ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター40『死闘です!(その5)』

『劇場版 ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース ~炎のさだめ~』

 

チャプター40『死闘です!(その5)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遊園地跡・ラーテゾーン………

 

「「撃てっ!!」」

 

典子とシュガーの掛け声で、八九式とバレンタインが同時に発砲する。

 

しかし、レイミのパーシング・ジャンボは、旋回して装甲に傾斜を付ける事により2輌の砲弾を弾き飛ばす。

 

そして、八九式とバレンタインに主砲を向けると発砲する!

 

「!? うわっ!?」

 

「きゃあっ!?」

 

幸いにもギリギリで外れたが、どちらの車体も一瞬浮き上がり、典子とシュガーが声を挙げる。

 

「マズイわね………砲弾が残り少ないわ!」

 

「クッ! コッチもだっ!!」

 

そこで残りの砲弾の数を確認したシュガーと典子がそう言い合う。

 

「観念しなさい。アンタ達は私のお金になるのよ」

 

そんな2人に向かって、レイミはそう言いながら、主砲の照準を合わせる。

 

「「!!」」

 

向けられたパーシング・ジャンボの砲門を睨む様に見据える典子とシュガー。

 

「撃………! イタッ!」

 

と、号令を掛けようとしたレイミの頭に、何かが当たった。

 

「何が………!?」

 

何が当たったのか確認したレイミは目を見開いた。

 

レイミの頭に当たったのは500円玉………硬貨だった。

 

「お金っ!!」

 

レイミが思わず声を挙げた瞬間!

 

空から無数の硬貨が降り、更に紙幣が舞い散った!!

 

「な、何っ!?」

 

「お金が降って来てるっ!?」

 

思わぬ出来事に、典子とシュガーも困惑する。

 

「そらそらそら! 大盤振る舞いよっ!!」

 

「銭まくど! 銭まくど! 銭まくさかい、風流せいっ!!」

 

そして、それを撒いていたのは、ラーテゾーンの屋上の縁に陣取ったクロエとしずかだった。

 

しずかに至っては、某傾奇者漫画の最終回の様な台詞を口にしている。

 

「姫ーっ! それ、私達の活動資金ーっ!!」

 

そんな景気良く金をばら撒いている2人の背後では、鈴がムンクの『叫び』の様な表情で青褪めている。

 

その言葉通り、今2人がばら撒いている金は、ムカデさんチームのタンカスロンでの活動資金なのである。

 

野試合であるタンカスロンに於いて、個人チームは大抵自分で活動資金を用意している。

 

ムカデさんチームの場合は、マネージャーのはるかがグッズの販売等をして資金を得ていた。

 

それを今、しずかとクロエは惜しげも無くばら撒いている。

 

「ええい! 最早けち臭い事は言わん! コレも持って行けいっ!!」

 

と、それだけでは足りなくなったのか、何としずかは自分の財布の中に在った金までばら撒き始めた!

 

「おお! やるわね、しずかちゃん! じゃあ、私もっ!!」

 

それを見たクロエも、同じ様に自分の財布の中に在った現金をばら撒き始める。

 

「「「「ちょっ!? 総隊長っ!?」」」」

 

流石にその光景にはヘルキャットの乗員も慌て、止めに入ろうとしたが………

 

「アンタ達も撒きなさい」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

クロエにそう言われて、ヘルキャットの乗員達は固まる。

 

「何をしている、鈴。お前も続け」

 

「ふえっ!?」

 

更にはしずかによって鈴にも飛び火する。

 

「いや、それは………」

 

「姫、流石に………」

 

勿論、躊躇するヘルキャットの乗員と鈴だったが………

 

「「…………」」

 

クロエとしずかは、『やれ』と言う無言の圧力を掛けて来る。

 

「「「「うっ………!?」」」」

 

青褪めた顔を見合わせるヘルキャットの乗員と鈴。

 

「「「「「………ハアア~~~ッ」」」」」

 

やがて諦めた様に深い溜息を吐くと、財布を取り出した。

 

「分かってるじゃないの」

 

「それでこそだ」

 

その様子を見て、満足げな表情になるクロエとしずか。

 

「ああ、もう!」

 

「こうなりゃ自棄よっ!!」

 

「持ってけドロボーッ!!」

 

「銭まくど! 銭まくど!

