今俺は何故か保健室にいる。
確か自室に戻ろうとしていたはずなのだが・・・・・・
大方疲れで寝落ちして誰かに拾われて保健室に、てところだろう。保健室だと気付いたのは少し後になるが。
目を覚まして一番最初に見た物は、何故か鼻血を出して満面の笑みを浮かべながら気絶してる鈴だった。
最初こそ驚いたが、気絶してる人を放置するなんてことは出来ず、介抱することに。
俺は仕方なく部屋に残ることになった。
少しして扉からノックをする音が聞こえる。
「一夏、無事か!?」
「一夏さん、お加減はよろしいのでしょうか」
「一夏君、体は大丈夫」
箒、セシリア、山田先生がお見舞いに来てくれたようだ。
「ああ、今開けますよ」
今保健室には俺と鈴しかいない。先生は出払っているため、出られる人間は俺だけだ。
俺は扉に近づいてロックを外す。
「「「失礼しまっ!?」」」
三人が俺の姿を見て固まる。
「きゅぅ」
山田先生がそんな可愛らしい声を上げて倒れかけ、
「あ、・・・・・・」
セシリアがフラっと崩れ墜ちかけ、
「う、・・・・・・」
箒が口元を押さえて床にうずくまる。
「どうしたんだ、三人とも」
貧血だろうか? 女性はなりやすいので気をつけてもらいたい。
俺がそんなことを考えてると、三人は俺を指さす。
「「「その怪我は大丈夫「なのか!」「ですの!」「なんですか!」」」」
「怪我?」
そう言われて初めて気がついたが、俺の上半身は血まみれになっていた。
しかもズタボロ。
先の戦いで隠剣・六本骨爪を出したせいだ。コレはもう着れないな。
正宗の特殊機巧、正宗七機巧を使うたびに俺の体と服はボロボロだ。
いくら再生力があったって服は再生出来ない。こればかりは正宗の仕手になってから今でも解決する方法が無いので、未だに頭を抱えている。
「これはもう乾いてるし、怪我だってそんなたいしたもんじゃないから平気だよ。それよりも大丈夫か、三人とも?」
「それだけ血まみれでたいした怪我じゃないわけないだろ!!」
「私達より自分の心配を相手下さいな!!」
「一夏君、やせ我慢は良くないですよ! そんな出血量で無事なわけないじゃないですか!!」
三人はそう言って俺に詰め寄る。
「「「ベットで安静にして「いろ」「下さいな」「いて下さい」!!」」」
言い切る前に俺は取り押さえられベッドに押しつけられる。
「まずその傷を確認しないとな」
「消毒しますわ」
「一夏君は暴れないで下さいね」
しかし俺は抵抗する。何故かと言われれば・・・・・・この三人が服を脱がそうとしてるからだ。
「や、やめ、やめろぉおおおおおおおおおおおおお!!」
俺は暴れるに暴れるが多勢に無勢、上半身を脱がされた。
「「「へっ??」」」
三人が間抜けな声を上げる。
予想していたものが無かったためだ。
傷が無い。
一夏の体には傷一つ無く、よく鍛えられた肉体があるだけだった。
「俺の体に傷が無いってことはわかっただろ。それよりも三人供、はやくそこから退いてくれ。その・・・恥ずかしくないのか・・・・・・」
「「「えっ!?」」」
一夏を取り押さえるために、三人は端的に言って一夏に乗っかっていた。
体を固定するために山田先生が下腹部に乗っかり、セシリアは右腕を、箒は左腕を下敷きにしていた。一夏の力に対抗して押さえつけるには、体重をかけて乗っかかる以上方法がなかった。
正常に頭を働かしていれば、こんなことになるはずなどないのだが、この三人・・・一夏の怪我が心配でそんな余裕が一切無かったのだ。
今の一夏の状態を客観的に見れば、それは複数の女性と情事を重ねている用にしか見えない。
「「「ふぁあああああああああああああああああああ」」」
三人ともそれに気付いたらしく、俺から飛び退いて慌てふためく。そして・・・・・・
「「「パンッ!!」」」
そんな音が聞こえたような気がして頭を上げると、そこには・・・
鼻血を出して崩れ落ちる三人が・・・
俺はその日、四人保健室で介抱する羽目にあった。
余談だが、一夏もこの時はかなり顔が真っ赤になっていた。