装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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最近スランプなので、ここは初心に戻りつつ書いて見ました。
何が初心かわからないですけど……。


疲れた心に御奉仕を その1

 (ヤバイッ!?)

 

そう思わずにはいられない。

何故なら…………。

 

「つ……疲れた……………………」

 

そう、疲労のあまり俺は自室で項垂れていた。

何でこのようになっているのかと言えば、遡ること二週間前。

家族総出の海水浴で精一杯楽しんだ後、俺はこの夏休みを緩やかに真耶さんと仲睦まじく過ごそうと思っていた。

学生にとって夏休みとは特別な休み。

恋に遊びに全力で取り組める特別な時期なのだ。

中には過剰に行き過ぎて責任も取れるわけでもないのに一線を越えてしまう若者もいるらしいが、俺はそのようなことはしたくない。

す、するのなら………ちゃんと全てを受け止められるようになってから……かな。

ま、まぁ、そんなわけで周りがどう言おうと、俺達は俺達なりにこの幸せを満喫しようと思っていた…………だというのに。

海水浴の後、幸せな俺を嘲笑うかのように多大な問題事が降りかかってきた。

日本政府から新たなる真打劔冑と仕手の発見報告が上がり、それが更に悪事を働いているという情報も。

それの討伐に駆り出され、それに三日かかり仕手を何とか死なせずに確保。劔冑も厳重に封印を施して政府へと移送。

俺は重傷こそ負わなかったが、それなりに怪我を負って疲労を溜めた。

実力差があったために激戦にはならなかったが、相手の陰義が厄介だったことから苦戦を強いられたなぁ……。

それが終われば今度は獅子吼様から救援を求められた。

何でも、夏に入っていつも以上に活発化した茶々丸さんが仕事をサボりまくり、それが獅子吼様の方に流れ込んでいるのだとか。

流石の獅子吼様もこれには参り、俺にも救援を求めたということらしい。

その求めに応じて言ってみれば、そこに居たのは人を止めた修羅がいた。

壮絶な殺気を放ち、血走った目で書類の山を文字通り『切り崩す』獅子吼様の姿がそこにはあった。

触れれば斬り殺さんとばかりに苛立っていた獅子吼様はそれでも俺にいつもと変わらない挨拶をすると共に書類へとかかった。

前の御蔭で少しは慣れてきていたが、それでも部屋が埋まりそうな書類の量には白目を剥きかけたものだ。

部屋の前で四人も部下の人が待機しているのは、我慢しきれずに激怒した獅子吼様が茶々丸さんを斬りにいかないようにするために自らを押さえるためらしい。

聞いた最初はそんなことはないだろうと冗談かと思ったが、書類の山に向かい合って六時間も経ち、まったく減らない書類の山を見て俺も獅子吼様と同じような心境になった。確かにこれはそうでもしなければ耐えられそうにないくらい苛立たしい。

そのような荒みに荒みきった精神状態で何とか書類を片し終えたのは、部屋で缶詰になって四日後の事だった。

その間は本当に最悪だったと言えよう。常に殺気が満ちた室内は常人なら一瞬で発狂するくらい酷く、少しでも気分転換をしようと獅子吼様からビルの地下室にある鍛錬場で組み手をすれば本気で殺されかける始末。

もう、本当に疲れた………。

これで一週間が過ぎたというのに、まだ問題は尽きなかった。

その後は師匠から連絡が入り、例の如く四人の暴走をどうにかしてくれと頼まれた。

正直師匠がちゃんと決めれば問題にならないと叫びたかったが、人の恋路を応援こそすれど、口を出して良いとは思わないので言わない。

だが、茶々丸さんには如何に迷惑をかけられたのかを言い、獅子吼様が血走った目で怒っていることを伝えたら笑われた。

後で痛い目にあってもらいたいものだ。

四人が暴れた後を片し、その後説教。さらに師範代と村正さんに家事の指南を行うなど、疲れた身体に鞭を打ちつつも頑張っていった。

これに三日。

そして最後に童心様と共に邦氏様の恋愛相談を受けることに。

最初に言ったが、夏は若者にとって恋を燃え上がらせる季節。当然意中の相手がいる邦氏様はこのチャンスを活かしたい。

なのでそのアドバイスをするべく、護氏様から要請を受けたのだ。絵文字付きのギャップ差がありすぎるメールで。

そして行ってみれば顔を真っ赤にして否定する邦氏様と、ノリノリで卑猥な事を言う童心様という混沌が広がっていた。

それを注意しつつ邦氏様の話を聞いてアドバイスをすると、邦氏様は助かったと喜んで下さった。だが、童心様には本当に困ったものである。

ま、まぁ………凄く将来のためになるような話を聞いたけど……。

それに二日。

残り二日を真田さん達と飲みに行ったり、総理と天皇陛下に娘の事で相談されたりなど。

もう………疲れ切った二週間だった。

俺の様子を見る度に心配そうに声をかけてくれる真耶さん。

その優しさに心から救われつつも、心配をかけるわけにはいかないと俺は笑顔で返してきたが………。

 

もう限界だ。

 

これ以上問題事がやってこないことを祈りつつ、終わらせた案件を思い返しては疲れて俺はテーブルに付き伏せていた。

今日はもう休みたい。

せっかくの夏休みを二週間も無駄にしてしまったような気がする。確かに手助けしたことで助かった人が数多くいる。それは確かに誇らしいが、それでも……。

 

俺は真耶さんと過ごしたかったんだ。

 

きっと寂しい思いをさせてしまったかもしれない。

だから抱きしめて、キスして耳元で大好きだって囁きたい。

それで更に滅茶苦茶にキスしてふやかせて腰が立たなくなるまで一杯イチャついて………いかんな。どうにも疲れのあまり暴走しがちになっている。

だけど………俺だって寂しかったんだ! 

