ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第91話『スクールカーニバル・ウォーです!(女子学園サイド・パート1)』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第91話『スクールカーニバル・ウォーです!(女子学園サイド・パート1)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポルシェティーガーを駆って新たに参戦する事となった自動車部メンバー。

 

その随伴歩兵分隊にはオートバイ部隊化したおおかみさん分隊が付き、新たにアリクイさんチームに付く随伴分隊を組織する為………

 

大洗機甲部隊は、丁度時期となっていた学園祭にて………

 

大洗男子校主催時に、演劇で『眠れる森の美女』を演じ、大洗機甲部隊の存在と新規歩兵隊員募集をアピールしようと計画する。

 

更に、両校生徒会の尽力により………

 

大洗女子学園側が主催時に行うサンショウウオさんチームのライブの際に………

 

ゲストとして、芸能界で活躍している本物のアイドル………

 

『346プロダクション』の『シンデレラプロジェクト』のアイドルグループ………『ニュージェネレーションズ』を招待する事となった。

 

本物のアイドルに負けないパフォーマンスを見せる為に、レッスンに熱が入るサンショウウオさんチーム。

 

他の大洗機甲部隊のメンバーも、主役とヒロインに選ばれた弘樹とみほを中心に、演劇の練習に励む。

 

そして、遂に………

 

大洗女子学園側が主催となる、学園祭の1日目が訪れた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗学園艦・大洗女子学園敷地内………

 

『本日は、大洗女子学園の学園祭に御出で下さいまして、誠にありがとうございます。心行くまで楽しんで行って下さい』

 

学園祭の開始を告げる昼花火の音が鳴り響く中、校内放送用のスピーカーから、蛍の声でそうアナウンスが流れる。

 

その直後に、今回の大洗学園艦の学園祭に協力してくれている一航専の戦闘機部隊が、大洗女子学園の上空で航空ショー宜しく、スモークを放射しながら編隊飛行やアクロバット飛行を披露している。

 

「おおー! すっげーなぁっ!!」

 

その様子を見た地市がそう漏らす。

 

「流石は坂井だ。相変わらず良い腕をしている」

 

とそこで弘樹は、その上空を飛んでいる戦闘機部隊の中で、僚機を2機連れている零戦二一型を見て呟く。

 

「分かるんですか? 舩坂さん」

 

「アイツとも長い付き合いだからな」

 

遥か上空を飛んでおり、尚且つ高速で動き回っており、同じ機種も複数存在する中で、正確に六郎の機を捉えた弘樹に楓がそう尋ね、弘樹はそう返す。

 

「流石ですね………」

 

「ビバ! 学園祭!! 普段は戦車格納庫付近しか行けないから、遂に堂々と女子校の中へ入れる! 俺………生きてて良かったっ!!」

 

とそこで、了平が滝の様な涙を流しながら、堂々と女子校の中へ入れる事に感激している。

 

「「…………」」

 

通行人の痛々しい視線が集まるそんな了平の姿に、地市と楓は他人のフリをする。

 

「了平………今日我々は客として大洗女子学園に招かれている。しかし、大洗歩兵部隊、引いては大洗男子校の生徒として………いや、日本男児としてあるまじき行動を取った場合は………分かっているな?」

 

そんな了平に向かって、弘樹は外套(マント)から英霊を覗かせ、鯉口を切ってそう言う。

 

「!! ハハーッ! 了解であります! 分隊長殿ーっ!!」

 

途端に顔を真っ青にした了平は、気を付けをして敬礼する。

 

「分かれば良い………」

 

それを聞いて、弘樹は英霊を鞘に完全に納めると、外套(マント)で隠す。

 

「オイ、コイツの事はアレだが、今日は折角の学園祭だ。物騒な事は無しにしようぜ」

 

とそこで、地市が弘樹にそう言う。

 

「アレって何だよ?」

 

「貴方が一番分かってるんじゃないんですか、了平」

 

了平がアレ呼ばわりされた事に不満そうにするが、楓がそう毒づく。

 

「………みほくん達の所へ行ってみるか」

 

とそこで、弘樹はみほ達の教室へと向かう。

 

「あ、オイ、待てよ!」

 

「舩坂さん」

 

「オイ、抜け駆けか、この野郎!」

 

それに慌てて付いて行く地市、楓、了平だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗女子学園・普通Ⅰ科A組の教室の前………

 

「あ! 弘樹くん!」

 

「やっほー、地市くん」

 

「ようこそ、御出で下さいました」

 

