装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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お気に入りが四人も減っちゃいました! 
けっこうショックです。
そして作者もそろそろネタ切れに近いです。誰か助けて~!(泣き言)

それにしても、最近本当に否定的な意見が多い気がします。
自分の作品ではなく、このサイト全体を見てそういう感想が多い気がしますよ。
何だかギスギスしてきた感じがして個人的にはあまり好きじゃないです。
ああいう意見を書く人ってちゃんと注意事項を読んでいるんでしょうか?


移動中の出来事

 あの約束から数日が過ぎ、あっという間に約束当日となった。

黛先輩曰く、衣装はもう送ってあるので自分達は特に用意する物がないらしい。

なのでいつも出歩く時と同じように持ち物の準備をし、俺と真耶さん、更識さんと黛先輩は一緒に合流した。

 

「おはようございます、更識さん、黛先輩」

「おはようございます」

 

俺と真耶さんが元気よく挨拶を二人にする。

朝の始まりである挨拶は快活に行うことが良い。それが礼節であり、朝からの活力の一歩となる。

挨拶をされた二人は……

 

「お……おはよう……ございます……」

「お、おはよう、二人とも…何でそんな元気なの?」

 

凄い眠そうにしていた。

ちなみに現在の時間は朝六時。やっと陽が昇り始めた頃合いである。

 

「いつももっと早く起きて鍛錬していますから」

「だ、旦那様の付き添いでいつもこの時間には起きてますから…」

 

平然と俺は答え、真耶さんは顔を赤くしながら答える。

それを見て黛先輩はげっそりとし始めた。

 

「うへぇ~、冬で寒いはずなのに、ここだけ暑いわ」

「……同意します…」

 

何故か更識さんも顔を赤くしながらそんなことを言ってきた。

二人とも風邪だろうか? ご自愛いただきたいものだ。

 そんなやり取りをしながら四人でモノレールに乗り、一端東京駅まで行った後に別の電車に乗り換えた。

行き先は国際展示場駅である。そこにある巨大な展示場、別名『ジャイアントサイト』が目的地である。

乗り換えて早速思った事は、あまりも多くいる人達だった。

駅を埋めつくさんとするほど溢れそうな人、人、人の山がそこにはあった。

 

「あの、黛さん……この人達は……」

 

真耶さんが少し驚きながら黛先輩に聞く。その声には若干の怯えが含まれていた。

 

「これはコミックカーニバルに参加する人達です。こんなんで驚いていたら、会場に着いたら腰を抜かしちゃいますよ。これでもほんの一部、それも一般参加者だけですから」

「えぇえええええええええええええええ!? これでも少しなんですか!」

 

そう言われ心底驚く真耶さん。

さすがにこの人数には俺も驚いている。今まで色々な経験をしてきたが、ここまで多くの人が集まっているところを見たのは始めてかもしれない。

妙な緊張で体が強ばっていると、真耶さんが俺の手をきゅっと握ってきた。

顔を見ると、そこには不安そうな瞳が揺れていた。

恋人が不安になっている手前、情けない姿を見せるわけにはいかない。

俺は自らを鼓舞し奮い立たせる。

そして優しく手を握り返してあげると、真耶さんは安心したらしく笑顔を俺に向けてくれた。

ほにゃっとした笑顔に胸がときめく。絶対に守らなくては、と心に決めた。

 

 

「それじゃ電車が来たから、みんな、乗るわよ。中はぎゅうぎゅう詰めで凄い事になっているから、はぐれないように手を繋いでね」

 

黛先輩に言われて皆さっそく電車に乗ることに。

中は言われた通りに凄い込みようであり、人がぎちぎちに詰まっていた。

それに戦く俺と真耶さん。黛先輩は慣れた様子なのか平然と歩き、更識さんは覚悟の決まった顔で乗り込んでいた。

流石に遅れるわけにはいかないと俺達も手を繋ぎながら電車に乗り込んだ。

そして四人で固まりはぐれないようにしていると、人が雪崩込んできた。

 

