装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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今回は……どうなんでしょうか?


一月二日 その2

「いや~、一夏君が凄い真面目な顔をするものだから、一体何なのかと思ったよ」

「そうね~、てっきり……もうヤっちゃって子共が出来ちゃったのかと思った~」

 

「「ぶっ!?」」

 

そんな突拍子もない事を言われ、飲んでいたお茶を吹き出す俺と真耶さん。

 

「そ、そんなことは!?」

「そ、そうですよ!! それに旦那様がちゃんと、『そう言うことは結婚してから』て言ってましたから!!」

 

 慌てる俺と真耶さんはそう急いで答える。

そしてそれを聞いて、真奈さんがやけにニコやかな笑顔になった。

 

「あれ~、『旦那様』ね~。随分と仲がいいね~」

「はぅ!?」

 

 それを言われ、真耶さんの顔が一気に真っ赤になり蒸気が出ているかのようになってしまった。

俺も恥ずかしさから赤面してしまう。

 

「おやおや、君も隅に置けないなぁ。もうここまでいってるのか」

「いや、それは、その…」

 

 耶彦さんに笑顔でそう言われ、俺はあたふたと慌ててしまう。

 

『しっかりせんか、御堂!! ここで慌てては器量を疑われるぞ』

 

 正宗が金打声で俺に喝を入れる。

きっとこの部屋の様子をどこかで見ているのだろう。

正宗の喝を受けて、俺は気を取り直す。内心で正宗に感謝した。

 

「その……すみません」

「別に謝るようなことではないよ。寧ろ私としては嬉しいかな。他の男だったら流石に怒っていたが、君ならば別にいいよ。でも……そう呼んでいることを許しているということは、私の事を『お義父さん』と呼ばなきゃならないんじゃないかな。ねぇ、一夏君?」

 

 耶彦さんの笑顔に言いようも無い迫力を感じた。

とてもじゃないが、言い逃れ出来そうに無い。観念して素直に答えることにした。

 

「は、はい……『お義父さん』」

 

 そう呼ぶと、耶彦さんは満足そうに笑った。

まさかこの言葉を言うことになろうとは……言ってる俺の顔はきっと恥ずかしさから赤くなっているだろう。

 

「あらあら~」

「旦那様……可愛い……」

 

 そんな俺を見て真耶さんは真っ赤になりながらそう呟き、真奈さんは先程と変わらない笑みを浮かべていた。

そんな様子を見られ、さらに恥ずかしくなった。

 

「それじゃ~、私のことは、『お義母さん』って呼んでね~」

 

 もうここまで来て断るなんてことは出来ないだろう。

結局、遅かれ早かれの違いでしかないのだから。俺はそう思いながら腹を括り、真奈さんに答える。

 

「はい、よろしくお願いします、『お義母さん』」

「よろしくね~、一夏君。うふふ、息子が出来ちゃった~」

 

 そう喜ぶ真奈さん。

何だか恥ずかしいが嬉しいような、そんな感じがする。

真耶さんを見るととても恥ずかしがっていたが、嬉しそうであった。こんな可愛い顔が見られるのなら、これも良いことなのだろう。

 そのまましばらくは俺と真耶さんの話ばかりであった。

主には指輪を贈ったときの話なんかだったが。

流石に任務の内容を言う訳にはいかず、隠すように説明するのに苦労した。

まさか重犯罪人を4人殺しに行って、死にかけで帰ってきて指輪を渡しました……とは絶対に言えない。

そのため俺はかなり誤魔化して話をし、それを聞いて二人は感動しているようだ。

 

「まさか高熱で倒れかけているときに指輪を渡すとは……」

「すごい劇的だね~。ちょっと憧れちゃうかも~」

 

 感動しているところ少し悪い気もしたが、仕方ないこと故に許して欲しい。

真耶さんはというと、あの時のことを思い出してうっとりとしていた。

俺も思い出してみるが、そこまで良い思い出だっただろうか? 少なくても毒に犯されうなされていた記憶が殆どのような気もする。

あのときは必死だったからな。指輪を渡すのに必死で、ムードも何もへったくれもなかった。

まぁ、真耶さんに良き思い出として残ってくれているのなら良かった。

 そう思いながら真耶さんを見つめていると、真耶さんと目が合ってしまい見つめ合ってしまう。

 

「おやおや」

「まあまあ」

 

 そんな様子を二人に見られてしまい、その視線に気付いた俺は気まずくなってしまった。

 

 

 

「そうそう、真耶ちゃん」

「何、お母さん?」

 

 それからしばらくして、俺と真耶さんは別れて話していた。

まぁ具体的には耶彦さんが、

 

「新しい息子と色々と語り合いたいのだよ。悪いが真耶、少し一夏君を借りるよ」

 

 と言って俺を連れて行ったのだ。同じ部屋なのでお互いの会話は聞こえるのだが。

そのまま耶彦さんと将棋を指しながら色々な話をする。学園での真耶さんの生活はどうなのか、俺の生活はどういうものなのかなどを話すと、耶彦さんはそれを楽しそうに聞いていた。何だか父親に楽しかったことを話す子供のような気がして、少し恥ずかしかったが楽しかった。

そんな風に耶彦さんと話している最中でも、真耶さんと真奈さんの話は耳に入ってくる。

 

「お母さん、早く孫の顔が見たいな~」

「ぶっ!? な、何言ってるの!!」

「っ!?」

 

