ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター37『死闘です!(その2)』

『劇場版 ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース ~炎のさだめ~』

 

チャプター37『死闘です!(その2)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メガフロート艦上・遊園地跡………

 

ワールドランドのウェスタンランド………

 

「喰らえぇっ!!」

 

MG42を影将軍に向かって発砲する豹詑。

 

「トランプフェイド」

 

だが、影将軍はベルトのバックルから取り出したトランプをばら撒いたかと思うと、煙の様に消えてしまい、MG42の弾丸は何も無い空間を通り抜ける。

 

「!? 消えたっ!?」

 

「! 豹詑! 背中にっ!!」

 

「えっ!?」

 

飛彗の声に、豹詑が肩越しに背中を見やると、そこには数枚のトランプが張り付いていた。

 

「!? 何時の間にっ!? うわっ!?」

 

「待ってろ、今取ってやる!」

 

トランプを剥がそうとする豹詑だったが手が届かず、海音がフォローに入るが………

 

その海音が手を触れた瞬間に、トランプは爆発した!

 

「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」」

 

「豹詑! 海音!」

 

白狼の叫びが響く中、黒焦げになった豹詑と海音は戦死判定となる。

 

「クソッ!」

 

「フフフフ………」

 

舌打ちした白狼の背後に、影将軍が突然出現する。

 

「! オリャアッ!!」

 

驚きながらも鋭い蹴りを影将軍目掛けて繰り出す白狼。

 

しかし、蹴りが命中すると思われた瞬間に、またも影将軍の姿は煙の様に消えてしまう。

 

「!?」

 

「コッチだ………」

 

白狼が驚きを示すと、背後から声がして、やや離れた場所に悠然と佇んでいる影将軍の姿が在った。

 

「コノヤロウ………」

 

その余裕の態度が癪に障り、怒りを露わにする白狼。

 

「白狼、冷静に………」

 

「分かってるって!」

 

飛彗が宥めて来るが、白狼は怒鳴り返す。

 

「コレなら如何だっ!?」

 

とそこで、飛鳥が影将軍目掛けてバズーカを発射した!

 

ロケット弾が影将軍の足元に着弾し、影将軍の姿が爆炎の中に飲まれる!

 

「やったっ!………!?」

 

飛鳥が歓声を挙げた瞬間、背中に衝撃が走り、そのまま地面にうつ伏せに倒れる。

 

そして、戦死判定が下る。

 

「若造………誰をやった積りになっていた?」

 

飛鳥の背後に立っていた人物………影将軍がフェンシングの剣の様な剣・影剣を構えていた。

 

「チクショウ………」

 

無念さを顔に露わにする飛鳥。

 

「!!」

 

そこで今度は陣が、両腕に持って腰溜めに構えたラハティ L-39 対戦車銃を発砲する。

 

「フッ………」

 

だが、影将軍がマントを翻したかと思うと、その姿が巨大なトランプに変わる。

 

そして、まるで風に吹かれる柳の様に、ラハティ L-39 対戦車銃の弾丸をヒラリヒラリと回避する。

 

「!!」

 

陣は怯まず次々にラハティ L-39 対戦車銃から弾丸を撃ち続ける。

 

だが、巨大トランプはやはりヒラリヒラリと舞いながらラハティ L-39 対戦車銃の弾丸を躱しながら、陣へと近づいて行く。

 

そして至近距離まで近づいた瞬間………

 

まるでブーメランの様な高速で回転し始めた!

 

「!!」

 

そのまま突っ込んで来る巨大トランプに対し、陣はラハティ L-39 対戦車銃を立てて構え、防御しようとしたが………

 

巨大トランプはラハティ L-39 対戦車銃をまるでバターの様に易々と切り裂き、陣へと直撃!

 

「!?」

 

2メートル近い陣の巨体が軽々と宙に舞い、地面に叩き付けられた!

