装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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今回は激甘にして撃甘!?
ブラックコーヒーが何杯必要か作者も分かりません!
みなさん、ご注意を・・・・・・


恋人との誕生日 その1

 伊達さんとの死合いを終えてからの俺はというと・・・・・・実家に帰っていた。

あれから真耶さんに泣きながら怒られてしまい、俺は真耶さんが泣き止んでくれるまで抱きしめていた。その際に周りの人達からの視線が集中し気になったが、泣き続ける真耶さんをなだめるのに必死でそれどころではなかった。

 その後、なんとか泣き止んだ真耶さんに肩を借りて俺は家へと向かった。

もともと誕生日は織斑家で祝う予定だったので、それ自体に問題はない。しかし、予定外だったのは伊達さんの来訪? である。これで俺は満足に動けない状態になってしまった。

熱量欠乏ほどでは無いにしろ、限界まで熱量を消費したのだ。それで通常通りに動けるわけがない。

しかも正宗のダメージも大きく、ほぼ大破。自己再生に集中させるために、俺への再生は最低限に止めている。なので立っているだけでもしんどい。

 そして家に着き次第、俺はリビングのソファーに寝かされた。

当初の予定では、この後に真耶さんと一緒に料理を作り祝う予定になっていたのだが、如何せんこんな状態なので出来ない。

しかし、客人に手伝ってもらうなど、人としてよろしくない。俺は無理にでも手伝おうとしたのだが、

 

「一夏君は横になっていて下さい。立ってるのだってやっとの状態なんですから、これ以上心配させないで下さい・・・・・・でないと・・・泣いちゃいますよ」

 

 そう少し照れつつも泣き真似されては引き下がるしかない。

今日心配させてしまい泣かせてしまったのは事実、これ以上心配させてはいけない。泣き真似をして少しおふざけな感じに言ってはいるが、たぶん絶対に泣く。なので引き下がった。

それに・・・・・・お茶目にそんなことを言う真耶さんもまた、可愛くて・・・・・・

俺は心配してもらえてることが嬉しくて、素直に聞くことにした。

 そしてソファーで横になっていると、台所からさっそく調理の音が聞こえ始めた。

包丁がリズム良く音を刻み、何かが揚げられる音が一緒に聞こえてくる。

 

「♪~~~~~~~~」

 

 そしてその音の中から聞こえてくる真耶さんの鼻歌。

柔らかな歌声で楽しそうに歌う。聞いていると心がとても穏やかになって落ち着く。

とても気持ちよかった。 

 そしてふと考えてしまう。

 

(もしかしてこれって・・・・・・新婚生活か!?)

 

 そう、このシチュエーションはよくよく考えて見れば「あなたはテレビでも見てて待ってて。すぐ夕飯にしますから」といったドラマにありがちな新婚生活のアレだ。

そう思った瞬間に頭が沸騰しそうなほど真っ赤になってしまった。

は、恥ずかしいが・・・・・・嬉しい。

そんな気持ちになってしまい、どういう顔をしていいのか分からない。

そうなると真耶さんの方が気になってしまい、台所に目を向けてしまう。

 

「「あっ・・・」」

 

 そして合ってしまう目と目。

その瞬間真っ赤になってしまう真耶さん。どうやら真耶さんも同じことを考えていたらしい。

同じ事を考えてしまっていることが、また嬉しく思ってしまい、そしてまた恥ずかしくもあった。

 

(こうしてると、まるで新婚さんみたいです。私は一夏君が家に帰ってきたら「おかえりなさい、あなた」て言って荷物を預かって、それでリビングでくつろいでもらって、その間に「あなたはテレビでも見てて待ってて。すぐ御夕飯にしますから」って笑顔で一夏君に言うの。そうしたら一夏君が「ああ、今日も美味しい夕飯を楽しみにしてますよ。でも・・・その前に真耶さんからいただこうかな」とか言って私に優しくキスして、その後は・・・キャアーーーーーーーーーーーーーーーー!!)

 

 などと真耶さんが考えて真っ赤になっていたことを俺は知らない。そしてその後に何かの飲み物を飲んでいたことも・・・・・・

 

 

 

 二時間くらい経過すると、テーブルには色とりどりの料理が並ぶ。

唐揚げにフライドポテトやサラダなど、多種多様だ。

真耶さんは俺の隣の席に着いた。

 

「あはははは、ちょっと作り過ぎちゃいましたね」

 

 そう笑う真耶さんの顔は恥じらいつつもどこか嬉しそうだ。

 

「ありがとうございます、こんなに作っていただいて。良いお嫁さんになりますね、真耶さんは」

「そ、そんな・・・・・・そ、その・・・一夏君がもらってくれるんですよね・・・」

 

 しまった! つい本音が出てしまった。

真耶さんは俺の顔を見ながら真っ赤になりつつも、期待を込めた眼差しを向ける。

 

「そ、その・・・・・・・・・はい・・・・・・」

 

 将来的には言おうと思っていたが、まさかこんなところで言ってしまうとは・・・・・・

いずれ言おうと思っていたことだけに嘘偽りは無いのだが・・・

 

「一夏君!!」

 

 感極まったらしく、真耶さんは俺を思いっきり抱きしめた。

いきなりのことに真っ赤になってしまう俺。顔は真耶さんの大きな胸の谷間に埋まってしまい、あまりの柔らかさに理性が飛びそうになった。

 

「嬉しいです!」

 

 そう応えてさらに抱きしめる力を込めてきた。恥ずかしくなったが、俺も嬉しくなり抱きしめたかった・・・・・・が、身体がまだ充分に回復していないので力が入らず、断念。こういうときに自分の身体が恨めしい。

 気が済むまで俺を抱きしめた真耶さんはその後さらに俺にキスをしてきた。

 

「んぅ・・・ふぅ・・・・・・ちゅ・・・」

 

それも舌を入れた深い方のを!

