装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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思った事が口に出てしまった。
そんなことが招いた悲劇です(笑)


恵まれた者の悩み その2

 暴れ回る数馬を落ち着けるのに苦労した後、改めて弾達と向き合う。

 

「ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ……」

「どうどう、落ち着け数馬。この程度で暴走してたら、この先の話できっと壊れちまうから」

「それ、全然慰めになってないんだけど…」

 

弾が未だに混乱気味な数馬に声をかけるが、その言葉でさらに落ち込む数馬。

別に変な話ではないと思うのだが。

 

「それで……続きをしたいのだが……いいか?」

「あ、ああ」

「これ以上苦しませないで……」

 

何やら苦しそうな声が聞こえたが、気にせずに相談しよう。

 

「それで続きなんだが、鍛錬の後なんだが……」

 

俺は鍛錬の後の時にあった事を二人に話すことにした。

あの自衛隊訓練の後から……

 

 

 

「旦那様、どうぞ」

 

鍛錬に付き合ってくれる真耶さんは常に俺を助けてくれる。それが凄く有り難く、嬉しい。

鍛錬後はいつも汗だくになるので登校する前に一回シャワーを浴びるのだが、その時も真耶さんは助けてくれる。

俺がシャワーを浴びている間にタオルなどを用意して待っていてくれるのだ。

いや、本当は常に自分で用意したいのだが、私に用意させて下さいと涙目で懇願されてしまいお願いすることになった。こんな一生懸命にお願いされて折れない人などいない。

 

「ありがとう、真耶さん」

「いえ、そんな。旦那様のためでしたら、私は……」

 

顔を赤く染めながら照れる真耶さん。

その健気な姿に胸がときめいてしまう。

だからついつい何かしてあげたくなり、結果として真耶さんの喜ぶことをすることにする。

 

「いつもありがとうございます、真耶さん。大好きです」

 

最大の感謝と最高の愛を込めて真耶さんにそう言うと、その瑞々しく柔らかい唇に軽くキスをする。

 

「ふぁっ!? だ、旦那様、いきなりなんて………嬉しいです。私も大好きです、旦那様♪」

 

いきなりキスされたことに驚いて顔を赤くするけど、すぐに喜んで俺に抱きつく真耶さん。頬にキスしても良いのだが、それだと以前からどうも物足りなさそうな顔をするので唇にしている。寧ろ頬や額は罰のかわりの時の方が多い。

真耶さん曰く、

 

「旦那様のイジワル」

 

だそうだ。何となく意味が分かるのは、それなりに成長した証だろうか。

ちなみに頬や額にキスを一杯した後に唇にキスをすると真耶さんの顔はトロトロにとろけてしまう。ある意味、テクニックというやつだろう。

そんな真耶さんが可愛くて仕方ないのは、恋人だけの特権だと思う。

尚、二人に話す気はないのだが、以前シャワーを浴びていたときにこんなことがあった。

未だ熱を持ち汗を掻く身体をお湯が洗い流していく。

その気持ちよさに吐息を漏らしながら身体を洗っていたら……

 

「あ、あの、お背中流しますね」

「なっ!? 真耶さん!」

 

声と共にいきなりシャワー室の扉が開き、真耶さんが入って来た。

それも……バスタオル一枚身体に巻いた艶姿で。

バスタオルで包まれた胸はいつ弾け出るか分からないくらいバスタオルを押し上げ、下は見えてはいけない一線がギリギリ隠れているだけ。

俺はその姿を見た途端に急いで反対側を向いた。顔が真っ赤になっているのが押さえられない。

何、前に全裸で混浴したり、一年前にタオルの中身を全部見ただろって?

