装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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無駄に長くてすみません。個人的には気に入ってるキャラなんで、つい書きたくなっちゃうんですよね~


※山田先生の出会い その2

今回も私、山田 真耶のお話です。

他のヒロイン達に押され気味になってしまうので、今回は精一杯アピールします。

では、語らせていただきます。

 

 

 

 

あの入学試験から三日が経ちました。

私は何故か、彼の顔が頭から離れません。

今まで男性とお付き合いしたことありません。実は結構男性が苦手だったりします。

私は小さいころから、いわゆる『発育の良い』子供でした。

小学校の中盤にはブラが必要になってきましたから。

小学校ではよくいじめられ、中学からはいやらしい目で見られてきました。

そのため、男性を怖く感じてしまいます。

ですが・・・彼にはそんな感じは全然しなかった。ただ本当に私を心配してくれたんです。

下心やその他の感情を一切無しに、自分に責任を感じながら。

 

だからでしょうか。私は彼のことが忘れられません。

 

入学試験ということは、このIS学園に入学してくるということですから、彼とまた顔を合わせることもあるかもしれません。その時に、どんな顔をすればいいのやら・・・・・・私には分かりません。

 

 

 

 

それは学校でお昼前の時に来ました。

 

『山田 真耶先生、山田 真耶先生。至急、学園長室に来て下さい』

 

お昼に何を食べるか、という私の密やかな楽しみを考えてるときにいきなり来た放送。しかも職員室ではなく、『学園長室』です!

私は何か失敗してしまったんじゃないか、もしかしてクビになるんじゃないか、とびくびくしながら学園長室に行きました。

部屋にまず言われたことが、そんなに怖がらなくてもいいですよ、でした。そんなにびくびくしてることが丸わかりだったんでしょうか。

 

「山田先生、あなたを呼び出したのは他でも無い、この前のことの続きです」

「あ、あの、入学試験ですか?もしかして、またやるんですか!」

 

気付かないうちに声が大きくなっていました。もしかしてまた彼に会えるのではないか、と少し期待してしまったんです。

 

「いえいえ、試合はもうやりませんよ」

「あ、そうですか・・・」

 

少し気落ちしてしまった私に、学園長は何故かニコニコと笑っています。

 

「ですが、先方はあなた個人に用があるようですよ」

「へ?」

「実は入学試験のお相手が、『お怪我をさせてしまい、本当に申し訳ありません。ちゃんと謝罪させてもらいたいのですが、もうそろそろお昼時ですので、昼食に招待させてもらえませんか』と言ってきまして。今学園入り口に来てるそうです」

「えぇええええええええええええええええええ!!」

 

驚きでつい叫んでしまいました、恥ずかしい。

 

「私の権限で山田先生は今から半日休暇です。楽しんで来て下さい」

 

学園長はそう笑顔で言うと、私を部屋から送り出しました。職員室に戻った私に同僚の先生方は何があったの? と興味津々にきいてきます。

私は言いづらそうに応えると、うらやましがる人多数、先を越されたぁああ、と悔しがる人が幾人か出てきました。

千冬さんは興味が無いらしく、行ってこいとしか言いませんでした。

 

その後が大変した。

彼に会うのに化粧や身なりはどうなのかが気になり、急いで自室に戻り身支度を調えました。

少しでも速くしようとしたのですが、結局学園長室に行ってから三十分が経ってしって、私は学園入り口まで全速力で走ることになってしまいました。

 

 

 

「すみません、遅くなってしまって!!」

「いえ、そんなに待ってませんよ」

 

彼はそう言って私に笑顔で話かけてくれました。遅くなった手前、申し訳ないです。

それからタクシーを拾って町まで出かけることに。

タクシーの中で改めてお互いに自己紹介し、お昼の希望とかを話し合いました。彼は何故か名字を教えてくれません。何故でしょう? とその時は疑問に思いましたが、今からすれば無理も無い話ですね。

まさか、あの『織斑 千冬』の弟さんだったなんて! 行方不明だと聞いていましたから、当時知ったら大騒ぎになりそうです。

話を聞いて驚きの連続でした!

まさか十五歳だったとは!? 私はてっきり同年代かちょっと上くらいだと思ってましたから。彼は私よりも落ち着いた雰囲気を醸し出しているからそう思ったんでしょうか。

あと話していて分かったことなんですが、彼は思っていたより堅苦しくなく、以外と気さくで話しやすい人でした。気がつけばすっかり打ち解けていました。自分でも驚きです。

 

お昼は気分的に和食だったので、そう提案したら、彼もそれに賛同して、

「それなら良いお店がありますよ」

と言って、そのお店に行くことになりましたが・・・・・・

 

私が知っているようなお店ではありませんでした。

 

手入れの行き届いた店先、威風漂う古来からありそうな老舗で、何というか・・・私には明らかに場違いにしか思えないお店に来てしまいました。

彼と話していたときは自分が年上と分かってお姉さんぶっていたのですが、こんなお店の前では恐縮して、彼をリードすることも出来ません。

てっきりどこかのファミレスとかだと・・・・・・だって、普通の高校生ならそこら辺が妥当じゃ在りませんか。

彼はすごいお金持ちなのかとも、と聞いてみたんですが、そう言う訳では無いらしいです。

彼曰く

 

「ここは俺が学んだ剣術の師範代のお友達がよく食べに来てるお店で、俺もよくご相伴させてもらってたんですよ。それでここのお店の人とは顔なじみなんです」

 

とのこと。すごいお友達なんですねと聞いたら、何故か気まずい顔をして

 

「すごいのは認めますが、すごい変人なんですよ。神出鬼没でいきなり出てくるし・・・・・・師匠を取り合って、よく家やら道場をあの人と一緒に壊しまくるし、気まぐれで師範代と一緒に野球をやらされるし・・・・・・装甲しないと命が危なくなるし・・・・・・」

