装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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これで同田貫は終わりです。
まったくもって長かったですね。ここまで下衆い一夏は初めてですよ。



もしも一夏が別の劔冑を使ったら。 その12

 タッグマッチトーナメントも無事に終わり、翌日からは平日授業となっている。

そのためいつも通りに通学してきた一夏だったが、今日は何故かいつも一緒に登校しているシャルルがいない。

その事に周りのクラスメイトから軽く聞かれるが、一夏も知らないとしか答えない。

事実、一夏が起きた頃にはもう部屋を出かけている所で、それに気付いたシャルルは一夏に用事があるので先に行くと一夏に言って出て行ったのだ。

それではシャルルの用事など知りようがない。

故に一夏もこう答えるしかないのだった。

そのまま席に付いて待ってみても、シャルルは来ることなく始業ベルが鳴ってしまった。

そして教室に入ってきた真耶と千冬だったが、真耶の顔は疲れ切っていた。

 

「み、みなさん、おはようございます~」

 

挨拶を皆にする真耶だが、その足取りはふらふらとしていて危うい。

皆そんな足取りの真耶を心配するが、真耶は何とか教壇までたどり着く。

そのまま皆に笑顔を向けるが、それは疲れで引きつっていた。

 

「じ、実は今日、転入生が来ます。皆さん、たぶん知ってると思いますけど……はぁ」

 

疲労を濃く感じさせつつも、真耶はそう言い、扉の方に入ってくるよう声をかけた。

その呼びかけに応じて中に入ってきた人物は、確かにこのクラスの皆が知っている人物であった。

美しい金髪、中性的で格好いいとも可愛いとも取れる顔立ち。

しかし、そこから先は皆が知っている人物とは違っていた。

髪は薄ピンク色のリボンで三つ編みに纏められており、その制服の胸部には確かにある二つの膨らみが主張している。そして何よりも目を惹くのは『スカート』から伸びる美しい美脚だろう。

そう……目の前の見知っているはずの人物は何故か女生徒の制服を着ていたのだ。

そしてその人物は皆に笑顔を向けながら自己紹介を始めた。

 

「シャルロット・デュノアです。皆さん、改めてよろしくお願いします」

 

浮かべるのはまさに美少女の笑み。

その微笑みに一瞬見とれそうになった皆だが、真耶の言葉で現実へと戻された。

 

「えっと、その……デュノア君はデュノアさんだったというわけで……」

 

その言葉を聞いた途端、教室内は一気に騒然となった。

 

「え? デュノア君って女?」

「おかしいと思ったっ!? 美少年じゃなくて美少女だったわけね!!」

「私の恋心を返せぇええええええええええええええええええええ!」

「そんなぁ~。織斑×デュノアがぁ……」

「でも。女の子でもそれはそれで……じゅるり…」

 

今まで男だと思っていた人物……シャルルが真逆女だとは思わなかったことに、皆ショックを受ける。特に彼女に仄かな恋心を抱いていた少女達はかなり沈み込んでいた。

そしてその事実は途端に同室であった一夏への疑問へと変わった。

 

「そう言えば織斑君、デュノアさんと同室だったよね。あれ、昨日って確か男子の入浴日……ってことは織斑君!!」

 

その質問と共に皆の視線が一夏に集まっていく。

特に箒やセシリアの視線は凄まじく、総じて皆の視線には同じ意思が込められていた。

 

『知っていたのか』と。

 

その視線を一身に受けた一夏はと言うと、いつもと変わらない笑顔で皆に答えた。

 

「勿論、知っておったよ」

 

「「「「「「「「「「なっ!?」」」」」」」」」」

 

そのことに再びショックを受ける皆。

特に箒とセシリアはそのショックから怒りがこみ上げてきている。

そしてそのことを知らない生徒は、さらに一夏に聞く。

 

「知っててお風呂に入ったの? それに知ってたんなら、何で先生に言わなかったの?」

 

その質問に一夏はにんまりと笑みを浮かべた。

 

「何故か? と聞かれれば……其方の方が面白いからに決まっておろう!」

 

(((((((はぁ、やっぱり…………)))))))

 

この面白そうなことは何でも楽しむ婆娑羅者のことを、皆はしっかりと理解してきていた。

それに更に波を起てるように、一夏は当然のように胸を張って話す。

 

「そして美少女との混浴と来れば、勿論楽しんでこその男の子(おのこ)よ! 思う存分見させてもらったわ!」

 

その言葉を聞いて顔を真っ赤にさせる女子達。

その真偽を問うかのようにシャルロットを見ると、シャルロットの顔はまるで熟したリンゴのように真っ赤になっていた。気のせいか頭から蒸気を発しているようにも見える。

それを見て真実だと理解した少女達は、羨ましいやら恥ずかしいやらで言葉が紡げなくなってしまう。

そして一夏に惚れている箒とセシリアは羨ましいという心と共にこみ上げてきた怒りが限界を突破しかける。だが、ここではそれでも何とか堪えた。

一夏がそういう『スケベな奴』だということを、このクラスにいる二人には身に染みて分かっているからだ。だが、それで事態は丸く収まらない。

急に教壇近くの壁が破壊されたのだから。

破壊された壁の向こうから現れたのは、ISを展開した鳳 鈴音である。

 

「一夏ぁぁぁああああああああああ!!」

 