 

「銭まくさかい、風流せいっ!!」

 

そんな中、ヘルキャットの乗員と鈴は、自棄気味に財布の中の金をばら撒き始めるのだった。

 

「何してるの、あの2人………?」

 

「ねずみ小僧みたい………」

 

ムカデさんチームとクロエ達の奇行に、シュガーと典子は茫然となる。

 

しかし………

 

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!! お金ええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーっ!!」

 

突如レイミは奇声を挙げて、パーシング・ジャンボから飛び出した!

 

「!? ちょっ!?」

 

「レイミさんっ!?」

 

「お金! お金! お金っ!!」

 

同乗員が慌てるのも知らず、レイミは散らばった硬貨を拾い集め、舞い散っている紙幣をジャンプして摑み取って行く。

 

「何やってるんですか、レイミさん!?」

 

「試合中ですよっ!?」

 

「知るか馬鹿っ! そんな事よりお金だっ!!」

 

一心不乱に散らばった金を拾い集めるレイミ。

 

心成しか、目がお金を現す¥マークになっている様に見える。

 

「「!! 今だぁっ!!」」

 

そしてそんなチャンスをみすみす見逃す典子とシュガーでは無い!!

 

一気にパーシング・ジャンボとの距離を詰め、肉薄する!

 

「!? ヤバ………」

 

そして左右から挟み込む様に陣取ったかと思うと、同時に砲塔基部へ零距離から砲弾を叩き込んだ!!

 

弱点の砲塔基部に攻撃を受け、パーシング・ジャンボは派手に黒煙を上げたかと思うと、一瞬間を空けて白旗を上げたのだった。

 

「金! 金! 金ーっ!!」

 

だが、それでもレイミは気にせず、落ちている金を集める事に集中し続ける。

 

「「…………」」

 

そんなレイミに、典子とシュガーは憐れむ様な視線を向けるのだった。

 

「上手く行ったわね」

 

「金ほど人心を狂わせるものはないわ」

 

したり顔でそう言い合うクロエとしずか。

 

「「「「「私達の全財産~~~………」」」」」

 

その後ろで、鈴とヘルキャットの乗員達はさめざめと涙を流していた。

 

「「では、行きましょう(行くか)!!」」

 

だが、2人はそれを一切気に留めず、ヘルキャットの乗員と鈴を半ば無理矢理乗車させる。

 

そして、ラーテゾーンを下り始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方………

 

「イヤーッ!!」

 

小太郎のニンジャシャウトと共に、無数のスリケンがヒィッツカラルド目掛けて投擲される。

 

「フンッ!」

 

だが、ヒィッツカラルドは指パッチンの真空波で全て叩き落してしまう。

 

「イヤーッ!!」

 

小太郎は再度無数のスリケンを投擲。

 

インストラクション・ワンの教えに従い、100発のスリケンで倒せぬ相手だからといって、1発の力に頼らず、1000発のスリケンを投げる。

 

「フフフ………」

 

しかし、対するヒィッツカラルドも、連続で指パッチンでの真空波を発生させ、スリケンを叩き落す。

 

そして、スリケンの津波を超えた真空波が小太郎に迫る!

 

「! イヤーッ!!」

 

小太郎は咄嗟に、地面に向かってボン・パンチを繰り出す!

 

すると、パンチの衝撃で岩盤が捲れあがり、真空波を受け止める!

 

「! ぬうっ!?」

 

だが、完全には防げず、小太郎の戦闘服の二の腕部分が切り裂かれる!

 

「クッ!」

 

幸い、腕が動かせなくなる程の負傷とは判定されなかったが、二の腕には痺れる様な感覚が残る。

 

「如何した、忍者くん? 先程から防戦一方じゃないか?」

 

そんな小太郎の姿を見て、ヒィッツカラルドは挑発する様にそう言い放つ。

 

(間違い無い………あやつの技はユニーク・ジツ………恐らく、使う度に血中カラテを消費している筈………)

 

しかし小太郎は、そんな挑発に動じる事無く、ヒィッツカラルドの真空波がユニーク・ジツによるものだと見抜く。

 

(先程から何度も連発しているが………ユニーク・ジツならば、血中カラテが尽きれば使えん筈………)

 

冷静に分析を続ける小太郎。

 

(だが、奴程の手練れ………特定の行動で血中カラテを能動的に生産出来る者も居る………このまま持久戦を続けるか………それとも一気に仕掛けるか………)

 

だが、段々と考えが堂々巡りになり始める。

 

「何をボーっとしている」

 

「!?」

 

とそこで、再度ヒィッツカラルドが声を掛け、小太郎がハッとした瞬間!

