装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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飛行の実機演習

朝に俺のクラス代表決定が発表されてから今現在、俺達はグラウンドにいた。

何でも、そろそろISの実機を使っての授業を始めるために、実際に飛んでいる様子を生徒に見せるそうだ。

それまでは座学ばかりだったため、クラスメイト達は若干興奮していた。

 

「それではこれよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。オルコット、試しに飛んでみせろ」

「わかりましたわ」

 

千冬姉の指示にセシリアが前に出る。

そしてその様子をぼんやりと見ている俺。

 

俺にとって、この授業は退屈以外のなにもない。

座学はまだいい。知識は知っていて損は無いし、ISにケンカを売った手前、相手の長所短所を知っておく必要がある。

しかし実機を使っての授業となると、俺には意味が無い。

ISの飛行はISだから出来ることであって、劔冑にはまず出来ない。

飛び方が違うのだから仕方ない、そんなものは虫と鳥の飛び方を比べるようなものだ。

前回の戦いでセシリアに機動で追いついたのは、普通の劔冑ではありえない無茶な飛び方をしたおかげだ。できれば試合以外では使いたくない。

 

「何をぼんやりとしている、織斑! お前も飛べ」

「はぁ?」

 

この担任様は何を言っているのだろうか? ISの授業なんだから、俺が飛ぶ必要など無いはずだ。

 

「劔冑の飛行も皆に見せた方が良いと思ってな。ISにケンカを売った物がどれだけのものか、皆も見てみたいと思うだろう。それに・・・・・・生徒一人がサボって良い道理は無い。せっかくあるのだから使え」

 

そう言ったらみんなが・・・・・・ああ、言ってるそばから注目を集めてしまった。これでは飛ばない、とは言えない。

 

「はぁ~、仕方ないか・・・分かりました、飛びます」

 

俺は返事を返してセシリアのいるところまで行く。

 

「一夏さん、一緒に頑張りましょう」

 

セシリアが妙に嬉しそうだ。皆の前で実演できることが嬉しいのだろうか?

そして先にセシリアがISを展開する。

 

「それじゃ俺もするとするか」

 

そして正宗を呼ぶ。正宗は常に俺の近くにいる。すぐに返事が返ってくるはずだ。

 

「行くぞ、正宗」

『応』

 

そして上空から落ちてくる巨大な濃藍の天牛虫。

それを見た女子達一同に関白の間。そして・・・・・・

 

「「「きゃぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!! 虫、大きな虫ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」」」

 

大絶叫。

 

『何とうるさいことだ。御堂、これは一体何事なのだ』

 

「「「・・・・・・しゃ、喋った!? いやぁああああああああああああああああああ、お、お化け、お化け虫ぃいいいいいいいいいいいい!! 「助けてぇええ! 」「おかぁさぁああん」」」」

 

さらに大混乱。

 

「俺に聞くなよ・・・」

 

そんなに怖いかな~、天牛虫。見慣れれば格好いいと思うのは俺だけか?

 

「お前達、落ち着かんか、このバカどもが!!」

 

千冬姉の一喝。それでこの混乱は収まった。さすがはブリュンヒルデ、威厳が半端ない。

 

「織斑、さっさとそいつを装着しろ! オルコットは先に飛べ!」

「「は、はい」」

 

かなり声が荒立っている。切れそうでめちゃくちゃに怖い。怒られる前にさっさと装甲して俺も飛ぶか。

 

『世に鬼あれば鬼を断つ 世に悪あれば悪を断つ ツルギの理ここに在り』

 

そして俺は正宗を装甲して、『普通』に飛行し始めた。


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