装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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今回の被害者は一体誰か……


もしも一夏が別の劔冑を使ったら。 その6

「うぅ~~~、酷過ぎるよ、一夏…」

 

シャルル、もといシャルロットは顔を真っ赤にしつつ目の前の少年、織斑 一夏を睨み付けていた。

デュノア社社長との通信越しの謁見から三日が経った。その間に世間ではデュノア社が突如として六波羅財閥に買収されたことで持ちきりとなった。

そのことでシャルルの扱いが心配になりそうなところではあったが、フランス政府からそのまま代表候補生を継続するようお達しが来た。

これも偏に六波羅財閥のとある役員の御蔭である。影で何をやったのかまでは分からないが……。

その事に感謝はしてはいるが、だからといって目の前で血縁状実の父親の前で気をやってしまい、しかもそれが目の前にいる一夏の所為というのだから許せたものではない。

そんな鬼畜同然な行いをした一夏はと言うと、

 

「そう睨まないでいただきたいものだのう。御蔭でこうしてIS学園にいられるのだから」

「確かにそうだけど、やり方が~!」

「何だ? あの時は御主もノリノリだったではないか。それに案外、悦んでいた気がするがのう」

「っ~~~~~~~~~~!?」

 

ニタニタと笑った一夏にそう言われ、シャルロットは更に恥ずかしそうに顔を真っ赤にして唸る。

事実、あの時は本当に意識が朦朧としていたが、シャルロットは確かに女としての悦びを感じてしまっていた。その所為でその後も身体が疼いて仕方ない日々を暮らすはめにあっている。

そんな目に合わせられていたシャルロットだが何故か一夏を憎めず、寧ろ目が離せなくなるという状態である。

正直惚れてしまっていた。

年頃の少女にあの件は明らかに刺激が強すぎたが、その劇物のせいでこうなったと言えよう。

 

「もう、一夏は~~~~~~~~~!」

 

そう頬を膨らませながらシャルロットは先を歩くが、その顔は恋する乙女の顔になっていた。

 さて、そんな二人が廊下を歩いていると周りの生徒から色々と話し声が聞こえてきた。

その内容は現在、第三アリーナで代表候補生三人が模擬戦を行っているというもの。

その対戦相手を聞くとドイツとイギリス、中国の代表候補生だという。

それが誰なのか、一夏にはすぐに分かった。

 

「ほう、これはまた面白いことをしているのう。さっそく覗きにいくことにしようか」

「確かに候補生三人の乱戦なんてまず見られないしね」

 

シャルロットは感心した感じでそう言うが、一夏はまったく別の意味で楽しみにしていた。

そして二人が第三アリーナへと入っていくと、皆アリーナに夢中になって魅入っていた。

 

「ほぉ~、やってるなぁ」

「うわぁ、三人とも凄い。特にドイツの子は戦術的にも良い動きをしてるよ」

 

アリーナでは見事な乱戦模様となっており、代表候補生達……セシリアと鈴とラウラが入り乱れて戦っていた。

その動きに感心するシャルロット。

一夏も感心したように見ているが、その目は三人のISスーツ姿、正確に言えば揺れる胸やきゅっとしまった形の良いお尻に注目していた。

 

「一夏、凄いよね」

「ああ、そうだなぁ」

 

無邪気に感心し注目するシャルロットに比べて一夏はさわやかな笑顔で見ていたが、その心は実に邪であった。

その試合を見ている内に周りの生徒から何故こんな乱戦になったのかを聞いてみると、最初はラウラが訓練中の二人を挑発したのが原因らしい。

だがそのうち何だか文句の言い合いとなり、気がつけば意気投合して試合するようになっていったとか。

何でそんな事になったのか? それは当事者でなければ分からない。

まさかそこに……

 

『織斑 一夏は何故ああもスケベなのか』

 

なんてことで意気投合するなど誰も思わないだろう。

そんなことで意気投合した三人は更に苛烈に戦っていく。

 

「はぁあああああああああああああ!」

 

鈴が雄叫びを上げながら双天牙月を構え、ラウラに向かって飛び込み斬りかかった。

だが、ラウラが両手を前にかざすと鈴の身体が動きを止める。

 

「中々の踏み込みだが、まだ甘い!」

「ちぃいいいい! やっぱりその兵器との相性が悪いわねぇ!」

 

まるで時を止めたかのように止まっている鈴を見て、一夏は不思議そうシャルロットに聞く。

 

「おや、あれは一体どうなっているんだ?」

「たぶんあれは……AICだね」

「AIC?」

 

不思議そうに首を傾げる一夏を見て、シャルロットは出来の悪い弟に物を教えるお姉さんのような顔になって一夏に説明した。

 

「アクティブ・イナーシャル・キャンセラー。通称AIC、慣性停止能力のことだよ。PICのことは授業で習ったよね。AICはそのPICをさらに発展させたものなんだ。あれはエネルギーで空間に作用を与えて物体の慣性をゼロにして停止させることが出来るんだよ」

「ほぉ~そのような物があるとはのう」

 

一夏はその光景を面白そうに見ていたが、内心ではそれを用いた縛りプレイならぬ停止プレイを考えてニヤリと笑っていた。一夏にとって最新の技術もそんなことに使われてしまう。

