あぁ、うん………本当にもう……自己嫌悪しか沸かない……。
何であんなに自分は暴走してしまったんだろうか……いくら何でも弾けすぎだ。
確かに溜まっていたことは否めない。武者と言えど男なのだから。
それまで鍛錬を重ね、それ故にそういった性欲をコントロールしてきた。
だからこそ、並大抵の事では暴走しない自信はあったし、そういった行為も結婚してからだと自分自身決め込んでいた。だというのに………。
悪いのは俺か? いや、どう考えても悪いのは俺だ。
でも、仕方ないじゃないか。
今日はいつも以上に真耶さんが魅力的過ぎて、しかも誘惑してくるのだから。
好きだという気持ちが溢れて止まらなくなる。
それでも最後の一線だけは越えなかったのは自分でも凄いと思う。
それでも………やっぱりやり過ぎだった。
あの後、真耶さんは意識が戻り次第俺を見つめてきた。
その上気して恍惚とした顔と潤んだ瞳にドキドキしてしまうのは仕方ないと思う。
「私ったら、何て恥ずかしい恰好を………で、でも、あんなに荒々しくて激しい旦那様は始めてでした……少し乱暴でしたけど、そこがまた良くて…凄く気持ち良かったですぅ………」
未だに夢見心地な感じに俺の醜態を思い出し、頬を赤く染める真耶さん。
その顔があまりにも艶っぽかったからか、また滅茶苦茶にしたいという欲求が生じ始める。それを今度こそ乗っ取られまいと、精神を鋼のようにして上から叩き潰す。
そして俺は改めて真耶さんにさっきの事を謝ることに。
いくら恋人でも、あんな強姦紛いなことをして許されるわけが無い。
「すみません、真耶さん。その……欲望が抑えられなくて……」
その謝罪に対し、真耶さんは笑顔で許してくれた。
「良いんですよ。寧ろ、旦那様があんなに荒々しく私を求めてくれて、私は凄く嬉しかったです。普段からあんなに頑張ってるんですから、たまにはハメを外してもバチは当たりません。寧ろ、もっとぶつけてくれた方が、私は嬉しくて……」
それ以上は言わないで下さい。
まだ効果が残ってる所為か、凄く意識してしまうんですから。
今だに真耶さんの豊満な肢体に目が行きそうになってしまう。本当にそんな自分が情けなくてしょうが無い。
だからこそ、自分の中で燻ってる残り火を鎮火するためにも俺は真耶さんの身体を優しく抱きしめた。
腕の中に広がる柔らかな感触に頬を緩める。
真耶さんは俺がそうすることが分かってたのか、俺に身体を預けてくれた。
その心遣い如何に二人が通じ合ってるのかを感じさせ、俺は嬉しい思いを抱きながら真耶さんの顔に顔を近づけていく。
「旦那様………んぅ……」
ささやかに、それでいてしっかりと俺に向けられた瑞々しく艶やかな唇。
その唇に俺はゆっくりと唇を合わせた。
「「んぅ……」」
そのまま軽く押し当てる程度にキスを続ける。
唇越しに感じるマシュマロのような感触を楽しみながら。
さっきまで暴走していたような、相手を求めに求めて全てをただひたすらに貪るようなものではない、優しいキス。
思えばあの時は本当に余裕が無かった。
舌を真耶さんの口の中に侵入させては蹂躙するかのように舐め回し、舌を無理矢理絡ませて唾液を送り込み、真耶さんの口の中を味わった。
それだけでも激しいのに、さらにもう壊れるんじゃないかってくらい、胸まで揉んでしまった。あの巨大過ぎる胸が形を歪めに歪めるほど揉みしだき、艶やかな吐息を出す真耶さんを感じて更に拍車が掛かるといった具合だった。
その事を思い出し、手に思い出された感触に顔が真っ赤になりつつも反省する。
それを少しでも伝えられるように、もっと大事にしたいという想いを込めてキスをする。
そしてゆっくりと唇を離した。
「ふぅ………俺は真耶さんのこと、もっと大切にしたいんです。だから、一時の欲望に任せて傷付けてしまうようなことはしたくない……」
「はい、分かってます。旦那様の気持ち、凄く伝わりましたから」
潤んだ瞳で俺を見つめながら返事を返す真耶さん。
自分の想いが伝わってることが嬉しくて、俺は笑顔を真耶さんに返すと真耶さんも微笑んでくれた。
そのまま抱きしめ合う俺達。さっきのような力を込めたものではない、優しい抱擁。
俺の腕の中で真耶さんは嬉しそうに笑うが、その瞳には少しばかりイタズラをする子供のお茶目な光が宿っていた。
「でも、たまにはあんな風に求めて下さいね。時には強引に力強く求めて貰いたいのも女の子ですから」
懐で頬を赤く染めながら甘えるように真耶さんは笑う。
その可愛らしさに俺はもっとドキドキして、抱きしめる腕に少しばかり力が籠もる。
そしてしばらく互いの体温を感じながら幸せに浸り、そして離れた。
そこからは再びメイドを主人に戻ることに。
「では、またメイドとして御奉仕しますね、ご主人様♡」
可愛らしい笑みにグッとしつつ、俺は取りあえず残ったカレーを食べることに。
冷めてしまったけど、それでもとても美味しかった。
まぁ、またムラムラしてきたが、それは今度こそ精神力で叩き潰した。
それからも真耶さんの御奉仕は続いた。
