装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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最近いろいろな人から低評価を貰うことが多く………少しまいちゃいますね。


久々に会いに行こう その2

 オータムが驚きのあまり看守がいるというのに大きな声で叫んでしまった。

まぁ、その気持ちは分からなくはない。知っている人間が少し見ない間に激変していれば誰だって驚くだろうから。

 

「いや、え!? これがあのMだって!! 嘘だろ!」

 

オータムは驚き過ぎて凄い顔になっていた。元が美人な分変な顔が凄まじい。

そのままオータムは俺達にそんな顔を向けながら聞いてきた。

 

「おい、織斑 一夏! こいつはどんな冗談だ」

「いや、冗談も何もそのままなんだが……」

 

俺にそう聞かれても、そうとしか答えようがない。

何せそのままなのだから。

 

「いや、おかしすぎだろ! 私達が知ってるMと言えば、無愛想で目つきが常に悪くて不機嫌全開なクソガキだぞ。なんだよ、この如何にもな幼女は! しかも身長が縮んでないかっ!?」

「む、オータム、そんなことはないと私は思うぞ! それに身長だってちゃんと伸びてる……はず……」

 

オータムにそう答えるマドカだが、身長のことを言われて少ししょぼくれる。

どうやら身長のことを気にしているようだ。別にそこまで低くもないと思うのだが?

 

「そんなことないですよ。マドカちゃんはこれぐらいが可愛いんですから」

「ふみゅ!? そ、そうなのか、真耶義姉さん?」

「はい! とっても可愛いですよ」

 

そんなマドカを優しく抱きしめる真耶さん。

マドカは少し驚きつつも嬉しそうに真耶さんに身を任せた。

それを見て開いた口が塞がらなくなっているオータム。

それを見かねてなのかスコールが会話へと加わる。

 

「あなた……随分と変わった……と言うか変わりすぎよね。一体何があったのかしら」

「そこまで変わったか?」

 

そこで無邪気にスコールの目を見つめて聞くマドカ。

 

「うっ!?」

 

この純真さに目を向けているのがきつくなったらしく、スコールが目をそらした。

その顔は若干赤くなっているようだ。

 

「え、ええ。昔のあなたはもっとこう、近づく物全てを切り裂く刃のような雰囲気だったもの。今のまるで小動物みたいなのもは微塵もなかったわ」

「そんなにかわったかなぁ」

 

スコールに言われたことを真耶さんの胸の頭を埋めながら考えるマドカ。

そんなマドカを真耶さんは慈愛に満ちた笑みを浮かべながら優しく頭を撫でる。

頭を撫でられたマドカは気持ちよさそうに頬を緩めていた。

 

「いや、可笑し過ぎだろ!? 何でそんなに変わってんだよ、お前!!」

 

そろそろ収集がつかなくなるかもしれないと思い間に入ることにした。

 

「そろそろ真面目に話さないとな。このままじゃ話が進まない」

「それもそうね」

 

スコールの同意を得て、改めてちゃんと話をすることに。

マドカの変わりように驚きを隠せないオータムだったが、流石に驚き疲れたのか落ち着いてきたようだ。

 

「それで……改めて私達に何のようかしら、M。いえ、織斑 マドカ?」

「ああ、何でここに来たんだ、お前」

 

冷静に聞いてくるスコールに若干苛立ちをもったままのオータム。

その二人にマドカは改めて向き合って答えた。

 

「二人ともこうして捕まったのに私だけと思って。だから二人がどうしてる気になったから、会いに来たんだ」

 

マドカは真耶さんの膝の上に座りながらも真剣な表情で二人に話す。

 

「私だってお前達と同じ犯罪をした人間だ。なのに未成年ということもあってこうして外で暮らしている。それが申し訳無くてしかたないんだ。確かにお前達に生命を握られていたからといっても、犯した犯罪の罪は消えない。本当なら私も裁かれたかった。でも、その結果がこうして外で幸せな日々を送っている。それが苦しく感じるんだ」

 

さっきまでの無邪気な顔から一転して真面目な顔で話すマドカの顔は、昔の顔に少しだけ近くなっていた。

 

「自分だけこんなに幸せでいいのだろうか? そう考え続けていたんだ、今まで……そして今も。それで今まではずっと怖かったけど、それでも……お前達に会おうって思った。だからこうして会いに来たんだ」

「そう……」

 

マドカが言い終えると共に、スコールは静かに返事を返した。

オータムは何とも言えない顔をしている。

 

「それで、会ってみてどうかしら」

 

スコールの問いにマドカは少しだけ笑みを浮かべて答えた。

 

