もう殆ど二人のイチャつきしかないですね~。
すみません、リアルで嫌なことがあったのでおざなりですね。申し訳無いです。
初めて来たカラオケで、まさか恋人のこんな可愛い姿を見られるなんて思わなかった。
「ど、どうですか、旦那様? 似合ってますか? こんな派手な服、初めて着たので……」
恥ずかしさで顔を赤くしつつ、少し不安気に俺を見つめてそう聞く真耶さん。
その不安に揺れる瞳に身体をぎゅっと縮こませる姿は何やら嗜虐心を刺激されて仕方ない。寧ろ慈しみたくなる。どこかの本にあったもので『お持ち帰り~』したいくらいだ。
それぐらい、魅力的で可愛くてしょうがなかった。
その姿を見続けていたくなるが、きっと笑えばもっと素敵になるだろう。
だから、俺は思ったことをそのままに答えた。
「とても良く似合っていて見惚れちゃいました。部屋が薄暗いのに、真耶さんが来た途端に眩しく感じて、まるで本物のアイドルが現れたみたいでした。寧ろアイドルなんかよりももっと可愛いです」
「そ、そうですか~、よかったです! それにこんなに褒めてもらえて嬉しいですよ!」
ぱぁっと顔を輝かせる真耶さんはまるで太陽のように眩しい。
バカップルと言われてもいいくらい、本当に可愛くて、今すぐにアイドルデビューさせればすぐにトップアイドルになれるかもしれない。
まぁ、それで男の寄ってくるというのは我慢ならないけど。
真耶さんは、俺の、一生のアイドルなんだ! 他の奴等と共有する気などない!
以上、俺の心の叫びである。絶対に口には………しないと思う。真耶さん相手には全力で言うだろうけど。
「それでは歌いましょうか、旦那様!」
「そ、そうですね」
弾ける笑顔にそう答えるが、同時に自分が音痴であることを思い出し内心へこむ。
だが、ここまで楽しそうにしている真耶さんを前に無粋な事など言えるわけがない。
取りあえずウーロン茶を飲んで気を落ち着けよう。
真耶さんは何を歌おうかと機械を弄り始める……俺にしなだれかかりながら。
「旦那様はどんな歌が好きですか?」
「お、俺ですか!? そ、そうですね………」
いきなり話を振られても、俺は困る。
正直、それどころではないから。
いつもと違う薄暗い妖しい雰囲気を発する部屋で、こんな可愛らしく輝く衣装を着た真耶さんにくっつかれているのだ。
ドキドキするだろう、誰だって!
あまりの可愛らしさにぎゅ~っと抱きしめたくなるのを我慢するのがしんどい。
だから正直、話を振られても上手く答えられない。
その上俺の身体に乗り出すようにして俺にも見て貰おうと機械を俺の前に持ってきているものだから、強調された胸がむにむにと押し当てられてしまっている。
それが余計に男を刺激し、余裕を奪う。
慣れていないことだらけで、余裕などほぼない状態だ。
「お、俺は、その……」
何とか喉から声をひねり出す。
先程ウーロン茶を飲んだばかりだと言うのに喉が渇く。
「旦那様?」
真耶さんがそんな俺を見て首を傾げる。
うわぁっ! いつも可愛いけど、衣装の御蔭でさらに可愛い!
そう思って顔を赤くしつつも何とか答える。
「真耶さんの歌っている姿を見たいですね。その衣装で歌っている姿はどれだけ可愛いのかなって」
「まぁ、旦那様ったら! ご期待に添えるよう頑張りますね」
顔を赤くしつつ笑顔で俺を見つめる真耶さん。
その笑顔に胸がときめいてしまう。
駄目だ、今日はいつもと違って正常にはいられない。考え方が空回りしそうだ。
目がずっと真耶さんに向いて目が離せない(いつものことなのに自覚無し)。
またもう一口ウーロン茶で喉を潤すと、気を取り直して真耶さんと一緒に機械を覗き込む。いつも香っている甘い香りが淫靡に感じられてドキドキしてしまっていた。
「むぅ~、どれにしましょうか~」
「そ、そうですね~」
う~んと軽く悩む真耶さんが可愛くて、つい微笑んでしまう。
そして歌う曲を決めたらしく、
「これにしますね!」
と弾けんばかりの笑顔で俺にそう言った。
その嬉しそうな顔に俺も楽しくなってくる。
だが、歌う前に真耶さんは俺を上目使いで見つめてきた。
その目にはお願いをしたいという意思が感じられる。
だから俺はドキドキしつつも笑顔でそれに応じた。
「どうしました、真耶さん?」
「はい、その……良い点数が取れたら……ご褒美、もらえませんか?」
瞳を潤ませたその可愛らしいおねだりに俺はさらに心臓の鼓動が五月蠅く鳴り響く。
それを悟られないようにしながら俺は何とか顔に出さないように答えた。
「え、ええ、いいですよ」
「はい、ありがとうございます!」
幸せそうな笑顔で喜ぶ真耶さん。
その笑顔に俺も幸せを感じてしまう。
そして恥じらいながら真耶さんが俺にお願いしたご褒美は………。