 

ヒィッツカラルドの指パッチンが炸裂!

 

真空波が地面を切り裂きながら小太郎へと向かう!

 

ナムサン!

 

「!? グワーッ!!」

 

直撃を受けた小太郎の戦闘服が大きく切り裂かれる。

 

「! 小太郎ーっ!!」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

大詔の叫びが挙がり、連合歩兵隊員達の顔が青褪める。

 

小太郎がやられれば次は自分達の番だと言うのが分かっているのだ………

 

「………ほう? しぶといな」

 

しかしそこで、ヒィッツカラルドがそう言って笑う。

 

「フー………フー………」

 

そこには、息を荒げながらもしっかりと立っている小太郎の姿が在った。

 

如何やら、ニンジャ反射神経で咄嗟に致命傷は避けた様である。

 

「だが、もう立っているのがやっとだろう。良く戦ったと褒めてやるが、ココまでだ」

 

ヒィッツカラルドはそう言い、再度真空波を放とうとする。

 

「…………」

 

最早それを見ているだけしか出来ない小太郎。

 

おお、ブッダよ!

 

貴方はまだ寝ているのですか!?

 

今正に、小太郎に命運は尽きようとしています!

 

貴方はそれを良しとするのですか!?

 

………と、その時!!

 

「「ハーハッハッハッハッハッ!!」」

 

高笑いと共に、『頑張る女の子の素敵な笑顔』を浮かべたクロエとしずかの乗ったヘルキャットとテケが、ラーテゾーンの中から飛び出して来た!

 

「!?」

 

「何っ!?」

 

驚愕する小太郎とヒィッツカラルド。

 

ブッダ起きてた!

 

「神に会うては神を斬り!」

 

「悪魔に会うては、その悪魔をも撃つ!」

 

「戦いたいから戦い!」

 

「潰したいから潰す!」

 

「「我等(私達)に大義名分など無いのさ!!」」

 

「「我等(私達)が、地獄だっ!!」」

 

お馴染みの決め台詞をかます2人。

 

「小癪なっ!!」

 

2人の乗るヘルキャットとテケに向かって真空波を放つヒィッツカラルド。

 

しかし………

 

「「!!」」

 

クロエとしずかが一瞬表情を変えたかと思うと、ヘルキャットとテケは回避行動を取り、真空波を躱す!

 

「!? 何っ!? 馬鹿なっ!?」

 

ヒィッツカラルドは驚きながらも、見えない真空波を躱すなど偶然だと思い、 再度真空波を放つ。

 

「「!!」」

 

だが、これまたクロエとしずかが一瞬表情を変えたかと思うと、ヘルキャットとテケは回避行動を取って真空波を躱した!

 

「!? まさかっ!? 奴等には私の真空波が見えるのかっ!?」

 

そう確信したヒィッツカラルドは初めて驚愕と動揺を露わにした。

 

「一体如何やって………」

 

「そんなもの、決まってるじゃない」

 

「ああ………」

 

ヒィッツカラルドの疑問に、クロエとしずかはまたもや『頑張る女の子の素敵な笑顔』を浮かべたかと思うと………

 

「「『勘』だぁっ!!」

 

「!? 何だとぉっ!?」

 

再度驚愕と動揺を露わにするヒィッツカラルド。

 

如何やら、稀代のバトルジャンキーである2人は、野生の直感とも言うべき鋭い勘で、真空波が来るタイミングを見切っている様だ。

 

それも完全に。

 

「フザけるなぁっ!!」

 

そんな2人に激昂し、真空波を連発するヒィッツカラルド。

 

「「ハハハハハハハッ!!」」

 

しかし、クロエとしずかは、そんなヒィッツカラルドを更に挑発するかの様に高笑いを挙げ、次々に繰り出される真空波を回避する。

 

「ぬううっ!!」

 

ヒィッツカラルドはムキになり、更に真空波を連発!

 

ペース配分も考えない真空波の連発は、血中カラテをドンドンと消費させて行く。

 

(! 今でござるっ!!)

 

とそんなヒィッツカラルドの姿を見た小太郎は、最後の力を振り絞る。

 

そしてその振り絞った力をチャドーの呼吸法によりカラテに変換し、愛用の忍者刀………『磁光真空剣』に込める。

 

すると、磁光真空剣の刀身が、虹色の光を帯び始めた!

