ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

271 / 287
エピローグ『愛里寿・ウォーです!(前編)』

『劇場版 ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース ~炎のさだめ~』

 

エピローグ『愛里寿・ウォーです!(前編)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世間の人々は知る由も無い軍事道史に残る大激戦………

 

大洗連合部隊VS大学選抜部隊との試合から、幾何かの月日が流れた、とある休日………

 

大洗学園艦の演習場では、今日も今日とて大洗機甲部隊の訓練が行われていた。

 

今年は20年ぶりに冬季の大会が復活すると言う話もあり、大洗機甲部隊員達の訓練に掛ける情熱は高い。

 

そんな中、午前の訓練が終わり、昼食と休憩を挿んだ後に午後の訓練が開始されようとしていたところ………

 

大洗女子学園側の生徒会メンバーより、思わぬ知らせが入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗女子学園・戦車格納庫前………

 

「………本当ですか?」

 

「いや~、急に連絡があってねぇ」

 

杏からの話を聞いたみほが、驚きの声を挙げる。

 

「島田 愛里寿が大洗女子学園に編入を希望………」

 

弘樹も俄かに信じ難いと言う様に呟く。

 

 

 

 

 

そう………

 

あの大学選抜機甲部隊の総司令であり、島田流戦車道の後継者である島田 愛里寿が………

 

大洗女子学園に編入したいと言って来たのである。

 

 

 

 

 

「確か、愛里寿ちゃんって飛び級して大学行ってるんですよね?」

 

「うん。だから高校行ってなくて、是非高校生活を送って見たいそうだよ」

 

聖子の声に、柚子が答える様に返す。

 

「13歳だから中学校に入るのが正しいんじゃないのか?」

 

「島田 愛里寿は人見知りな性格らしい。それで知り合いの多い大洗女子学園への編入を希望したそうだ」

 

海音の疑問には、煌人がノートPCを弄りながら返す。

 

「まあ、そう言う事なら、ウチは大歓迎だけどね」

 

「諸君等には島田くんを存分に持て成して欲しい」

 

皆に向かって杏がそう言うと、迫信も扇子を開いて口元を隠しながら言う。

 

「コレはチャンスだ! 島田 愛里寿に我が校へ入学して貰えれば、西住流と島田流が我が学園艦に揃う事になる! そうなれば向かうところ敵無し! 来年の入学者も増えてウハウハだ!!」

 

取らぬ狸の皮算用を始める桃。

 

「本当に島田 愛里寿が転校してくるんだ」

 

「へえ~、じゃあ1年生になるの?」

 

「同じクラスになれるかな?」

 

「私初めてかも、転校生見るの」

 

「自己紹介とかすんのかな?」

 

梓達、1年生チームも大はしゃぎの様子だ(紗希は何時も通りボーッとしているが)

 

「転校生の島田 愛里寿です。よろしくお願いします」

 

と、桂利奈が愛里寿のモノマネを始める。

 

「「「「良い~っ!!」」」」

 

「この学校の事、まだ何も分からないので、色々教えて下さい!」

 

「「「「教えちゃう~っ!!」」」」

 

「前の学校では戦車道やってたので、この学校でも是非やりたいです! 先輩方とも、早く仲良くなりたいです!」

 

「先輩?」

 

「遅れて入って来るんだし、私達先輩になるんじゃない?」

 

「え~~、私達が先輩って凄くない」

 

学年的に1番下の為、先輩と言う言葉に憧れを抱く1年生チーム。

 

「じゃあ、愛里寿さんじゃなくて、愛里寿ちゃんだね」

 

「愛里寿で良いんじゃない?」

 

「あの島田 愛里寿を呼び捨てにするんだ」

 

「「「「「凄~いっ!!」」」」」

 

「オイ、コラ1年! まだ入学すると決まったワケじゃない! この学校の良さをアピールする、あの手この手を考えるんだ!」

 

と、はしゃぐ1年生チームに、桃が釘を刺す様にそう言う。

 

「………威張ったりする先輩にはならない様にしよう」

 

「すぐパニックになったり」

 

「肝心なところで外したりしない様に気を付けようね」

 

しかし、桃の普段が普段なだけに、逆にそんなヒソヒソ話を展開される。

 

「聞こえてるぞっ!!………!? ぐええっ!?」

 

