装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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何だか最近スランプ気味ですね~。
む、難しい……


モデル撮影 一夏と真耶

 次に俺の撮影に入り、控え室でさっそく渡された服に着替えるのだが……

 

「俺にこんな服が似合うのだろうか?」

 

俺は渡された服を見ながらそう感想を洩らす。

渡された服、それは派手な柄のシャツに膝が隠れるサイズの半ズボン。それにスニーカーと前に鐔のついた帽子という物だった。ご丁寧にスケートボードも渡された。

所謂遊び人といった感じの服装。

いや、それはこの年齢ならば着てもおかしくない服だ。だが、それを俺が着るというのは……

違和感しかない。

だが、これも仕事だ。受けたからにはこなさなければ。

俺はそう思い、違和感を感じながらも服を着てスタジオへと向かった。

 

 

 

 スタジオに到着し、写真を撮る前に雷蝶様達の元に向かう。

 

「これは流石にどうかと思うのですが? 自分にはこういう服装はちょっと…」

「そんあことないわよ。似合ってるじゃない」

 

雷蝶様に感想を聞いたら普通にそう返された。

この人の見る目は確かなので、似合ってるかもしれないが流石に心配になってしまう。

なので真耶さんとマドカにも感想を求める。

 

「流石に自分には似合わないと思うのですが……」

 

頬を掻きながらそう聞くと……

 

「いつもと違って新鮮で格好いい……」

 

真耶さんは俺の姿を見て、顔を赤く染めてポォーっとして見つめていた。

そう言われると恥ずかしくなってきてしまう。

 

「いつもとまったく違う服装だな。兄さんは格好いいから、何を着たって格好いいぞ!」

 

マドカは俺の姿にテンションを上げていた。

いつもと違う俺の姿が見れて嬉しいらしい。

二人からもそう褒められ、俺は何とも言えない気持ちになってしまう。

いや、歳を考えればおかしい服装ではないのだが。

どうやら違和感を感じているのは俺だけのようだ。

そのままぐだぐだとしても仕方ないと思い、さっそく写真を撮影することにした。

 

「はーい、さっそくポーズとってみましょうか!」

「こ、こうですか?」

 

スタッフの方に指示を出され、言われた通りにポーズを取ってみるのだが、これが中々に難しい。

微妙な立ち位置や重心の変更など、細かく注文されながらも何とかポーズを取っていく俺。

何とかそのまま写真を撮り、内心で疲れながらも写真を撮り終えた。

そして別の衣装に着替えるために、また控え室へと向かうことにした。

控え室に入り、渡された服に着替える。

今度はジーパンに長袖のシャツ。そして革ジャンを渡された。

私服に近い服装なのでそこまで違和感がないが、革ジャンなどは初めて着るので何とも言えない。

もう自分の感性ではこういった服が似合うか分からないので真耶さん達に見て貰うしかない。

俺は素早く着替えると早足でスタジオへと歩く。

 そして早速真耶さん達に感想を求めてみる。

 

「革ジャンなど初めて着てみるので似合ってるか分からないのですが、どうでしょうか?」

 

そう聞くと、雷蝶様はさっきと同じように似合っていると言ってくれた。

そして真耶さんはというと、

 

「わ、ワイルドな感じがして素敵です~~~」

 

と顔を真っ赤にしてテンションを上げていた。

いつもと違う荒々しい感じにクラクラしているようだ。

そんな真耶さんも可愛くて、俺はついつい笑ってしまう。

 

「凄いワイルドな感じだな。いつもと全く違うぞ!」

 

マドカは兄のまた違った姿が見られ嬉しいようだ。

妹に喜んでもらえるのは兄冥利に尽きる。

二人からの声援を受け、俺はまた撮影していく。

最初は順調にいっていたのだが……

 

「は~い、そこで挑発的な視線をこっちに向けて!」

「ちょ、挑発的ですか!?」

 

と言われ自分なりにやってみるのだが、これがさらに上手くいかない。

それからも四苦八苦するが、全然出来ないのだ。もともと人に挑発するようなタイプではないので、どんな顔をすれば良いのか全然分からない。

そうしている内に雷蝶様に撮影を止められてしまった。

 

「あなたが真面目なのはわかるから、そういうのが苦手なのは分かるけなんとかしなさい」

「す、すみません……」

 

既に雷蝶様にバレている通りであり、分かってはいるが申し訳無い気持ちで一杯である。

その後どうすれば良いかと悩んでいると、真耶さんが俺に何か言いたそうにしていた。

 

「どうしたんですか、真耶さん?」

「あ、あの…刀を出してみてはどうですか」

「え? それって…」

 

急に言い出したことに戸惑ってしまい、真耶さんが慌てて補足をいれる。

そんな慌てた姿も可愛いから、俺はついつい笑ってしまっていた。

 

「えっと、あ、あの…旦那様が挑発が苦手だって言ってましたけど、結構武者として戦ってるときは出来てるんですよ。だから刀を出せば武者っぽいから出来る様になるかなって思いまして。それに…そういうのは伊達さんとかが得意そうな感じですし」