 

どうやら聞いちゃいけないことだったみたいです。

彼はそのあと復帰して、一緒にお店に入りました。

 

「いらっしゃい、なんだ一夏じゃねぇか!」

「ご無沙汰してます、龍さん。板長はお元気ですか」

「ああ、相も変わらず厳しいお人さ。ところで一夏、お前さんの後ろにいるきれいなお嬢さんはお前のコレか?」

 

ちょっと怖い感じの男の人が彼に向かって小指を突き立ててきました。

私はそれを見て顔が真っ赤になってしまい、何も言えなくなってしまいます。

 

「あの人に失礼なこと言わないで下さい。あの人は俺の客です。奥座敷、使わせてもらいますよ」

「ああ、そこで待ってな。何だ、てっきりコレかと思ったのによ~。お前さんもいい年なんだから、少しくらい興味もってもいいんじゃねえか。さすがに足利さんみたいに全力でいけとは言わねぇけど、そんなんじゃ行き遅れるぞ」

「ほっといて下さいっ!!」

 

そう言うと彼は顔を真っ赤にしながら私を奥座敷に連れて行ってくれました。

私と話していたときよりも幾分か年相応に見えて、少し笑ってしまいます。

少し待っていると戸が開き、禿頭のお爺さんが来ました。人の良さそうな人なのですが、何故か彼は姿勢を正し丁寧に挨拶し始めます。もしかして怖い人なんでしょうか?

 

「板長、ご無沙汰しています」

「一夏か・・・元気そうで何よりだ。今日は客として来てるんだろ、そんな改まる必要はないよ。ところで久々に来たんだ、少しばかりみてやるから、厨房に来なさい」

 

お爺さんはそう言うと今度は私に向かって軽く礼をしました。

 

「お客様、申し訳ありませんが、少しばかりこの者をお借りします。少ししたらすぐ返しますので、今しばらくお待ち下さい」

 

そう言って彼を連れて行ってしまいました。

私は少しばかり居心地の悪さを感じながらも、待つことになりました。

 

 

 

 

 

彼が戻ってきたのは、それから約三十分くらい経った後でした。

彼が部屋に入ってくると同時に料理が運び込まれてきました。どれもこれもきれいで、食べるのがもったいないくらいです。

 

「一夏、どうやら腕は落ちていないようだな、と言ってもまだまだ甘い。精進するように」

「はい」

 

一緒に入ってきた板長さんにそう言われ、彼は真面目に応えました。その顔が格好良くって、少しどきりとしてしまいます。

 

「お客様、お話は聞いてます。どうもコイツがご迷惑をかけたみたいで。なので謝罪といっては何ですが、本日の料理は全てコイツに作らせました。味については私が保証しますのでご安心を」

「い、板長! そう言うことは言わないで下さいよ!!」

 

私は再び衝撃を受けました。

まさか全部彼が作ったなんて・・・・・・凄すぎて女性としては何も言えなくなってしまいました。なんというか・・・・・・とてつもなく敗北した気分です。

味も文句のつけようが無いくらいおいしかったです。まさに本格的な料亭の味、とでも言いましょうか。これでまだまだと言うここの板長さんって一体・・・・・・

 

「味、どうですか?口に合えば良いんですけど」

「はい、とっても美味しいですよ! こんなに美味しいものははじめてかもしれないです」

 

私は笑顔で答えました。人って美味しいものを食べると無条件で笑顔になるんですよ。

 

「ああ、よかったです」

 

彼はそう笑顔で私に言いました。私はその無邪気とも言える純粋な笑顔に・・・はっきり言ってやられてしまいました。たぶんこれが決定打になったのでしょう。

格好良くて礼儀正しく、それでいて可愛らしい。

もはや反則です! これでノックダウンしない女性なんていないと思えるほどです。

これが・・・私が彼、織斑 一夏くんが好きなのだと分かった瞬間でした。

 

 

その後料理を全部美味しく頂いて、またタクシーで帰ります。

一夏くんはお店の人たちに何か言われては顔を真っ赤にしながら言い返してタクシーに乗り込みました。

 

「そう言えば一夏くん。そもそも何で料理させられたんですか?」

 

一夏くんの話だと顔なじみと言うだけで、そんなことをさせられるような感じでは無いはず。

 

「師範代のお友達、足利茶々丸さんのいたずらで、この店に半ば無理矢理修行させられたんですよ! 俺は剣術修行でそれどころじゃなかったのに・・・・・・知ってますか?人間って最低二時間は寝れば何とか持つんですよ・・・・・・師匠に抗議したら、茶々丸さんに言いくるめられてるし・・・・・・哀れんだ目で頑張れ、って言ってくるし・・・・・・」

 

どうやら又一夏くんの地雷を踏んじゃったみたいです。この話はもうしないことにしましょう。

 

 

 

こうして私は一夏くんとの昼食からIS学園に戻りました。

ついてからまた一夏くんから入学試験の件で謝られましたが、私は気にしていませんと言って励まし、この話を終わらせました。

 

「それじゃあ、入学後もよろしくお願いします、山田先生」

 

一夏くんはそう言って帰りました。

 

私はその時から入学式が待ち遠しくて仕方在りませんでした。

 

そして今、一夏くんがこの学園にいます。

どうもライバルは多いみたいですが、負ける気は絶対にありません。頑張って一夏くんを振り向かせようと思います!

 

 

 

これで私と一夏くんの出会いの話は終わりです。

次回からはちゃんと本編をやるので、安心して読んで下さいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回からはまた、真面目に本編を書こうと思います。
お見苦しいところを、すみませんでした。

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