「本当の事だろうが………」

 

怒鳴る桃の後頭部を、熾龍がアイアンクローで摑んで持ち上げる。

 

「おお、久々のアイアンクロー………」

 

「これ見ると落ち着くね~」

 

そして既に桃への気遣いなど微塵も無くなっている蛍と柚子だった。

 

「絶対バレー部に入ってもらいたいなぁ」

 

「球技好きかな?」

 

「典子ちゃん達はブレないね」

 

相変わらずバレー命の典子とあけびがそう言い合い、武志がそう漏らす。

 

「ちょっと小柄だから、同じ球技でも卓球とかが得意かも知れないね」

 

「じゃあ、私達も卓球やる?」

 

「バレーは?」

 

と、妙子と忍がそんな事を言うと、典子が心配そうな声を挙げる。

 

「卓球………バレー部」

 

「いや、それはバレーじゃないだろう」

 

忍が卓球とバレーを掛け合わそうとすると、大詔からツッコミが入る。

 

「成程! テニスが好きなら、テニスバレー部!」

 

「音楽が好きなら軽音バレー部だし!」

 

「アニメが好きなら、アニメ同好バレー部だ!」

 

「いや、もうバレー関係ねえだろ」

 

全ての部活をバレーに収束させようとするバレー部チームに、今度は磐渡がツッコミを入れる。

 

「ああ! だったら、バレエバレー部は?」

 

「それもう、只のダジャレだろ」

 

「普通にバレーしようよ」

 

最後のあけびの提案には、呆れた様子の海音と典子がツッコミを入れるのだった。

 

「敵将が味方になると言うのは浪漫だな」

 

「我々に敬服したからだろうか?」

 

「西住総司令にだろう」

 

「是非御召し抱え下さいと言う事か」

 

「戦国時代には良く有るケースだ」

 

コッチもコッチでブレていない歴女チームの一同。

 

「彼女は絶対、歴史上の人物で尊敬する人が居ると思う」

 

「やはり、カール・グスタフ・フォン・ローゼン」

 

「いや、優れた仕官先を探し続けた藤堂高虎だな」

 

「江戸城無血開城を主張した勝海舟」

 

「アレクサンドロス大王に娘を嫁がせたオクシュアルテスだろ!」

 

「「「それだ!」」」

 

「いや、全然分からん!」

 

相変わらずマニアックな歴女トークに、秀人がツッコミを入れる。

 

「彼女は校則を守るタイプかしら?」

 

「遅刻とかはしなさそう」

 

「流派の跡取り娘だし、品性方正で間違いないと思うがね」

 

風紀を気にするみどり子とモヨ子に、紫朗がそう言う。

 

「でも、自分がルールだってところがある様に見受けられるけど………」

 

「考え過ぎじゃないか?」

 

「先生に反抗したり、つまらない授業はサボりそう」

 

「頭が良い不良って扱い辛いわね」

 

「オイ、何で私を見る………」

 

そこでみどり子が麻子を見遣ると、麻子は心外そうな表情を返す。

 

「ちょっと練習しておきましょうか」

 

「そうね………」

 

「………プカー」

 

するとそこで、希美がタバコを吹かす真似事をする。

 

「島田さん、授業サボって、そこで何してるの?」

 

「見りゃ分かんだろ」

 

「未成年はタバコを吸ってはいけないのよ」

 

「私は自分のルールに従って生きている」

 

「そんな屁理屈言わないで」

 

「屁理屈ではない………信念だ」

 

「う………」

 

モヨ子が言葉に詰まる。

 

「ココで怯んでは駄目よ、ゴモヨ。良い!? タバコは駄目! 授業をサボるのも駄目! 大洗女子学園の生徒になったのなら、信念を曲げて頂戴。そして校則を………」

 

「こんな学校辞めてやらーっ!!」

 

「入学する前に退学させてしまったわ………」

 

「何だ、この茶番………」

 

一連の若干愛里寿に失礼なみどり子達の遣り取りを見ていた白狼が、呆れる様に呟くのだった。

 

「島田 愛里寿なら、良いドライバーになりそうだな」

 

「戦車の操縦は凄かった」

 

「テクニックは抜群だ」

 

「ドリフトも上手いと思う」

 

「いや、操縦が上手いのは愛里寿ちゃんじゃなくて、センチュリオンの操縦士さんじゃないかなぁ?」

 

