装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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今回はプール掃除ですよ。
最近砂糖不足なので、心地良いです。


プール掃除をしよう その1

 五月の後半に入り、梅雨の気配を感じつつも熱い日々が続いていた。

いや、確かに熱いが夏ほどではないし、そもそもここは最先端技術の集まるIS学園。当然廊下は勿論教室でもエアコンが効いていて快適な環境になっているため、そのような事は感じない。

そんな環境下にあると言うのに、あの人はいきなりそんなことを言い出してきた。

 

 

 

「はぁ~……最近熱いわよね~」

 

いつもと変わらない生徒会室。

そこで二年になっても変わらない生徒会業務を行っている際中のことである。

会長は自分の席で書類を処理しつつ、そんなことを洩らしてきた。

 

「確かにそうですね。早朝でも暑くて、良く汗を掻きますよ」

「そうですね。確かに旦那様、朝のトレーニングで汗一杯ですからね。汗を掻きながらも一矢不乱に頑張る旦那様も格好いいですから」

 

俺は休憩用のソファで真耶さんと一緒に身を寄せ合うように座りながら返事を返す。

俺に身体を預ける真耶さんは頬を赤く染めながら潤んだ瞳で俺を見つめる。

きっと、毎朝やっている鍛錬の様子を思い出しているのかも知れない。

少し恥ずかしいが、それ以上に嬉しい。

 

「そ、そうですか?」

「はい! 旦那様はいつでも格好いいですけど、トレーニングの後は何だか艶っぽくて、見ててドキドキしちゃいます」

 

熱の籠もった瞳で見つめられ、ドキドキしてしまう。

そう言う真耶さんだが、寧ろ俺はそんな風に顔を紅潮させ潤んだ瞳で見つめる真耶さんの方がとても艶っぽく見える。

俺は自分がそう言われて恥ずかしく思っていたのもあったが、それ以上に真耶さんのことをもっと見たいから笑顔を浮かべて言う。

 

「俺は今もずっとドキドキしてますよ。真耶さんはずっと綺麗で可愛くて……それでいて艶っぽいですから」

「そ、そうですか! そ、そんな風に言われると照れちゃいますね。で、でも旦那様にそう言ってもらえるのはとても嬉しいです」

 

真耶さんはさらに顔を赤くしながら恥ずかしがると、そのまま俺の身体に更に身体を密着させてきた。柔らかい身体と、大きな胸の感触に心臓が高鳴ってしまう。

そしてさらに熱を帯び、潤んだ瞳で俺を見つめる。

 

「わ、私は、もっと旦那様にドキドキしてもらいたいです……」

 

そんな風に甘える真耶さんが可愛くて愛おしくてしかたない。

少し苦笑しつつ、俺は真耶さんに話しかける。

 

「あまりドキドキしていると心臓に悪いですよ。俺は真耶さんと一緒にいてずっとドキドキしてるんですから。俺を不整脈にでもするつもりですか?」

「それでもです。大好きな旦那様には、常にドキドキしてもらいたいんですよ。それが、恋する乙女心というものです」

 

甘い……それこそ胸焼けを起こすんじゃないかと思える程に甘い声でそう答える真耶さん。

そんな真耶さんがあまりにも艶っぽく可愛いものだから、俺は少し我慢出来なくて左手を回して真耶さんの腰を抱き寄せる。

その柔らかい感触が俺の赤面をさらに進行させた。

 

「旦那様…………」

 

抱き寄せられ、さらに身体を密着させた真耶さんは俺に顔を近づけながら目を瞑る。

それがキスをして欲しいというのは、誰が見ても分かることだ。

その甘い唇に俺は吸い込まれるように顔を近づけ……………

 

「あぁ~~~!! ごほんごほん!!」

 

会長の明らかにわざとな咳払いを聞いて慌てて俺と真耶さんは顔を離した。

そして会長は顔を真っ赤にしつつもジト目で俺達を睨む。

 

「あ~の~ね~……確かに熱いって話だったけど、そう言うことじゃないの! 私はあくまで最近暑い日が続いているわねって、言っただけで、生徒会室が毎回二人の所為で熱くなってるけど、そういうことじゃないの! っていうか毎回言ってるけどイチャつかないでよ!」

「いや、その…あははははは~」

「す、すみません…」

 

怒る会長に二人で謝る。

その時はお互いに真っ赤になっていたが、俺はそんな真耶さんが可愛いものだから、会長に見えないようにそっと手を優しく握ってあげる。

すると真耶さんは俺を見て幸せそうな笑みを浮かべるのだった。

会長は気を取り直して話し始めた。

 

「あのね、最近暑いので仕事にも影響が出てきてるのよ。具体的のは私の進行速度が悪くなってるの」

「クーラーの効いた最適な気温のこの生徒会室で何を言ってるんですか、会長。それに会長の仕事の進捗が遅いのは会長のせいであって暑さのせいではありません」

 

