装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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真耶 「今日はバレンタインなんで・・・・・・チョコ受け取って下さい、一夏君!」

一夏 「あ、ありがとうございます、嬉しいですよ」

真耶 「実はもう一つあるんですが、それも受け取ってもらえませんか」

一夏 「ええ、もちろん」

どこからチョコソースを取り出した真耶は、口紅のようにチョコソースを唇に塗っていく。

真耶 「ど、どうぞ、一夏君・・・んぅ・・・・・・」

そして唇を一夏の前に差し出す真耶。

一夏 「えっ!? あの、その・・・・・・・・・頂きます・・・・・・」

真耶、一夏「「んぅ・・・・・・」」

合わさる唇・・・・・・少しして離れる。

一夏 「甘くて胸が一杯になっちゃいますよ」

真耶 「はい、私もです・・・・・・」

そして見つめ合う二人。

作者 「このリア充がぁあああああああああああ!! ここから・・・出て行けぇええええ!!」

そして追い出される作者。ちなみに・・・・・・
チョコは一切無い。あるのはただ・・・・・・ジャージャー麺のみ・・・・・・・・・


変わる日本の情勢と臨時講師の話

 織斑 一夏が表に出てから約半年が経った。

彼の活躍により世界は段々と変わっていく。特に著しく変わったものは、日本の自衛隊だ。

ISの登場により、国防を担う今までの自衛隊員は蔑ろにされつつあった。

いくらISがあろうと、それを持ち出し使うことはあまりない。しかし、やはりと言うべきか、女尊男卑の話は此方にも影響してきた。結果、女性の隊員の扱いが上になり、女性は男性の隊員を見下すようになった。そのことを歯がゆく思ってはいた男性陣だが、実質ISに勝てない。それは致し方ない事と諦めかけていた。

 そこに登場したのが織斑 一夏と劔冑。

これの登場により、男性陣は沸き立った。

映像では装甲した武者がISを倒す映像が流れ、その強さをアピールした。

最初はまだ疑わしいとして周りの目がきつかったが、それでも彼等には嬉しかった。やっと一矢報いたと。その後すぐに自衛隊の一部隊に数打劔冑が三十騎配備された。

その時の彼等の顔はまるで、初めておもちゃを与えられた子供のようだった。

 しかし、ここで問題が発生した。

独立形態であるモトバイクの操縦や、装甲しての運動には問題がなかった。しかし、本格的な問題である、剣術には彼等はからっきしだったのだ。劔冑運用における武者の理の知識がないのは致命的だった。彼等には馴染み無いことだけに、事態は緊急を要した。

 そこで政府はそれらを教えるための『教官』を招き入れることしたのだが・・・・・・

中々見つからない。

最初は織斑 一夏の師匠である湊斗 景明に頼んでみたのだが、丁寧に断られた。

 

「自分にそのような重要な役職は手に余ります。ですので申し訳ございませんが、このお話、お断りさせていただきます」

 

 そう言われた。政府は諦めたくはなかったのだが、彼の後ろでふんぞり返っているポニーテールの少女や、妙に笑っている金髪の少女、そして細目の穏やかな雰囲気をもつ女性によって、断念せざる得なかった。

 ポニーテールの少女こと、湊斗 光。政府が一番恐れている人物である。ISの世になろうとも、その江ノ島を蹴り一つで動かすという化け物じみたことを、平然とやってのけるこの少女は、政府ですら手の付けられない存在だ。世界中のISが向かって来ても勝てる気がしない。そんな圧倒的な戦力を持つ少女を政府は敵に回したくない。

 妙に笑っている金髪の少女こと、足利 茶々丸。あの六波羅財閥の重役。政府でさえ手を出せない治外法権である。政府も又、六波羅を敵には回したくない。

 細目の穏やかな雰囲気の女性こと、大鳥 かなえ。こちらも政界と財界、両方に発言力を持つ名家、大鳥家の人間だ。また大鳥家の人間には、六波羅の重役である大鳥 獅子吼もいる。当然ながらも政府は敵に回したくない。

 この三人は彼と繋がりのある者達であり、彼に無理を強いた瞬間にはこの三人が牙を剝くことだろう。政府は断念せざる得なかった。

 では表に出した織斑 一夏ではどうかと言う意見もあったが、彼にはもっとその強さをアピールして貰うために保留。

 どうしようかと悩んでいたところで、政府が密かに派遣していた捜査員から情報が持ち込まれた。

それが真田 幸長だった。

さっそく政府は接触・・・・・・結果は一応承諾。

ただし、織斑 一夏との勝負が条件。政府はこの条件を呑むことにした。

事実、政府としても知りたかったのだ。劔冑同士の戦いを。

本当にISに勝てる程の戦力なのかどうかを・・・・・・

 結果は政府の予想を遙かに上回った。

ISよりも圧倒的な力に政府は驚愕を隠し得なかった。

その分周り・・・特に女性陣からは危険を危惧する声も上がったが、それは真田 幸長によって静められることに。彼が言う『武士道』はISの操縦者には無い、高潔なものだった。

