何書いているのか分からなくなってきそうです……。
後、祝1200!!
まさかここまで伸びるとは思いませんでした。
これからも温かい目で見ていただけると嬉しいです。
さて、どういうわけか始まった優勝賞品付きのビーチバレー。
俺と師匠、師範代の三人はコートネットの柱の前に立って審判を務めることになった。
そして選手である真耶さん達はペアに分かれて両端へと移動し、試合に向けて準備運動を始めていた。
「うんしょ、うんしょ…」
「んっ……くっ……」
各自から準備運動の声が上がる。
それは良い。運動をする前に身体を解すことは大切だ。
だが、正直その光景を俺は直視出来そうにない。
真耶さんが千冬姉と背中合わせになってお互いの背筋を伸ばし合っているのだが、その度に真耶さんの大きな胸が真上に押し出される。
大きなサイズなのに形が崩れたり流れること無く立派に聳え立つ二つの山。
そして少し苦しそうに顔を赤らめ、ぎゅっと目を閉じている真耶さんは少し艶やかで可愛らしい……のだが、やっぱりちょっとエッチな感じがする。
恋人として嬉しいやら見てはいけないような気がするやら。
気恥ずかしいが、目が行きそうになるのを堪えるのが大変だ。
何、助平ではないのかだって?
そう言わないでくれ。誰だって愛おしい人のそういう姿は見たくなってしまうものなんだ。
逆に言えば、いくら胸が大きい村正さんや大鳥さんを見ても全然ドキドキしないのだから。俺がドキドキするのは真耶さんだけだ。
そんなことを思いながら目でちらちら見てしまうのは仕方のないことなんだ。どうか許して欲しい。
準備運動を終えた皆は早速試合をすべく、ペアでさっそくコートへと立った。
まず第一試合、真耶さん・千冬姉ペア対茶々丸さん・大鳥さんペア。
燦々と輝かしい日差しが砂浜を照らす中、両ペアがコートで構える。
「まず最初からこのコンビかよ。けっ、でかいもんぶら下げてれば偉いってわけじゃねぇぞ、コラー!」
「まったく、この貧乳娘は……。すみません、こんな貧相なお子様が僻んでしまって。よろしくお願いしますわ」
茶々丸さんが威嚇するように真耶さん達に牙を剝き、大鳥さんはそんな茶々丸さんに呆れながら挨拶をする。
それに対し、真耶さんと千冬姉は心良く挨拶を返した。
あんなにきつく睨まれているのに、それでもちゃんと挨拶する真耶さんの心の広さには感心する。本当に良く出来た人だ。俺には勿体ないよ、本当に。
「では……始め!」
師範代のかけ声と共にボールが投げられ、それを最初に打ち上げたのは茶々丸さんだ。
「うりゃあ、あての力を見せつけてやる! お兄さん、見ててくれよ!」
そのまま打ち上げたトスは大鳥さんの方へと飛んで行き、大鳥さんはそれをチャンスとばかりに跳び上がってスパイクを相手コートへと叩き込む。
「見ていて下さい、景明様。わたくしの活躍を!」
「む、やらせん! 真耶っ!」
「はい!」
スパイクが飛んでくる方向に目を向けながら千冬姉は真耶さんに指示を出すと、それに応じて真耶さんがスパイクを迎え撃つ。
「今度はこちらから行くぞ!」
そして今度は上がったボールを千冬姉が相手コートへと打ち返し、それを大鳥さんがブロック。
ふわりと飛んだボールに向かって茶々丸さんが飛びついた。
「りゃあっ! 必殺、タイガースパイクっ!!」
訳の分からない技名を叫びながら茶々丸さんが空中で身体を反らし、そしてその反動を利用して力の限りボールに手を叩き付けた。
打ち出されたボールは凄まじい勢いで真耶さん達のコートに飛んでいく。
「これでも一応は『最強』だ。この程度、造作もない!」
今にも突き刺さらんとするボールを千冬姉は少し前のめりにスライディングしながら片手で弾く。
真上に飛んだボールを追って皆の視線が集まっていくと、それに向かって真耶さんが跳び上がった。
「私だって旦那様に良いところを見せたいんですから!」
そして俺が嬉しくなることを言いながら今度が茶々丸さん達のコートへと突き刺さらんばかりのスパイクを叩きこんだ。
「なっ!」
「ちぃ、やりますわね」
雷の如く高速で飛んで来たボールに対し、茶々丸さん達は反応しきれず防げなかった。
砂浜に突き刺さったボールを見てはしゃぐ真耶さん。
「旦那様ぁ~! 見ててくれましたか~!」
嬉しそうに笑い俺に手を振ってくる真耶さんはとても可愛くて、俺の頬は緩んでしまう。
声をかけるかわりに手を振ってあげると、真耶さんは目を輝かせて喜んでくれた。
「けっ、このリア充がぁ! 見せつけてるんじゃねぇ!」
「流石に少々、腹が立ちますわね。わたくし達はまったく景明様に相手にしていただいていないというのに」
二人は俺と真耶さんのやり取りを見て暗い闘志の炎を燃やし始める。
やる気なのはいいが、些か理由がなぁ……。