 

「!?」

 

その光に気づき、小太郎の方を振り返るヒィッツカラルド。

 

「許さんっ!!」

 

小太郎はそう叫ぶと、刀身が虹色に輝いている磁光真空剣を正眼に構える。

 

「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

その状態で、ヒィッツカラルド目掛けて突撃する。

 

「!? まだそんな力が有ったかっ!!」

 

ヒィッツカラルドは驚きながらも、素早く身を翻し、小太郎に向かって指パッチンする。

 

しかし、真空波は起こらなかった………

 

「!? し、しまったっ!? 血中カラテがっ………!?」

 

そこで初めて、ヒィッツカラルドは真空波を多用し過ぎたと自覚する。

 

「磁光真空剣ッ!!」

 

そのヒィッツカラルドを肉薄した小太郎は、磁光真空剣を振り被り………

 

「真っ向両断っ!!」

 

ヒィッツカラルドの脳天から、縦一文字に振り降ろしたっ!!

 

「!? ぐあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

斬られた場所から、虹色の光が溢れる。

 

そしてヒィッツカラルドは、少し悶え苦しんだ様子を見せたかと思うと、バタリと倒れ………

 

程無く戦死判定が下されたのだった。

 

「…………」

 

しかし、それと同時に………

 

小太郎も全ての力を使い果たし、バタリと倒れ、戦死判定が下ったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

スナイパーの排除に向かった弘樹は………

 

スナイパーが陣取っている建物に到着し、屋上への扉の前に立っていた。

 

(………おかしい? 此処へ来るまでの間、敵は1発も発砲していない………)

 

だが、その際に敵スナイパーから妨害を受けなかった事に違和感を感じる。

 

(誘い出されたか?………待てよ………この気配………前にも………!)

 

そこで弘樹は何かに思い至り、四式自動小銃を構えながら、屋上へのドアを蹴破る!

 

「………待っていたぞ、舩坂 弘樹」

 

「フンガアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

「ココが貴様の墓場だっ!!」

 

そこに居たのは何と!!

 

ツァーリ校に居た『ラスプーチン』と『ニキータ』

 

オマケに『カン・ユー』の姿が在った。

 

「………何故お前達が此処に居る?」

 

しかし、弘樹が微塵も動揺する事無く、3人にそう問い質す。

 

「知れた事………貴方に復讐する為に大学選抜チームに売り込んだのですよ………まあ、コチラの男はこのメガフロート島に潜伏していた様で、偶々居合わせただけですが」

 

「喧しい! 俺も此奴には恨みが有るんだっ!! 手を出させろっ!!」

 

「まあ、構いませんが………邪魔をしたら如何なるか分かっていますね?」

 

「うっ!?………」

 

ラスプーチンが凄みを利かせて言うと、カン・ユーは黙り込む。

 

「お前達と遊んでいる暇は無い………」

 

そんな一連の流れを、弘樹は何処か冷めた目で見ながらそう言い放つ。

 

「ご安心を………遊ぶ暇も無く、一瞬で片付けてあげますよ」

 

ラスプーチンはそこで凶悪な笑みを浮かべて、ニキータ、カン・ユーと共に弘樹に襲い掛かる!

 

しかし………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

もし、ガルパンの世界に、あの7番目の人が居たら………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地球は狙われている!

 

今………宇宙に漂う幾千の星から、恐るべき侵略の魔の手が………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第62回戦車道全国高校生大会・決勝戦………

 

黒森峰VSプラウダの試合にて………

 

水没した味方の車輌の乗員を救出する為、フラッグ車の指揮を放棄して、濁流の中へと飛び込んだみほ。

 

如何にか乗員の救出には成功し、後は自分が戻るだけとなっていた。

 

(良かった………皆無事で………)

 

しかし、水没した車輌の乗員が無事だった事への安堵感からか………

 

気を緩めた彼女に、流木が直撃した!

 

「!? ガッ!?」

 

運が悪い事に、濁流の勢いに乗った流木は、彼女の心臓を貫いた………

 

途端に全身の力が抜け、濁流の底へと沈むみほ。

 

(私………死んじゃうの………?)

 

薄れ行く意識の中、みほは水面に向かって手を伸ばす。

 

するとその手が、何者かに摑まれた。

 

(………?)