 

「っ・・・・・・・・・・・・・・・!?」

 

 さすがにこれには驚いた。

口の中をかき回されている感じがして、何だか甘い。

頭の中がふやけて真白になっていく。

真耶さんが口を離すと、口と口の間に橋が出来上がっていた。

それを見てさらに俺は真っ赤になりながら真耶さんを見ると、真っ赤になりつつも艶のある表情をして、潤んだ瞳を俺に向ける。

 

「えへへへへ、ついしちゃいました。だって一夏君、凄く嬉しいことを言ってくれたんですから・・・・・・」

 

 照れつつもそう言う真耶さんを俺は直視出来なかった。

身体が正常な状態だったら押し倒してしまっていたかも知れない。それくらい今の真耶さんは可愛くて、綺麗で、美しかった。

 しかし、自分で待ってくれと言いながら禁を破ってしまっては目も当てられないほどに醜悪だ。今この時、この身体が満足に動けないことに少しだけ感謝した。

 

 

 

 そしてさっそく俺の誕生会が始まったのだが・・・・・・

俺は料理を食べられない。

いや、訂正しよう。自分で食べられないのだ。

熱量の不足と疲労により、何とか動かせるのは首と口のみ、身体は引きずって歩くのが出来るか出来ないかと言う状態。つまり箸も持てない状態なのだ。

なので真耶さんが隣に座って俺に食べさせてくれていた。

 

「はい、一夏君、あ~ん」

 

 そう言う真耶さんは心底嬉しそうだ。

 

「あ、あの・・・真耶さん。自分で何とかしますから」

 

 いくら恋人とは言え、情けない姿は見られたくは無い。俺は無理してでも自分で食べようとするのだが・・・・・・

 

「駄目ですよ、一夏君。一夏君は今、満足に動けないんですから。それに・・・・・・こういうときにこそ甘えて下さいよ・・・・・・ね。それに今日は心配させたんですから、罰ですよ」

 

 そう言いながらも嬉しそうに笑う真耶さん。

そう言われたら俺が断れないのを知っていてそう言うのだから・・・・・・

そんな姿も可愛くて仕方ない。

 

「だからはい、あ~ん」

 

 いつもと違い、誰も見ていない上に、さっきのキスのこともあって、真耶さんがかなり大胆になっている。しかも上機嫌であまり恥ずかしくないのか、いつもよりさらに声が甘い。

聞いている此方がとろけそうになる。

 

「あ~ん」

 

 そしてそれに応じる俺。

今の姿は誰がどう見ても『バカップル』でしかない。

俺は恥ずかしさから真っ赤になりつつも、幸せすぎて仕方なかった。

 そのまま色々と料理を食べ、次にケーキを切ってもらった。

いちごのショートケーキで、チョコに『一夏君、誕生日おめでとう』の文字が書かれている。

ケーキも食べさせてもらっているのだが、身体が上手く動かせないこともあって口元が少し汚れてしまった。

 

「一夏君、こんな所にクリームが付いてますよ」

 

 そう真耶さんは言うと、顔を近づけ。クリームが付いているであろうところを、ペロッ、と舐め取った。

 

「なっ!?」

 

驚愕する俺に真耶さんはイタズラっ子のように応える。

 

「えへへへへ、一夏君の味がしますね」

 

そう、とろけるような笑顔で恥ずかしがりながら言う。

そのせいで俺はまた身体も心もとろけそうになった。

 その後もケーキをはい、あ~んで食べさせられ、口元に付いたクリームを舌で舐め取ったり、キスで吸われること数回。

俺はゆでだこのようになってしまっていた。

恥ずかしさと嬉しさと幸せがごちゃ混ぜになってなんともしがたい状態である。

そんな状態の俺を真耶さんは満足そうに見つめると、さらに止めと言わんばかりに唇にキスをする。

マシュマロよりも柔らかく、さっき食べたケーキよりも甘いそれに、俺は脳髄までとろけてしまった。

 

 

 

 

 その後、真耶さんは上機嫌にまた鼻歌を歌いながら後片付けを始めていた。

俺はろくに働かない思考で台所を見ると、買った覚えの無い缶が一つだけあり、それがアルコールであることが辛うじで分かった。

 しかし、そこから先には思考が働かない。ぼんやりと真耶さんを見ているだけだった。

そうして片付けが終わりそうになったところで、真耶さんの携帯が鳴り始めた。

 

「はいはい、今出ますよ~」

 

 そう言いながら真耶さんは携帯に出る。

 

「はい・・・千冬さん!? はい・・・えっ、そんな!? はい、その・・・・・・わかりました!」

 

 そう意気込んで通話を終了すると、真っ赤になりながら俺の方を振り向く。

 

「今日、千冬さんは帰れそうになくて・・・その・・・一夏君の看護を任せるから泊まっていけって・・・・・・」

 

 それを聞いた瞬間、俺の思考は停止した。

 

 




山田先生のターンです、今回は。
日頃一夏にやられてばかりなので、こういうのもいいんじゃないですかね~。
とても前回死合いしてた人物と同一人物には思えないです。

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