大好きな人と一緒に居られないことがどれだけしんどいのか、それは人を好きになった人にしかわからないだろう。

会いに行きたい。でも、疲れ切っていて動く気が起きない。

そんなジレンマに悶えていると、いきなり扉がノックされた。

気だるさに動きたくないが、来客が来て応対しないなんて礼儀知らずな真似を出来るわけがない。

俺は重い身体を引き摺るようにしながら扉の前に向かう。

 

「はい、どちら様でしょうか」

 

扉越しに声をかけるが返事がこない。

もしかして悪戯でもされたのではないかと思いつつも、もう一回声をかけとようとした所で返事が返ってきた。

 

「あ、あの……旦那様、少しいいですか?」

「真耶さん!?」

 

会いたいと思っていた最愛の人の声が聞けて心が弾んでしまう俺。

最近忙しいことから中々会えなかったので、その嬉しさは凄まじい。

俺は胸に満ちる歓喜を顕わにして扉を開ける。

そして真耶さんの姿を見て、衝撃のあまりに固まった。

何故なら………。

 

「ど、どうですか、旦那様………似合ってますか?」

 

俺の目の前にいた真耶さんは、『メイド姿』だったから。

 

黒を基調としたメイド服で、清楚な感じを感じさせつつも短いスカートとそこから覗く真っ白な足、ガーターベルトが艶っぽさを醸し出す。

そして大きな胸がその大きさを主張して布を押し上げている姿は、まさにエロチックで真正面から見ている俺は顔が真っ赤になって熱くなっていくのを感じてしまう。

恥ずかしがり顔を真っ赤にして、それでも何かを期待している潤んだ瞳が俺を捕らえて離さない。

俺はそのまま少し見惚れてしまい、真耶さんが不安がってきたことに気付いて慌てて感想を返す。

 

「そ、その……あまりにも可愛かったものですから、見惚れてしまって………とてもお似合いです、真耶さん」

「あ、ありがとうございます!」

 

俺に褒められて華が咲いたかのような笑みを俺に向けてくれる真耶さん。

笑う姿がまた可愛らしくて、俺も頬が緩んでしまう。

こうして話すのが久しぶりに感じるが、やっぱり真耶さんは凄いなぁ。

あんなに荒んで疲れ切っていた心があっという間に癒されていく。

俺が笑顔でいることが嬉しかったのか、珍しく真耶さんの方から俺を抱きしめてきた。

胸元に柔らかい身体の感触が伝わり、真耶さんの甘い香りが鼻腔をくすぐる。

その二つが俺の心臓を更にドキドキとさせた。

 

「真耶さん、どうしたんですか」

 

いきなり抱きしめられたことに驚きつつも嬉しくて、優しくそう問いかける。

その際、疲れの所為で自分の男が少し反応してしまったが、無粋な真似は絶対にしない。

俺に問いかけられた真耶さんは少し涙で目を潤ませつつも、心配そうに答えてくれた。

 

「だって、旦那様とここ最近ずっと一緒に居られなかったら、寂しくて……だからこうしていられることが嬉しいんです」

「………すみません、一緒に居られなくて……」

「仕方ないですよ。旦那様はお忙しいですから。でも、もうお仕事はないですよね?」

「ええ、もうないですよ。もし来たとしても、断ります。俺だってもう、我慢出来なかったんですから」

 

俺も真耶さんの身体に手を回して抱きしめ返すと、そのまま瑞々しい唇を奪った。

真耶さんは目を見開くもそのまま受け入れてくれて、お互いの唇の感触と甘さを堪能し合う。

そしてゆっくりと唇を離すと、上気して真っ赤になりつつも幸せそうに微笑む真耶さん。

その顔を見て俺も胸が幸せになっていく。

 

「旦那様も同じ気持ちで……嬉しいです」

「すみません、寂しい思いをさせてしまって」

「いいんです。だからその分、この後一緒にいてくれるんですよね」

「ええ!」

 

そして俺は真耶さんの身体を抱いたまま部屋へと招き入れた。

 

 

 

「ところで、何でメイド服なんですか?」

 

似合い過ぎて可愛すぎるから聞くのを忘れてしまいそうになっていたが、やはり気になったので聞くことにした。

すると真耶さんは急に顔を真っ赤にして恥ずかしそうにもじもじし始めた。

その様子がまたいじらしくて抱きしめたくなってしまう。

 

「そ、その……旦那様、凄くお疲れのようでしたから、少しでも疲れをとって貰いたくて……だから……」

 

そこで一端言葉を切ると、俺を上目使いで見つめてきた。

その可愛らしい姿に俺は見入ってしまう。

真耶さんは俺の顔を見て意を決したらしく、恥ずかしがりながらも俺に笑いかけた。

 

「きょ、今日一日、私が旦那様のメイドになって、御奉仕しようと思ったんです! だから……よろしくお願いしますね、『ご主人様』♡」

 

その笑みと姿、そしてご主人様と聞いて俺は自分の荒んだ心の所為で顕わになっていく理性が千切れ始めていく音を聞いた気がした。

故に………あまりの可愛らしさに我慢出来ず、真耶さんをベットの押し倒して気が済むまでキスの雨を降らせてしまい、落ち着いた頃には真耶さんはとろけきっていた。

 

 

 


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