部屋の掃除や洗濯、夕飯の支度など、色々とやっていく真耶さん。
それらを行う真耶さんは実に甲斐甲斐しく、見ていて心が和む。
だが、同時に実にドキドキとさせられてばかりだった。
掃除の時はもう少し自分の恰好を気にして欲しい。
体勢によっては胸の深い谷間が強調されたり、あの黒いアダルトチックな下着に包まれたお尻が見え隠れしたりして目が行ってしまう。
それもわざとなのか、俺がドキドキしてる時に限って俺に微笑む。その所為で更にドキドキしてしまった。
洗濯は恥ずかしいけど任せることにした。ま、まぁ……将来一緒になるんだから、俺の下着も洗って貰うことになるんだし……所謂予行練習というか、そんな感じなので。
なのだが、どういうわけか洗濯物を持って洗濯機に入れに行った後、中々戻らない。
少し心配してばれないように気を付けながら様子を見に行ったら、洗濯機の前でしゃがみ込んでいた。
それだけなら心配しなかったのだが………。
「……すんすん……はぁ……旦那様の匂いが強いです……あん、手が……止まらないよぉ……」
これ以上見てはいけないと思い、俺はその場から赤面しつつ去った。
その際、真耶さんの左手は俺の下着を掴んでいた。
そして夕飯の支度はお昼と変わらず、上機嫌に台所で調理をしていた。
その鼻歌交じりの嬉しそうな笑みに、見ていた俺は将来のことに思いを馳せるのであった。
奥さんが旦那のために一生懸命料理を作ってくれる。これほど幸せなことは無い。
そして夕飯は誰からの弄り無しのちゃんとした物が出来上がり、それを真耶さんが食べさせてくれた。
「ご主人様が美味しいって言ってくれて、幸せそうに食べてくれることが、何よりも嬉しいです。だから……この後も、ご褒美が欲しい……です…」
その時の顔があまりにも可愛かったものだから、俺は食事のメニューに入っていただし巻き卵を口移しで食べさせてあげた。
もう俺達にとって、だし巻き玉子はいつもある定番にして、お互いに一緒に食べさせ合う(口移しなど)大切な料理だ。
食べさせた後、真耶さんはとろけるけるような顔をしてもっと欲しいとねだってきた。
本当に………可愛すぎる人だ。
夕飯の後も御奉仕をしようとする真耶さんだが、流石に一緒にシャワーを浴びるのは止めさせた。
今日はただでさえ暴走仕掛けたのだから、これ以上煽られたら本当にどうにかなってしまいそうだ。
「むぅ~、ご主人様もいけず~。私、もっとお背中とか流したいのに……出来れば前もですけど……」
だから駄目なんです。
可愛らしく膨れていても、これだけは駄目なんですよ。許して下さい。
その代わりに、抱きしめてキスをいっぱいしてあげたら許してくれた。
そして現在…………。
「では、最後に添い寝しますね、ご主人様」
俺の隣で真耶さんが横になっていた。というか、抱きついていた。
最後は眠るだけということになり添い寝をすると言い出したのだが、それ自体は休みの日にいつも一緒にしていることだったりする。
なのに、何故こうもドキドキが止まらないのか? それは、恰好の所為だ。
メイド服のままでは流石に皺が付いてしまうということなので、着替えに行った真耶さんなのだが、戻って来た真耶さんの姿に俺は度肝を抜かれた。
何せ……いつものワイシャツ姿ではなかったから。
真っ黒いセクシーランジェリーを着ていた。
漆黒のレースをふんだんにあしらった、実にアダルトなブラジャー。それと同じように、如何にもエロスを感じさせるショーツにガーターベルト、そしてニーソックス。
たぶんだが、メイド服の下に来ていた下着だろう。
その姿にドギマギしている内に真耶さんは俺に駆け寄り、そのまま押し倒すように俺に抱きついてベットに飛び込んだ。
どうやら真耶さんも恥ずかしかったらしい。だが、それでも最後の御奉仕として、メイドらしくしたかったのだと。
そのまま俺にギュッと抱きつきながら、耳元で優しく妖しく囁く。
「これで最後の御奉仕になります。明日からは、旦那様の愛する妻に戻ります。だから……これからもよろしくお願いしますね……私だけのご主人様」
その答えの代わりに俺も真耶さんを抱きしめて耳元で囁いた。
「はい、よろしくお願いします。メイドな真耶さんも可愛かったですよ。メイドなのも奥さんなのも、どっちも俺の一番大好きな真耶さんです……俺だけのメイドさん」
そのまま二人で抱きしめ合い、眠りに就くことに。
色々なことがあったけど、今日一日真耶さんの御蔭でとても癒された。
これからも疲れる時があろうとも、真耶さんとなら一緒にきっと頑張れる。
本当に心から救われた、そんな一日で俺は幸せで一杯だった。
ただ、こんなセクシーな恰好の真耶さんが側にいて、俺が眠れる訳が無く、胸を思いっきり押しつけられたり、内ももを擦りつけられたりする度にドキドキしたのは言うまでもない。
内緒だが、男が反応したことも。
そしてそれを無意識に真耶さんが反応して腰を押しつけてきたのは、本当に勘弁して欲しかった。
本当………俺のメイドさんは小悪魔だ。
次回、一応このシリーズの最終回……というかネタ切れですね。