 

消え行く意識の最後に、みほが見たモノは………

 

銀色の兜の様なモノを被っている様に見える、太陽の様に赤い身体の人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(自らの命の危険も顧みず、仲間を助けに行った………何て勇敢な少女だ)

 

みほを岸へと運んだ赤い身体の宇宙人は、彼女の勇敢な行動に心を打たれた。

 

しかし、そのみほの命は尽きようとしている………

 

(………見殺しには出来ん)

 

その赤い宇宙人はみほの身体に溶け込む様に消えたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、みほは掠り傷1つ無い身体で生還。

 

巷では奇跡だと騒がれた。

 

しかし、あの試合で黒森峰は敗北………

 

前人未到の10連覇はふいになった。

 

その事で、みほへ恨みや僻みをぶつける者達が現れたが………

 

気弱で知られていた彼女は、まるで人が変わったかの様な毅然とした態度でそれを受け止め、自分は間違った事をしていないと言う主張を貫いた。

 

そんなある日………

 

みほは母であり、西住流の師範であるしほに呼び出された………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴女も、西住の名を継ぐ者なのよ。西住流は何があっても前へと進む流派。強き事、勝つ事を貴ぶのが伝統………」

 

「お母さん。確かに『僕』は流派の教えに背いたかも知れません。ですが、間違った事をした積りはありません」

 

絶対的な存在である筈の母を前にしても、みほの態度は変わらない。

 

「犠牲無くして、大きな勝利を得る事は出来ないのです」

 

そんなみほに、しほは西住流の心構えを説いてみせる。

 

しかし………

 

それを聞いたみほは、悲しい顔で………

 

「それは………血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ」

 

と返した。

 

「「!?」」

 

「そんなものが西住の戦車道だと言うのなら………僕はコレ以上、そんな戦車道をする積りはありません」

 

逆にショックを受けたしほとまほを残し、みほは静かに去って行った。

 

そして翌日………

 

みほは黒森峰から姿を消した………

 

そして黒森峰は、後に暗黒時代と呼ばれる長期の成績不振に陥ったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから1年後………

 

茨城県立大洗女子学園の学園艦………

 

今、この学園艦にて、人間が一瞬の内に消えてしまうと言う、奇怪な連続蒸発事件が発生していた。

 

遂に学園艦の風紀を守っていた風紀委員までもが蒸発するに至った。

 

此処へ来て、廃校阻止の為に戦車道復活を画策していた生徒会は、余計なトラブルを避ける為、問題の解決に乗り出す。

 

すると、調査へと繰り出した生徒会の小山 柚子と河嶋 桃の前に、1人の謎の少女が立ちはだかった。

 

「待っていましたよ、小山 柚子さんに河嶋 桃さん」

 

「!? 私達の名前をっ!?」

 

「今回の蒸発事件は恐るべき宇宙人の仕業です。奴はこの先で貴方達を待ち構えているんですよ」

 

「宇宙人だと!? ふざけた事を抜かすなっ!! 貴様、一体何者だっ!?」

 

「御覧の通りの風来坊ですよ」

 

「えっと………名前は?」

 

「名前? そうですね………西住、いえ………『諸星 みほ』とでも名乗っておきましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが、後に『ウルトラセブン』と呼ばれる様になる、M78星雲から来た宇宙人と大洗女子学園の………

 

宇宙人の侵略を防ぐ為と廃校阻止の為の長い戦いの始まりだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラセブン×ガールズ&パンツァー

 

第1話『姿なき挑戦者』

 

公開予定無し!




新話、投稿させていただきました。

レイミの撃破方法………
何とも豪快と言うか、間抜けと言うか………
ある意味ではインパクトのある作戦だったかと。
ボトムズのウド編で金貨を空から撒くエピソードがあったので、アレは何かの形で使いたいなと考えていたら思いつきまして………
レイミの性格もこの為に設定したと言っても良いでしょう。

そしてヒィッツカラルドも撃破。
久しぶりの忍殺要素でお送りさせてもらいました。
あとジライヤも。

予想された方もいらっしゃいましたが、弘樹が撃破に向かったスナイパーの正体はラスプーチン+αでした。
再戦する為に手段は選ばなかった彼ですが………

オマケはウルトラセブンを最近見直しててふと思いついたネタでして………
しほに向かって、あの名言をぶつけたいと考えて書いてみました。
飽く迄オマケですので、深くは考えないで下さい。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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