80点以上で膝の上に座らせて貰って抱きしめて貰う。
90点以上ならキスを一杯して貰う。
100点なら……『色々と滅茶苦茶になってしまうキス』をして貰う。
となった。
最後の奴は一体何なんだと思うけど、最近寂しい思いをさせてしまっていたから恋しかったんだろう。
俺も一杯キスして好きって言いたいけど。
それに……もしこんな可愛らしい真耶さんにそんなキスをすることになったら、きっと歯止めが効かなくなって行くところを突き抜けそうな気がする。そんな事になったら、ここから追い出されるのは必至だけど。
このおねだりを聞き入れた後、真耶さんは顔をトマトのように真っ赤にしつつも曲を入力していく。
そして待つこと2分弱、曲の前奏が流れると共に設置されているモニターから映像が流れ始める。
コミカルな音楽と共に真耶さんが立ち上がると、マイクを持って俺に見えるよう前に出た。
「それでは旦那様! 頑張って歌いますね」
満面の笑顔を俺に向けると、綺麗な声で歌い始めた。
耳に心地良い優しく甘い声がリズムを奏でる。そして自然と音楽に合わせて軽く身体がフリをし始める。
そこにあるのは、最早素人の歌ではない。
本物と遜色のない俺だけのアイドルのワンマンステージがそこにあった。
軽やかに、それでいてしっかりと歌う真耶さんに俺は見惚れてしまう。
短いスカートが翻る度に少しアダルトチックな下着が見えたけど、それ以上に楽しそうに歌う真耶さんから目が離せなくなっていた。
初めて見る姿は、神々しく見えた。それだけ凄く綺麗で美しく、それでいて可愛らしい。素敵の一言に尽きるだろう。
師匠と一緒に茶々丸さんに引き摺られて歌わされた時はまさに悪夢としか言いようがなかったが、今まさに、俺は天国にいる。
その美しく綺麗な歌声に身を任せ聞き入ること数分……。
まさに夢見心地のような時間も終わり、真耶さんは歌い終わると俺を上目使いで見つめてきた。
「ど、どうでしたか……」
顔を真っ赤にして俺の様子を窺う真耶さん。
その様子が可愛らし過ぎるものだから、俺は返事を返す前に真耶さんを抱きしめた。
「きゃっ、旦那様!?」
胸の中で驚く真耶さんにそっと囁く。
「凄く上手くて、驚きです。本物のアイドルなんかよりも輝いていて、素敵でした。とても可愛かったですよ」
「そうですか、旦那様にそんな風に褒められるなんて、嬉しいです」
本当に嬉しそうな声で喜ぶ真耶さん。
その姿が尚可愛らしくて、少しばかり悪戯心が湧く。
俺はそのまま真耶さんの美味しそうなほっぺに軽くキスをした。
「ちゅ……」
「だ、旦那様、いきなりですよ~」
急にキスされたことに少し驚くも嬉しそうに真耶さんは頬を緩める。
「俺だけのステージを開いてくれたことへの感謝と、とても上手な歌への感動を込めてのお礼です」
「えへへへへ、嬉しいです。でも、もうちょっとおねだりするのは駄目ですか?」
俺の腕の中で顔を真っ赤にして恥じらいながらおねだりする真耶さん。
その可愛らしいおねだりに俺は笑顔で応じる。
「ええ、いいですよ」
そして今度は先程まで美しい美声を奏でていた唇にキスをした。
「「ん………」」
そして柔らかい感触と先程まで飲んでいたジュースの甘みを味わいながらしばらく唇を触れ合わせ、そして離す。
「ふぁ~~~、ほわほわして気持ちいいです~」
恍惚とした顔で気持ちよさそうに腕の中に収まる真耶さんは、可愛くて仕方なかった。
そのまま二人で抱き合っていると、点数が表示された。
『93点』
その点数を見て、真耶さんは艶っぽく唇に指で触れて俺を妖しい瞳で見つめてきた。
その瞳には吸い込まれるような魔性を感じてしまう。
「旦那様ぁ……ご褒美、お願いします」
「………はい、いいですよ」
妖艶な雰囲気を感じつつ俺はそのまま真耶さんを抱えてソファまで行くと、座ると共に真耶さんを膝に乗せて抱きしめる。
「だんなさまぁ~」
ふにゃ~ととろけるような声で俺に抱きつく真耶さんはまるで子猫のように可愛らしかった。
そしてお互いに鼻がこすれるくらいの距離で見つめ合う。
「それでは、ご褒美です」
「はい」
そしてお互いに啄むように唇にキスをし合う。
「「んぅ…ちゅ……ふぅ…ん…んん……ちゃぷ…ちゅ……ちゅぷ…れろ……ふぅ…」」
途中から舌を絡ませたモノに変わっていく。
お互いの甘い感触に頭がぼおっとしてくるが、それが心地良くて堪らない。
そしてお互いに堪能して唇を離すと、真耶さんはとろけるような顔をしていた。
「ふぇ~~~~、きもちいいれす………」
「おかわり……どうですか?」
「は、はい~」
俺ももっとしたくて、俺達はもっと抱きしめて互いを求め合うようにキスしあった。
一時間後、俺は自分が歌う番が来ることすっかり忘れていることにこの時気づけなかった。