普通に書こうと思っていたはずが……とんでもない激甘に……。
さて、酔った真耶さんを家に連れ帰ったところ、既に千冬姉達は帰ってきていた。
その際に俺の背中で眠っている真耶さんを見て、千冬姉は何があったのかと聞いてきたので事情を説明したら、何故か呆れ返っていた。
マドカはというと、こたつで眠りこけていた。それを見て少しだけ笑ってしまう。何というか……とても無邪気な寝顔だ。少し前まであの亡国機業の実行部隊にいたとは思えない。
そんな寝顔でスヤスヤと眠っているマドカを、千冬姉は珍しく優しそうな目で見ていた。
真耶さんに布団で寝て貰おうと思い、客室に布団を用意しようとしたところで千冬姉に呼び止められた。
「お前等はもう夫婦みたいなものだからな。淫行さえしなければ同じ部屋で眠っても構わん……と言うか何を今更と言ったところか。お前はそう言う節度をしっかり守ることは分かっているからな」
と言われ俺の部屋のベットで寝かせることに。
そう千冬姉に見抜かれていることが恥ずかしくて仕方なかった。
そして部屋のベットに寝かせると、すぐに目を覚ました。まだ寝ぼけているようだが。
「うぅ~~~ん………ここは……」
「起きましたか、真耶さん」
真耶さんは目を軽くこすりながら辺りを見回していた。
「ここは………家?」
寝ぼけながらも甘くとろけるような声でそう言う真耶さん。
俺はそれを可愛いと思いながら見つめ、取りあえず説明する。
「はい、家に帰ってきたんですよ。あの後真耶さん、甘酒を飲んだら酔ってしまって。そのまま少ししたら眠っちゃったんですよ。前よりもお酒に弱くなっちゃってますね」
「ん~~~~~~~……」
まだ酔いが残っているらしく、その顔は少し赤い。
そのまま眠って貰いたいが、流石に振り袖を着たままでは皺になってしまう。
「真耶さん、そのまま寝てしまうと振り袖に皺が出来てしまいますよ。ちゃんと起きて着替えて下さい」
寝ぼけている真耶さんに俺は優しく声をかけると、真耶さんはゆっくりと頷いた。
すると……
「わかりました~~……着替えますね……う~~ん…」
「っ!?」
すると真耶さんは急に振り袖を脱ぎ始めた。
手順も何もかも無視して手当たり次第に脱ぎ、真っ白な肌が見え始めた。
「な、なんで急に脱ぎ始めてるんですか!?」
「?……だって着替えないと……皺になっちゃいますから……」
そのまま更に脱ぐ真耶さん。
次第にあられもない姿へとなっていく。
真っ白い足が付け根近くまで出て、上半身が半分以上脱げかけ大きな胸がこぼれそうになっていた。
俺はそれを見て急いで顔を逸らす。顔は真っ赤になっているだろう。
「ま、真耶さん!! 急に着替えないで下さい! まだ俺が部屋にいるんですから」
「えぇ~……別に大丈夫ですよ~」
「何がですか!?」
いくら恋人だからと言っても、急に目の前で着替えられては心臓に悪すぎる。
混浴をしたことだってあるから大丈夫だって? 決意を決めないでいきなりはきつい。
すると真耶さんは俺を少し真剣な顔で見つめながら言った。
「こんな恰好、見られて平気なのは旦那様だけ…ですから……」
そう言い笑顔を俺に向けると……また脱ぎ始めた。
「言っていることは嬉しいのですが、やはり恥ずかしいですよ!」
俺はそう言うと急いで部屋を出た。
いくら婚約したからと言って、これは少し早い……と思う……
その後、真耶さんが着替えられそうなパジャマを探そうとしたが、この家には真耶さんに合うサイズのパジャマがないことを思い出した。
仕方なく俺のワイシャツを貸すことに。
もしこれが千冬姉に知れたりしたら、どんな目に遭うことやら。
少しして扉を少し開けると、そこからワイシャツを入れた。するとワイシャツが中へと吸い込まれていくかのように引っ張られていった。
そのまま振り袖を脱ぐ音が部屋から聞こえてきた。
衣擦れの音は何度聞いても慣れるような物ではない。俺はその音が聞こえる度にドキドキしてしまう。
そして音がしなくなったのを見計らって部屋に入ると、そこには脱ぎ散らかした振り袖と、部屋の真ん中でペタンと座り込む真耶さんがいた。
「脱ぎ散らかしちゃ駄目ですよ」
「んぅ~~~~~」
散らかっている振り袖を拾い集めきちんと畳む。
その間、真耶さんは少しも動かずにポーっとしていた。まだ寝ぼけているのだろうか?