やはり自動車の話題な自動車部メンバーに、弁慶がツッコミを入れる。

 

「アレはやはり天性のモノだろうな」

 

「ついに我々は天才ドライバーに巡り合ったんだな」

 

「速人以外に我々のマシンを最大級に活かせるドライバーにな」

 

「御評価頂き、光栄ですな」

 

大洗のプロドライバー、速人が口を挟む。

 

「世界3大レース全てで優勝した、グラハム・ヒルの様な努力家だろうか?」

 

「何でも乗りこなせた天才、ジム・クラークじゃないか?」

 

「いや、コンピューターと言われたニキ・ラウダの様だ」

 

「島田流がスポンサーになってくれたら、F1に出るのも夢じゃないかも知れない!」

 

「女子高生がF1出場!?」

 

(それなら会長閣下に頼んだ方が早い様な………)

 

F1の話題で盛り上がると、誠也が内心でそう考える。

 

「アレ? でも島田 愛里寿は戦車操縦してなかったよな?」

 

「じゃあ! 往年のジャン・トッドの様な監督だ!」

 

「いや、ロン・デニスだろう!」

 

「それはCEO」

 

漸くツッコミが入ったが、今度は監督の話題へ移るのだった。

 

「彼女は子供だから、きっとゲーム好きに違いない」

 

「でも、アイドルになるゲームとか、ちっこいモンスター集めるゲームとか、妖怪集めるゲームとかの方が好きかも」

 

「戦車のネトゲーやらないかな?」

 

(あの歳でネトゲーをやらせても良いモノか………)

 

やはりゲームの話題となるネトゲーメンバーに、ゾルダートが内心で若干ズレた心配をする。

 

「いや、負けず嫌いの様だから、僕がボコボコにすればきっと火が着く」

 

「よし、島田 愛里寿が来たら容赦無く撃破しよう!」

 

(フラグにしか聞こえない………)

 

心の中でそうツッコミを入れる逞巳。

 

「ねえねえ! 愛里寿ちゃんにもスクールアイドルになって貰おうよ!」

 

「そう来ると思ってました………」

 

目をキラキラさせてそう言う聖子に、優が予想通りだと言う顔をする。

 

「けど、確かに彼女は大学選抜チームの広告塔でもあったわ。ビジュアルは文句無しだし、天才少女だからダンスもすぐ覚えられると思うわ」

 

意外にも前向きな様子を見せる里歌。

 

「となると、後は歌唱力がどれくらいかだね」

 

「まあ、唯ちゃんみたいじゃないと思うけど」

 

「ほっとけ!」

 

郁恵と伊代がそう言い合うと、過去を蒸し返された唯が不貞腐れる様な顔をするのだった。

 

「いや~、凄いじゃないですか、島田殿が転校して来るなんて」

 

「思い切った決断をされたんですね」

 

あんこうチームでも、優花里と華が盛り上がりを見せている。

 

「みぽりん、良かったね。ボコ仲間が出来るじゃん」

 

「喜ぶところはそこなんでしょうか?」

 

「まだ決まったワケじゃないみたいだけど………確かに、一緒にボコミュージアム行ったり、ボコのDVDみたり、ボコグッズ見せあったりできるかな?」

 

「みほさんまで………」

 

ボコ仲間が何時でも身近にいる状況となる事に、みほのテンションも高い。

 

「如何やったら入学してくれますかねえ?」

 

「麻子、何か良いアイデアない?」

 

「島田 愛里寿は子供だからお昼寝タイムを入れては如何だ? これを機にシエスタ制にする。若しくは午後から授業開始………愛里寿シフトを布くんだ」

 

「それは麻子シフトでしょう」

 

相変わらず眠気と格闘している麻子の願望に、沙織の容赦無いツッコミが入る。

 

「高校で戦車道がやりたいと言うより、高校生活が送りたいから転校して来るんですよね?」

 

「なら、やっぱり高校生活と言うのがどれだけ楽しいかを伝えるのが1番じゃないですかね」

 

そこで、華と飛彗からそう意見が挙がる。

 

「でも、如何言った点でアピールすれば良いんでしょうかねえ?」

 

「弘樹くん、何か有る?」

 

「うむ………」

 