馬鹿を言わないで欲しい。一番愛している人の艶姿だぞ! ドキドキして仕方ないのはどうしようもないじゃないか。慣れるとか言ったやつはきっと不感症だろう。

心臓がバクバクとなって仕方ない中、真耶さんは失礼しますと言って俺に近づく。

元からそこまで広くはないシャワー室に二人という状況。お互いの息づかいや体温を感じ、それが更にドキドキを加速させる。

そのまま真耶さんは俺の真後ろで石けんを泡立て始めた。

 

「な、何でこんなことを……」

 

心臓の鼓動を五月蠅く感じながら何とかそう聞くと、恥じらいが籠もった声で真耶さんが答える。

 

「その、旦那様がお疲れの様子だったんで、癒してあげたくて………妻として旦那様のお背中流したいですし……」

 

こんな事言われて断れる訳が無い。

恥ずかしいけど、嬉しくて俺はどうしようもなくなってしまうのである。

きっと振り返れば可愛らしく頬を真っ赤煮染めて恥じらう真耶さんがいるのだろう。

すぐに抱きしめたくなるが……自重しろと言い聞かせる。

これから登校するのだから、ここでそれをすると我慢出来なくなりそうだ。

なので何とか振り返らずにお礼を言うと、取りあえず備え付けのイスに座る。

 

「で、では、いきますね」

 

意気の籠もった声で真耶さんは俺にそう言うと、泡立てた物を俺の背中へと当てた。

 

むにゅうぅっ!?!?

 

背中に当てられたのは、スポンジではない。

ハリと弾力があるも素晴らしく柔らい巨大な二つの物。

マシュマロよりも柔らかく、それでいてシルクのような肌触りが俺の背中に密着した。

それが何なのか……俺は既に知っている。

だが、何故こんなことをしたのかを聞く前に真耶さんの身体が動き始めた。

 

「んっ……あっ、あっ、んぁ、ふぅ…んん、あん! ん、ん、……」

 

石けんで泡立ち滑りが良くなった大きな二つのものが俺の背中を撫で回していく。

そのあまりの官能的な感触に背中がとろけそうな感じがしてくる。

そう……俺の背中に押しつけられているのは、真耶さんの大きな胸だ。

あの100センチを超える巨乳が背中一杯に押しつけられ、擦りつけられているこの状況。男なら誰もが興奮するこの状態に、勿論俺も大変な事になりかける。

それを死合並の精神を持って必死に堪える。

 

「あ、あの、何でこんなことを!」

 

確かに真耶さんは結構大胆なことをするけど、ここまでなのは珍しい。

なので聞いて見ると、妙に艶がかった声で答えてくれた。

 

「は、はい、ん…その、もっと旦那様に大好きになってほしくて、あん! それで…んぁ、茶々丸さんに…んん、相談したら、んはぁ、こうすればもっと好きになってくれるって……やぁ……」

 

何教えてるんだ、あの人!!

何でそんなことを教えているんだ、あの人は。寧ろ何故そんな人に相談したんですか、真耶さん!

 

「そ、それに、んふっ…大鳥さんも、あぁ…、それが一番効力があるって、んやぁ……どうしよう…こすれて気持ちいい………」

 

何でこうも間違った人選ばかりなんだ!

そのことに突っ込みを入れたくてしかたない。

他にもいるはずだろうに。海野さんとか如月さんとか。

こんな……破廉恥なことを吹き込んだあの二人には絶対に後で報いを受けて貰おう。

そう誓い心に立てながらも、背中のい感触に意識が集中してしまう俺は駄目な男なのだろう。だけど、どうしようもない。

未だに真耶さんは俺の背中を胸で洗っている。

バスタオル越しのはずなのに全くそんな感触がせず、なにやら固いしこりのような物が背中をこする感触がしてきた。それと共に真耶さんから艶っぽい嬌声が漏れ出す。

それが俺の精神をガリガリと、それこそ削岩機で岩を砕くかの如くごっそりと削っていく。精神という大岩が確実に砕け散った時、俺は一体どうなってしまうのだろうか?

