆けだした。
「かあぁっ!!」
一瞬で間合いを詰めて木刀を巻き簀へと振るう。
当然叩くつもりなど無く、斬るつもりでだ。
巻き簀は破砕音と共に斜めに切り捨てられた。
俺は手応えから結果を見なくてもわかった。
「未熟だ」
切り口は真剣で切られたものに比べるとやはり汚い。
そもそも木刀で物を斬ろうというのだから無茶な話なのだが、それを出来る人物を俺は知っている。
師匠は普通に出来る上に、師範代は平然と兜割をやってのける。
そのお二人に教えを請うている人間である以上、この程度はちゃんと出来なければと思っている。
『そう悲観するようなものでもない。前に比べれば断然腕が上がっているぞ、御堂よ』
鍛錬の際には当然正宗に見てもらっている。
「だがそう言われてもこの汚い切り口ではな・・・・・・」
正宗は俺をフォローするが、さすがに反省為べきだ。
『しかし御堂がここまで鍛錬に集中するとは思わなんだ』
「どういうことだ、それは?」
『うむ、先日の逢い引きといい、もう骨抜きになっておるかと思うたぞ』
「またそれか・・・・・・たしかに真耶さんと一緒のときはそう見えるのかもしれんが、俺がお前の仕手だということを忘れてないか」
呆れつつも正宗に返す。
自分でも不思議なことだが、真耶さんと一緒でないときの俺は集中力が増していた。
だからと言って真耶さんと一緒だと集中力が無くなるというわけではないが。
何というか、こう大切なものが出来ると人間、より気力が充実してくる。
なので鍛錬にも熱が入るというものだ。
そして鍛錬を終えた後に朝食を準備し始める。
朝はしっかり食べるために量も多く作らなくてはならないために、少し時間が掛かってしまう。
朝食を食べ始めようとしたところで携帯にメールが来る。
俺はそれを見て頬が緩んでしまうのを感じる。
見なくても分かるそれは、見ればうれしさもっと頬が緩む。
メールの送り人は真耶さん。
メール内容は朝の挨拶である。
『おはよう、一夏君! 今日も元気よく頑張ろう。追伸 愛してます、大好き♡』
見るだけで胸が一杯にになってくる。
このメールが来る頃には既に起きているので少し勿体ないような気がしないまでもないが、来るだけでも嬉しいのだ。
俺はこのメールを見て今日一日も頑張ろうと思い、行動し始めた。
今日は久々に友人の家に行こうと考えながら・・・・・・