会長の思いつきから始まったプール掃除。
そこで真耶さんのスクール水着姿を見て、そのあまりにも魅力的な姿に見惚れてしまった。可愛らしい中に背徳的な色香を感じさせる。正直言って凄くエロかった……もはや反則レベルで。
その恥じらっている姿は可愛くて、俺はその姿を心の中に刻み込んだ。
ここまではいい。
問題はその後だった。
気にしている真耶さんに似合っていることを伝えると、真耶さんは安心した喜んでくれた。それで喜びながら此方に歩いて来たところ、喜んでいた事もあってか足をもつれさせてしまったんだ。それでも何とか倒れずに持ち直したのは、今までより成長している証だ。まぁ、それで転んでしまう真耶さんも可愛くて大好きなのだが。
そしてここからが重要だ。
体勢を直した瞬間、真耶さんの胸元から何かが弾ける音がした。
それまで限界まで引き延ばされていた胸元の生地が足をもつれさせた際の衝撃で遂に耐えきれなくなり、胸の谷間の方に食い込んでしまった。
つまり……真耶さんのあの大きな胸が強調される形で丸見えになってしまったのだ。
それに見入ってしまった俺。最初は体勢を直していたことで気付かなかった真耶さんだが、起き上がれば否応にも気付く。
気付いた瞬間、真耶さんは顔をポストのように真っ赤に染め、沸騰するヤカンの如く湯気を出しそうになっていた。
そして俺と目が合い、その恥ずかしさのあまり悲鳴を上げそうになる。
だが、ここで自分で言っていて実に情けないことだが……俺は真耶さんのそのあられもない姿に興奮してしまい、鼻血を出して気絶してしまったのだ。
何? 何を今更? これまでも色々してきたじゃないかだって?
た、確かに混浴とかもしたし、良く一緒に寝たりもしましたよ。でもね……
あんな背徳的すぎる恰好で、しかも日中にあられもない姿を見たことなんてない。真耶さんのあの巨大な胸を明るいところではっきりと見てしまったんだ、すべてを。それを思春期の俺が耐えられる訳が無い。
その破壊力と来たら、師匠の電磁抜刀並だ。耐えられる道理がないのだ。
そんな幸せと興奮でお花畑が見える光景から復帰した後、俺達がプールに来て最初に行ったのは俺が噴き出した鼻血の処理だったわけだ。
いや、本当に情けないやらで今すぐ穴があったら入りたい。
「大丈夫ですか、旦那様」
「え、ええ、何とか……」
鼻血を水で流し終えた所で、真耶さんが心配そうに俺を見つめる。
俺は心配させないように答えるが、正直顔が真っ赤になってしまって真耶さんの顔が見れなくなっていた。
「でも、顔が真っ赤ですよ」
そう言って俺のおでこに手を当てる真耶さん。
ひんやりとした感触と柔らかい掌に少しドキッとした。
「別に風邪とかではないですよ」
「そうですか? でも、結構熱いみたいですよ。もうちょっと調べて見ないと…」
そのまま真耶さんは俺にキスをするかのように顔を近づけて自分のおでこを俺のおでこに軽く当てる。
何やら改めてされると、キスするときより恥ずかしい気がしてくる。
さらに身体を近づける真耶さんは、自分が如何に無防備であることをまったく意識していない。
近づいた途端に、大きな胸が俺の胸に当たってむにゅりと軽く形を変える。
その胸を包むのは、前に着ていたのとは違う薄ピンク色のビキニだ。
先程のスクール水着は急遽会長の予備に名札を張った物らしい。
どうりでサイズが合わないわけだ。会長のスタイルはかなり良いが、真耶さんの比較にならない。
その事を聞いた時、会長は何やら複雑な顔で自分の胸元を見た後に真耶さんに貸した『胸の部分が伸びきってしまったスクール水着』を見ていた。
あの時の姿も良かったが、このままでは掃除が出来ないので真耶さんは一端自室に戻り、こうして水着を取りに行ったというわけだ。それがこのビキニである。
だが、これもやはりサイズが少し小さく胸が零れてしまうんじゃないかと心配になってしまう姿であった。
着てきた真耶さんは去年買ったばかりなのにもうサイズが合わなくなってきてると嘆いていたが、まだまだ成長しているその胸に思春期の男子としては気が気でない。
その水着に包まれた胸は今俺の目のまで深い谷間を見せつけながら胸に軽く押しつけられている。