みほが尋ねると、弘樹は思案する様な様子を見せる。

 

「イテテテテ………では、島田 愛里寿獲得に対する作戦はないか、各チームの意見は?」

 

とそこで、漸く熾龍のアイアンクローから脱出した桃が、大洗機甲部隊員達に向かってそう問い質す。

 

「「「「「ハイハイハーイッ!!」」」」」

 

するとすぐに、紗希を除いた1年生チームから元気良く声が挙がる。

 

「では、ウサギチーム」

 

「ハイ。凄く可愛い制服に変えたら良いと思います」

 

梓がそう言いながら、何時の間に書いたのか、アニメの学校にでも出て来そうなファンシーな制服のデザインが描かれたスケッチブックを見せる。

 

「それは予算的に無理かなぁ………」

 

「今から制服を全て変えたら混乱が起こるぞ」

 

しかし、柚子と十河からそう反論される。

 

「却下。アヒルチーム」

 

「バレーボール大会を開いたら良いと思います!」

 

「却下。カバチーム」

 

「全員、歴史上の人物の仮装をして迎える」

 

「却下。カモチーム」

 

「入学したら、名誉風紀委員に任命する!」

 

「却下! レオポンチーム!」

 

「24時間耐久戦車レースを行う!」

 

「却下! アリクイさんチーム!」

 

「24時間耐久ネトゲ大会!」

 

「却下!! 如何して皆自分の事しか考えないんだぁっ!!………!? ぐええっ!?」

 

「貴様がそれを言うか………」

 

今度は熾龍のバイス・グリップが桃を襲う。

 

「桃ちゃんの頭から変な音してる………」

 

「大丈夫じゃない? 桃ちゃんだし」

 

しかしそれでも止めようとしない柚子と蛍だった。

 

「ハイハーイ! スクールアイドルライブを!!」

 

「あ、それはもうプログラムの中に組み込んでるから」

 

聖子が勇んでそう言うと、蛍がそう返す。

 

「ホントですか!? 頑張りますっ!!」

 

(張り切ってるな~、聖子ちゃん)

 

何時も以上の張り切りを見せる聖子に、伊代は温かい眼差しを向ける。

 

「いや~、個性が有って良いね~」

 

「今更だが有り過ぎじゃねえのか?」

 

杏の言葉に、俊が本当に今更なツッコミを入れる。

 

「あの………普通で良いんじゃないでしょうか?」

 

するとそこで、みほが手を上げながらそう言った。

 

「愛里寿ちゃんは特別でない普通の生活が送りたいからウチに来るんですし………」

 

(ウチの学園艦が普通かって言われたら、それはそれで返答に困りますけど………)

 

そう言葉を続けるみほだが、清十郎は内心でそう思ってしまうのだった。

 

「うん、正論だね」

 

「じゃあ、西住ちゃんに出迎えの仕切りを頼んでも良いかな?」

 

「あ、ハイ。分かりました」

 

迫信が納得が行った様な顔をし、杏がそう言うと、みほが返事を返す。

 

「ところで、男子から何かアイデアは無いのか?」

 

とそこで、俊が大洗歩兵部隊員達にそう問い質す。

 

「………僭越ながら」

 

すると意外にも、弘樹が挙手する。

 

「ほう? 珍しいね、舩坂くん。何かあるのかね?」

 

「ハイ…………」

 

そして弘樹は、自らの考えを発表するのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

誠に申し訳ありません。
リアルの事情で執筆時間が執れず、エピローグの愛里寿・ウォーですが、今回は前編の投稿となります。
後編で終わらせる積りではいますが、ひょっとすると中編も挿む事になるかも知れません。
御了承下さい。

原作通りに、高校生活を送る為に大洗への転校を希望してきた愛里寿。
皆があの手この手で愛里寿獲得に動く中………
ご本人は次回からの登場となります。
勿論、以前言った通り、イプシロンも登場しますのでお楽しみに。

それと、以前発表した過去作『天元突破インフィニット・ストラトス』の再投稿ですが………
見たいと言う意見が多数寄せられましたので、再掲載させて頂く事に致しました。
公開時期としましては、愛里寿ウォーが終了………
つまり、この作品が完結した後、次の週からまた1週1話のペースで投稿させて頂こうかと。
まだ何かご意見がありましたら、活動報告までお寄せ下さい。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。