「ああ、まず二人とも元気そうで安心した。あの時二人とも大怪我をしていたからずっと心配していたんだ」

「それはどうも。確かに最初は大変だったわ。私は3週間寝たきりだったし、オータムなんて3ヶ月間も寝たきりだったから」

 

それをやった身としては少し気まずい。

武者なら一週間で完治する怪我も、普通に治すならそれぐらいかかる。

それを聞かされて改めて力加減の難しさを感じた。

そんな事を思っている俺だが、すぐにマドカの方を見ることになった。

マドカは少し沈黙すると、泣きそうな顔になりながらも二人に告げる。

 

「二人が元気なのはよかった。でも、二人は私のことを恨んでいるだろう。怒っているだろう。私だけ日常を謳歌できるようになって、二人はこうしてここに閉じ込められて……恨まない方が可笑しい。許してくれとは言わない。でも……」

 

そこから先の言葉はない。

でもマドカは泣きながら何とか言葉に出そうと頑張る。

その様子を見たスコールは………

 

笑った。

 

慈愛に満ちた女神のような笑みを浮かべスコールはマドカを見つめる。

 

「バカな子ね。別にあなたのことを怨んでいるわけないじゃない」

「ふぇ?」

 

そう言われたマドカは少し理解が追いつかない顔になっていた。

そのせいで涙と鼻が垂れている。

 

「あなたを怨むような理由がないもの。あなたが今の生活を送れるようになったのはこの国の判断なのだから、あなたが気にするようなことじゃないわ。それにあの時の戦いで組織は殆ど割れていたし、崩壊も時間の問題だった。怨みだってもう静まってしまって何も起きないわ」

 

スコールの言っていることにオータムが更に加える。

 

「スコールはそう言ってるけど、私はそれどころじゃなかったしな。あれだけボロボロにされたら怨む前に怖くてしかたねぇよ。今じゃタケノコが食えなくなった」

 

軽口を叩きながら笑うオータムにスコールがクスっと笑う。

そんな二人に呆気にとられるマドカ。

そんなマドカにスコールは優しく諭すように言った。

 

「せっかく普通の生活が出来るようになったのだから、私達が今まで縛っていた分精一杯満喫しなさい。あなたはもう亡国機業のMではなく、IS学園の織斑 マドカなのだから」

「っ………うん!」

 

スコールの笑みに答えるよに、マドカは泣いていた顔でぎこちなく笑みを浮かべ元気よく返事を返した。

 

「うん、良い笑顔よ。今のあなた、前よりもずっと可愛いわ」

「本当にあのMだったか疑わしいくらいにな」

 

そして3人で笑い合う。

その光景に俺は安心し、真耶さんは我が子を見るような、そんな優しい笑みでマドカを見つめていた。

その笑顔は見ている俺も胸が温かくなるもので、将来こうして子供が出来たときも同じような笑顔をするんだろうなぁ、と思った。

そう思うと、胸がドキドキしてきた。

しかし、それも今は心地よい。

マドカも何とか二人と和解? 出来たようで何より」だし、来れて良かったと思った。

 

 

 その後二人にクッキーを看守の人に頼んで渡して貰った。

 

「あら、これは……クッキーかしら」

「何かちっと歪だな」

 

二人にクッキーが渡ったのを見て、マドカは満面の笑みで二人に言った。

 

「私と真耶義姉さんで一緒に作ったんだ。食べて欲しい」

 

それを聞いた二人は目を少し見開くと、ちょっとだけ笑った。

 

「まさかあのMが手作りクッキーなんて」

「に、似合わねぇ~」

 

それを聞いて少しマドカはむくれるが、二人は笑いながらも一枚食べた。

そして感想を待っているマドカに微笑みかけながら答える。

 

「美味しいわ、とっても」

「少し焦げっぽいけどな」

「そ、そっかぁ……よかった」

 

美味しいと言って貰って嬉しいらしく、笑うマドカ。

そのまま二人はクッキーを食べた後、俺と真耶さんに声をかけた。

 

「これからもこの子のことを頼むわ」

 

スコールがそう言って頭を下げる。

その保護者の対応に俺と真耶さんは笑顔で頷いて二人同時に答えた。

 

「「ええ、分かりました」」

 

 

 

 こうしてマドカは無事に二人と問題なく和解を果たせ、帰りのバスで安堵して眠ってしまった。

その寝顔を眺めつつ、真耶さんは俺を見て話しかける。

 

「あの人の期待に応えるためにも、これからもマドカちゃんのことを見守っていきましょう。ね、旦那様」

「はい!」

 

まさに母といっても良い笑顔の真耶さんに俺は決意して答えた。

これからも、一緒でいようよいう意味も一緒に込めて。

それがお互いに分かるから、互いに笑う。

そしてそれを約束するように、帰りのバスで俺達はキスをした。

 

 

 

 


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