装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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今回も甘くないですよ~。
あと、お気に入りからぬけるのはいいけど、何故抜けるのかを具体的に教えて頂けたら嬉しいです。
改善するためにはそういう意見も必要ですから。


女性利権団体の刺客 その1

 あの会談から二日がたった。

俺はいつもの生活を送りつつ、あの話について考えていた。

そろそろ十二月に入ろうとしている。あの作戦までに一ヶ月とない。この作戦についてIS学園には作戦五日前に通達される予定となっている。そのため千冬姉もこのことは知らない。

別に作戦に何か思うところがあるわけではない。ただ・・・・・・

この作戦において俺の役割、それについて今からでも気を引き締めなければならない。

そのために、少し真耶さんと一緒にいる時間が少なくなってしまうことが心苦しい。

死地に向かおうという人間が考えている事としてはどうかと思うが、仕方ないことだ。

少し真耶さんに寂しい思いをさせてしまうかもしれない。俺にとって、それは自分が傷付けられることより苦しい。

 正宗には既に説明はしてある。

今回の戦い、正宗はいつも通り正義を成すだけだと張り切っていた。その前向きな姿勢には正直救われる。

 まぁ結局、ぐちぐち考えていても仕方ない。

俺はあの四騎の行方が分かり次第戦いに向かうだけだ。

 

 

 

 そう決意を固めることは別に良いが、いつも通りに授業は受けなければならない。

本音を言えば鍛錬に時間を費やしたいところだが、俺は学生でもあるのだ。サボりはいけない。

只でさえ頭が悪いのだ。少しでもサボれば追いつけなくなる。それは学生として、大いに困るのだ。

 だが、戦いに向かって気を引き締めているため、あまり授業内容が入ってこない。

良くない事態だが、どうしたものか・・・・・・

そう考えていると、授業中だというのに突然ドアが開いた。

みんなの視線がドアに集まっていく。無論俺の視線も其方に向く。

その先には、いかにも気が強そうな女性が立っていた。その後ろにも何人かいるらしく、ぞろぞろと部屋に入ってきた。皆女性でスーツをきっちり来ており、笑顔を浮かべているが、その目は笑っていない。

 

「織斑 一夏はいるか!!」

 

 一番最初に入って来た女性が大きな声で言う。歳の頃は二十歳くらい、ブロンドの髪に青い瞳をしていて、スーツの上からでもわかるくらいスタイルが良い。だが、俺はそことは別の意味でその身体に注目した。良く鍛えられた身体だ。それを見た瞬間にこの間総理が言っていたことを思い出した。

つまり・・・・・・これが言っていた『女性利権団体』なのだろう。

 

「いきなり何ですか、あなたたちは!?」

 

 真耶さんがさっそくその女性に詰問する。

授業中に何の声かけずに乱入したのだから当たり前だ。

声をかけられた女性は真耶さんのことを値踏みするように見ると・・・・・・

 

「あんたが男に尻尾を振った糞女か! 恥を知れ!!」

「きゃっ!?」

 

 真耶さんに向かって張り手をしてきた。

咄嗟のことに対応出来ずに真耶さんは受けてしまい、倒れてしまう。

 

「「「「「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」」」」」」

 

 それを見て混乱状態になる教室。

 

「あんたたちも同罪よ! 女なのに今の世界に何も思わないの!! 織斑 一夏のせいで私達の利権が脅かされているというのに、それを甘んじて受け入れるのは罪よ!」

 

 女性は捲し立てるようにそう大声で叫び、取り巻きの女性達もそうだ、そうだ、と一緒になって言う。

来ることは知っていたが、まさかここまで酷いとは・・・・・・

流石に激怒してしまった。こちらは作戦の前で神経質になっているというのに。

本来、こういうのを止めるのは教員の役目であり、千冬姉の仕事だ。しかし、今日千冬姉は出張で出かけているので学園にはいない。それを狙ってきたのだろう。

そこまでは分かる・・・・・・が、真耶さんに手を上げたのだ。絶対に許せない! いきなり来てこの勝手というのも許せたものではない。

 俺は一瞬にして頭に血が昇り、その女性に殴りかかりに行っていた。

武者による激怒の一撃。それがどのくらい危険なのか、語るまでもないだろう。

俺は無言のまま縮地で間合いを一気に詰め、握った拳を女性の顔面に向かって振る。

俺が一瞬にして目の前に現れたことに驚く女性。取り巻きも驚愕して固まる。

女性は俺が拳を振り上げていることを知覚出来ない。それぐらいの速度だった。

 

「一夏君、駄目ぇええええええええええええええええええええええええ!!」

 

 真耶さんの叫びに反応して急いで拳を逸らす。

拳は女性の頬を微かにかすり、そのまま女性の後ろに激突した。

瞬間・・・・・・

 

部屋が揺れたかと思う程の衝撃が走り、壁が粉砕され崩れ飛んだ。

 

 遅れて女性の頬から、プシュッ、と血が噴き出した。

 

「え?」

 

 自分の頬から出た血でやっと何があったかを理解した女性。

俺はそのまま拳を元に戻す。直撃していたら女性は頭部は粉砕され、脳漿などを辺りにぶちまけていただろう。

真耶さんが俺に急いで抱きつく。俺を動けないように抱きしめ、優しく声をかけてきた。

 

「私は大丈夫だから、一夏君! 大丈夫だから、ね。落ち着いて・・・・・・・・・」

 

真耶さんの声が心に染み渡る。

俺はその声のと温もりの御蔭で少しは頭が冷えた。

 

「すみませんでした、真耶さん」

「いいんですよ、一夏君」

 

 俺を安心させようと、微笑む真耶さん。その心遣いが素直に有り難い。

俺は真耶さんに離してもらい、女性の方へと振り向く。

 

「どのようなことがあろうとも、勝手は許されません。そして・・・・・・この落とし前はしっかりと付けさせてもらいます。覚悟して下さい」

「ひっ!?」

 

 笑顔で言ったつもりだ。

だが・・・・・・俺から発せられた殺気は、もしかしたら今までで一番濃かったのかもしれない。

さっきまで勝手をした女性の顔が青くなっていく。取り巻きの何人かが呼吸困難に陥っていた。

だが・・・・・・最愛の恋人に手を上げられたのだ、許す気など毛頭無い。

総理が言った通り・・・・・・本気でやらせて貰うことにしよう。それこそ・・・・・・

 

後悔すら出来ないくらいに。

 

俺はそう思いながら、女性達に笑いかけていた。

 

 

 


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