あと感想じゃんじゃんお願いします。
ここはとある国のとある建物の一室。
その中で一人の女性が怒り狂っていた。
「あぁ、クソっ!! クソがぁああああああぁああああああああああ!!」
女性は怒りにまかせてテーブルにあったグラスを壁に叩き付ける。グラスはものの見事に四散した。
「落ち着きなさい、オータム」
そう怒り狂う女性に落ち着いた声をかけてきたのは、豊かな金髪をした妖艶な女性。
部屋の中だというのに露出の多いドレスを着て怒る女、オータムとは対照的なまでに落ち着いていた。
「そういうがよぉ、スコール! 腕が・・・腕が痛てぇんだよぉおおおおおおお!!」
オータムはそう叫びながら右腕を押さえる。
そこには重圧なまでに包帯が巻かれていた。
学園祭で織斑 一夏に右腕を斬り飛ばされたオータムは、這々の体で何とかIS学園から脱出した。織斑 一夏の言った通り、すぐに治療したこともあって腕は問題無くくっついた。しかしながら、その時に受けた屈辱による怒りで、傷口が鎮痛剤を使っていても痛んで仕方ない精神状態になっていた。
オータムにとってまさかISを展開する前に斬られるとは思いもしなかったのだ。
熟練したIS乗りがISを展開するのにかかる時間は約0.1秒、オータムだって当然その時間で展開出来る。しかし織斑 一夏の斬撃はそれ以上に速かった。刀を取り抜刀するまでに掛かる時間が神がかっていた。きっと時間にしてコンマクラス。結果、オータムはISを展開する前に斬られた。
オータムとて女性、ISを使えることに優越感を感じる。それがまさかISを使えない男に、それも劔冑を使わない素の状態に負けたのだ。
彼女のプライドはズタズタにされた。そのことがオータムには我慢ならなかった。
今回の件で亡国機業はさらに割れてしまった。
ISを使う女性側はさらに窮地に晒されてしまったのだ。
別に任務に失敗してしまったのは仕方ない。今回の任務の難易度は高かったため、それは致し方ない。
しかし・・・・・・ISを使える人間が丸腰の人間に負けた。これが不味かった。
これによりISの優位性がさらに疑問視されてしまった。
そして逆に男性陣の劔冑を欲している派閥を勢い付かせる切っ掛けになってしまう。
ISより劔冑の方が強いと。その操縦者は装着しなくてもIS操縦者より上だと。
これにより組織内のIS派と劔冑派の二つの争いは激化。
このまま行けば組織そのものが瓦解するかもしれないほどに。
だからこそ、オータムは織斑 一夏に怨嗟の声を上げる。
「織斑 一夏ぁあああああああああああああああああああああああああぁああああああ!!」
その様子を興味なさげに見ていたのは一人の少女だった。
年の頃は一五歳くらいで華奢な体つき、しかしその顔は狼のように鋭い。
この少女は組織ではMと呼ばれている。組織内の実行部隊、つまり今そこで怒り狂っているオータムと同じ部隊の人間だ。
Mはオータムの様子を見て無様だと感じた。
別に劔冑を馬鹿にする気はないが、『織斑 一夏』に負けたことは嘲笑うのに充分なことだった。
だからこそMは思う。
あんな奴に負けるわけがないと。所詮は姉さんよりも弱い存在だと。
そう思いながらMはうるさい部屋から出て行った。
さて、学園祭が無事に終わってから二日後。
全校集会が開かれた。内容は学園祭についてである。
「皆さん、学園祭はご苦労様でした」
壇上では生徒会長が元気よく学園祭について、皆の労をねぎらっていた。本当に苦労させられた。
「さっそくですが、学園祭で活躍したクラスなど、色々と発表しようと思います」
そう会長は言うと、ホロウィンドウを出し学園祭での売り上げ№1のクラスや集客数№1のクラスなどを発表していく。
そして・・・・・・
「では学園祭で一番脚光を浴びたのは・・・この人達で~す」
そうふざけたような感じで声を上げると、画面には俺と真耶さんが踊っている写真が写った。
「一年一組の織斑 一夏君と教員の山田 真耶先生が今年のMVPです! 二人とも、おめでとうございま~す」
「「「「「「キャァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」」」」
そして講堂には黄色い歓声が轟いた。
会長は此方の方に顔を向けると、ニヤリと意地が悪い笑顔を浮かべていた。
(まだ引っ張るつもりか、あの人は!)