そんなことを考えるあたり、彼は本当に下衆いのだろう。

そんなことを一夏が考えている間にも戦いは繰り広げられ、セシリアの射撃がラウラへと襲い掛かる。

それをラウラはAICで防げるものは防ぎ、残りは回避することで避ける。

そしてお返しとばかりにワイヤーブレードを飛ばし、それを巧みに使って攻撃を行っていた。

それによってさらに戦闘は熾烈になっていく。

 

「みんな凄いね。僕、勝てるかなぁ」

 

その戦いっぷり少し不安になりながら一夏を見るシャルロット。

そんなシャルロットに一夏は笑顔で答えた。

 

「大丈夫であろう。御主も負けてはおらぬよ」

「そっか。ありがとう、一夏」

 

一夏に励まされ感謝するシャルロット。

しかし、一夏が答えたのはシャルロットの強さでなく、シャルロットの美少女っぷりであることは本人だけの秘密である。

そろそろ決着が付きそうだと判断した一夏は座っていた席から腰を上げた。

 

「どうしたの、一夏?」

「いや何、ただの厠よ」

 

それを聞いたシャルロットは顔を不思議そうに首を傾げていたが、取りあえずどこかに行くことを察して『行ってらっしゃい』とこえをかけた。

後で箒にそのことを聞いて厠の正体を知ったシャルロットは顔を真っ赤にして、

 

『一夏! もうちょっとエチケットを気にしてよ!』

 

と怒ったのは言うまでもない。

一夏はシャルロットにそう伝えると席を立ち、そのままアリーナの控え室へと向かった。

そして控え室からカタパルトへ向かい、その射出口の所で堂々とアリーナに侵入し三人の試合を眺め始めた。

それにハイパーセンサーが引っかかり、三人が一夏に気付いた。

 

「な、なんでここにあんたがいるのよ!」

「そうですわ! 何故一夏さんがここに!」

「何故貴様が!!」

 

三者三様に反応を返す中、一夏はさわやかに笑いながら三人に答える。

 

「何、魅惑的な肢体が弾む良い光景をもっと間近で見たいと思うてな。ふむ、見た限り………鈴は前とまったく変わっていないようだが、身体が更に引き締まっておるのうとくにその尻は撫で回したいのう。まるで桃のように美味そうだ。セシリアは前より胸が大きくなったようでなによりだ。揉み心地がよさそうだから後で揉ませて貰おうか。そのサクランボはまだ味わっておらぬしなぁ。それとボーデヴィッヒ、御主……若干興奮しておるようだのう。その胸の先………」

 

一夏がそう答えると三人とも顔を真っ赤にしてISを装着をしているというのに身体を必死に隠す。

誰だって本人が分からないのに自分の身体がどう変化しているのか言われれば恥ずかしくなるだろう。それも年若い少女なら尚のことである。

しかも一夏の声はどういうわけかマイクを通して拡大にされたものであり、この試合を見に来ていた生徒には皆に聞こえている。

つまり皆にばらされたということになるのだ

 

「なっ、あんたは~~~~!」

「なっ、なっ、なぁあああああああああああああああああああああああ!!」

「っ~~~~~~!! 貴様はぁ!」

 

三人の顔が見る見る間に真っ赤になっていく。

鈴は怒りで赤くなり、セシリアの目は若干涙を浮かべ、ラウラは羞恥で怒りが上限を突破した。

そしてニタニタと笑う一夏へと三人は同時に振り向いた。

 

「『一夏』『一夏さん』『貴様』!!」

 

そう叫ぶと共に怒りにまかせて鈴は衝撃砲を、セシリアはレーザーを、ラウラはレールカノンを一夏へと撃った。

普通なら一瞬にして木っ端微塵になるであろう砲撃の嵐が一夏へと殺到し、一夏がいた場所は一瞬にして爆発した。

 

「うぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」

 

その爆発の中、一夏が若干煤にまみれた頬を撫でながらひょいひょいとアリーナへと飛ぶ。

それを見て三人はさらに叫ぶ。

 

「「「待てぇえええええええええええええええええええええええええええええええ!!」」」

 

そのまま更に一夏へと砲撃を続ける三人。

それを一夏は実に楽しそうに笑いながら避けていく。

それは既に人の動きを超えていたが、一夏なら出来ると言えばその場にいる全員が納得できる。そんな動きをしていた。

そのまま一夏は笑いながら三人に聞く。

 

「おやおや、いきなりの挨拶ではないか。それがしが何かしたか?」

 

それを聞いた三人はさらに怒り狂いながら一夏へと砲撃を続ける。

 

「「「それをお前が聞くなぁあああああああああああああ!! このドスケベぇええええええええええええええええええ!!」」」

 

それを聞いてやっと一夏は自分が撃たれている理由を理解し、実に愉快そうに笑った。

 

「なんと! たかだかそれがしがスケベだというだけで打つと申すか」

「スケベな奴は悪よ!」

「一夏さんのエッチ」

「貴様はコレまでも破廉恥な真似をしてくれた! 許すわけないだろう!」

 

三人の怒りを聞いて尚大声で笑う一夏。

 

「ただ助平なのが許せないと、たったそれだけの理由で校則違反を犯してでもそれがしを討とうとするか! 実に愉快! 実に素直なその感情は実に面白い!!」

 

「「「ぬぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」

 

 

 

 この後もこの三人と一夏の普通では有り得ない追いかけっこは続き、それは教員が止めに入るまで続いたとか。

尚、コレを見ていたシャルロットは焼き餅をやいて一夏を睨み膨れていたとか。

 

 


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