 真田が教官をすることにより、劔冑運用部隊の運用も軌道に乗ってきた。

しかし、彼は槍が主流、剣はおまけ程度。

剣術を教える教官が必要だった。

それを探そうとしていた所で、織斑 一夏に襲撃がかけられた。

それが伊達 政臣。

結果襲撃、いや、この場合は試合と言うべきか。試合は織斑 一夏の勝利。

あまりに被害を出した伊達 政臣は本来ならば警察に逮捕されてもおかしくなかった。

しかし、数少ない武者故に、政府は交渉を持ちかけた。

政府に協力するなら今回の罪は水に流すと。

それを聞いた彼は全くノリ気ではなかった。別に彼は自分が捕まろうとあまり気にしておらず、政府にそう言われるのもあまり好かない様子だった。そこで彼は政府にある条件を聞いてくれるなら協力してもいいと言い出した。

その条件は単純に・・・・・・『強い奴が出たら死合わせろ』ただこれ一つのみ。

その条件を呑み、政府は彼を教官として招くことに成功した。

 それにより運用部隊の熟練度が上がり、武者の部隊として恥をかかない程度には完成してきた。

そして・・・・・・・・・

 

 

 

 「臨時講師ですか?」

 

 誕生日から三日が過ぎた後の放課後。

俺は生徒会の仕事を終わらせて、カフェで真耶さんとお茶を楽しんでいた。

誕生日の翌日、一日かけて千冬姉の誤解を解き、事情を説明するのに苦労した俺達二人。

何とか許してもらったが、千冬姉の目は怖かった。

 その後真耶さんを駅まで送り、家に帰ったら政府から連絡が来た。

それが今話題にしている臨時講師の話。政府が自衛隊に作った劔冑運用部隊、そこで講義と訓練を一日だけしてくれないか、という話だった。

 俺自身人に物を教えられるような人間ではない。師匠に頼んでは、と聞いてみたが、断られたらしい。それに今有名である(そんな自覚はまったくない)俺が行けば士気も高まるから来てくれと頼まれた。やけに必死に頼むものだから断れなかった。

 それで教師として教鞭を執っている真耶さんに相談してみようと思い話してみた。

 

「そうなんですよ、政府にお願いされてしまって。そんなことやったこともないですから、どうしたらいいのか分からなくて困ってるんです。この学園で教鞭を執ってる真耶さんに何か教えてもらえないかなぁ、と思いまして」

 

 俺がそう言うと、真耶さんはさっそく考え始めるが・・・・・・

 

「別に特別なことなんて無いと思いますけど? ただ皆さんに分かりやすいようにお教えしているだけですし。う~ん・・・・・・そうだ!」

 

 何かを思いついたらしく、真耶さんは手をポン、と合わせる。

その様子がまた可愛いものだから、俺の頬も緩んでしまう。

 

「試しにここで先生をやってみましょう!」

「え?」

 

 いきなりそう言われてポカンとしてしまう。

 

「あ、一夏君可愛い・・・・・・」

 

 真耶さんがそんな俺を見て笑顔でそう言うと、恥ずかしさから意識を戻す。

俺は寧ろ、そう笑顔を浮かべる真耶さんのほうが可愛いと思う。

 

「それって一体・・・・・・」

「はい! ここで私に教鞭を執ってみてはどうでしょう。試しにやってみれば何かをつかめるかもしれません」

 

 真耶さんは楽しそうに俺に言ってきた。

確かに言っていることも一理ある。試しにやってみるのも手かもしれないな。

俺はその案をやってみることにした。

コホン、と一回軽く咳払いをして真面目な表情を作り、教師の口調を意識して話し始める。

 

「では、さっそく。今日は劔冑について教えようと思います」

「はい、お願いします、先生!」

 

 真耶さんが生徒役として、笑顔でそう答える。

何だかとても似合っていて、笑ってしまう。

 

「何か全然違和感が無いですね」

「あ、酷いですよ、一夏君」

 

 そう言って軽くふくれる真耶さんがまた可愛くて・・・・・・

 

「そういう真耶さんも可愛いですから。ついついからかいたくなっちゃうんですよ」

 

 そう答えると真耶さんは赤くなりつつも嬉しそうな笑顔になり、上目使いに此方を見つめる。

 

「もう、一夏君ったら・・・・・・」

 

 そんな風だから更に可愛いんですよ。

そう思いながら俺は教師の真似をしてみせ、真耶さんから先生と呼ばれながら授業の真似をした。

凄くくすぐったい感じだけど、真耶さんにそう言われるのも悪くないと思った。

 

 

 

 そんな風にイチャつきまくっている一夏とは別に、物語は進む。

篠ノ之 束は今の世にそこまで興味は無い。

しかし、ISよりも優れているかもしれないという劔冑には我慢ならなかった。

それは束には理解出来ない代物。科学的に理解できない劔冑が束は嫌だった。そして認めたくないことに・・・・・・恐怖を感じた。

だからこそ、そんなものを大切な身内である一夏の側に置いておきたくなかった。

しかし、一夏はそれを使う。

そんなものよりISのほうが優れていると、一夏に教えたかった。だからこそ、それを破壊しなくてはならない。一夏を守るために・・・・・・

 

「待っててね、いっくん。束さんが守ってあげるから」

 

 そう独り言を言いながら、束は手を止めずに作業をする。

その後ろには、以前学園を襲撃した無人機をより発展させたものが五機、鎮座している。

その薄暗い部屋の中、作業する音だけが木霊していった。

 

 

 


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