 

そう言われてやっと分かった。

確かに言われてみれば、武者として死合ってるときは結構相手を煽るのに挑発していることも多かった。普段と違い、武者として戦っているので意識していなかったのだ。それに伊達さんはしょっちゅう人を挑発していた。つまりあんな感じにすれば良いのか。

 

「わかりました、ありがとうございます。御蔭で大体わかりました」

 

真耶さんに感謝してお礼を言うと、真耶さんは顔をさらに赤く染めた。

 

「そ、そんな……いつも旦那様のことは見てますから……これも妻の役目です…ポ…」

「うっ……」

 

そんな顔を真っ赤にして潤んだ瞳で見つめられては、色々とくるものがある。

その分気恥ずかしくもあるのだが……嬉しいものもある。

さっそく真耶さんの提案を受けて、俺は正宗を呼ぶ。

 

「正宗、斬馬刀を頼む」

『何故我が見せしめのために刀を渡さねばならぬのか……はぁ』

 

正宗は不満を口にしながらもスタジオに入り斬馬刀を渡してくれた。

後でお礼をしなければいけないな、と思いながら俺は斬馬刀を抜く。

スタジオのスタッフの人達は特に慌てる様子が全くなかった。一応ここも六波羅。武者に関しては皆知っているようだ。

 

「それでは刀を持って、さらにいってみましょうか!」

 

そのかけ声と共に撮影が再会された。

するとさっきまでとは違ったことに……

 

「もっと構えなさい! そうよ、そう、そこ!」

 

何故かこの服装で刀を構えることに。

雷蝶様が細かく指示を飛ばしていく。この人も武者なだけに、その指示は的確だ。

 

「もっと相手を挑発するような視線をくださ~い!」

 

そう言われ、頭の中で仮想の武者に向かって挑発するような視線を向ける。

こんな感じだろうか?

 

「もうちょっとお願いします! もっと煽って煽って!」

 

まだ甘いらしい。

しかし、これ以上どうすれば良いのだろうか? そう考えていたら真耶さんから大きな声がかけられた。

 

「旦那様! 実際に挑発して下さい!!」

 

真耶さんが言いたいことが分かり俺は笑顔で返す。

真耶さんは俺の笑顔を見て嬉しそう笑顔になるが、さっきあげた大声を思い出して一気に顔を真っ赤にした。心なしかスタッフの人達からニヤニヤとした笑みを浮かべている気がする。

これは恥ずかしい。

俺は恥ずかしさを紛らわせようと、カメラに向かって台詞を吐くことにした。

 

「その程度の腕前で死合おうというのか……この程度では当方に傷一つ付けられんぞ? そんな腕で当方に挑もうとは……恥を知れ、この痴れ者め!」

 

死合いの時にに言うように、本気で殺気を込めた叫びがスタッフに叩き付けられる。

あまりの殺気に二人ほどスタッフが気絶し、カメラさんが無言でシャッターを切っていた。

 

「旦那様、格好いいーーーーーー!」

「そう言えば初めて戦った時もあんなことを言っていたっけか……前は分からなかったけど、今は凄く格好いいな!」

 

真耶さんが顔を紅潮させて声を上げ、マドカがしみじみと昔を思い出しながら喜んでいた。

大好きな人に格好いいと言われるのは嬉しいが恥ずかしくて、俺は赤面してしまう。

そしてしばらく写真を撮影した後、、カメラさんからお褒めの言葉を貰った。

 

「いいですよぉ! 凄くいいです!! あまりの怖さに少しちびっちゃいましたよ、マジで!」

 

少し汚いことも聞いたが、上手くいったのならよかった。

ちなみに気絶したスタッフは他のスタッフに運ばれていった。申し訳無い。

こうして、何とか革ジャン姿での撮影を終えた。

 

 

 

 そして今度はカジュアルなスーツ姿での撮影になり、今回からは真耶さんと一緒のツーショットとなっている。

真耶さんは最初に着ていた服装になり、化粧も綺麗にしてやってきた。

 

「旦那様、一緒に頑張りましょうね」

 

俺にそう元気よく声をかける真耶さんだが、俺は気が気では無かった。

間近でみると、改めて凄い。

いつもより格段に大人っぽく、開いた胸元の谷間や短いスカートから除く真っ白な足が目に入り、いつもとは違った甘い香りを全体から感じる。確かバニラパフュームだったか? その香りに当てられ、心臓がさらに早鐘を打つ。

綺麗で美しくて艶っぽくて……俺は自分の顔が真っ赤になっているのが嫌でも分かった。

赤面している俺を見てか、真耶さんも顔を赤くしながら恥ずかしそうに言ってきた。

 

「そ、その…旦那様のその恰好も…凄く格好いいです。正直、クラクラしちゃいます」

 

そう言われ、俺は更に嬉しくなってしまう。

そのままお互い恥ずかしさで無言になってしまうが、気まずくはない。

お互いに見つめ合い、しばらくじっとしてしまう。

 

