恋人って出来るとここまで甘くなるものなんですね~、驚きで甘い物しか書けなくなりそうです。
甘くない物がもう一つの投稿中の作品ですので、抹茶がわりにどうぞ。
夏休みもあっという間に過ぎ、今日から二学期。
あの夏祭りの日から今日までの俺はというと・・・・・・・・・
反省していた。
具体的に何か失敗した訳でも無く、何かを間違えたわけではないのだが。
あの後一日かけて正宗にお説教され、自身のあり方について考えさせられた。
別に真耶さんの恋人が嫌になったとか、そういうわけでは無い。
要は度が過ぎただけなのだ。
改めて客観的な視線で自身を見てみると、真耶さんと一緒にいる時の俺は武者としてどうなのかと言われても仕方ない感じがする。
普通の人ならそんなことはないと思うが、俺は武者なのだ。
武者とは本来、厳格にして武の探求者。
己の武を鍛える以外は興味など無し、それだけを追求する者也。
と、昔ならそう言うが、今は現代。そこまで厳格な武者など見たことも無い。現に師匠があんな感じなのでこのことについてはそこまで深く考えてはいない。
それに・・・・・・これは俺の精神の未熟さ故だが、やはり俺も年頃の男なのだ。
恋人が出来て浮かれるなと言う方が無理だろう。
しかし・・・・・・夏にあった出来事を客観的な視点から見て・・・・・・恥ずかしさのあまり穴があったら入りたい気分になった。
恋は熱病などと揶揄されることもあるが、まさにその通りだ。
当人達は盛り上がっていて気付かないが、それを第三者視点で見るとここまで恥ずかしいことはそうはない。
普段の俺ではあり得ない行動ばかり起こしていた。
このまま新学期を迎えては非常にまずい。
もし、今のまま二学期を迎えて学園で真耶さんと会ったら、どうなることやら。きっとまた熱病に浮かされた感じになり、周囲が赤面するようなことをしでかすかもしれん。
プライベートならまだしも、公共の場である学園内でそれはまず過ぎる。
どうも学園側は俺達の交際を認めてくれているみたいな感じだが、それとこれは別問題。
無秩序を生み出しかねないのは、それもまた悪になりかねん。
正義を成す者がそれでは示しがつかないだろう。
詰まるところ何が言いたいのかと言うと・・・・・・
放課後までは出来る限り普通に接しよう。
それで休みなんかにデートに行ったりとか、そのような方向性で。
あまり人が見てる(主に生徒)前では出来る限りくっつかないようにしよう。
でも、携帯くらいは良いと思うのだが。
それぐらいは目を瞑って頂きたい、恋人同士なのだし。
と考えをまとめた俺はIS学園に戻ってから今日まで、鍛錬に明け暮れた。
量を通常の五倍にまで増し、精神をぎりぎりまで追い詰め、体と心を刀のように打ち鍛え鋭利に研いでいく。
そして二学期が始まる今日、精神の状態を盤石にして新学期に望む。
しかしながら毎日来る真耶さんからのおはようの挨拶メールが来る度に頬が緩んでしまうのは見逃して欲しい。
きっちりと制服に袖を通し、俺は自分の席で座っていた。
さぁ、今日から二学期が始まるぞ、と決意も新たに意気込んでいた。
クラスメイトもどんどん登校していき、クラスが賑やかになってきた。
日焼けをして肌の色が変わったもの、髪型を変えてきたものや、雰囲気が変わったものなど、多種多様だ。
特に・・・・・・箒とセシリア、シャルはもの凄く暗い雰囲気を放っていた。
「大丈夫か、三人とも? 何かあったのか」
「「「な、何でも無い・・・・・・」」」
もはや抜け殻のような感じになっており、少し心配になる。
「ラウラは何か知らないか? たしかシャルと同室だったよな」
「いや、私は・・・何も・・・あはははははははは」
この三人と比べて比較的に元気なラウラに聞いて見るが、苦笑しながらこの場を去ってしまった。
何かあったのだろうか?
しかし、当人達がそう口を揃えて言われては、本当に何も無いのだろう。
女の子には色々とあると言うし、そういうものだろう。
下手に問い詰めては迷惑になりかねないしな。
そう思って俺は聞くのを止めた。
そして待つこと十分。
教室の扉が勢いよく開く。
「みなさん、すみません! 会議で遅れちゃいました~」
いつものように甘い声で慌てながら教室に入ってくる様は、まさに一学期と変わらない。
俺はその姿を見て『内心』で頬を緩ませる。それぐらいはいいだろう?
入って来た人は、この学園の教師にして俺の恋人の山田 真耶その人である。
真耶さんはさっそくクラスメイトに挨拶していくと、クラスメイトは明るく返事を返していく・・・・・・一部を除いて。
その一部に挨拶するときは何故か苦笑していた。
「おはようございます、一夏君!」
溢れんばかりの笑顔で此方に挨拶する真耶さんに、俺は内心で喜びつつも挨拶を返す。
「おはようございます、『山田先生』」
「え・・・・・・・・・」
返した瞬間に真耶さんの顔が凍り付いた。
そして・・・・・・両目からポロポロと雫が落ちる。
「えっ!? あの、その」
いきなりのことに理解が追いつかない。
急に真耶さんは泣き出してしまったのだ。
「ひっく・・・一夏君・・・私のこと、嫌いになっちゃいました? ・・・だから・・・」
「いや、そういうわけでは」
「あぁ~、織斑君が山ちゃん泣かせた~!」
「ちゃんとあやまんなよ、織斑く~ん」
「おりむー、ガンバ」
泣いてしまった理由は俺にあるらしく、クラスメイトから非難の言葉を貰う。
『彼氏なんだからしっかりしないとね、織斑君』
「「「「「うんうん」」」」」」
一人のクラスメイトがそう言うと、半分以上が頷いていた。
残りは驚愕に顔を凍り付かせていたが。
(まさか半分以上に知られてるなんて・・・・・・女子の情報網を甘く見過ぎてた!?)
今だ泣き止まない真耶さんに俺に批難を寄せるクラスメイト達、俺と真耶さんのことで騒ぎ出す者に、ショックを受けてダメージを受けまくっている三人。
もはや教室は阿鼻叫喚と化していた。
流石にこのままじゃ収拾が付けられない。
俺は真耶さんの前に行き、頭を下げ謝罪する。
「すみませんでした、真耶さん。学校なのであまり公にすべきではないと思いそう答えたのですが、すでに手遅れのようで・・・・・・」
後半はもはや小声になっていた。
「だから真耶さんが嫌いになったとか、そういうわけではないですよ」
「本当ですか」
「本当です」
何とか泣き止んだ真耶さんが上目遣いに見つめてくる。
(うっ、可愛い!?)
そのまま抱き締めたくなる誘惑を鋼鉄の意志を持って堪える。
しかし見つめ合ってしまい、無意識の内にピンクっぽい雰囲気が出てきてしまう。
それを見てさらに騒ぐクラスメイト達。
三人のライフはゼロ状態に・・・・・・
教室は一層騒がしくなった。
「騒がしいぞ、貴様等! 一体何を騒いでいる!」
そして教室に入ってきた我が姉にしてこのクラスの担任、織斑 千冬。
教室の空気が一瞬にして凍り付く。
そしてそれに気付かない真耶さん。
俺はアイコンタクトで何とか事情を説明しようと奮闘する。
結果・・・・・・・・・
朝のSHRが終わり次第に俺と真耶さんは千冬姉に怒られた。