装甲正義!織斑 一夏   作:nasigorenn

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初のISものです。駄文だと思いますが、楽しんでいただければ幸いです。


それは、想定外の出会いだった

(この世に正義は無いのかっ!俺のせいで千冬姉に迷惑をかけるなんて・・・・。力がほしい。己の正義を貫ける力が、欲しいっ!!)

 

そう俺は願ってやまなかった。

 

今は第二回モンドグロッソの決勝戦の直前。本当なら千冬姉の応援をしているはずだったのに、会場に向かう途中、よりにもよって拉致された。

いきなり目の前に車が止まったら中から4人ほど黒づくめの人たちが出てきて、何かと思ったら背後に素早く回られ薬を嗅がされてしまい意識を失った。

気がつけば廃墟で監禁。しかもご丁寧に椅子に縛ってあった。

 

「出せっ!ここから出せぇえええええええええええええええええええええええええええ!」

 

叫んでみるが、扉の向こうにいる奴らは無視してくれやがった。それでしばらく喚いてみたら

 

「うるせぇえええぞぉ、クソガキぃいいいいいい!」

 

扉を開けてさっきの黒づくめが中に入ってきた。まず罵声、次に俺が黙るまで殴り続けやがった。何故か日本語だったのは俺への配慮ってやつだろうか。そんな配慮なんかいらないと思うけどな。

俺が喚けないほどボコボコにしたあと又扉を閉めて出て行った。俺は痛くて仕方なかったが、どうすることもできない。

 

(くっそー、派手にボコりやがって! こっちは動けねぇってのに。痛ってぇよ、くそ・・・・・・さて、どうするか。とりあえず考えるか)

 

今の自分の状況を改めて整理。どこぞの廃墟に監禁中、椅子に縛られ動けない状態。こちらの携帯は取り上げられたようで手元になし、連絡手段はないな。手錠じゃなかったのはありがたい、これなら関節を外して抜けられそうだ。連絡できない以上救援はあてにできない。相手の人数は車から考えて最低でも6人はいるか?1人で6人を相手にできるか、否、絶対に無理だ。となると・・・あとはどうしようも無い。脱出しようにも扉から出る以外に出る方法がないし・・・マジでどうしようもない。しかも相手が何考えて俺を拉致ったかわからないしな。

 

 

(ああ、俺って本当に無力だな・・・・・・千冬姉に守られてばかりだ。くそ、悔しすぎて涙がでそうだ)

 

そうして自分の無力さを噛み締めながらどれくらいたっただろうか・・・時計が無いから時間がまったくわからない。いきなり扉が開いたと思ったら、黒づくめがわらわらはいってきやがった。

今度は何だと思ったら周りにカメラとマイクを設置し始めた。

 

「突然だが織斑 一夏、君にはこれから悲痛の叫びを上げてもらう。せいぜいイイ声で啼いてくれ」

「はっ? ぐっ!? がぁああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

 

 

そう言うと俺の足に、ナイフを刺してきやがった。熱した鉄の棒を体内に入れた感触、あまりの痛さに年甲斐もなく叫んじまった。しかも何回も刺しやがった。血があふれてきて失血死すると思ったら、今度は止血剤を塗りたくられて血が止められた。

 

その後も拷問は続いていく。焼きごて、指折り、爪はがし、何でもござれだった。意識を失いそうになれば水をかけられ強制的に起こされていく。もうぐうの音もでない状態に追いやられていた。

未だにカメラは俺を録画し続け、マイクは悲鳴を拾う。普通なら精神的に折れていただろう。しかし何故か、俺は違った。

 

(こんなクソな奴らがいることが許せない!こんな悪が許せない!自身の力の無さが許せない!!)

 

俺はこいつらが・・・・・・悪が許せなかった。こんな奴らにやられている自分が許せなかった。

 

(力が欲しい。すべての悪を倒す、正義が欲しいっ!!)

 

極限まで追い詰められられた俺が真に願ったことは、そのことだけだった。

 

 

 

 

 

「その正義の心、天晴れである。ならば示して見せよ、その正義をっ!」

 

そんな叫びが聞こえるとともに、天井を突き破って大きな何かが落ちてきた。

それは

 

大きな藍色をした天牛虫だった。


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