「そこの二人! イチャつくのは撮影が終わってからにしなさい!」

「「す、すみません!」」

 

雷蝶様に怒られてしまい、慌てて俺と真耶さんは離れる。

ちょっと暴走したというか何というか……ともかく恥ずかしい。

真耶さんは顔がトマトのように真っ赤になっていた。はぁ、恥ずかしがる真耶さんはとくに可愛くて仕方ない。

そしてさっそく二人で撮影することになった。

二人で寄り添って色々なポーズを取ったりしていく。最初のころは緊張で強ばっていた真耶さんも、今では楽しそうに笑っていた。こんな笑顔が見られるのなら、この仕事を受けたのも当たりだと思う。

そして撮影は進んでいき、

 

「は~い、二人で抱き合って下さい! そう、腰と腰に手を回して!」

 

とスタッフから指示を飛ばされ、その通りに動く。

真耶さんの腰に手を回し抱き寄せると、真耶さんは顔を恥ずかしそうに赤らめていた。

 

(うっ……改めて腰を抱いてみたけど、凄く細い。しかも甘い香りが更にして、胸がドキドキして仕方ない)

(うわぁ~! 改めて腰に手を回しましたけど、凄くがっしりしてる。それに旦那様の匂いがさらに強くなって……あ、ぁぅ~~~ドキドキして仕方ないですよ~~~)

 

少しぎこち悪くなりつつもお互いに腰に手を回して抱き合うのだが……

 

「まだよ! もっと美しく出来るはずよ!! もっと情熱的に抱きしめなさい! もっとよ!」

 

雷蝶様がかなり興奮した様子で俺達に指示を飛ばしていた。

それがさらに恥ずかしい。だが、俺自身、それを心のどこかで望んでいた。

だから……

俺はもっと力強く真耶さんを抱きしめた。

柔らかい感触が体中に伝わり、甘い香りが胸一杯に満たされる。

 

「きゃっ!? 旦那様?」

 

真耶さんは急にされたことに驚いていたが、すぐに受け入れて俺を抱きしめ返してくれた。

そのせいで更に心臓がときめいて仕方ない。

 

「そうよ! もっと大胆に、且つもっと繊細に。それが美よ!」

 

雷蝶様がそう大声で言う。

そんな物だろうか? と思っていると、真耶さんが幸せそうな顔で俺を見つめてきた。

 

「だそうですよ。なら、もっと一杯くっついてもいいですよね」

 

どうやら真耶さんの中にある何かのスイッチが入ったらしい。

その後、俺と真耶さんはさらにくっつきながら撮影していく。俺は恥ずかしかったが、真耶さんはどこかノリノリになって言われた通りのポーズで俺にくっついてくる。

そんな嬉し恥ずかしの撮影が続いていき、最後の写真を撮ることに。

 

「それじゃあこれで最後です! 織斑さんはそこのソファに横になって、山田さんはその上に覆い被さって下さい。それで織斑さんを挑発するような視線でみつめてくださ~い!」

 

とスタッフに言われたのだが、それは明らかにおかしい。

 

「少し待って下さい。これは『服』のモデルですよね!? 今取ろうとしている写真は全く服が映らないと思うのですが」

 

おかしいと抗議の声を上げるのだが、雷蝶様が興奮した様子で答えた。

 

「今回は雑誌のピンナップも兼ねてるのよ! だから寧ろ撮るべきよ!! 美しいものに貴賤無し、だから問題無しよぉ!!」

 

と力説されてしまった。

 

「旦那様、そうみたいなので頑張りましょ。ね」

 

その指示に真耶さんは嬉しそうに頷き、俺をソファに押していく。

俺は仕方なく横になると、真耶さんが上に覆い被さってきた。

服装の事もあってか、凄くドキドキしてしまう。

何よりも、真耶さんがいつもとは違った年上っぽい顔で俺を見つめている。

 

「こうしてみると、旦那様は可愛いですよね~。食べちゃいたいくらいです」

 

蠱惑的な声にぞくぞくしてしまう。

まさに挑発的であり、いつもと違った真耶さんに俺はクラクラしてしまう。

そしてシャッターが鳴り響き、撮影されていく。

すると真耶さんは俺を優しく見つめながらお礼を言ってきた。

 

「このお仕事が出来て本当に良かったです。ありがとうございます、旦那様……ちゅ」

 

そして唇にキスされてしまった。

俺はそれに気づき、顔を赤くしてしまう。

 

「おまじないのお礼です」

 

真耶さんはそうお茶目に言って笑うが、俺はその可愛らしさにノックダウンしていた。

これも当然撮られており、後日写真が渡されたのはいうまでもない。

 こうして、俺の撮影は何とか終わった。

 

 

ちなみに……最近マドカはこういうのに興味を持ち始めたのか、この撮影の時に両手で顔を隠していたが、ちゃっかり目の部分は隙間が空いていたとか。

 

 

 

 

 

 

 


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