その叫びと共に受かべている表情は憤怒である。

その阿修羅の如き表情に皆の顔が恐怖で凍り付く。

この表情から、先程のシャルロットとの混浴等の件について知ったからだと判断出来るが、一体どうして隣のクラスの人間がそれを知ることが出来たのかは甚だ疑問である。

一組に強制侵入してきた鈴は血走った目で一夏を見つけるとその怒りも顕わに吠える。

 

「死ねぇぇぇえええええええええええええええええええええええええええええ!!」

 

その叫びと共に肩の不固定部分の衝撃砲『龍咆』が展開し最大出力で一夏へと向けられた。

 

「おやおや、これはこれは」

 

対して一夏はいつもと変わらない。

この窮地に対しても面白そうだと楽しんでいるからだ。

そして衝撃砲は発射された。

その事に皆身構えたが、いつまで経っても衝撃も何も来ない。

その事に目を瞑ってから少しした後に気付き、皆が目を開けるとそこには……

 

ISを纏ったラウラが立っていた。

 

その姿は試合の最後辺りに見た、あの『暮桜/』である。

ラウラは突き出していた左手を戻すと、一夏の方に振り向いた。

 

「確かAICとか言ったのう。その状態でも使えるのかな?」

「ああ、どうやらそのようだ。今更気付いたがな」

 

どうやらAICを作動させて衝撃砲を防いだらしい。

そのため教室が無事だったことに皆安堵する。

そしてラウラは一夏を見ると顔を赤く染めて見つめてきた。

 

「そ、その……お前の窮地を助けてやったんだから、ご、ご褒美を貰いたい………で、出来れば色々されたいし……」

 

そう言うラウラの顔を見て、この場にいた全員が悟る。

ああ、これはまた一夏が墜としたのだと。

まさに恋する乙女の表情をしたラウラに、一夏はいつもと変わらない笑みを浮かべる。

 

「ほう、それはつまり………また揉まれたい、ということかな」

「ぁぅっ~~~~~~~~~~~~!」

 

ラウラは途端に顔から湯気を出ししおらしくなる。

それが恥ずかしいけどしてもらいたいということに、一夏は気付いている。

故ににんまりと笑った。

 

「まったく……愛い奴よ」

「っ~~~~~~~~~~~~~~~!」

 

そのまま身体を抱き留められ、腕の中で大人しくなるラウラ。

そして一夏の手がラウラの胸に触れようとした時、それまで耐えていた者達の怒りが限界を超えた。

 

「「「「一夏ぁぁあぁああああああああああああああああああああああ!!」」」」

 

箒・セシリア、そしてさっきまで暴れていた鈴。何よりも今日正体を明かしたシャルロットが顔を真っ赤にして怒る。

 

「一夏、貴様ぁ~、またか!」

「一夏さん、不潔ですわ! やるんなら私だけにしてくださいまし」

「一夏、一体ナ二やってんのよ!」

 

怒る三名にシャルロットが止めを刺した。

 

「昨日、あれだけ僕のむ、胸を一杯触ったのに! あの所為で僕、未だに身体が火照って仕方ないのに~!」

 

その言葉を聞いて残りの三人は阿修羅の如き表情で一夏へと襲い掛かった。

 

「むぅ、せっかくのご褒美を! 邪魔はさせん!!」

 

それに対しラウラが前に出るが、それを一夏はやんわりと止めた。

 

「もう少し待っておれ」

 

そう言うなり、襲い掛かる三人と一瞬すれ違った。

その途端に三人が脱力し床にしゃがみ込む。

 

「なっ、あ、あ…………」

「先程走った電気みたいな快感は一体……」

「ふ、ふにゃ~~~」

 

顔を真っ赤にして身体に走った感覚にどうして良いのか分からない三人。

一夏は振り返ると、その種明かしをした。

 

「何、驚くことでもない。ただ端にすれ違い様に箒とセシリアの巨乳を揉みしだき、鈴のそのきゅっとした尻を撫で揉んだまでのことよ」

 

一瞬のうちに三人に向かってそんなことをした一夏。

ある意味神業であるが、余りにも無駄な技である誰にも共感は得られないだろう。

 

「皆が欲しがるというのなら、其れがしは望まれるがままに与えよう。それも男冥利に尽きるというものよ」

 

自信満々にそう言う一夏に、三人は文句を言いたい所であったが、少しだけ嬉しくもあった。それ以上に身体に走る快楽で力が入らないので何も言えない。

 

「さて、今度はシャルロット、御主かな。この卑しんぼめ」

「そ、そんなこと……ない……もん……」

 

シャルロットは顔を真っ赤にして否定するが、言っていることと表情がまったく合致していない。

そして一夏は笑いながらシャルロットの胸に手を伸ばす。それを固唾を飲んで身構えるシャルロット。その視線には期待が籠もっていた。

しかし………

 

「そこまでにしておけ、このドピンク脳共がぁっ!!!!」

 

千冬の烈火の如き怒りと共に振るわれた出席簿によって、この怪しげな状態は消し飛ばされた。

その後、千冬によって当事者は全員その場で正座させられ大説教大会が行われた。

皆顔を恐怖で真っ青にしていたが、一夏だけは笑ったままだった。

 

(ふむ……こういう状況もまた面白いというものだ。矢張り人生、楽しんでこそだな!)

 

こうして、一組は新たに賑やかになっていった。

 

 

 

 この後も婆娑羅の道を突き進む一夏によってIS学園は未曽有のセクハラに見舞われるが、それは別の話である。

 

 

 


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