「いらっしゃいませ!」

 

如何やら、彼女達のクラスではお化け屋敷をやっているらしく、弘樹達は教室の前で、悪魔に扮したみほ、ドラキュラに扮した沙織、番町皿屋敷のお菊さんに扮した華、そして狼男に扮した優花里に迎えられる。

 

「うおおっ!? 何て可愛いお化け達なんだ!………!? イデッ!?」

 

「和洋折衷だな、オイ」

 

そのみほ達の姿を見て歓喜の声を挙げる了平に拳骨を見舞いながら、地市がそうツッコミを入れる。

 

「良いの良いの。こういうのは楽しんだ方が勝ちなんだから」

 

「確かに、そうですね」

 

そのツッコミに沙織がそう返すと、楓が同意する。

 

「アレ? 秋山は確か別のクラスじゃなかたっけ?」

 

とそこで地市が、別のクラスの筈の優花里がみほ達と一緒に居る事を指摘する。

 

「いや~、それが………」

 

「麻子がお化け屋敷になんか居られるかって逃げ出しちゃって、ヘルプで来てもらったの」

 

優花里に代わる様に、沙織がそう説明する。

 

「そう言えば彼女、幽霊が苦手だって言ってましたね」

 

以前に戦車を捜索した際に、学園艦内で遭難した沙織達を助けに向かった時の事を思い出し、楓がそう言う。

 

「冷泉さん、お化け屋敷をやるのには最後まで反対していましたからね………」

 

華がそう言い、頬杖を付く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その麻子はと言うと………

 

「………コレは陰謀だ………皆で私を嵌めようとしているんだ………」

 

「それは兎も角として………何でそれで僕の所に来るんだい?」

 

大洗女子学園敷地内の駐車場に駐車していた煌人の指揮車の中の簡易ベッドで横になり、愚痴る様にそう呟いていた。

 

「沙織達はお化け屋敷を手伝ってる………他に行ける場所が此処しかなった………此処が1番落ち着く………」

 

「何?」

 

「………別に深い意味は無い」

 

と、そう言うと、麻子は煌人から視線を反らす様に寝返りを打つ。

 

そしてそのまますぐに、規則正しい寝息が聞こえて来た。

 

「………やれやれ」

 

そんな麻子に、煌人は掛け布団を掛けてやるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び、大洗女子学園・校舎………

 

普通Ⅰ科A組の教室の前にて………

 

「弘樹くん、入ってく?」

 

みほが弘樹の事をお化け屋敷へと誘う。

 

「いや、小官は遠慮しておく」

 

しかし、意外にも弘樹からはそんな答えが返って来た。

 

「おっ? 何だ、弘樹。お前実はお化けが怖いのか?」

 

そんな弘樹の姿を見た了平が、からかう様にそう言うが………

 

「いや、小官がこういった所に入ると………何故か脅かす側の人間が怖がって出て来なくなってな」

 

「あ、そうですか………」

 

弘樹がそう返したのを聞いて言葉を失う。

 

(確かに、アイツの顔を暗闇でいきなり見たら幽霊よりビビリそうだな………)

 

そして地市は、弘樹の言葉に何処か納得が行っている様な顔をする。

 

「あ、西住さん、武部さん、五十鈴さん、秋山さん。そろそろ休憩入って良いよ」

 

とそこで、お化け屋敷の中から座敷童に扮した生徒が姿を見せ、みほ達にそう言って来る。

 

「えっ? 良いんですか?」

 

「うん、ちょっとお客さんの入りも安定して来たから。それに、その人達、男子校の歩兵道の人達でしょ? 折角の学園祭なんだから、付き添ってあげなよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

座敷童に扮している生徒にお礼を言うみほ。

 

「良いって良いって。じゃあ歩兵道の皆さん。ごゆっくりとね~」

 

そう言うと、座敷童に扮している生徒は手をヒラヒラと振ってお化け屋敷の中に戻って行った。

 

「じゃあ、弘樹くん。着替えて来るから、校舎の入り口で待ってて貰っても良いかな?」

 

「了解した。校舎の入り口で待機している」

 

みほは弘樹にそう言うと、沙織達と着替えに向かい、弘樹達は一旦校舎の入り口へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗女子学園・校舎の入り口………

 

校舎の入り口でみほ達を待つ弘樹達。

 

するとそこへ………

 

「やあ、どうも、舩坂さん」

 

そう言う台詞と共に、飛彗を先頭に、白狼、海音、豹詑が現れる。

 