 

「!? 陣っ!!」

 

「…………」

 

カチューシャの悲鳴の様な声が響く中、陣はそのまま戦死判定となる。

 

「! よくも陣をっ!!」

 

そこでカチューシャは、怒りのままにまだ宙に舞っていた巨大トランプに向かって、機銃架のSG-43重機関銃を発砲する!

 

SG-43重機関銃から次々と放たれた銃弾が、巨大トランプを蜂の巣にする。

 

しかし、次の瞬間………

 

巨大トランプは、無数のトランプとなって紙吹雪の様に辺りに舞い散った!

 

「うおっ!?」

 

「またコレかよっ!?」

 

大洗連合部隊の歩兵達が身構えた瞬間………

 

舞っていたトランプが、一斉にある人物達の元へと殺到した!

 

「ぬううっ!?」

 

「狙いは俺達かっ!!」

 

竜作とハンターである。

 

まるで土石流の様に、無数のトランプが2人に向かう!

 

「ぶるあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

「俺に生きる実感をくれっ!!」

 

だがそのトランプの奔流を、竜作は両手のバヨネット、ハンターはマチェットを振り回して次々と切り落として行く。

 

2人の足元に、次々と切り裂かれたトランプが落ちて行く。

 

やがてトランプは2人から離れ、ある場所で竜巻を作ったかと思うと………

 

「ほほう………出来るな」

 

その竜巻が弾けて、影将軍が姿を現す。

 

「この程度でこの俺を倒そうなど! 片腹痛いわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」

 

「戦いの基本は格闘だ! 武器や装備に頼ってはいけないっ!!」

 

そんな影将軍に対し、竜作とハンターはそう吠える。

 

「フフフ、吼えるではないか。だが………俺ばかりに気を取られていて良いのか?」

 

「「何っ………?」」

 

しかし、影将軍がそう言った事で、2人が首を傾げると………

 

足元に手榴弾が転がった。

 

「「!? しまっ………」」

 

2人が、しまったと言い切る前に手榴弾は爆発!

 

破片と爆風を諸に浴び、戦死判定となる!

 

「! 竜作っ! ハンターッ!!」

 

「やったっ! 討ち取ったぞっ!!」

 

速人が叫ぶ中、手榴弾を投げた大学選抜歩兵が歓声を挙げる。

 

「良くやった。お前達も存分に働くが良い」

 

「「「「「「「「「「ハッ! 影将軍っ!!」」」」」」」」」」

 

影将軍がそう言うと、大学選抜歩兵達が一斉に大洗連合歩兵達に殺到する。

 

将軍を名乗るだけあり、カリスマも中々有る様だ。

 

そのまま大学選抜歩兵達は、大洗連合部隊と乱戦に突入する。

 

「マズイですよ! この乱戦中にアイツの攻撃を受けたらっ!!」

 

「フフフ………」

 

飛彗がそう言っている中、影将軍はそれが分かっているかの様に、手の中てトランプをシャッフルしている。

 

「クソがっ!!」

 

するとそこで、白狼が愛車のツェンダップK800Wに跨ったかと思うと、マックスターンを繰り出す。

 

「付いて来い! トランプ野郎っ!!」

 

そして、影将軍に挑発の言葉を吐いたかと思うと、大学選抜歩兵達を突破して走り出した!

 

「!? 白狼っ!?」

 

「ほう? 我を引き離す為に囮になるか………良いだろう。乗ってやろう」

 

飛彗が声を挙げると、影将軍は白狼の考えを看破しつつも、敢えてそれに乗り、再び巨大なトランプへと姿を変えたかと思うと、白狼を追うのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

移動中の白狼………

 

(付いて来てるな………)

 

背後を振り返り、巨大なトランプが追って来るのを確認する白狼。

 

するとその瞬間………

 

ツェンダップK800Wのタイヤを、トランプが切り裂いた!!