「くっ」

「きゃっ」

「んぅ」

「ぐぅ~」

 

押し潰されまいと頑張るが、やはり押し潰されてしまい苦悶の声を上げてしまう俺達。

外から駅員が必死に声を上げて人を押し込んでいた。

これはきっとこの車両の許容量を超えていると思う。

 

「こ、これがコミカの風物詩の一つだよ。凄いでしょ」

 

黛先輩が苦しそうにそう言ってきた。

確かにこの人数を通常通りに運べるとは思えないから仕方ないか。

 

「大丈夫ですか、真耶さん、更識さん」

 

心配で声をかけると、二人とも苦しそうにしながらも答えてくれた。

 

「な、何とか…大丈夫です」

「こ、こっちも…平気です」

 

声を聞く限りそこまでまずい状態ではないようで安心した。

黛先輩は慣れているようだが、俺達は始めてのこと。いつ何があるかわからないから、警戒するにこしたことはない。

 そして電車が動き出した。

正常から明らかに離れた程の人数を乗せた車内は何やら蒸し暑く息苦しい。

先程まであった寒さが嘘のように消えていた。

 

「む、息苦しいな。大丈夫ですか、三人とも」

 

すぐにでも心配になり、三人に声をかける。

 

「私は平気。毎度のことだから慣れているしね」

 

黛先輩が普通に答える。

やはり慣れているだけにまったく疲れていないようだ。

 

「はぁ、はぁ…あ、暑い…」

「そうですね。はぁ、はぁ…少し苦しいです」

 

しかし、二人にはきついようだ。

すこしでも楽にしてあげたいが、流石にこの状態では何も出来ない。そのことが心苦しい。

電車が揺れる度に手段で揺さぶられ、そのたびにあちこちから蛙が潰れたような声が聞こえてくる。

無論、此方も例外はなく変な声が出てしまう……主に更識さんと真耶さんから。

 

「んぁっ……んくっ…」

「く、苦しい……んぅ……」

 

それを聞いてなのか、周りにいた男性客が妙に落ち着かなくなっていた。只でさえこんな状況なのだ。丸わかりである。

それに真耶さんは当然であり、更識さんも相当可愛らしく綺麗な人だ。

その二人が顔を上気させ息を切らせながら苦しそう喘ぐのだ。

ある種のものを彷彿とさせてしまい、男性は落ち着かなくなってしまう。

そのせいか、少しだけ真耶さん達の周りにいた人達が離れた。

その御蔭で二人とも少し気を緩められたようで、顔から苦しさが少し無くなっていった。

そのことにホッとしていたのだが、またすぐに問題が起こった。

 

「「!?」」

俺も大体この苦しさに慣れてきたころ、急に真耶さんと更識さんの様子が少しおかしくなってきたのだ。

 

「…っ、や、やめ……」

「っ……んくッ……ヤッ!」

 

顔を赤くして、何か恥ずかしそうな、嫌な感じに見を振るわせ始めた。

さて、この満員電車でそんな顔をし始める女性がするということは、どういう場合だろうか?

勿論答えは決まっている。

そう……痴漢である。

それを理解した瞬間、俺は頭に一気に血が昇った。

よりにも拠って恋人が目の前で痴漢にあっているのだ。している人間を許せるほどに、俺の精神は温和ではない。

しかも更識さんのようなか弱い(勿論真耶さんもほ方がか弱い)女性に、この状況を利用して手を出してきたのだ。そのような不埒な振る舞い、正義を成す者として許せる訳が無いのだ。

捕まえて次の駅で駅員に突きだしてやろうと体を少し捻って二人の後ろを見てみると、更識さんのお尻を毛深い手がスカート越しに撫で回していた。そして真耶さんの方は細い骨張った手が短いスカート越しに撫でていた。

二人とも羞恥で顔を真っ赤にして堪え忍んでいた。

そして偶にぎゅっとお尻を掴まれる。

指が柔らかなお尻に沈み込み、二人から苦しそうな嫌そうな声が少し上がっては声を押し殺していた。

しかも真耶さんの方はもう片方の手を真耶さんの胸の方に動かそうとしていた。

 

それを見たらもう駄目だ!