海音と豹詑は、模擬店で買ったと思わしきたこ焼きやらお好み焼き、焼きそばを手にして食している。

 

「宮藤くん達か」

 

「やれやれ、折角の祭りでお前と出くわすとわな………」

 

白狼がウンザリした様子を見せながらそう言う。

 

「白狼、そんな事を言うものじゃありませんよ………皆さんは、コレから模擬店巡りですか?」

 

「まあ、そんなところだ………」

 

と、飛彗の言葉に弘樹がそう返していると………

 

「お待たせ、弘樹くん」

 

「! 神狩殿!?」

 

「アレ? 神狩くん達、何時の間に?」

 

着替えを終えたみほ達がやって来て、優花里と沙織が、白狼達の姿を見てそう声を挙げる。

 

「ああ、皆さん………今さっき出会ったんですよ」

 

「まあ、そうでしたか。コレから一緒に学園祭を見て回ろうとしていたのですが、宜しければ御一緒しませんか?」

 

飛彗がそう言うと、華は一緒に学園祭を見て回ろうと提案する。

 

「「「…………」」」

 

するとそこで、楓、海音、豹詑の3人が、弘樹とみほ、地市と沙織、白狼と優花里、飛彗と華の組み合わせを見て、一瞬何かを考えた後、無言で顔を見合わせて頷き合った。

 

「良いね良いね! やっぱ学園祭は女の子と回らないと………!? ぐえっ!?」

 

と、1人勝手にテンションを上げていた了平を、海音と豹詑が抑え込む。

 

「いやいや、あんまり大人数じゃ却って不便だろ」

 

「ココは何組かに分かれて行こうやないけ。ワイ等はワイ等で楽しんで来るさかい」

 

了平を抑えたまま、海音と豹詑がそう言う。

 

「ちょっ!? 何勝手なこと言って………!? むぐっ!?」

 

「舩坂さん達は西住さん達と楽しんで来て下さい。それじゃあ、行きましょうか、皆さん」

 

不満を言おうとした了平の口を楓が塞ぎ、そのまま3人は、了平を引き摺る様に離れて行く。

 

「ちょっ!? 待て! 俺の! 俺のアバンチュールがああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

了平の叫びが、ドップラー効果で遠ざかって行く。

 

「アイツ等、あんなに仲良かったか?」

 

そんな4人を見送った白狼が、そう疑問を呈す。

 

「(ありがとう、大空くん、江戸鮫くん、日暮くん)じゃあ、折角だし、ココはペアになって其々回ろうか。私は地市くんと行くね」

 

「お、おう」

 

と、4人の計らいを悟った沙織が、そう言って地市の傍に寄る。

 

「じゃあ、私は飛彗さんとご一緒させて貰いましょうか」

 

「ええ、構いませんよ」

 

華もそう言い、飛彗の傍に寄る。

 

「か、神狩殿! よ、宜しければ、御一緒させていただけないでしょうか!?」

 

そこで優花里も、白狼に向かってそう問い質す。

 

「ああ? お前と?………」

 

「だ、駄目ですか?」

 

白狼から帰って来たのが気だるそうな声だったので、優花里は落ち込んだ様子を見せる。

 

もし、彼女に犬の耳と尻尾が有れば、間違い無く垂れているだろう。

 

「………まあ、良いぜ。飛彗達も別に回るみたいだし」

 

「! あ、ありがとうございますっ!!」

 

しかし、白狼は一瞬考える素振りを見せた後にそう言い、それを聞いた優花里は思わず敬礼した。

 

「(頑張れ、ゆかりん)じゃあ、行こうか、地市くん!」

 

「あ、オイ、待てよ、沙織」

 

そこで沙織が心の中で優花里に激励を飛ばすと、雑踏を目指して歩き出し、地市がそれを追う様に歩き出す。

 

「では、僕達も行きましょうか」

 

「ハイ」

 

それに続く様に、飛彗と華も歩き出し、人混みの中へと消えて行く。

 

「か、神狩殿! 私達も………」

 

「…………」

 

続いて優花里も白狼に声を掛けて歩き出そうとしたが、白狼は既にその場から離れて行っていた。

 

「ああ! 待って下さい、神狩殿ーっ!!」

 

優花里は慌てて、そんな白狼の後を追って行く。

 

「あ、優花里さん!………」

 

「何時の間にやら、小官達2人だな………」

 

みほはそんな優花里の背に声を掛けたが届かず、何時の間にか2人っきりになった状態に弘樹がそう呟く。

 

