装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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新年早々についてないです・・・・・・


プールに行こう その2

電車で揺られること約三十分。

俺達はレジャーランド『サマーマリン』についた。

最近出来たばかりであり、人が多く賑わっている。

俺と真耶さんは待ち合わせ場所を決めると、早速着替えに更衣室に行った。

男の着替えなんてものは直ぐに終わる。

俺は着替え終わると、この施設で待ち合わせによく使われるらしい椰子の木のモニュメントで真耶さんを待っていた。

今か今かと真耶さんを待っている俺だが、さっきから視線が全体から刺さって仕方ない。

正確には妙に熱の籠もった視線が俺の身体にだ。

細身の割に鍛え抜かれ一切無駄のない肉体。

武者としてはまだまだな身体だが、同年代の男と比べれば嫌でもはっきり違いが分かる。

そしてあまり自覚が無いとは言え、有名人扱いされている身だ。

嫌でも注目を集めてしまう。

 

「(ねぇ、見て見て、あの身体、すっご~い!)」

「(あれってもしかして織斑 一夏。 えぇ~、なんで有名人が此処にいるの!?)」

「(あら、イイ身体してるじゃな~い。××しがいがありそう)」

 

人々がそう口々に小さく呟く。

最後の奴は聞きたくなかった。

それらに耐えつつも待つこと十分。

 

「一夏く~ん!」

 

恋人の甘い声に頬が緩みつつも振り返ると・・・・・・

俺の顔は衝撃のあまり固まってしまった。

別に真耶さんが変な水着を着ていたとかそういうのではない。

身につけているのは真っ白なビキニ。

清楚な色でからありながら大人の魅力が溢れ出し、真耶さんには凄く似合っている。

しかし、では何故、俺はここまで衝撃を受けているのか。

それは真耶さんが此方に駆けてきているからだ。

別にその行為自体は普通だ。

しかし水着になるとより激しく見えてくる。

真耶さんが此方に走ってくると、その身体には不釣り合いなくらい大きな胸がゆっさゆっさと揺れるのだ。どうも本人は楽しさが先行して気付いていない様子。

目に入るだけで思春期の男には猛毒な光景である。

事実、その光景を目にした周りの男共は見入っていた。

恋人が他の男からイヤらしい視線を向けられて嬉しいわけがない。

俺は真耶さんには気付かれないようにしつつ死合い並の殺気を男達へと向けると、男達の顔がどんどん青ざめていく。中には泡を吹いて倒れた者もいたが、人の恋人にイヤらしい視線を向けた罰である。知ったことでは無い。

 

「お待たせしました、一夏君。この水着、どうでしょうか・・・・・・」

 

俺のところまで来た真耶さんが上目遣いにそう聞いてくる。

はっきり言おう・・・・・・直視出来ない。

恥ずかしがり顔を真っ赤にしつつ、腕を祈るように前で組み上目遣いで此方を覗き込んでくる真耶さん。

組んだ腕によって、更に胸が強調され、覗き込んでくるものだから谷間がなお凄い。

そんな色っぽい格好なのに、さらに覗き込んでくる顔はとても年上とは思えないくらい幼い。

ギャップの差が激しくてかなり凄い。

俺は見た瞬間から火が出るくらい顔が真っ赤になり、心臓がさっきからバクンバクンと鳴り響いて仕方なくなっていた。

 

「と、とても似合ってます。真耶さんにぴったりです」

「そ、そうですか!? よかった~、勇気だして・・・」

 

真耶さんはかなり喜んでくれたが、俺はそれどころではない。

本当はもっと一杯言いたかった。しかしあまりの衝撃にそれくらいしか言えなかった。

少しだけ顔をそらしながらそう言うのが精一杯だ。既に鼻の中が熱くなり、ドクンドクンと鼓動を刻んでいる気がした。気を付けないと垂れてきそうだが、そんな姿を真耶さんには見られたくないので意地でも止める。自分が武者になって一番再生力が頼りになると思った。

 

「そ、それじゃ行きましょうか」

 

俺はそう笑顔で真耶さんに笑いかけながら真耶さんの手を持つと、身体が密着するくらいに組む。

 

「は、はい、そうですね」

 

真耶さんは俺の行動に驚きつつも、嬉しいらしくぴったりと寄り添ってくれた。

 

(あぁ、恥ずかしい。しかし・・・・・・)

 