 

そのまま両腕を動かして二人のお尻を触っている手を掴み、力の限り握り上に突きだした。

ゴリュッゴキ、と骨が砕け折れる感触が掌から伝わってきたが容赦する気は無い。

 

「「ぎゃぁああああああああああああああああああああああああああ!!」」

 

それと同時に電車内で上がる野太い悲鳴。

周りにいたお客さんが何事かと騒ぎ始めたので、声を大きくして周りに言う。

 

「この者達は痴漢を働いた狼藉者だ! 故に捕えた!!」

 

そう言った途端に周りのお客さんからひそひそと話し声が聞こえてきた。

 

「痛てぇ!? いてぇよぉおおおおおおお!!」

「わ、私の手がぁああああああああああ!!」

 

俺に手を捕まれた痴漢は自分の手に襲い掛かった痛みに悶えていた。

周りにいたお客さんが退いてくれたことにより痴漢の全貌が顕わになった。

一人は猿のような毛深い男で、もう一人は骨のようにやせ細った男であった。

真耶さんと更識さんを見ると、二人とも安心してか涙目になっていた。

それを見てますます義憤が沸く。絶対に許せん!

そして駅に止まり次第、俺達四人は電車を降りて近くにいた駅員にこの二人を突き付けた。

 

「すみません、この二人は痴漢です。即刻警察に突きだして下さい」

 

俺はこみ上げる怒りを何とか堪えつつ駅員にそう言うと、駅員は困惑した様子で対応する。

 

「俺達は何もやってねぇよ! 言いがかりだ!!」

「そうだ!何を証拠にそんなことを決めつけるっていうんだ。何もないのに……冤罪だ!」

 

捕まえた痴漢達は口をそろえてそうわめき散らす。

その反応に駅員はさらに困っていた。

すると黛先輩が近づいてきた。

 

「証拠ならあるよ。ほら」

 

そう言ってみんなに見えるようにデジカメに写真を映した。

そこには二人のお尻を指を食い込ませて撫で回す二つの手をが映し出されていた。そして毛深い手に巻かれた腕時計と、骨張った手に付けられたアクセサリーがつけられていた。

捕まえた痴漢二人の手にも、写真とまったく同じ物がつけられていた。

 

「ね。これは立派な証拠でしょ」

 

黛先輩はにんまりと笑って二人に見せつける。

痴漢二人の顔はこれを見て真っ青に染まった。

 

「どうやら…言い逃れは出来ないようだな」

 

俺がニヤリと殺気の籠もった笑みを向けたら、途端に二人は怯え始めた。

駅員さんもそれではと納得して二人を連行しようと動いた。

すると……

 

「くっそぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

「捕まってたまるかぁああああああああああああああああああああ!!」

 

二人は捕まりたくないと喚きながら逃げ出した。

その先には真耶さんと更識さんが立っている。

 

「「ひっ!?」」

 

必死な形相を浮かべ其方に走っていく痴漢二人に怯える真耶さんと更識さん。

これ以上二人を怖がらせる訳にはいかない。

俺は縮地を使って走ってくる痴漢二人と真耶さん達の間に入り、痴漢達の前に立ちふさがる。

 

「逃げるな! 大人しく縛に付け!!」

「うるせぇえええええええええええええええええ!」

「お前が何かいなければぁあああああああああああああああああ!」

 

俺の声に痴漢二人が叫びながら殴りかかろうとしてきた。

それを見て、往生際の悪さに呆れかえる。

 

「かぁっ!!!!」

 

そのまま殴りかかってきた二人に手加減無しで一撃ずつ拳を顔面に撃ち込む。

 

「「っ!? …………げはっぁ」」

 