「えっ?………! あ、ああ、そうだね! うん!………(もしかして、沙織さん達………)」

 

そこでみほは若干顔を赤くして、沙織達の意図を察する。

 

「じ、じゃあ! わ、私達も行こうか?」

 

「そうだな………」

 

みほからそう呼び掛けられると、弘樹は歩き出そうとする。

 

(………折角沙織さん達が気を利かせてくれたんだ。頑張らないと)

 

とそこで、みほはそう決心する様に思いやると、歩き出した弘樹に追い付き、その手を握った。

 

「? 如何した?」

 

突然手を握って来たみほに、弘樹は怪訝な顔を向ける。

 

「ひ、人が多いし、逸れない様にと思って………」

 

みほは若干不安げに、弘樹に向かってそう言う。

 

「………そうだな」

 

弘樹は一瞬間を置くと、みほの手を握り返した。

 

「ありがとう………じゃあ、行こうか」

 

「ああ………」

 

それを受けて笑みを浮かべたみほがそう言い、2人は学園祭中の大洗女子学園内を巡り始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

分かれて行ったメンバーの内、白狼と優花里は………

 

「しっかし、女子校の学園祭だけあって、ファンシーな店が多いな………」

 

立ち並ぶ模擬店に、何かしらなファンシーな要素が入っているのを見て、白狼がそう呟く。

 

(はわわわ! 如何しましょう!? 西住殿と舩坂殿を2人にしてあげようとしたばかりに、白狼殿と2人で学園祭を回る事にぃっ!!)

 

しかし、優花里はそんな白狼の言葉も耳は入らないくらいに緊張していっぱいいっぱいであった。

 

「オイ、如何した?」

 

「!? ひゃあっ!? な、何がでありますか!?」

 

と、そこで不意に白狼から声を掛けられ、優花里は悲鳴の様な叫びを挙げながら返事を返す。

 

「何かさっきからソワソワして落ち着かねえみてぇだからよ」

 

「そ、そそそ、そんな事ないであります!」

 

「何処がだよ………」

 

思いっきりテンパっている様子でそう返す優花里に、白狼は呆れた様な顔しながらそう言う。

 

すると………

 

「さあさあ! 寄ってらっしゃい! 見てらっしゃい!」

 

「当たるも八卦! 当たらぬも八卦! カエサルの相性占いぜよ!」

 

「ん?」

 

「あの声は………」

 

聞き慣れた声が聞こえて来て、白狼と優花里がその声がした方向を見やるとそこには………

 

易者の恰好をして『占』の文字が書かれたテーブルに付いて居るカエサルの前で、鎧武者姿の左衛門佐と、新撰組姿のおりょうが客引きを行っていた。

 

「カエサルさん、左衛門佐さん、おりょうさん」

 

「おお、グデーリアンか」

 

「神狩殿も一緒かぜよ」

 

優花里が声を掛けると、左衛門佐とおりょうがそう返す。

 

「お前、占いなんか出来たのか?」

 

「八卦の応用だ。軽い相性ぐらいなら占える」

 

白狼がカエサルにそう言うと、カエサルは筮竹を弄りながらそう返す。

 

「アレ? エルヴィン殿は?」

 

そこで、エルヴィンの姿が無い事に気付いた優花里がそう尋ねる。

 

「エルヴィンなら上ぜよ」

 

「上?」

 

おりょうにそう言われて、空を見上げる優花里。

 

そこには、未だにアクロバット飛行をしているハンネスのスツーカの姿が在った。

 

「空の魔王と呼ばれたルーデル大佐の子孫であるハンネスの操縦を是非とも体験したいと言ってな。後部座席に乗せてもらっているらしい」

 

「ええっ!? だ、大丈夫なんですか!?」

 

左衛門佐がそう言うと、優花里が心配そうな声を挙げる。

 

何せハンネスの祖先であるルーデルは、その余りに無茶苦茶な操縦ぶりで、後部機銃手が何回も交代しており、内1人はルーデルのせいで完全に再起不能になったと言われている。

 

「私達も止めたんだが、引き下がらなくてな………」

 

「命知らずも良いとこだぜ………」

 

カエサルがそう言うのを聞きながら、白狼は上空をアクロバット飛行するハンネスのスツーカを見上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その上空のスツーカのコックピット内では………

 

「そうら! 急降下だぁっ!!」

 

