正宗の御蔭で遅刻を免れた俺達。
更衣室でデュノアが着替えるのを待った。
俺は着替えないのかだって? 劔冑はISスーツみたいなのは必要ないから着替える必要がないんだよ、だからいつもは更衣室になんかには行かない。今日はデュノアのために特別だ。
着替え終わったデュノアの姿に珍しさを感じながら第二グラウンドに向かった。
「本日から格闘、および射撃を含む実戦訓練を開始する」
千冬姉が仕切っていく。
俺は授業内容を聞いているだけで終わりそうだ。俺が実戦訓練に参加すればISを壊しそうだからな。
そんなことを考えているとセシリアに話しかけられる。
「一夏さん、ちょっとよろしいかしら? あの・・・先ほどの・・・ボーデヴィッヒさんとは・・・どのようなご関係ですの?」
「何々、何の話? 混ぜなさいよ」
セシリアの話に鈴も乗ってきた。
「それが一夏さん、今日来た転校生の女子にはたかれかけたんですけど、咄嗟にその女の子の頭を掴んで机に叩きつけちゃったんですのよ」
「へぇ~、あんた、後で謝っときなさいよ。女の子にそれはやり過ぎよ。そもそもなんでそんなことになったわけ?」
「たぶん千冬姉関係の話だと思う。向こうはこっちのことを知っていたみたいだった・・・」
そんなふうに先程のことを話していたら千冬姉に見つかり、叱責をうけた。当然出席簿での鉄拳制裁も忘れずに・・・
セシリアと鈴がしゃがんでうなっている。俺は当然食らう気はなかったので避けさせてもらった。
「今日は専用機持ちに戦闘を実演してもらう。凰、オルコット! 前に出ろ」
そう言われ鈴とセシリアは面倒臭そうに前に出る。
千冬姉は二人を見ると一回ため息を付き、二人にだけ聞こえるように何かを話し始める。
それを聞いた二人はさっきとは打って変わってやる気全開になっていた。
さっそくISを展開する二人。
「それで相手は? 鈴さんとですか?」
「私は誰だろうと構わないわよ」
「慌てるな馬鹿ども、対戦相手は・・・」
そう千冬姉が説明しようとすると、上空から降下音が聞こえてきた。
「きゃぁあああああああ、ど、どいてください~~~~~っ!!」
山田先生がISを装着して落下してきた。よりにもよって俺のところに・・・
(やばい!? 劔冑を装甲してる余裕がない!)
俺は装甲出来ずに山田先生の落下に巻き込まれてしまった。
普通の人だったら死んでたかもしれないが、鍛えていたためそこまで大きな怪我はしなかった。
右腕が思いっきり折れたが、ほっとけばすぐに直るだろう。ばれないように折り直した。
土煙が酷かったため、目の前が何も見えない。手から妙に柔らかい感触を感じた。
(何だ、これ? 随分と柔らかいな。こんなものここにあったか?)
そう思いながら触っていると・・・
「あっ、あん! ん、く、ふぅ・・・・・・」
やけに艶がかった声が聞こえてきた。
そして土煙が晴れて視界が戻ってくると、そこには・・・
山田先生が目の前にいた。
落下に巻き込まれたら押し倒されたようだ。そして何故か俺の左手は山田先生の胸に・・・
「い、一夏君、その、もうちょっと強くしてもいいですよ。一夏君が望むならもっと・・・・・・な、何言ってるんですかね、私」
混乱しているらしく、訳が分からないことを口走っていた。
俺が山田先生の胸を揉みしだいてしまったことに気づいてしまい、顔が真っ赤になって熱くなる。
俺も混乱してしまったために、声が全く出ない。
(誰か、この事態をどうにかしてくれぇえええええええええええええええええええ!?)
そう思ったときにそれは来た。それは俺にとって救いかどうかは・・・分からない。
箒、鈴、セシリアは一夏が山田先生に押し倒されてるのが見えて、殺気立つ。
「「「一夏っ!!」」さんっ!!」
セシリアはライフルを一夏に向け、鈴は龍砲を向け始め、箒はどこからか日本刀を持ちだし構え始める。一夏に全員八つ当たりする気だった。
そのため、他に落下してくるものに三人とも気づけなかった。
「とりゃああああああああああああああああああああああああ!!」
そんな叫びとともに何かが落下してきて・・・
「ぷげっ!?」
俺の顔を思いっきり飛び蹴りで踏みつけた。
俺はこの声に聞き覚えがある、この威力に覚えがある、こんなことをする人に思い当たる節がある。
「いやぁ~、いっちー、その歳でエロスはいかんぞ~、エロスは。といってもあてが言っても説得力皆無だけどねー」
そうこの人は・・・・・・
再び巻き上がる土煙が晴れると、そこには・・・・・・
「流星雷虎(メテオライガー)只今参上!!」
俺の最も苦手な人、
足利 茶々丸さんが俺の顔を足蹴にして立っていた。