そのまま痴漢達は吹っ飛ばされ、駅の壁に叩き付けられた。

二人の顔面は鼻が見事に潰れ鼻血を噴き出し、そしてそのまま崩れ落ちて気絶した。

 

「大人しく縛につかないからこうなる。自業自得だ」

 

そう痴漢達に言うと、駅員さんに改めて痴漢を突き出すのであった。

 

 

 

 痴漢を捕まえたことに褒めてもらったが、御蔭で遅れてしまった。

そのことで黛先輩に申し訳無く思い謝ったのだが、

 

「何で私だけ痴漢されないの……」

 

と、いじけていた。

されないに越したことはないのに、何故この人はこんなにショックを受けているのだろうか?

 

「お、織斑君、ありがとう!」

 

更識さんは本当に怖かったようで、とても感謝していた。

正義を成す者としては当然である。

それにもし俺ではなく会長だったのなら、今頃痴漢二人にISを展開して襲い掛かっていたかもしれない。

会長は更識さんを溺愛しているから、してもおかしくない。だから俺であって本当に良かったと思う。

 

「だ、旦那様、怖かったです」

 

真耶さんも相当怖かったらしく、俺に泣きながら抱きついてきた。

恋人に怖い思いをさせてしまったことに悔いつつも、安心してもらおうと優しく頭を撫でる。

 

「もう大丈夫ですからね。すみません、気付くのが遅くなってしまって」

「いいえ、旦那様が助けてくれなかった今頃……だからそんなこと言わないで下さい。旦那様の御蔭で無事だったんですから、もっと誇って下さい。本当に怖かったですから、私、旦那様に助けてもらえて嬉しかったです」

 

俺が悔いながらそう伝えると、真耶さんは笑顔でそう答えてくれた。

それが有り難くて仕方なかった。

 そして遅れを取り戻そうと電車に乗り込む俺達。

せめてもの恩返しと駅員さんが席を二つだけ確保してくれた。

誰が座るかという話になったとき、俺は更識さんと黛先輩に譲ることにした。

黛先輩が助けてくれなかったら痴漢を取り逃したかもしれないので、その恩返しだ。更識さんは疲れていそうだったから。

二人にそのことを伝えると、照れつつも受け入れてくれた。

だから二人は席に座り、俺と真耶さんは二人の近くで立っていることにするのだが……

 

「旦那様……もっとぎゅっとして下さい」

 

真耶さんが満面の笑顔で俺に抱きつく。

俺は恥ずかしさで顔を赤くしつつも、真耶さんを抱きしめ返した。

俺達は列車の端の席近くで、お互いにぴったりと抱きしめ合っていた、

真耶さん曰く、

 

「旦那様が抱きしめてくくれれば、絶対に痴漢なんてきませんから」

 

だそうだ。

まぁ、明らかにくっついてる人間に痴漢しようとする輩はいないだろう。

俺に思いっきり抱きしめられ、真耶さんはとろけた表情になり甘い声で俺に囁く。

 

「はぁ……やっぱり旦那様だと安心します。同じドキドキするでも全然違いますから。だから旦那様、私を守って下さいね」

 

潤んだ瞳で見つめられ、俺はドキドキしながらももっと抱きしめ返し笑顔で返す。

 

「はい。どんなものからも絶対に守りますよ」

「はい。約束ですよ……ちゅ」

 

そのままキスをされてしまい、只でさえ暑いのに顔がさらに熱くなるのを感じた。

 

(あぁーーーーーーーーーーーー、もうっ、本当にこの人は………可愛いんだから!!)

 

そんなことを思いながら幸せで胸を一杯にしながら抱きしめ合い、電車に揺られてやっと俺達は目的地である国際展示場駅についたのだった。

 

 

ちなみにこの二人の様子を見た簪と薫子は、

 

「もうこの二人だったら、絶対に優勝じゃない」

「はい、そうですね…」

 

と顔を赤くしつつもどこか達観していた。

 

 

 

 


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