装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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パートナーを決めよう

俺が保健室についたときには二人とも治療を受けて横になっていた。

 

「二人とも大丈夫だったか」

「別に助けてくれなくて良かったのに・・・・・・」

「あのまま続けていれば勝っていましたわ」

 

悔しそうに拳を握りしめてるセシリアや、減らず口を言う鈴を見てこれなら大丈夫だと認識する。

 

「あれだけやられといてよく言う・・・まぁ、大怪我がなくて安心した。しかし」

「まぁまぁ、一夏。それくらいにしてあげなよ」

 

シャルルに言われ俺は小言やめる。

たしかにこんな状態で小言など言われたら堪ったものではないかもしれない。精神状態は怪我や病気の治りにも関わってくる。病は気からであり、けが人の怪我の治りを遅くして良いことなどない。

シャルルはそう言うと二人に近づいて小さい声で二人に囁くように話す。

 

「二人とも恥ずかしかったんだよね。好きな人に格好悪いところを見られてしまって」

「なっ!? 何言ってんのよ!」

「そういう邪推はやめてくださいな!!」

 

二人は顔を赤く染め急に慌て始めた。一体シャルルになにを言われたんやら・・・。

 

「二人とも歩けるか? 駄目そうなら肩を貸すけど」

 

俺がそう言うと二人は顔を見合わせるとお互いうなずき、

 

「「是非にっ!!」」

 

と大声で返してきた。これだけ大声が出せれば歩けそうなものだが?

そう思っていたら急に、

 

ドドドドドドドドドドッ…………!!

 

という地響きが聞こえてきて保健室が揺れてくる。しかも段々音が大きくなってきている。

そして音が一瞬止んだと思ったら保健室のドアが勢いよく開けられ、大量の女子が保健室に入ってきた。

入ってきた女子達は俺とシャルルを囲むと、

 

「「「「「私とペアを組んでくださいっ!!」」」」」

 

と全員一斉に言ってきた。

ペアとはどういうことだ? 何かペアを決めなければならないような行事でもあっただろうか・・・・・・少なくとも俺の記憶にはない。そのことをすぐに聞きたくはなるが、その前に皆に言わなくてはならないことがある。

 

「全員、静粛にっ!! けが人がいる中で騒ぐとは何事かぁああああああああああああああ!!」

 

俺の裂帛の気迫のこもった声に室内に入ってきた女子達は一瞬にして静かになった。

 

「いきなり声を荒立ててすまない。しかしみんなにはけが人がいる前で騒ぐような非常識な人間にはなってもらいたくはなくてな」

「いや、いいよ。私達が悪かったんだし」

「織斑君が言ってることは正しいし」

「ごめんなさい」

 

女子達はみな口々に此方に謝罪をしてくる。別にそこまで怒っているわけではないし、俺よりも二人にしてもらいたいところだが、二人ともなにがなんやらわからない顔をしているし、仕方ないか。反省しているようだし、このくらいで許してあげたほうがよさそうだ。

 

「いや、反省してくれるならいいんだ。それでペアってどういうことだ?」

「これ」

 

目の前にいる女子が此方にプリントを渡してきた。

 

「ええ~何々? 今月開催する学年別トーナメントでは、より実戦的に行うため、二人一組での参加を必須とする。なお、ペアが出来なかった者は抽選により選ばれた生徒同士で組むものとする。締め切りは・・・。このプリントっていつ頃配られたの?」

「ついさっきだよ。何か急にトーナメントに変更が加わったみたい」

 

つい今さっきに決まった? 随分急な話だな。何だかキナクサい匂いを感じるぞ、この話。しかし今からでは調べようもなさそうだ。

 

「そういうわけなんで、私と組んで、織斑君」

「デュノア君、一緒に戦おうよ」

 

それを皮切りに少し控えめながらに俺とシャルルにペアを組もう、女子達は殺到してくる。

俺は少し困りつつどうしようかと考え始めたところ、シャルルが助けを求めてこちらに視線を送っていることに気付いた。今シャルルと誰かが組んで正体がばれた場合、面倒なことになる。面倒事になる前に防いだ方が得策だ。

 

「悪い、俺はシャルルと組もうと思うから、諦めてくれないか」

「一夏(僕をパートナーに選んでくれるなんて・・・嬉しいなぁ)・・・・・・」

 

シャルルが嬉しそうにこちらを見ていた。どうやら俺が考えていることを理解してくれたようだ。(まったく分かっていない)

 

「ま、まぁそう言うことなら・・・」

「女子と組まれるよりは何倍もいいし・・・」

 

女子達はそう言って、各々部屋から出て行く。

やけにアッサリとわかってくれて有り難い。

保健室から女子達が全員出て行くとセシリアと鈴が此方に迫るように顔をずいっと近づけて大声で言う。

 

「一夏さん! クラスメイトの私が組んで差し上げても」

「ちょっと! それなら幼馴染みの私とみなさいよ」

 

「ダメですよ」

 

いきなりの第三者の声に俺を除く三人が声の元に急に振り向く。保健室のドアの前に山田先生が立っていた。

 

「「「山田先生!? いつのまに!」」」

「山田先生、お見舞いですか?」

「はい、そうですよ。コレ差し入れです」

 

山田先生はスポーツドリンクをセシリアと鈴に手渡す。

 

「それでお二人とも、トーナメントの参加は駄目ですよ。お二人のISはダメージレベルがCを超えています。当分は修理させないとあとあと重要な欠陥を生じさせますよ。そんなことになったらお二人とも困りますよね」

「「うぐっ・・・・・・」」

 

少し言いよどんだ後に二人とも結局参加を諦めた。

いくら代表候補生といってもISは私物ではなく国の物を借りているだけだ。壊してしまったりしたら大変なことになるのは二人とも分かっているのだろう。

 

 

 

山田先生はこのあと仕事があるからと言って保健室を出て行った。

俺はセシリアと鈴に肩を貸そうとしたところで放送で呼び出しをくらい、アリーナを損傷させた件についてかなりのお説教と反省文を書かされるはめにあった。

 

しかしこれも人助けゆえに・・・・・・後悔は無い!! 


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