今度はこっちがジト目になる。

会長は俺にそう言われ少し引け気味になるが、それでも気を引き締めて堪える。

そして堂々と本題を話す。

 

「そ、それは別にいいの。それでね……急遽、生徒会で明日、学園のプール掃除を行う事にしました~」

 

そう言いながら手に持っていた扇子を開く。

そこには『奉仕』の二文字が描かれていた。

それを聞いて固まる俺達と更識さん。布仏さんはいつも通りのんびりしていた。勿論、手元の書類は全然進んでいない。

 

「そのような話は聞いていないのですが?」

「うん、だって今日決めてきたばかりだもの」

 

会長は胸を張ってそう言ってきた。

その自信満々な様子に俺は………ジト目で詰め寄る。

 

「会長、何でそんな重大なお話を生徒会の最初にしなかったのですか。寧ろその議題はもっと前もって話し合わなければならない話だというのに」

「い、いや~、みんなを驚かせようと思って~」

 

俺に睨まれて目を逸らす会長。

キスが出来るくらい顔の距離が近いというのに、色気も何もない。

この状態でどちらが上なのかがはっきりしていると言える。

どうせ会長のことだから決めたのは突発的でも、その前に予め手を打っていたのだろう。

つまり今更断ることは出来ない。

仕方ないとはいえ、それで会長をジト目で睨み付けるのを俺は止めない。

 

「ところで……何でプール掃除なんですか。どうせ何か裏があるのでしょう?」

「そ、それはね、やっぱり生徒会としては学園の生徒のために……」

「ほ・ん・ね・は!!」

「だ、だって最近暑いから泳ぎたくなったんだもん! いつもは業者に頼んでるけど、私達がすればその後は遊んで良いって轡木さんが言ってたし」

 

会長は若干涙目になりながら必死に答えた。

まぁ、最近は生徒会の業務も大変だったし、会長もそろそろストレスが限界近くまで溜まっていたようだ。

どちらにしろ、もう轡木さんにもやると言ってしまったようだし、今更断るのも出来そうにない。

 

「はぁ……仕方ないですね。どうせもう断れないんでしょうし。わかりました、そのプール掃除、受けましょう」

「そ、そう? よかった~!」

 

会長はホッとしたようで喜ぶ。

その反応に俺と真耶さん、更識さんは溜息を吐いて呆れた。

そして喜ぶ会長に俺はまたジト目を向ける。

 

「会長が言い出したのですから、ちゃんとプール掃除頑張って下さいよ」

「ええ、勿論よ。そう言う織斑君だって、後で遊べるんだからお姉さん達の水着姿、独り占めよ。もっと喜んだら」

 

ニタニタした笑いを浮かべる会長に俺は若干苛立ち、仕返しをすることにした。

 

「でしたら会長。明日のプール掃除のためにも、生徒会の仕事はちゃんと終わらせましょう。これ、追加の書類です」

 

会長の机にどかっと山積みの書類の束を置くと、途端に会長の顔が引きつった。

 

「え、いや、これっ!?」

「明日はプール掃除して遊ぶんですよね。でしたら、明日の分の仕事もやりませんと」

 

ニッコリと笑顔を浮かべて会長にそう告げると、会長はまるで裁判に負けた被告人みたいな顔になっていた。

 

「それでは俺と真耶さんはもう生徒会の仕事は終わったので、先に帰らさせて貰いますね。それでは、お先に」

「失礼します」

 

残っている生徒会のメンバーに挨拶をすると、俺は外に向かって声をかける。

 

「正宗、会長の見張りを頼んだ」

 

その声に応じて天井から正宗が下りてきた。

 

『またか、御堂。まぁ、これももう慣れたこと。娘、さっさと終わらせぬと帰れぬのでな』

「すまないな。それと明日の掃除を手伝ってくれると有り難い」

『はぁ……仕方ない御堂だ』

 

俺に呆れる正宗。

いや、俺も武者らしからぬことだと思うが、明日は人手が足りないので、猫の手もとい『劔冑』の手も借りたいところなのだ。

 

「すみません、正宗さん」

 

そんな俺と正宗のやり取りに真耶さんが申し訳なさそうに頭を下げて謝った。

 

『いや、致し方ないのでな。何、奥方が気にする事でも無いので気になさるな』

 

正宗はそう真耶さんに言うと、会長を逃すまいと監視に着いた。

何というか、正宗って真耶さんに甘くないか? 

