装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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酒宴

いきなりの真田さんの登場に驚く山田先生と俺。

真田さんは俺達に近づくと陽気な声で話しかけてきました。

 

「やぁ~織斑君~、元気そうで何よりだ」

「真田さんもご無事なようでなによりです」

 

どうも酔っているらしく、顔が上気していた。

 

「一夏君・・・この人は誰ですか?」

 

山田先生はいきなり現れた真田さんに警戒しているらしく、小声で俺に聞いてきた。

 

「えぇ~と・・・そうですね~」

 

どう言えば良いのか・・・俺はこの人の職業やら何やらを知っているわけではないし・・・

 

「そうですね・・・・・・俺に火傷を負わせた張本人とでもいいましょうか・・・」

「えぇっ!?」

 

驚いて俺の後ろに隠れる山田先生。まぁ、あんな火傷を負わせたなんて言われたら誰だって怯えるか・・・どうもまだ混乱が抜けきっていないらしい、言う言葉を間違えた。

 

「あっはっはっは~それは酷くないか、織斑君。君だって俺のことを黒焦げにしたじゃないか~。あんな経験は初めてだったからね~。もう痛いのなんの、何回死ぬかと思ったよ」

「それは此方も同じですよ。何度肉を炭化させられたことやら・・・」

 

お互い物騒なことを言いながら笑い合い、山田先生は展開に追いつけていけないらしく、わたわたしていた。

 

「こちらのお嬢さんは? もしかして彼女かい。 君もやるねぇ~、見た感じ同い年くらいかな」

「なぁっ!?」

 

真田さんの言葉に山田先生の顔が固まる。

山田先生は背が低いし童顔だから、先生と知らないとそう見えるのかも知れない。

 

「この人はIS学園の教員ですよ。俺が今日一日ボロボロだったので、それを心配なさって付き添いできてくれただけで、彼女・・・・・・というわけでは・・・・・・ありませんよ?」

 

さっきのこともあって山田先生の前では言いずらく、歯切れが悪くなってしまう。

 

「さっきの間は何かな~」

 

真田さんはそう言ってニヤニヤと笑っていた。

絶対何かしら楽しんでいる顔だ。

 

「ふ~ん、そうか~。それじゃ君の未来のお嫁さんに挨拶しなきゃなぁ」

「お、お嫁さんだなんて・・・・・・」

 

真田さんの諧謔に山田先生は顔を染めて嬉しそうにしていた。

 

「それでは改めまして~。真田 幸長です! 織斑君と同じ武者やってます、どうかよろしく~」

 

真田さんはそう言いながら山田先生に向かって手を差し出してきた。どうもこの人は握手が好きらしい。

 

「あ、その・・・山田 真耶です・・・」

 

山田先生は警戒を少し解いたらしく、握手に応じていた。

 

「それで一夏君、さっき言ってた火傷を負わせた張本人っていったい?」

「ああ、それは「俺が説明したほうがいいでしょ」はい、そうですね、お願いします」

 

応えようとしら真田さん説明すると言ってきた。

確かに政府の命で戦った俺よりそれを政府に頼んだ真田さんのほうがうまく説明できるかもしれない。

 

「今日はね~、政府にお願いして織斑君と試合をさせてもらったんだよ。いや、あれは試合って言うより、最早死合いだったね。お互いに全力で死力を尽くしてさ~、燃えた燃えた。言葉の通り、本当に燃えたけどね~お互い、ぷぷっ」

 

そんな寒いことを言われても困ります、真田さん。

 

「それじゃ一夏君の全身の大火傷って・・・」

「まぁ、俺がやったやつだね。でも俺だって似たくらい灼かれたんだからさ、言いっこなしでお願い。お互い大怪我は納得の内ってのが武者ってもんだよ」

「そ、そうなんですか?」

「武者同士の戦いなんてのは、無事ですむことがないからね~。良くても腕の一本って所かな。今日の戦いはかなり凄かったけど、だいたいそんなもん」

 

真田さんはあっけからんに山田先生に武者同士の戦いに関して説明すると、

 

「い~ち~か~く~ん~」

 

山田先生にジト目で睨まれてしまい、俺は目をそらした。

 

「そ、それで、なんで真田さんがここに?」

 

山田先生の視線から逃れるために、俺は真田さんにここにきた理由を聞くことにした。

どうも俺を探していたようだし、俺に用があるのだろう。

 

「あぁ、飯は食いに行けそうになさそうだからさぁ~、コレでも、と思ってね。いけるでしょ」

 

真田さんはそう言って手に持っていた一升瓶を掲げる。

 

「だ、駄目ですよ! 未成年にお酒なんて!」

「まぁまぁ、そう固いことはいわさんな先生! むしろ酔った方が景気が良くなるかもしんないよ・・・」

「い、いや、それは・・・その・・・」

 

真田さんが俺に聞こえないように山田先生に何かを言うと、山田先生は顔を赤くしながらしどろもどろしていた。

 

「そ~れ~に、せっかくの良い月なんだからさ、月を肴に飲む酒ってのもおつなもんだろ」

「月見酒には確かによさそうな月ですね。甘味はないのですか?」

「俺、あんまり甘いもんとか得意じゃ無いんだよ~。漢だったら酒のみってね」

 

俺はそう言いながら真田さんからグラスを受け取り酒を注いでもらう。

未成年が飲酒というのは良くないが、男の、まして武者同士ならば酒を飲み交わすのは至極当然のことだ。俺もよく師匠と酒を交わさせてもらっていた。

グラスが溢れるくらいまで注いでもらい、真田さんから一升瓶を受け取って、真田さんのグラスに溢れるくらいまで注ぐ。

 

「それでは」

「はい」

 

「「この血戦をした日に、乾杯!!」」

 

静かな月夜にグラスがぶつかり合う音が響いた。

 

「あ、そうそう。グラスは二つしかないから、織斑君は先生とそのコップを使い合ってね」

「ぶぅっっっっっっっ!?」

 

せっかく飲んでいた酒を真田さんのせいで吹き出してしまった。

真田さんはその様子を見てゲラゲラ笑い、山田先生は顔を真っ赤にしていた。

あぁ、どうやら今日も静かになりそうにないな・・・・・・

俺はそう思いながら残った酒を飲み干した。

 

 

 

「「「「「出遅れたぁああああああああああああぁあああああああ!?」」」」」

 

箒達五人は疲れて眠ってしまったあと、少ししてから起き、皆で一夏の様子を見に行ったらいなかった。部屋にいた千冬に聞いたら外に出たと言い、箒達は急いで外に探しに行った。

千冬から既に真耶が先に行ったことを聞かされ焦る箒達。

そして一夏を見つけたのだが・・・・・・

真耶は気持ちよさそうに木に体を預けて眠っていて、一夏は知らない男と楽しく酒を飲み交わしていた。

このあと五人はこの酒宴に強制参加させられ、次の日には大層酷い二日酔いになったとか。


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