装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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これで合コンは終わりです。


合コン終了。

 平穏に済まない王様ゲームも何とか終わり、この合コンもそろそろ終わりへと差し掛かっていた。

その後も何だかんだで合コンは進んでいき、それなりに楽しかった。

この話を聞いた時はどうなるかと心配したが、何とかなりそうだ。そのことにホッとする。

発端となった彼女達には、満足してもらえたようだ。これで文句は言われないだろう。

こちら側としては、案外悪くない反応だ。

獅子吼様はそれなりに楽しかったからか機嫌が良かったし、弾は如月さんと結構仲が良くなったらしく、連絡先を交換していた。伊達さんは……どうなんだろうか? この人の場合、獅子吼様以上にある意味分かり辛いいから、イマイチ掴み辛い。

 そろそろお開きということで帰り支度を始めつつ、各陣で感想を話し合うことに。

 

「大鳥さんの膝、硬くて良く鍛えられてた。あんな体の人がいたなんて……マジでラッキー! 今日の合コンはマジで当たりだったわよ。ありがとうね、真耶。連絡先ももらえたし、本当についてるわ」

「伊達さん、格好いいなぁ。お菓子作りが趣味っていうことで盛り上がったし、私とは真逆でハキハキしているし陽気で楽しそう。連絡先をもらえなかったのは、ちょっと残念かも」

「最初は年下ってどうかと思ったけど、訂正するわ、真耶。これがあなたの気持ちなのね~。何て言うか、悪くないわね。自分好みに恋人を改造できるっていうのが。逆光源氏かぁ~……音楽も結構良い線行ってたし、連絡先も聞けたから、今回は当たりね」

「みんな満足してくれて良かった~。最初はどうなるかと思ったけど何とか成功みたいだね」

 

 そんなこそこそ話が女性陣から聞こえてきた。

もう何度も言うが、小さく話していても武者の耳には聞こえるのだ。そのことを獅子吼様と伊達さんは分かっているのだろう。笑っていた。

 

「一夏……色々あったけど、今日呼んでくれてアリガトよ。御蔭でお姉さんと連絡先交換出来たぜ」

 

弾は嬉し泣きしながら俺の手を力一杯握って感謝の意を表していた。

嬉しいのは分かるが、あまり強く握るな。どことなく気持ち悪い。

俺はそう思いながら弾に手を自由にさせていた。

 そして会計を済ませ、皆店の外に出て行く。

店の従業員は獅子吼様を見て緊張で顔を笑顔で固めたまましゃべり、声が上擦っていた。

ご愁傷様としか言えず、俺は内心で彼等に同情した。

 

「それでは、今日の合コンはこれにて終了とさせていただきます。皆様、楽しんでいただけたようで何よりです。では帰りも気を付けて帰りましょう………解散」

 

 俺の締めの言葉で皆ばらけ始めた。

弾は満足そうに帰り、獅子吼様は金田さんと会話をしていた所で携帯が鳴り、金田さんに断りを入れてから電話に出た。

 

「何だ……何だとっ!? ……そうか、分かった。こちらで何とかしよう。貴様等はそのまま仕事を続行しろ」

 

 何やら空気が怪しくなってきた。

金田さんが心配して何があったか聞いてきたが、獅子吼様は仕事の事だと手早く説明し、金田さんに失礼が無いよう別れの挨拶をして此方に向かって歩いてきた。

 

「すまんな、織斑。急で悪いが頼みがある」

 

そう俺に言って来た獅子吼様の顔は苦々しい顔になっていた。さっきまでの和やかな雰囲気を壊されたような感じだ。

 

「どうしたんですか?」

「ああ……あの馬鹿(茶々丸)が収録スタジオから逃亡したらしい。奴のことだ、どうせ恥ずかしさのあまり耐えきれなかったのだろう。だが、仕事は仕事だ。見過ごす訳にはいかん。何、どうせ湊斗のところにでも逃げ出すのだろう。貴様から湊斗に言って捕まえてもらえぬか。すぐ此方で回収に向かう」

「分かりました」

 

獅子吼様のお願いを素直に聞き入れ、俺はすぐに携帯で師匠に連絡し茶々丸さんを捕まえておいてもらえるようお願いした。

 そして獅子吼様は部下の人に連絡を取り、急いで茶々丸さんを捕まえに行った。

その様子を心惜しく金田さんが見ていたが、いつまでも立ちすくんでいても仕方ないと如月さんに連れて行かれた。

そして海野さんなのだが……

 

「きゃっ!?」

 

店を出た所で何かに足を引っかけ転んでいた。

その際に足を挫いてしまったようだ。真耶さんが手を貸そうとしたところで遮られた。

 

「この娘は俺が運んでやるから安心しな」

 

と言って、伊達さんがひょいっと持ち上げあっという間に背負った。

その早業に驚く俺。海野さんは急な事に顔を真っ赤にしていた。

 

「つーわけだ。お前んところの嫁さんも結構酔ってんだろ。そっちに集中しな」

 