「向こうもやる気のようだし、此方もやるぞ、真耶!」
「はい、義姉さん!」
闘志を燃やす二人に真耶さんと千冬姉も更に気合いを入れて試合に臨む意気込みを見せる。
そして再びサーブから始まり、苛烈な試合が繰り広げられていく。
その光景はとても凄く、周りの人の視線を集めるのには充分であった。
周りから凄いという声や、彼女達が美人や可愛いという声が上がる。
それだけ皆が美女だということが良く分かるが、来た初めと違い声をかけてくる愚か者は一人もいなかった。
確かに真耶さん達の白熱した試合が凄いというのもあるが、それ以上に皆から聞こえてくるのは畏怖の声である。
「何だ、あの人……」
「海なのに真っ黒い長袖で汗一つ掻いていないなんて……」
「あそこだけ真っ暗な気がする……怖い……」
そう、試合を監督し公平にする審判役の師匠を見て皆怖がっているのだ。
その御蔭で変な虫は寄ってこない。皆遠目に試合を見ているだけに留まっている。
そんな忌諱の目を向けられている師匠だが、周りの視線など一切気にせずに試合を真剣な目で見ていた。
例えどんな経緯であろうとも、真面目に職務を熟す師匠。
そういう所は本当に尊敬する。
「凄い試合ですね、師匠」
「あぁ、そうだな。凄い光景だ」
俺の声に応じ、師匠も頷く。
きっとこの試合の凄さに師匠も驚いているのだろう。顔には出していないが。
そう思っていたのだが……違った。
「見ろ、一夏よ。あの胸の揺れる様を。まさに揺れ放題、男の桃源郷のような光景だ」
「え……?」
その答えに間の抜けた声を出してしまった俺は慌てて師匠の顔を見る。
そこにあったのは再び出てきた見事なまでの悪鬼の笑み。
その視線の先を改めて見れば、ボールをトスで上に上げる大鳥さんの姿があった。
「いきますわ!」
大きな胸が両腕に挟まれて谷間を主張し、それがボールを受け止めた衝撃でぷるんと揺れる。
飛んでいったボールは見事にコートの端に向かって跳んで行き、千冬姉が地面に落とさせんとヘッドスライディングのようにボールに向かって飛び込んだ。
跳躍の反動を受けて胸が揺れた。
「行ったぞ、真耶!」
「はい、決めます!」
ふよふよと飛んでいくボールを相手コートに叩き付けようと真耶さんが飛び上がり、思いっきりスパイクを撃ち込む。
その反動に寄り、この四人の中で一番大きな胸がぶるんと揺れまくった。
「やらせるかよ!」
飛んで来たスパイクを迎撃せんと腕を構えて取りに行く茶々丸さん。
ボールを見事に弾き返すが、胸は1ミリも動かない。
「何であてだけそんな表現なんだ! おかしくねぇ! 何この差別! それにあてはそこまでちっちゃくねぇし!」
何やらどこかに向かって抗議の声を上げているが、それが誰に向かってなのかは分からない。
そんな光景を見て、正確には真耶さんの輝く姿と揺れに揺れる爆乳を見て赤面してしまう俺。
師匠は悪鬼の笑みのまま更に話す。
「大きな胸が皆弾けんばかりに揺れるのは、まさに男の夢よ。それがこんな間近に見られるというのだから、眼福だ……良い……実に良い!」
師匠の一番尊敬したくない部分が大いに出ていた。
もう、この人は隠すということをしないなぁ。
その笑みのせいで周りの人達は皆怖がってこの場から去って行く。
有り難いやら止めて貰いたいやら。
するとそれまで蟹で遊んでいた師範代がそんな師匠を見て不機嫌そうな顔になった。
「景明、そんな脂肪の塊より己を見ろ!」
家族に自分を見て貰いたいという普通の感情なのだが、それが人が違うだけでこうも違うのかと見せつけられる。
師範代は師匠の頭に手を添えると、自分の方に顔を向けさせた。
それ自体はよく真耶さんがやるのと同じこと。そういうときの真耶さんは甘えてきて可愛い。だが、それとは違って師範代が師匠にしたら、師匠の首から明らかに変な音が聞こえてきた。
「痛いぞ、光。それに首が曲がらない。一体何をしたのだ?」
「ふん。景明は己だけ見ていればよいのだ! それ以外は必要などない!」
無表情ながらに批難する師匠に師範代はへそを曲げてそう答えていた。
可愛らしい……ではすみそうになさそうだ。
この後、試合の間ずっと師匠の首は曲がったまんまだった。
試合に関しては俺が真面目に審判をすることで続行し、結果、真耶さん達の勝利だ。
コートを去る際に茶々丸さんがぶつぶつと洩らしていた。
「くっそ……目の前でどいつもこいつもぶるんぶるんと揺らしやがって……巨乳なんて全員敵だ……気になって集中出来ないじゃないか……クソ、あんな脂肪の塊……べ、別に羨ましいわけじゃねぇんだからなぁ………」
後半が涙声に変わっていたけど、気にしないであげよう。
今は……。
「旦那様ぁ~~~~~! 頑張りました~~~~~!!」
頑張って勝利した最愛の恋人を褒めてあげよう。