いつもなら此処まで大胆なことはしない。

俺は周りに見せつけるように真耶さんと手を繋ぎ歩く。

腕に真耶さんの胸が挟み込まれてもの凄くやばい感触だ。気絶しそうになるのを懸命に堪える。

さっきのことと言い、駅でのことと言い、真耶さんは魅力的過ぎる。

なので牽制を込めてこういう行動を取った。彼女は俺の恋人なのだと、周りに見せつけるために。

男のみっともない嫉妬と取られても構わない。それで彼女を護れるというのならいくらでも罵ってくれて結構だ。

事実、この行動で俺に男達からの憎悪の視線が向いてくる。

しかし動じることは無い。俺は自信を持って真耶さんと手を繋ぐと、真耶さんはさらにくっついてくる。

 

「い、一夏君!?・・・・・・今日は大胆ですね・・・」

「いや、あははは・・・」

 

なお凄いことになっていく男達の憎しみと妬みの視線。

それらを向ける者達を真耶さんにバレないように殺気で撃退しつつ俺達はアトラクションへと歩いて行った。

 

 

 

さっそくアトラクションのウォータースライダーを滑ることになった。

さっそく一番上まで昇ると係員の人に説明を受ける。

 

「このアトラクションは二人で一緒に滑って貰います。女の子が前になって男の子が後ろから抱きかかえて下さい」

「「え、そうなんですか!」」

 

まったく知らなかったため、同じことを同時に言ってしまった。

係員の人は軽く咳払いをすると、そうなんですよ、と笑顔で返してきた。

真耶さんの方を見てみると、俺の顔を真っ赤になりながら見ていた。

滑ってみたいけど恥ずかしい。

そんな感じだろうか。そんな風に恥ずかしがっている真耶さんが可愛くてクスリ、と笑ってしまう。

 

「わかりました。それじゃ滑りましょうか、真耶さん」

「・・・・・・・・・はい・・・・・・」

 

俺に看破されたのが恥ずかしいらしく、小さく答えた。

係員の人の指示に従って真耶さんを後ろから抱きかかえる。

 

「ひゃあッ!?」

「っ!?」

 

真耶さんのおなかに手を回すと、真耶さんからそんな声が漏れる。

スベスベの肌にキュッと締まったおなかの感触は、それだけで頭が沸騰しそうになる。

 

「すみません、真耶さん。我慢してください」

「い、いえ・・・・・・いやじゃないです・・・・・・」

 

お互いに真っ赤になってしまう。

しかしそうしていても始まらないので係員の人に背中を押して貰い発進する。

そして滑り出す俺達。

最初は遅く、段々と加速していく。

 

「きゃぁあああああああああぁああああああああああああああ!!」

 

真耶さんが勢いにさっそく叫ぶ。

俺は叫びこそしないが、その速度を楽しんでいた。

カーブが多く、その度に手を締め直しているが素肌では中々上手くいかない。

そして・・・・・・大きな段差で俺の手は少し離れてしまう。

急いで抱き直すのだが・・・・・・

 

ぐにゅぅうう!?

 

そんな感触が掌から伝わってきた。

 

「い、一夏君っ!?」

 

真耶さんの声で自分が何をしたのか分かった。

俺は・・・・・・真耶さんの・・・・・・胸を掴んでしまっていた。

理解した瞬間に頭の中が吹っ飛んだ。

まだ手の中に圧倒的なまでの柔らかい存在を感じる。指が何処までも沈みそうで、それでいて押し返されるほどの弾力。手のひらからあふれる圧倒的な大きさと質量。ついついずっと触っていたくなる気持ちになりそうになる。

 

って何をしているんだ、俺はっ!?

 

「す、すみません!?」

 

誘惑を断ち斬って急いで手をどかす。

その際に、「んあぁっ」と色っぽい声が聞こえた気がしたが、気のせいにしておきたい。

そして俺達はプールへと突入した。

結構な衝撃だったが、俺は真耶さんから手を離さずに立ち上がる。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

真耶さんは真っ赤になっていた。

実に気まずい。

 

「じ、事故ですから、仕方ないですよ」

「あ、あの、その、すみません・・・・・・」

 

俺は混乱でそんなことしか言えなかった。

 

「そ、それで・・・その・・・どうでした・・・」

「え?」

「その・・・・・・私の胸・・・・・・」

 

そう聞かれ先程の感触が思い出されてしまい、俺は顔が真っ赤になっていくことを自覚した。

 

「いや、それは、その」

 

素直に答えるわけにも行かず、どうすれば良いのかと俺は慌ててしまう。

真耶さんは困っている俺を見かねてか此方に顔を向ける。

 

「だ、大丈夫ですか、一夏君!?」

 

と心配そうな声で此方に聞いてきた。

 

「えっ?」

 

何のことか分からなかったが、すぐ理解させられた。

 

ポタッ、ポタッ・・・・・・

 

鼻から何かが垂れてきて、それがプールの水を紅く汚す。

それを見て、俺は自分が鼻血をだしていることを自覚した。

 

 

 

 

 

 

 


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