 

「だ、旦那様……どうです…あぁんっ、気持ち…ん、いいですか?」

「………は、はい……」

 

正直返事を返す余裕がないが、何とかひねり出す。

もう自分の男が起き上がらないようにするのに必死である。

そんな俺の精神をいざ知らずに、真耶さんは俺の背中を必死に洗っていく。

背中を上下に移動していく感触はまさに天国へと誘われていくような気がして仕方ない。

俺はただ、ひたすら終わるまで待つことしか出来ず、待ち続ける。

そのまま少しして、真耶さんの声に変化があった。

 

「も、もう……駄目っ! っ~~~~~~~~~~~~~~~!!!!」

 

俺の背中を力一杯ギュと抱きしめると、力が抜けたのか背中からすとんと離れた。

そして聞こえる真耶さんの荒い呼吸音に疲れた事が窺える。

 

「も、もう洗い終わりましたか?」

「ふ、ふぁい……」

 

振り向けないので声をかけると、呂律が回らない口調で返事が返ってきた。

その後、俺は艶やかに荒い呼吸をして疲れ切っている真耶さんをシャワー室からベットに運び、介抱することになった。その時は勿論お願いしてタオルをまき直して貰ったが、それでも思春期の男には劇物な光景だったが。

御蔭でこの日、俺達は遅刻しかけた。

尚、動けるようになった真耶さんはこのことを泣きそうなくらい顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。それでもやりたかったらしい。

出来ればもうやって欲しくないが……

 

「その……たまにだったら……いいですか」

 

と潤んだ瞳で恥じらいながら上目使いでお願いされては、

 

「……た、たまにだったら……」

「っ!! 旦那様、だぁいすきです!」

 

俺は断れないので頷くしかなかった。

真耶さんはこの時、真っ赤になりながらも喜んでいたが。

ただし………茶々丸さんと大鳥さんを許す気はこれっぽっちもないので、すぐに童心様と朝倉さんに連絡したが。この後二人がどんな目に遭ったのかは言わなくてもいいだろう。

 

 

 

「おい、一夏! 思いっきり出てる! 二人に言う気はないって、思いっきり出てますよ、一夏君!!」

 

あれ? どうも思っていたことも全部口に出てたらしい。

弾がトマトよりも顔を真っ赤にして俺に掴みかかっていた。

 

「その……すまん?」

「何がすまんだよ、馬鹿野郎! 何、お前はあのすっごいスタイルの人にそんないやらしけしからしい……ごほんごほん。羨ましいことしてもらってんの! この18禁野郎!!」

「それは流石に言い過ぎなんじゃあ……」

「うるせぇ!」

 

弾は羨ましそうな目で俺を睨みつつ、俺を罵る。

確かに羨ましい状況だとは思うが、やられる側はやられる側で凄く大変なんだよ。

そして弾は俺にあることを言った。

 

「いいか一夏! お前がそんな話をする所為で、数馬はなぁ……数馬はなぁ!」

「数馬がどうしたんだ?」

 

そのまま数馬の方を見ると、下を向いたまま無言になっていた。別に変な所なんて無いと思うが………。

すると数馬は急に顔を上げた。

そして起き上がり俺と弾に顔を向ける。

その手に持っているのは、何かのお面。たぶんお祭りか何かで買ったんじゃないだろうか。妙に不気味なお面だけど。

 

「俺は人間を辞めるぞ、一夏ぁああああああああああああああああああああああ!!」

 

そう叫ぶと共にお面を被るとそれまでとは比べものにならない動きで窓へ近づき、

 

「WRIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII!!」

 

と叫びながら窓から飛び出した。ここは二階であり、普通は怪我をするのだが、難なく数馬は着地しとてつもない速度で走り出した。

その光景に唖然とする俺と焦る弾。

 

「おい、数馬がまた暴走したじゃねぇか! 急いで捕まえにいくぞ!」

「あ、ああ…」

 

こうして俺達は再び暴走した数馬を捕らえるべく、一端五反田家から出た。

 二十分後、数馬は捕まった。


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