装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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凰 鈴音、大爆発!

あれから箒を復活させて訓練を再開した。

当たり前のことながら力は半分に抑えて行うことに。

そして一時間が経った。

 

 

 

「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・・・・」

「大丈夫か、箒? てどう見たって大丈夫じゃないな」

「一夏さん・・・それは一夏さんが言って良いこととは思えないのですけど・・・」

 

俺は正宗を解除して、アリーナの地面で満身創痍に横たわる箒を心配したが、セシリア何故か言われてしまった。

俺と箒が訓練を再開してからすぐにセシリアも来た。

箒を羨ましがって自分も訓練に参加すると言ってきたのだが、俺の体は一つしかないので二人同時には訓練は出来ない。すればそれは訓練ではなく、ただの乱戦だ。

 

しかし、その十分後にはセシリアは顔を青くしながら断ってきた。

 

「一夏さん、私には一夏さんの相手を出来るほど接近戦はうまくありませんので、やっぱり今回は辞退します。ですが普通の戦闘訓練なら喜んで参加するのでお声をかけて下さいな」

 

と言われた。断るのはいいのだが、何故顔が青いのだろう? この季節は風邪を引きやすいので気をつけてもらいたい。

 

そのあともセシリアは後学のために見学させてもらいますわ、と言って俺達の訓練を見学していた。

そして今に至る。

 

「箒はもっと機体のことを知るべきだ。ISは生身とは違うのだから、ISでの足の使い方というものが在るはずだ。それを学べばもっと強くなるぞ」

「そうですわね。箒さんはつい癖で剣道の足裁きを使いがちですけど、ISは浮いてるのですから、あまり意味はないですわよ。もうちょっとISについて勉強するべきです」

「ぜぇ、ぜぇ・・・そう簡単にいうな。むしろなんでお前達がそんなに強いのか聞いてみたいくらいだ」

 

箒は少しは回復したらしく弱々しいが返事を返してきた。

 

「今日はもう疲れただろ。ゆっくり休んで動けるようになったらシャワーでも浴びてきな。俺後で平気だから」

「ああ、ありがたく使わせて「一夏っ! お疲れ様!」ちっ、誰だ!」

 

声がした先に振り返ると、鈴がアリーナに入ってきた。さっき誰か知らないが舌打ちした奴いなかったか? あれは駄目だぞ、失礼だから。

 

「はい、これ差し入れ! タオルと飲み物」

「おお、有り難い。悪いな、鈴」

 

鈴は差し入れを持ってきてくれたようだ。しかし人数分は当然無く一人前だけ。

 

「鈴、たぶん俺への差し入れだってことは分かるんだけど、悪いけど箒にやってもいいか?」

「え、なんで! 一夏のために用意したのに!」

「あれを見たらわかりますわよ、その理由」

 

怒る鈴にセシリアが指をさして言う。その先には未だに満身創痍で倒れている箒が・・・

 

「あ、あ~。あれじゃ仕方ないわね」

 

鈴もさすがにこの差し入れが誰に必要なのか理解したようだ。

俺は鈴から受け取った差し入れを持って箒に向かう。

 

「箒、スポドリもらってきたぞ。持てるか?」

「・・・・・・すまん、まだ腕一本も動かせないみたいだ・・・・・・」

 

箒はまだ動けそうに無い。しかし、見た感じ結構な汗をかいているみたいだ。水分補給は早めにさせたほうがいいな。

 

「仕方ないか。箒、体を支えてお前に飲ませるから、焦らずにゆっくり飲めよ」

 

俺は箒の上半身を抱えて支えながら、口を開けたスポドリを箒の口に添えてゆっくりと斜めらせる。

 

「なっ!?」

「「ああっ! 何「してるのよ!」「してるんですの!」」」

 

箒の顔が熟れたトマトのように真っ赤になった。脱水症状の初期状態に似てる。ちゃんと水分を取らせないとな。

セシリアと鈴が悲痛そうでどこか羨ましいような声を上げる。

何してるかって言われてもな。病人介護としか言いようが無い。

 

「っっっっげほ、ごほ、ごほ」

「すまん、大丈夫か。もう少しゆっくり傾けるな」

「い、いや大丈夫だ。もう少しこのままでも・・・・・・」

「何か言ったか?」

「いや、何でも無い・・・」

 

箒はそのあと、ゆっくりとにスポドリを飲み干した。

その間に体力も回復してきたらしく、歩けるくらいには回復した。

 

「一夏さん、それじゃ先に寮に戻ってますね。さっきの約束、絶対に忘れないでくださいね!」

 

箒の介抱を終えたあとにセシリアが詰め寄りながら俺にある約束を取り付けていった。

内容は、こんどの訓練は絶対に私に付き合っていただきますわ。絶対です、とのこと。

別に訓練に付き合うのはいいのだが、妙な迫力のせいで考える間もなく頷かされた。しかし先ほどと違ってやる気が十分以上に感じられた。やる気があることは良いことだ。

 

「一夏、私は先に部屋に戻る。さっきのは、その、うれしかったぞ・・・」

「何か言ったか、箒?」

「い、いや、何でも無い。それでは後でな」

 

そう言って箒も寮に帰っていく。心なしか顔が紅かったような気が。

 

「一夏・・・今のどういうこと? 先に部屋にもどるとか・・・後でとか・・・」

 

鈴が何故か心配そうに聞いてきた。気になることでもあるだろうか。

 

「? ああ、俺の入学が特殊過ぎたせいで部屋を用意できなかったらしい。だからちゃんとした部屋が決まるまではあいつと同室なんだ」

「はぁ!? それってあの子と寝食を共にして、朝はおはようから夜はお休み、までつきっきりってこと!?」

「大体そうだが、そこまでは言ってない。千冬姉の進言であいつと同室になったんだろ。あいつとは幼馴染みで古い付き合いだからな」

 

そう答えると鈴は少し沈黙した。

何というか、爆弾が爆発する一瞬の間に雰囲気が似てる。本能が警戒を促し始めた。

これから何かでかいことが来る、気をつけろ、と。

そして予想どおり、鈴は感情を爆発させた。

 

「・・・・・・たらいいのね・・・・・・幼馴染みだったらいいわけね!?」

 

そう大声で叫んだ鈴は凄い勢いでアリーナを飛び出して行った。

俺は一人で取り残され、何故か風が吹き抜けていった気がする。

 

ああ、嫌な予感がしてしかたない。


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