ハンネスがそう言ったかと思うと、彼の乗るスツーカは急降下爆撃機とは言え、有り得ない角度と有り得ない速度で急降下する。

 

「ぐううううううっ!?」

 

後部機銃手席に着いて居たエルヴィンの口から苦悶の声が漏れる。

 

そのまま地面目掛けてドンドン急降下して行くハンネスのスツーカ。

 

悪魔のサイレンが辺り一帯に響き渡る。

 

そして、限界高度ギリギリのところで機体を立て直し、再び急降下を始める前の高度に戻って行く。

 

「ハア………ハア………ハア………ハア………」

 

すっかり息切れし、苦しそうにしているエルヴィン。

 

「お嬢ちゃん、そろそろ降りるかい?」

 

するとハンネスはそんなエルヴィンを気遣う様にそう尋ねる。

 

「い、いや、大丈夫だ………もう1回やってくれ」

 

だが、エルヴィンは息を整えると、ハンネスにそうお願いする。

 

「あのルーデル大佐の子孫の操縦を体感出来るんだ………こんなに興奮出来る事は無い!」

 

「ハッハッハッハッ! 良い根性だ! 気に入った! 惜しいな………戦車道の選手じゃなかったら、是非ガーデルマンの代役として後部機銃手に迎え入れたいと思ったのだがなぁ」

 

若干残念そうな様子を見せるハンネス。

 

「良し! ではもう1度急降下だぁっ!!」

 

しかしすぐにいつもの調子となり、再び急降下する為に急上昇を始める。

 

「ぐうううっ!………コレが………空の魔王の飛び方か………」

 

そう呟きながら、エルヴィンは意識が遠くなるのを感じる。

 

数十分後………

 

意識を失ったエルヴィンは、着陸後にエグモントによってスツーカの後部座席から降ろされたが………

 

その顔は、満ち足りた様な穏やかな笑顔であった、とエグモントは語っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗女子学園・カエサル達の模擬店の前………

 

「そうだ。折角だから、2人の相性を占ってやろうか。戦友だから、サービスでタダにしておくぞ」

 

不意にカエサルは、優花里と白狼に向かってそう言い放つ。

 

「相性占い………」

 

それを聞いた優花里は、気づかれない様に白狼に視線をやる。

 

「悪いが間に合ってる。そう言う類は信じない主義で………」

 

占いなどは信じない主義の白狼は断ろうとしたが………

 

「良いじゃないですか、神狩殿! 折角タダでやってくれるんですから! さあさあ!」

 

「オ、オイ! 押すなって!!」

 

優花里が強引に白狼の背を押して、カエサルの方へと近づくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むむむむむ…………」

 

目を閉じて、神妙な面持ちで筮竹を手の中で鳴らしているカエサル。

 

「…………」

 

「ったく………何でこんな事を………」

 

その結果を緊張した様子で待っている優花里と、暇そうにしている白狼。

 

「………出たぞ」

 

やがて、カエサルはそう言って目を開ける。

 

「2人の相性は悪くない………寧ろ良いと言えるな」

 

「! おおっ!!」

 

「ホントかよ?………」

 

喜ぶ様子を見せる優花里とは対照的に、白狼は懐疑的な様子を見せる。

 

「しかし………神狩分隊長はモテるみたいだな。他にも相性が良い女性が居ると出ている」

 

「!? えっ!?」

 

だが、そこでカエサルがそう付け加え、優花里が驚愕の表情を浮かべる。

 

「相性の良い女ね………」

 

「心当たりが有るみたいだな」

 

「さあ、ね………」

 

カエサルの言葉をはぐらかす様に、白狼は素っ気ない返事を返すのだった。

 

(私以外に神狩殿と相性の良い女性………一体、誰なのでありますか?)

 

優花里は、心の中で見ず知らずの相手にそんな念を送る………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒森峰学園艦・黒森峰女学園の生徒会室………

 

「へぷちっ!」

 

「会長? 風邪ですか?」

 

「う~ん………誰かが噂してるんじゃないかしら」

 

可愛らしいくしゃみを漏らした揚羽が、ティッシュで鼻をかみながらそう言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

遂に始まりました、学園祭!
先ずは1日目、大洗女子学園サイドの方になります。
ラブコメ展開が続く事になると思うので、糖分の執り過ぎに御注意下さい(笑)

白狼と優花里、揚羽はキャラを投稿してくれた友人からのリクエストで三角関係っぽい感じになるかと。
ぶっちゃけそう言う関係性を書くのは苦手なのですが、努力したいと思っています。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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