そのせいで余計に先程の光景を思い出してしまい、身体が熱くなってしまうのだった。
だから俺はそれを知られたくなくて、少し慌てて答える。
「だ、大丈夫ですから。そ、その……身体が近いですよ」
「え? ………あっ!? そ、そうですね」
自分がどんな状態なのか気づき、少し慌てて身を離す真耶さん。
そのまま恥じらうと、潤んだ瞳で俺を見つめながら問いかける。
「あの、それじゃあ顔が赤いのって……さっきの………」
そこから先の言葉は出ないが、その真っ赤になり恥じらう姿に言いたいことは分かってしまう。
意識を更にしてしまい、俺は言い辛く頷くくらいしか出来なかった。
その反応に真耶さんはさらに全身を羞恥で真っ赤に染める。
だが、少しだけ嬉しそうに俺に笑いかけた。
「た、確かに恥ずかしいですけど………嬉しかったりもします」
「え、何で……」
何で喜んでいるのかと思ったら、真耶さんは手を胸の前に持ってきて指をもじもじと動かしつつも恥じらいながら微笑む。
「だって……それだけ旦那様が私にドキドキしてくれたっていうことですから。旦那様にそういう風に見てもらえることが、私は恥ずかしいけど嬉しいんです。そ、それに……あんな恥ずかしい姿、旦那様以外には絶対に見せられませんから。旦那様だけなんですよ、見て良いのは」
「っ!?」
潤んだ瞳で見つめられながらそう微笑んでいる真耶さんは本当に可愛くて、俺は息を飲み込む。
そのまま真耶さんは俺に身体を預けるように抱きしめてきた。
全身に柔らかな感触を感じ、その身体から少しだけ汗の香りがして余計に胸がドキドキと鳴っていく。
そのまま俺を見つめる真耶さんがあまりにも魅力的すぎて、俺は我慢出来ずに抱きしめ返す。汗ばむ素肌に吸い付くような感触により抱きしめる腕に力が入ってしまう。
そしてそのままお互いに近距離で見つめ合う。
「旦那様………」
「真耶さん……」
そして吸い込まれるようにお互いの唇を重ね、キスをした。
その甘い感触はいつ、いかなる時も甘美で気持ちいい。していて心が幸せで満たされていく充実感を感じる。
そして唇を離すと、真耶さんがトロンとした表情で俺を見つめてきた。
「はぁ……やっぱり旦那様とのキスは気持ち良くて、どうにかなっちゃいそうです。だから旦那様。もっとお願い……してもいいですか?」
「はい…」
上目使いでお願いする姿に、俺は更に胸をときめかせながらも答えようと顔を近づけ………
「ストップ! スト~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~プッ!!!!」
大きな声と共に、会長がデッキブラシ片手に俺達に向かって歩いて来た。
それで今まで互いに夢中だった俺達は慌てて身体を離し苦笑する。
「君達、少し目を離すとこうなんだから! 見てて恥ずかしい、ていうか羨ましくなるんだからイチャつかないの! ほらサボってないで二人とも掃除よ、掃除」
「「す、すみません…」」
二人で同時に謝ってから、俺達は会長に渡されたデッキブラシを使ってプールの底を磨くことにした。
その様子に会長が重いため息を吐いていたけど、そこまで気にするようなことでもないだろう。
「ねぇ、正宗。あなたの主人、あれでいいわけ」
『言うな、小娘。もう諦めているわ。それに………あれでも武者としては充分にやっておるのだから、我としても文句を言えん。今では二人揃えば修羅すら凌駕する強さを発揮するのでな』
正宗がデッキブラシを前足に固定して床を擦りながらそう答えていたのを聞き、俺は内心で苦笑する。
まぁ、今では正宗も認めてくれているし、その期待にはこれからも応えようと思う。
そう答えられた会長はがっくりと肩を下げていた。
「よいしょ、よいしょ…」
真耶さんがそんな甘い声でデッキブラシを懸命に使い床を磨いていく。
その一生懸命な姿に微笑ましく思うが、それと一緒にゆさゆさと揺れる大きな胸に目が行きそうになるのを堪えた。
その様子に更識さんが自分の胸を見てショックを受けていたが、それはどうしようもないので頑張れとしか言えない。
そんな風に微笑ましい光景を見つつも、俺は手に持ったデッキブラシに力を入れて擦っていく。
ガシガシとこすれる感触が手に伝わり、汚れを落としていく感触に充実感を感じる。