 

「それじゃあ行きましょうか、真耶さん」

「はい! で、出来れば帰った後にさっきの続きをお願いしたいんですけど、駄目ですか?」

 

生徒会室を出る前に上目使いでお願いされた。

それを俺は笑顔で答える。

 

「ええ、勿論いいですよ。寧ろ俺がキスしたいくらいですから」

「そ、そうですか! う、嬉しいです……」

 

そして二人で手を繋いで自室へと戻るために廊下に出た。

 

「この鬼、悪魔、悪鬼、人でなし~~~~~~~~~~~!!」

 

何やら会長の声が聞こえたが、俺達は気にせずに帰った。

 

 

 

 そして翌日。

学園が休みということで、朝から俺は学園のプールに来ていた。

天気は良く、今日も暑くなりそうだ。俺の恰好は汚れても良い様に軽装。下には水着を穿いており、ちゃんと着替えも用意してきた。

そして今日掃除するプールだが、見た感じは汚れていない。

IS学園は一応指定の水着があるので、ちゃんとプールもあるし水泳部もある。

常に使用されているプールだからそれまで大変な掃除ではないが、使用している以上は汚れるのでしなくてはならないのだ。それを今日は業者ではなく俺達でしようという話になっている。

女性陣は水着に着替えるので手間取っているらしく、こうして先に来ているというわけだ。

女性陣が来る前に掃除用具の準備をしておこうと俺は用具置き場へと向かい、そして帰ってくる頃には皆来ていた。

 

「や、おはよう、織斑君」

「お、おはよう……」

「おはよ~、おりむ~」

 

会長達は水着姿で俺に挨拶をする。

皆、学園指定の『スクール水着』だ。

会長はスクール水着でも自慢のスタイルを見せびらかすように堂々とし、更識さんは会長の影に隠れていたが、その容姿に似合っていて素直に可愛いと言える。

布仏さんのスタイルが良いことには若干ながら驚かされたが、やっぱり布仏さんは布仏さんだった。

そして……

 

「お、おはようございます、旦那様……」

 

真耶さんが顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。

その姿はタオルに包まれていて、窺うことはできない。

しかし、その顔の真っ赤な度合いから相当恥ずかしがっていることが窺える。何かあったのだろうか?

 

「先生、恥ずかしがらないで下さいよ。寧ろ似合ってるんですから、織斑君に見せつけてあげちゃって下さい」

「あ、駄目です、更識さん!?」

 

会長は面白そうな獲物を見る目で笑い、真耶さんの身体に巻いていたタオルを剥ぎ取った。

その瞬間俺の目に入ったのは………………

 

スクール水着姿の真耶さんだった。

 

身長が低いのと童顔ということもあって似合っているのだが、その身体からは考えられないほどの大きな胸のせいで凄く艶っぽい………正直イケナイ感じがしてエロい。

全く覆いきれず、谷間が出来てしまってパンパンに張り詰めている胸。

きゅっとしたくびれが良く分かる腰。

むっちりとしていて柔らかそうなお尻。

それらを全て包み込む紺色はまさに、反則にしか見えない。

ネームプレートも何故か『山田』の文字が入っていた………かなり横に伸びているが。

 

「だ、旦那様………どうですか?」

 

真耶さんは今にも泣きそうなくらい顔を真っ赤にして、身体を抱き隠す。

それが余計に犯罪臭を感じさせ、俺は目が離せない。

 

「そ、その……ある意味似合い過ぎて凄いです……」

「そ、そうですか。旦那様はこういうのも、好き…ですか?」

「そ、そうですね。俺は真耶さんがどんな恰好でも似合うと思いますけど。こういうのも、良いと思いますよ」

「よ、良かったです~」

 

何とかそれで落ち着いた真耶さんは、俺を見て微笑む。

 

「なら、大丈夫です。旦那様が好きだって言ってくれるなら」

 

その笑顔の可愛らしさに顔が熱くなってしまう。

そして真耶さんは俺に向かって駆け寄るのだが、その際に足を少しもつれさせてしまった。

その瞬間、バチンッと何やら音が鳴った。

 

「あ、危なかった~……え?」

 

そして俺はそれを見てしまい、真耶さんはそれに気付いて表情が固まってしまった。

その音は真耶さんの胸元から。

そしてその胸は今、水着が谷間に食い込み、文字通りに胸が丸出しになってしまっていた。

巨大で形が綺麗な、まさに奇蹟と言える胸。

それが二つの中心部も合わせて俺の視界を締める。

 

「っっっっっっっっっっっっっっっっ!?」

 

気を取り戻した真耶さんはヤカンのように顔を真っ赤にして悲鳴を上げそうになった。

だが、その前に………何かが弾けると共に俺の意識は薄れていった。

薄れゆく意識の中、

 

「旦那さまぁあああああああああああああああああ!!」

 

真耶さんの悲鳴が聞こえていた気がする。

 

 

 

 突然することになったプール掃除。

俺達が最初にした事は、俺が噴き出した鼻血の後始末だった。


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