そう言って伊達さんは海野さんを背負って帰って行った。家の道順でも聞いて歩いているのだろう………多分。

 そして残される俺と真耶さん。

お互いに顔を見合わせ、そして同時に笑った。

 

「それじゃ俺達も帰りましょうか」

「はい!」

 

嬉しそうに頷く真耶さんに手を差し出すが、真耶さんはそれを受け取らなかった。

 

「え?」

 

そう思ったら、真耶さんは俺の後ろに回り俺の背中に飛びついてきた。

背中に押し当てられ潰される圧倒的な質量を持った胸。その柔らかな感触に心臓が口から出るかと思った。

真耶さんはそのまま体を少し持ち上げ、俺はそれを支えようとした結果、おんぶする形となった。

 

「ん~~~~、旦那様の背中、あったか~い」

 

背中から気持ち良さそうな声が聞こえてきた。とても嬉しそうだ。

 

「ま、真耶さん!? いきなりどうして……」

「そうですね~……さっき伊達さんに背負われた星奈ちゃんが羨ましくて。だから…その……おんぶして貰いたくて…でも、自分でそんなことを言うのは恥ずかしくて……」

 

 そう答える真耶さん。

途中から言葉が途切れ途切れになっていたのは、きっとこの寒さで酔いが冷めてきたからだろう。

背中越しに伝わる真耶さんの温もりは、かなり熱くなっていた。

きっと恥ずかしくて顔を真っ赤にしているのだろう。その姿を思い浮かべて俺は笑ってしまう。

 

「そうですか。ふふふ、まったく。そういうところも可愛いんですから」

「ぁ、ぁぅ~~~~~~~~~~~」

 

俺が背中に伝わるようにそう言うと、真耶さんからそんな声が聞こえた。

まったくもって可愛い人だ。

 そして俺達は駅に向かって歩いて行く。

そのまま駅に向かっても良かったが、俺は敢えてそうせずに寄り道をして住宅街にある小さな公園に行った。

 公園は夜ということもあって無人である。

俺は近くのベンチに真耶さんを降ろすと、その隣に座った。

 

「どうしたんですか、旦那様?」

 

不思議そうにそう聞いてくる真耶さんに、俺は少し困ったような笑顔で答えた。

 

「その…ですね。実はさっきの真耶さんと一緒で……」

「一緒?」

「はい。その……今日の合コンでみんながやっていたことを羨ましく思ってしまって。それを今から真耶さんにしたくて……いいですか?」

 

 いつもしてるだろ! と言う突っ込みは無しでお願いしたい。

今日弾や獅子吼様、伊達さんがされたことを俺は羨ましく思った。なので、せっかくだからこの場でしようと思ったのだ。一応言っておくが、その行為を真耶さんにして貰いたいのであって、他の女性にされたいと言うわけではない。

 俺の少し困った苦笑に真耶さんはとても嬉しそうに笑い返し返事をしてくれた。

 

「はい、是非! 私も…その…旦那様としたかったですし……」

 

恥じらい顔を真っ赤にしながらそう言う真耶さん。

そのあまりの可愛さに、血液が沸騰するような気がした。

 その後、俺は膝枕をして貰ったり、俺の膝の上に座って貰ったり、抱きしめて貰ったりした。

他と違うのは、その一つ一つの行動の度に、キスをしていることだろう。

 

「ちゅ…んふ……ふぅ…気持ちいいですね、旦那様」

 

顔を赤く染めながらも熱い吐息を吐き、潤んだ瞳で俺を見つめる真耶さん。

その艶っぽい顔にクラクラしつつ、俺は足の間に座っている真耶さんを更に抱きしめる。柔らかい感触とその温もりに心を癒されながら俺は更に真耶さんにくっつくと、真耶さんは幸せそうに目を細めていた。

 夜の誰もいない公園で二人っきり。

それが更に拍車をかけ、より大胆にさせていく。

 

「旦那様、実は今日の合コンでヒヤヒヤしてたんです。だって旦那様は格好いいですから……だから、王様ゲームの時は本当に不安だったんです。だから、その不安を消して下さい……旦那様のキスで……」

 

真っ赤になりつつ、そう告げる真耶さんは俺にキスをもっと催促してくる。

その姿が愛おしくて、俺は笑顔で答えた。

 

「はい。不安なんて消し飛んでしまうくらい、一杯頑張りますね」

 

そう答え、俺は真耶さんにまたキスをした。

 その後、しばらくその公園で真耶さんとイチャ付いた後、俺達は手を絡めるように繋いでIS学園に帰った。

 

 

 

 余談だが……

翌日の朝、真耶さんが顔を凄く真っ赤にして部屋に来た。

どうしたのかと聞いたら……

 

「そ、その……あの後、星奈ちゃんから連絡が来たんですけど……上半身と下半身が爆ぜちゃうかと思うくらい凄かったって………死んじゃうかと思ったって連絡が……」

 

それが何なのか、考えたくなかった。




次回は久々、真面目な話ですよ。

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