さすがにこれはやり過ぎではないだろうか。
真耶さんの方を見るとせっかく熱が引いたのにまた真っ赤になってしまっていた。
その後も会長は色々と発表していくと、次の話に移った。
「では、皆さんお待ちかねの『各部対抗織斑 一夏争奪戦!』の優勝者を発表しま~す」
その瞬間に講堂が声によって爆発した。
もの凄い盛り上がりに俺は内心で引いていた。
「では、優勝した部は・・・・・・・・・『生徒会』です!」
会長は溜めを作った後に言い切ると、辺りは一瞬にして静まり・・・・・・
ブーイングの嵐が巻き起こった。
曰く、何で生徒会が一位なのだと。主催者が優勝とはやらせではないのかと。
そうブーイングが飛ぶと、会長は静かに説明し始めた。今回の争奪戦ではどの部が楽しいのかというのを投票で決めるらしい。
その結果、どうも生徒会の出し物であるあの恥ずかしい映画が一番票を得たようだ。
「と言うことで、織斑 一夏君には生徒会副会長をやってもらいます。なので織斑君、さっそく壇上に上がって副会長就任の挨拶をお願いします」
そう名指しされ、俺は仕方なく壇上に上がることに。
さすがにあの注目の中逃げ出すこともできない。
壇上に上がり次第に俺はマイクをもって皆に話す。
「本日より、非常に不本意ですが生徒会副会長をやらせて頂きます、織斑 一夏です。どうか皆様、よろしくお願いします」
できる限り作り笑顔を浮かべて言うと、皆から拍手を頂いた。
生徒会長は俺の挨拶が終わったと判断してマイクを俺から渡してもらおうとしたが、このままでは俺の気が済まない。俺はマイクを持ってさらに皆に言うことにした。
「しかし・・・・・・昨日の生徒会の出し物は本人の同意も得ずに勝手にやったこと。いくらお祭りとはいえはしゃぎすぎは関心いたしません。なので、生徒会長には軽い罰を受けてもらうことにします。何、軽いお仕置きと取ってもらって結構です」
会長は、何言ってるの、織斑君? といった顔をしていた。
俺は会長にしか聞こえないようにマイクを切って言う。
「会長、人の恋路を邪魔する者は馬に蹴られるという言葉は御存知ですか。あまり人をおちょくらないように。御蔭で真耶さんは知恵熱をだしてしまいましたからね」
そしてマイクを入れる。
「罰と言っても、女性に暴力を振るう訳にはいきません。なので、『でこぴん』を一回。それで済ませようと思います。では会長、前へ出てきて下さい」
「お、織斑君・・・もしかして、かなり怒ってる?」
「そう言うわけではありませんよ。ただのけじめです」
会長は怖ず怖ずと前に出てきた。
顔が少し引きつっている。
「では、行きます」
「っ・・・」
そして俺は会長にデコピンを放った。
瞬間・・・・・・
生徒会長は頭から弾かれるように吹っ飛んだ。
まるで銃で撃たれたかのような感じだった。
そして床に沈む会長。辺りは静寂に包まれた。
会長はというと、目を回して気絶していた。
これではもう話せないな。
「では、会長が無理そうなのでこの場は自分が残りの話をさせていただきます」
そして俺はこの集会を終わらせた。
その時の皆は同じことを思っていた。
((((((織斑君を怒らせるのはやめとこうっ!!)))))
ちなみに会長はこの時の記憶が殆ど飛んでいた。
覚えているのは銃で撃たれたかのような衝撃だけだったとか。
こうして俺は会長への意趣返しを成功させた。