振り袖を隅に置くと、俺は真耶さんを立ち上がらせる。
まだ寝ぼけている真耶さんは俺の為すがままに抱きかかえられた。
前も思ったが、本当に軽い。その軽さに少し心配になりつつも、ちゃんと感じる重みが心地よかった。
そのままベットまで運び寝かせようとしたら……
「ん~~…旦那様ぁ~~ぎゅう」
「え!?」
離れようとした俺に急に抱きついてきた。
いきなりのことに驚いてしまう。
「旦那様~、旦那様~…私だけの旦那様~~~」
そう上機嫌に言いながら俺の体を巻き込みベットに押し倒すと、真耶さんは俺の胸に頬をすりすりとしだした。俺の体を下にして、真耶さんは力の限りギュっと俺を抱きしめる。その真っ白い足を俺の足に絡ませ、大きな胸が俺の下腹部に押しつけられ、むにゅぅっと潰されていた。
その感触の生々しさに顔が急に熱くなってきた。
「ま、真耶さん! もしかして…もう起きてますか?」
俺がそう聞くと、真耶さんは少しだけ間を空けた後に頷いた。
「私、ちゃんと起きてますよ~」
声の感じからして寝ぼけているわけではないようだが、声の陽気さから正常とは言いがたい。
顔を見るととろけるような笑顔で俺にくっついていた。その顔は未だに赤い。それは恥ずかしさから来ているものではなかった。
「も、もしかして……まだ酔ってる?」
そう、まだ真耶さんは酔っているのだ。
まさかまだ抜けていないとは………どれだけアルコールに弱くなってるんだ。
そして、そう思った瞬間に真耶さんは更に予想外の行動に出た。
「起きてますよ~、私! だって~…」
そう言うと真耶さんは一気に顔を俺の顔に近づけ……
「ん……ちゅ…れろ……んはぁ…んぅ……ちゅちゅ…んん~~」
「!!!????」
思いっきりキスをされてしまった。
それもかなり深い方の。まるで俺のすべてを味わい尽くそうとするかのように、舌が俺の口内をせわしなく舐め尽くし、唇が俺の唇を貪るように押しつけられた。しかも唾液を常に送り込まれ、舌を思いっきり絡め取られる。
その唾液を飲まないと呼吸が出来なくなりそうになり、それを飲むと舌が更に深いところに侵入しようとする。飲んだ唾液はとても甘く、甘酒の味がした気がする。
しばらくキスをすると、真耶さんはやっと唇を離した。
俺は急なことで動転している上に、あまりの快楽に頭が吹っ飛びかけていた。
「こんな事、寝ぼけてたら出来ませんから。旦那様のお口、美味しい……もっと…」
そう赤い顔で言うと、更に俺の唇を『食べに来た』。
「ちゅ…ちゅ……れろ…ん……んぅ…んん……んはぁ…はぁ、はぁ、……んぅ……」
そのまま俺の唇を堪能する真耶さん。
俺は意識が飛ぶんじゃ無いかと心配になるほどの気持ちよさに、どうしていいのか分からなくなっていた。
唇を離すと、今度は真耶さんがジト目でこちらを睨んでいた。
「……さっき……」
「さっき?」
「さっき、旦那様は篠ノ之さん、デュノアさん、篠ノ之博士の巫女服姿を見て、デレデレしてましたよね~」
そう言うと真耶さんがさらに体をギュっとくっつける。
「そんなことはないですよ」
「嘘です! ちゃんと見てるんですよ~! もっと私のことを見て下さい! 私の振り袖姿にもっとドキドキして下さい。私だって……頑張ってるんですからね~! 旦那様は誰にも渡さないんですから~~~~!!」
真耶さんはそう叫ぶと俺を誰にも渡すまいと抱きしめ、さらにキスを深めていく。
そのうち、そのあまりの快楽に意識が飛んでいった。
その中で思ったことは……
(真耶さんにお酒を飲ませるのはもう止めよう)
ということだけだった。
こうして初詣をした後の俺達の夜は過ぎていった。
確かに凄い夜で新年早々ばたついたが……やはり幸せで一杯だった。