 そんなことが聞こえ、びっくりしてしまう。

お茶を飲んでいたら確実に吹き出していただろう。

それを聞いた耶彦さんはにこやかに笑っていた。その笑みが何を意味するのか………大体分かるだろう。何とも気まずいものであった。

さらに二人の会話は続いていく。

 

「ちなみに~、子共は何人欲しいの~」

「だから何言ってるの、お母さん!?」

「えぇ~、何って~真耶ちゃんの将来設計を少し聞いてるだけじゃない」

「何でそんなこと聞くの!!」

 

 見えてはいないが、きっと真耶さんの顔は真っ赤になっているだろう。

それが想像出来て少しだけ笑ってしまう。無論、耶彦さんにばれないようにしてだが。

 

「それで~……どうなの~」

「そ、その……二人くらい……欲しいかも…男の子と女の子」

「そっか~……だって、一夏君。頑張ってね~~」

「ぶはっ!? ごほ、ごほ……」

 

 少し気を紛らわそうとしてお茶を飲んでいるときにそう言われ咽せてしまった。

 

「だ、大丈夫ですか、旦那様!?」

「だ、大丈夫です……」

 

 俺の咳き込む様子を見て心配する真耶さん。

俺は心配させないようにそう何とか答えた。

 

「あらあら」

 

そんな俺の様子を真奈さんは笑いながら見ていた。

 

「こらこら、あんまり一夏君をいじめるな」

 

耶彦さんはそんな真奈さんを窘めていた。

何だか凄く恥ずかしいが、家族みたいで嬉しくなった。

 

 

 

 そのまま楽しい時間は過ぎていき、気がつけば日が沈んでいた。

すっかり夜となり、帰ろうとしたところで二人に呼び止められてしまった。

 

「せっかくだから今晩は泊まって行きなさい」

「もう夫婦同然なんだから~、お泊まりしても問題ないよ~」

 

と言われてしまい、引き留められた。

真耶さんはどうなのかと見たら……

 

「旦那様が私の部屋でお泊まり…………キャッ」

 

真っ赤になりつつもかなり喜んでいた。

今更NOとは言えない。

俺はそれに素直に応じることにした。

 家にそのことを連絡すると千冬姉は、

 

「そうか……頑張ってこい」

 

と言って来た。それがどういう意味なのかは分かるだろう。余計なお世話である。

その後マドカが羨ましがっていた。後でお土産でも買って帰ろう。

 夕飯も頂いたが、やはり美味しかった。

その時も真奈さんがどっちが作ったのかを聞いてきたが、それを当てると真耶さんはとても嬉しそうだった。

 そして風呂を頂き、そろそろ寝る時間。

皆そろそろ寝ようと自分の部屋に向かって行く。

俺は真耶さんの部屋に泊まることになってしまった。

それはどうなのかと聞こうとしたが、

 

「二人はもう夫婦同然なんだから、一緒の部屋でも問題ないだろう」

「夫婦は一緒にいるものだよ~」

 

 と二人に言われてしまった。

真耶さんは真っ赤に恥じらいつつも嬉しいようだ。

俺はそのまま真耶さんの部屋に泊まることになった。

部屋に入ると、そこには可愛らしい部屋があった。ピンク色をした大きなクマのぬいぐるみがベット付近に置かれていた。それが何だか似合ってそうで、笑ってしまう。

 

「あ、あんまり見ないで下さい~」

 

 真っ赤になり恥じらう真耶さん。

そんな真耶さんが可愛くて抱きしめてしまう。

 

「きゃっ、旦那様!?」

「すみません。恥じらってる真耶さんがあまりにも可愛かったものですから」

 

 驚くもどこか喜ぶ真耶さん。

俺はそれが分かり、更に抱きしめてしまう。

 

「もう~、私の旦那様は……」

 

 そう言いながらも、真耶さんは気持ちよさそうにしていた。

そのまま抱き合っていると、隣の耶彦さん達の部屋から何かが聞こえてきた。

 

 

 

 少し遡ること数分前。

耶彦と真奈は寝室に入るとさっそくベットに就いた。

 

「いや~、まさかこうも早いとはね。だが、彼ならば私は大歓迎だよ」

「そうだね~、私も一夏君が真耶ちゃんと一緒になってくれるのは嬉しいな~」

 

 そう言いながら耶彦は目を瞑ろうとした。だが……

 

「真耶ちゃんも立派になって私は嬉しいけど~、ちょっと寂しいな~。だ・か・ら・もう一人、家族が欲しいかな~」

 

 真奈が熱の籠もった目で耶彦を見つめていた。

 

「……あ、あの~、真奈さん? 何を言っているのかな~」

 

 その視線から逃れるように目をそらす耶彦。だが、それをさせないように真奈が耶彦に抱きつくようにくっつく。既に寝間着の前はかなりはだけており、娘の真耶に負けず劣らずの大きな胸が耶彦の胸板に押しつけられていた。

 

「あの二人が熱々だったから、私もあてられちゃって……体が火照って仕方ないの~」

「いや、二人は隣の部屋にいるんだよ!? 聞かれでもしたら…」

「いいんじゃな~い。寧ろ、そっちの方が燃えるかも~。二人にも良い刺激になるかもね~」

 

真奈はそう言いながら手を妖しく動かし始めた。

それを見て耶彦は逃げられないことを理解した。

 

「それじゃあ~………いただきま~す」

「アーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

 

 

 隣の部屋から聞こえてくる情事の声と音で、俺と真耶さんは眠れなかった。

 

 

 


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