最近ネタ切れになりつつあって困ってますよ。
織斑 一夏の活躍によって世界は更に変わっていく。
特にISの親である篠ノ之 束に勝ったことは、この世界にとってかなり大きかっただろう。
ISよりも上であるということをISの産みの親にさえ認めさせたのだ。
それによって今まであった『女尊男卑』も変わっていった。女尊男卑はISが出現し、それが女性にしか扱えないことから女性の方が優れている。そういう考えによってさらに広がった。しかし、今回の件でISよりも強い劔冑を使えるのに性別は無いということがはっきりと公表された。それもあって、今まで自分達が上だと威張り散らしていた女性達は立場を失いつつあった。
だからと言って男性が威張り散らすということはなかった。
一夏の配信を聞いて、そう考えていた男性達は己の矮小さを恥じたのだ。今まで虐げられていれば、同じようなことを考えるのは当たり前なのかも知れない。だが、それをやっては変わらないのだと。一夏はそう考える者は誰であろうと叩き斬ると、そう公言したのだ。皆が望むは男女平等。それを成すために差別するものは誰であろうと許さない。一夏がそう公言したことにより、世の男性は考えを変えた。
それにより、世界は男女平等へと歩み始めた。
そう世界は変わっていくが・・・・・・一夏自身の関係はあまり変わらないでいた。
真耶さんのご両親への挨拶を終えて三日が経った。
ご両親とも良い人で良かった。物心ついたときから親が居なかった俺としては、親が出来たようで嬉しかった。
ま、まぁ・・・・・・いずれ本当の義親子(おやこ)になるわけで・・・・・・ごほんっ、ごほんっ!!
そんなわけでご両親にも認めてもらったことで俺と真耶さんの仲もさらに深まった。
正直に言えば、最早交際ではなく婚約レベルだ。な、なんと言うか・・・恥ずかしいが、嬉しい!
ただ・・・・・・最近そのせいで、真耶さんが愛おしくて仕方ないのが最近の少し悩みだったりする。
「一夏君! はい、あ~ん」
食堂で真耶さんが俺に向かって、ほにゃっとした笑顔で箸を差し出していた。
箸にはご飯が一口分摘ままれており、俺の口元で止まっていた。
「あ、あ~ん・・・・・・」
俺は恥じらいながらもそれに応じご飯を口に入れる。
味はいつもと変わらないはずなのに、それ以上に感じてしまう。
何というか・・・・・・幸せなのだ。
学園の食堂でイチャつくのは如何なものかと思ったのだが・・・・・・
真耶さんが前よりもさらに積極的にくるのだ。
曰く・・・・・・
「一夏君は私の旦那様なんですから、これぐらいさせて下さい」
とのこと。
どうやら真耶さんも両親に認められて嬉しかったらしく、その・・・少し振り切ってしまったようだ。
とは言え、学園ではちゃんと仕事をしているのだから公私混同にはなっていない。そういうちゃんときっちり出来るところも俺は好きなわけで・・・・・・素直に尊敬出来る。
「一夏君、私にも・・・ん~~~」
そう言いながら口を小さく開け、ねだる真耶さんも可愛くて頬が緩む。
「ふふ、甘えん坊ですね、真耶さんは。『お姉さん』はどうしたんですか?」
そう言いつつも俺はおかずを一口サイズに分けると、摘まんで真耶さんに差し出す。
「んふふ~~~~~」
真耶さんは嬉しそうに食べ、頬を緩ませていた。朝から和む。
「確かに『お姉さん』も大切ですけど、私は『旦那様に甘えたい』んですよ。それに憧れてましたからね、『私の旦那様』」
真っ赤になりつつも幸せそうにそう笑いかける真耶さん。
胸の中が朝だというのに、幸せで一杯になってしまう。これは所謂テロではないだろうか。
ただし自分限定。
二人っきりだったら確実に抱きしめてキスしていただろう。それくらいさっきの真耶さんは可愛かった。
俺達はそんな風に学食で朝食を食べていた。
朝から幸せに満ちていて、今日も頑張ろうと言う気にさせられる。
「それじゃあ、今日も一日頑張りましょうか。ね、真耶さん」
「はい!!」
そう真耶さんと話していた。俺は今の幸せに感謝したい。
ちなみに・・・・・・
最近食堂で甘い物がまったく売れなくなり、コーヒーなどの苦い物の売り上げが上がったとか。
「ああ~、諸君、おはよう」
千冬姉が教室に入り、皆に挨拶をしていく。今日は珍しく、真耶さんと一緒に教室には来ず、少し遅れてから来た。
その顔はかなりげっそりとしていて、その様子からかなりの疲れが見られる。
「大丈夫ですか、お義姉っ・・・織斑先生?」
「今お義姉さんと言おうとしていなかったか、山田先生?」
途端に真っ赤になりながら慌てる真耶さん。
「そ、そんなことありませんよ!」
「・・・・・・まぁいい」
千冬姉はそう会話を区切ると、皆に聞こえるように教壇に立ちながら話し始めた。
「あ~、皆、今日は転入生を紹介する。皆騒がないように」
「「「「「えぇ~~~~~~~~~~~~~~~!?」」」」」」
騒然となるクラス。
そして驚く真耶さん。何で教員である真耶さんも一緒に驚いているんだ。
しかし、俺はそれ以上に気になることがある。
千冬姉のあの疲れようだ。
見た感じ、肉体的なものではない。精神から来るものだ。
つまり、精神的に何か疲れることがあった。もしくは現在も続いている。
シャルやラウラの時もここまで疲れた顔はしていなかった。一体何があったんだ?
そう疑問を感じながら千冬姉の方を向くと、千冬姉はそのままドアに向かって声をかけた。
「入ってこい」
その声と共にドアが開き、転入生の姿が現れた。
「「「「「「「え?」」」」」」」」
その姿を見てクラスの皆が固まる。
入って来たのは女性とだった。通常のIS学園を着ていて、黒い長髪をし鋭い目をした女の子だった。だが、皆が驚き固まった理由はそこではない。
何故なら・・・・・・その姿はあまりにも似すぎているからだ・・・目の前にいるこのクラスの担任に。
そっくりと言ってもいいくらいだろう。違うとすれば、年齢からくる発達の違いくらいだろう。
その少女は教壇の前に立つと、皆に自己紹介をし始めた。
「初めまして。私は『織斑 マドカ』と言う。今日からこのクラスで世話になる。皆、よろしく頼む」
そう紹介した途端・・・・・・
「「「「「「「「キャッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」」」」」」」」
クラスがあまりの絶叫に割れた。
「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーー!! 千冬様そっくり!?」
「『織斑』って言った!? 織斑君の親戚かな」
「織斑君、知ってるの!?」
皆騒ぎに騒ぎ、千冬姉は深い溜息を吐いていた。
真耶さんは・・・・・・驚きのあまり固まっていた。
マドカは皆に紹介を言い終えると俺の方を向き、
「というわけだ。よろしくたのむぞ、『兄さん』」
笑顔でそう言って来た。
その笑顔を見てさらに騒ぐクラス。言った言葉から俺に関係すると推察したクラスメイトによって問い詰められる俺と千冬姉。
俺はと言うと・・・・・・・・・
酷い頭痛に襲われていた。
何故、『織斑 マドカ』がここにいるのか。あまりにもわからないことが多すぎる。
そのまま千冬姉をジト目で睨んでしまう。
(説明してもらうぞ、千冬姉!!)
こうしてこの日の朝、あまりにも衝撃的なことに、その前に感じていた幸せが吹っ飛んでしまった。
その代わり俺に来たのは、何が起こるか分かった物ではない不安だった。