やはり掃除というのは綺麗になっていく所を見ると嬉しい気持ちになるものだ。
『御堂、此方は終わったぞ。次はどうする』
頼んでいた部分の掃除を終えたらしく新たに指示を請うてきた。
「じゃあ次はあっちを頼む。此方もそろそろ終わるから、終わったら手伝いにいくからさ」
『諒解』
正宗は指示を聞き終えると、頼まれた場所へと向かって行く。
全体的に見れば、もう半分近く終わっている。
この程度の掃除、俺と正宗がいれば問題無く終わらせることが出来る。何せ床を一生懸命磨き流すだけだから、この程度なら広かろうと問題はない。
師匠の屋敷の後始末に比べれば、天国のように思える。
予想していたより速く終わりそうな事に、布仏さんは床に溜まっている水を使って遊び始めていた。
「きゃ、冷たいよ、本音!」
「とうりゃぁ~! かんちゃん、どう~」
本来なら掃除中なので止めるよう言うべきだが、微笑ましいい光景なだけに言いづらい。
まぁ、このまま行けば予想より速く終わりそうだから多少はいいか。
「スクール水着で水と戯れる簪ちゃん、可愛いわぁ~……はぁ、はぁ」
何やら会長が二人を見て言っているようだが、それでは掃除にならないので注意しなくては。
「会長、何しているんですか。速く掃除しちゃいましょうよ」
「わ、わかってるわ! だけど今は、簪ちゃんの可愛い姿を網膜に焼き付けている際中なの」
会長は熱意の籠もった声でそう言うと、再び更識さんに熱い視線を送っていた。
こうなるとてこでも動かないので、放置することに。
仕方なく俺と正宗、真耶さんの三人で掃除をしていくが、途中で真耶さんの方に少し問題が起きた。
「えいっ、えいっ……中々落ちないですね、この汚れ」
「どうしたんですか?」
「あ、旦那様。どうもここの汚れが落ちなくて」
さっきから擦っているようだが、全然落ちない汚れがあるようで真耶さんが悪戦苦闘していた。
それを聞いて俺もその汚れを見るため近づく。
その部分は確かに白い汚れが目立っていた。たぶん塩素剤が固まってしまったのだろう。
「ああ、これですか。俺がやってみますよ」
「いえ、そんな。旦那様の手を煩わせることなんでないですよ。私、頑張りますから」
変わろうとしたらやんわりと断られてしまった。
しかし、そこで引いては駄目だと思い少し強引に変わろうとする。
それを阻止しようと真耶さんも頑張ろうとすると、何故か足をその場で滑らしてしまった。
「きゃぁっ!?」
「真耶さん!?」
そのまま俺に向かって倒れてくる真耶さんを受け止めるも、何故か俺も足下を滑らしてしまい床に盛大に倒れ込んでしまった。
途端い鳴る大きな水音。
俺は真耶さんの事が心配になり、すぐさま起き上がりながら確認する。
「大丈夫ですか、真耶さん! 怪我してませんか!」
「は、はい、大丈夫です! ただ……」
『目の前』から声が聞こえ安堵したが、その途端に自分がどんな恰好なのか理解した。
現在……俺は真耶さんを床に押し倒していた。
俺の身体の下には柔肌を水で濡らしている真耶さんがいる。撥ねた水が彼方此方にかかり、その胸が水の玉を弾いていた。
自分の状態に慌てて起き上がろうとしたが……いつの間にか真耶さんの右手が俺の首に回されていた。
「あの、真耶さん?」
すると真耶さんは顔を赤らめつつもうっとりとした表情で俺を見つめる。
「出来れば、このままさっきの続きをお願いします、旦那様……」
熱の籠もった吐息が俺の頬を撫でていく。
そのあまりにも艶っぽい仕草に、俺は現在の状況を忘れてしまっていた。
可愛らしくも美しく艶っぽいこの恋人のお願いに、俺は素直に応じた。
「「んぅ……ちゅ……」」
少し長めのキス。
流石に深い方まではしないが、それでも気持ち良い。
唇を通して真耶さんの体温を感じる。それが嬉しい。
「旦那様……嬉しいです……」
そのまま抱きしめられてしまうが、俺は幸せで為すがままに抱きしめ返すことにした。
その後、二人で一生懸命にその汚れを落とし、掃除を再開した。
結局、予想通りの時間になってしまったが、それでも皆頑張ったためその充実感はとてもあった。
これから水を入れて、後は遊ぶだけである。
俺は真耶さんと遊べることに胸をときめかせていた。