もしかしたら・・・作者の手に負えなくなるかも・・・既に勝手に動いちゃってるし・・・
疲れが溜まっていたことと山田先生の膝枕が気持ちいいこともあって少し眠ってしまった。
それまでは俺が動けないことを良いことに、山田先生は慈愛に満ちた穏やかな笑顔で俺の頭を撫でたり髪を手ですいたりしていた。
さっきのこともあって俺は目が合わせられない。
眠気に襲われて眠ってしまい、はっ、と気がついてすぐ起きた。
起きて最初に目に入ったのは至近距離にある山田先生の瞳。
認識したとたんに心臓が跳ね上がる。
「ッ・・・・・・・・・・・・!?(なんでこんなに顔が近いんですかッ!?)」
混乱とまだ体が回復してないこともあって声が出せなかった。
山田先生は俺が起きたことが分かると、また笑顔を浮かべている。
「起こしちゃいましたか」
「・・・・・・いえ・・・先生のせい・・・ではないですよ・・・」
恥ずかしさから顔を逸らしたくなったが、ここでも俺の体は裏切ってくれた。
まだ回復していないため、首も満足に動かせなかったのだ。結果山田先生と顔を向き合わせたままである。
「何で・・・あんなに・・・顔が近かったのですか・・・」
「い、いえ・・・その~」
山田先生は顔を紅くしつつ言いずらそうにしていた。
「一夏君の寝顔が可愛いなぁ~、と思いまして・・・つい」
ボンッ、と音が自分から聞こえた気がする。自分の顔が熱くなって仕方ない。これは決して火傷のせいではないと思う。何故だかは知らないが、恥ずかしい。
俺は今赤面していることを嫌でも自覚させられた。
「あまり・・・面白いものでは・・・ないと思いますが・・・」
「そうでもないですよ。滅多に見ることなんてないですから」
山田先生は笑いながらそう言っていた。
俺の寝顔など見てなにが面白いのか、まったくわからないな・・・俺は。
「あ~、ごほんっ。もういいか、二人とも」
「お、織斑先生っ!?」
「・・・・・・(ち、千冬姉っ!?)
急に声をかけられて見てみれば、千冬姉がワザとらしく咳き込んで立っていた。
「山田先生・・・確かに織斑の看護を任せはしましたが、こんな甘ったる、げふんげふん、もうちょっと普通に看護していると思っていたのだがなぁ」
「い、いや~それは~」
山田先生はもの凄く気まずそうな顔になっていた。
「ふん、まぁ大目にみてやろう。織斑、甘い一時を邪魔して何だが、状態はどうだ?」
「大体は・・・何とか・・・」
「そうか・・・しばらくは大人しくしていろ。お前が政府の命で出てる間にあったことを簡潔に話す」
千冬姉は真面目な顔に切り替えて話始めた。
「ハワイ沖で試験稼働中の軍用ISが制御下を離れて暴走したんだ。対象の名は『銀の福音』、アメリカ・イスラエル共同開発の第三世代型ISだ。福音が移動する航路から一番近い我々が対処するよう学園上層部から指令が来た」
あの白銀のISか・・・確かに並外れた火力ではないと思ったが、軍用だったとはな。
完全状態の正宗なら大丈夫だったかもしれないが、今の状態では・・・
「箒の・・・ISは・・・何なんだ? あいつは・・・専用機など・・・なかったはず・・・」
「あれはな、お前が行ったあとに行われた試験稼働中に束の奴が持ってきたんだ。世界初の第四世代機らしい。換装無しにどんな状況にも対応できる万能機だそうだ。まったく・・・あいつはとことん人を混乱させる・・・」
第四世代機か・・・たしか空論上のものだったな。未だに世界は第三世代の試作品を作るのがやっとだというのに・・・あの人には本当に驚かされる。
「あいつが言うには機体の性能なら現況最強のISらしい。急務なこともあり、それを装着した篠ノ之に迎撃に向かわせたわけだが・・・あとは知っての通り、失敗した」
「・・・そうか・・・」
成程・・・なんで戦っていたのかやっとわかった。
俺がいない間にそんなことがあったのか・・・・・・
「それよりもお前は何をしていた。何故篠ノ之を救出出来たんだ」
「・・・それは・・・後日・・・話す・・・今はあまり・・・口が回らない・・・」
「そうか・・・」
別に話してはいけないとは言われてはいないが、今はまだうまく話せそうにないので遠慮してもらった。
「これで話は終わりだ、もうしばらく休んでいろ。山田先生、後を頼みます」
「は、はい」
「た・だ・し、あまりイチャつくなよ。甘ったるくて胸焼けを起こしそうだからな」
「ち、千冬さんっ!!」
そう言って千冬姉は山田先生をからかうと部屋を出て行った。
山田先生の顔が真っ赤になっていて、それが可愛らしかった。
それからしばらくして、横になっていたら何やら言い争う声が聞こえてきた。
あまり聞き取れないが、どうやら箒が責められているようだ。
箒が責められるようなことと言えば、先程の事しかない。
俺はそのことについて皆に話があった。
何故箒があのようなことをしたのか・・・千冬姉の話を聞いて納得がいった。
「山田先生・・・皆を呼んで・・・もらえませんか・・・」
「ええ、わかりました」
山田先生は俺の顔を見て真面目な話だとわかったらしく、快く応じてくれた。
先生は俺を膝から話すと下に枕を置いて、皆を呼ぶと部屋を出て行った。
少して、箒達五人が部屋に入ってくる。
皆俺の姿を見て顔を青くしていた。
「大丈夫なの、一夏!?」
「一夏! なんでっ!?」
「一夏さん、大丈夫ですの!?」
「一夏、無事ですか・・・」
「・・・すまない、一夏・・・」
皆俺を心配してくれている。申し訳無い気持ちで一杯になる。
「皆さん、お静かに」
山田先生が皆を静める。俺は皆が静かになるのを見計らって話す。
「あまり・・・箒を責めるな・・・」
「だって、箒のせいで一夏が大怪我したんでしょ!! 何で」
鈴が激情に身を任せてまくし立てる。
「別に・・・俺の・・・この全身の火傷は・・・箒とはまったく・・・関係ない。その前に・・・ちょっと試合した・・・結果こうなった・・・だけだ。箒を庇った・・・ときの傷なんて・・・たいした・・・怪我じゃない」
俺は鈴達にそう言うと今度は箒に話かける。
「箒・・・話は・・・聞かせてもらった。お前が・・・なんであんな事を・・・したのか・・・わかった。お前は・・・嬉しかった・・・のだろう。新しい・・・力を手に・・・入れて・・・試してみたく・・・なった。夢中になりすぎて・・・まわりが・・・見えなくなっていた・・・違うか?」
「それはっ!? そうかもしれないが・・・・・・」
「俺も・・・正宗を・・・使い始めた・・・ときは・・・そんな感じ・・・だったから・・・わかる。でもな・・・箒・・・これはラウラにも・・・言ったことだが・・・力の意味を・・・考えろ・・・信念を持って・・・いれば、力に取り憑かれる・・・ことなんてない。お前は・・・精神がまだ・・・未熟だ・・・もっと鍛えろ・・・精神を・・・」
俺は言い終えると山田先生に言う。
「先生・・・少し・・・疲れたので・・・休みます・・・」
言い終えると同時に俺はまた眠りに落ちた。
箒はそのあと一人で部屋を出て行き、他の四人は名残惜しそうに部屋を出て行った。
ど~しよう。
書いてる作者が一夏のいちゃつきっぷりをみて殺気だってしまっている。
ど~しよう(笑)