山田先生の立ち絵とか、かなり可愛いですよね~。
攻略出来ないのが残念で仕方ないです。
その代わり・・・・・・ここの一夏はさらにイチャつかせますよぉ!!
あの束さんが乱入した出来事から一週間が経過した。
その間にあっという間に第三アリーナは元通りに修復された。俺は自分のやってしまったことの責任を取るべく、師匠と真田さんを代表して修復を手伝った。
二人とも手伝おうとしたが、お互い忙しい身だ。修復に掛かる時間を考えれば、二人に手伝わせる訳にはいかない。そのため、俺が代表として手伝うことにしたのだ。
これで少しでも責任を果たせれば良いのだが・・・・・・
そして現在は朝のSHR。
俺はいつも通りに席に着いて話を聞いていた。
真耶さんがいつも通りに甘い声で連絡事項を皆に伝えていく。
そんな姿を見て微笑んでしまうのは人としてどうなのだろうか。此方を見た真耶さんと目が合った瞬間に真耶さんは真っ赤になってしまい、生徒にからかわれていた。最早朝の日課になりつつある。
確かに恥ずかしいことなのだが、それも少し嬉しく感じてしまう。
そして入ってくる千冬姉。
その瞬間に教室の空気は変わり、皆静かになる。
「お前達、静かにしろ。外からでも騒いでいるのが聞こえていたぞ、馬鹿者共。それと山田先生と織斑、二人は・・・その・・・・・・仲が良いのもいいが、もうちょっとは控えろ・・・・・・」
千冬姉は周りをそう叱りつつ、俺と真耶さんにそう注意をする。
その注意を受けて紅くなる真耶さんと、少し気まずくなる俺。
最早これも朝の日課である。
千冬姉は軽く咳払いをして仕切り直すと、真面目な顔に戻す。
「えぇ~、二週間後にある修学旅行だが、やっと向かう旅行先が決まった」
そう千冬姉が言うと、クラス中が騒がしくなった。
一年生は二学期に入ってから修学旅行があるのだ。
ただ行くところは毎年違い、今年は三つの候補が挙がっていた。
『沖縄、京都、北海道』
この三つだ。
IS学園は世界中から生徒が集まってくるため、日本の観光名所に行きたいという意見が多いのだ。
どれもこれも良い場所だ。
俺もこの旅行は楽しみにしている。ただし・・・・・・・
出来れば京都には行きたくない。
別に京都が嫌いとか、そういうわけではない。寧ろああいう古都は好きだ。
料理人としても本場の懐石料理を勉強する良い機会にもなる。そう考えると京野菜なんかも欲しくなってくる。それだけ考えれば寧ろ行きたい。
だが・・・・・・嫌な予感がする。
日本最古の古都にして、都があった街。
つまりそれは・・・・・・劔胄がある可能性が大きい。言い換えれば武者がいる可能性がある。
そんなところに俺が行った場合、認めたくないが有名になったせいで絶対に死合いを挑んでくる者が出てくるだろう。
強い武人と戦えるのは武者の本望。とは言え、せっかくの旅行なのだからゆっくりと楽しみたい。
ここ最近は特に死合いをしてばかりだったので、ここいらで一息入れたいのが本音だ。
たまには羽を伸ばして、ゆっくりと過ごしたい。
だから俺は出来れば京都には決まって欲しくない。
と言っても、沖縄だろうと北海道だろうと武者がいないとは限らないのだが。
でも沖縄には独自の料理が多いので、それらを勉強する良い機会になるし・・・白い砂浜で真耶さんと一緒にいるのも、それはそれで・・・・・・・・・・・・
北海道なら小樽に夕張と、いろいろな名産が多い街も多く、それにも興味がある。
それらを真耶さんと手を繋ぎながら廻るのも楽しいはず・・・・・・
とまぁ、そんな妄想に耽りそうになってしまう俺は駄目人間なんだろうか? 恋人が出来た身として大目に見て貰いたいのは俺のわがままだろうか?
そんな妄想に耽りそうになる俺に、千冬姉は無慈悲に告げた。
「修学旅行は京都に決まった。お前達、あまり旅行先ではしゃぐんじゃないぞ」
その決定事項にクラスが沸き上がる。
その中で一人、俺は内心で沈んでしまった。
一番遭遇率の高そうな所に決まってしまったことに残念で仕方ない。
はぁ・・・・・・・・・せめて旅行が平穏に終えることを祈りたくなった。たぶん無理だと思うが・・・・・・絶対に来るだろうなぁ~。そんな予感がする。こういうときの予感というのは絶対に当たるものだ。
どうしてここ最近ゆっくり出来ないのだろう? 何か恨みでも買うようなことでもしたのだろうか? やっかい事が常に俺を追いかけている気がしてならない。
そのままSHRは終わり、千冬姉は教材を取りに教室を出て行く。
周りのクラスメイト達は旅行先の京都に関して色々と思いを馳せているらしく、楽しそうな声が四方から聞こえてくる。そのテンションが羨ましい、俺のテンションは若干下がり気味だ。
「一夏君、ちょっといいですか」
そんな風に沈んでいた俺に真耶さんが話しかけてきた。
「はい、大丈夫ですよ」
そう答えると、教室から出て廊下へと連れてこられた。
SHRが終わって十分後には一時限目が始まる。そのため、今廊下に人がかなり少ない。
真耶さんは俺の方を振り向くと、真っ赤になり恥ずかしがりながら話し始めた。
「修学旅行、京都に決まりましたね」
「そ、そうですね」
「だから、その・・・一緒にまわりましょう。私、憧れてたんですよ~、好きな人と一緒に旅行に行くの」
真耶さんは目をキラキラと輝かせながらそう言ってきた。
その姿がまた歳不相応に可愛くて、此方も笑顔になってしまう。
「はい、喜んで。俺も、その、真耶さんと一緒にまわりたいです」
「はい! うふふふ、一夏君と京都、一夏君と京都・・・」
本当に嬉しそうだ。まさに夢見る乙女といった感じだ。
「俺も真耶さんと一緒に旅行に行きたかったですしね。真耶さんだけですよ、そう思えるのは」
そう見つめながら言うと、真耶さんは真っ赤になった。
「もう~~、一夏君たら・・・でも、嬉しいです」
そう俺に笑いかける真耶さんがまた可愛くて、無自覚にその笑顔に顔が惹かれてしまう。
俺の顔が近づくに連れて、真耶さんの顔も更に真っ赤になりつつ、目を瞑り唇を俺に差し出す。
その柔らかそうな唇にさらに惹かれ・・・・・・・・・
「あ~、ごほん!! そろそろ授業が始まるぞ、二人とも。そ、そういうことは二人だけの時にしろ、馬鹿者が・・・」
「「お、織斑先生ッ!!」」
いきなり現れた千冬姉に驚き、体がビクッと震え慌ててしまった。
「あうあうあうあうあうあうあう~~~~~~~~~~~~~~」
真耶さんは真っ赤になりながら口をパクパクとして放心状態になってしまい、俺は何とも気まずい状態に。我ながらに最近暴走しがちなことに嫌悪する。
千冬姉は顔を若干赤くしつつ、教室へと入って行った。