 

「!? おうわっ!?」

 

パンクして真面に走れなくなったツェンダップK800Wから投げ出される白狼だが、何とか受け身を取って着地する。

 

「追いかけっこはココまでだ」

 

その近くに、巨大トランプも着地したかと思うと、影将軍の姿へと変わる。

 

「チイッ………」

 

白狼は起き上がりながらヌンチャクを取り出す。

 

「テメェ………何で俺の誘いに乗った?」

 

そこで白狼は、何故自分の考えを看破しながら誘いに乗って来たのかと影将軍に問い質す。

 

「貴様の勇敢な行動に敬意を払っただけだ。島田の家元殿は何やら思惑がお有りの様だが、俺は俺のルールで動く」

 

「へっ、そうかよ」

 

「お喋りはココまでだ………トランプカッターッ!!」

 

そこで影将軍は、無数のトランプを白狼目掛けて投げつける!

 

「ホワタタタタタタァーッ!!」

 

飛んで来るトランプを、ヌンチャクを使って次々に叩き落す白狼。

 

「ホワタァッ!」

 

そしてトランプを叩き落し終わると、影将軍に殴り掛かる。

 

「トランプフェイド!」

 

だが、ヌンチャクが命中するかと思われた瞬間に、影将軍は無数のトランプ撒き散らし、消えてしまう。

 

「! そこだぁっ!!」

 

しかし白狼は、ヌンチャクを右手に持ったまま、左手で流星錘を、近くに在った街路樹の幹へと飛ばした。

 

流星錘が街路樹の幹に命中するかに思われた瞬間、火花を散らして何かに弾かれる。

 

「フフ、良い勘だな………」

 

その街路樹の幹から、影剣を握った影将軍がスーッと出現する。

 

「もう1発喰らえっ!!」

 

そう言って白狼は、再度流星錘を影将軍目掛けて投げつける。

 

だが………

 

影将軍目掛けて飛んで行った流星錘は、飛んでいる最中に真っ二つになり、そのまま影将軍を避ける様に施設の壁に命中した。

 

「!? 何っ!?」

 

驚く白狼。

 

(まさかっ!? さっき弾いた時に既に切断してたのかっ!?)

 

「例え数秒でも、戦場で気を逸らすのは自殺行為だぞ」

 

白狼がそう考えたほんの数秒に、影将軍はそう言いながらトランプを1枚投げつけた!

 

「! ホワタァッ!!」

 

だが、白狼は自慢の反射神経でヌンチャクを振るって叩き落そうとする。

 

しかし………

 

トランプは白狼ではなく、ヌンチャクの棒部を繋げているロープ部分に命中。

 

ロープを切断した!

 

「!? しまったっ!? クソッ!」

 

ロープが切れたヌンチャクを捨てる白狼。

 

(チェーン式のやつにしとけば良かったぜ)

 

そんな事を思うが後の祭りである。

 

速度に劣る為、チェーン式ではなくロープ式のヌンチャクを使っていたのが仇となった。

 

「トランプショットッ!」

 

そんな白狼に対し、影将軍は今度は爆発するトランプを投げつける。

 

「! オワタァッ!!」

 

咄嗟に白狼は、鞭の様に撓った回し蹴りを繰り出す。

 

トランプショットは白狼のその蹴りに弾かれ、地面に突き刺さると、舗装路を爆ぜさせる。

 

「そらそら! 何時まで防ぎ切れるっ!?」

 

影将軍は連続でトランプショットを繰り出す。

 

「アチャーッ!! オワタァッ!! ホワチャァッ!!」

 

独特な気合いの掛け声と共に、次々とトランプショットを蹴りや手刀で弾く白狼。

 

弾かれたトランプが周りの施設の壁や地面に突き刺さる度に爆ぜて行く。

 

(クソッ! 防ぎ切れるかっ!?)

 

白狼は爆発の度に浴びせられる小さな破片の痛みに耐えながら、それでも次々とトランプショットを弾き落として行く。

 

と、その眼前に、1枚のトランプが迫った!

 

「! アブネッ!?」

 

間一髪のところで首を反らしてそのトランプを回避する白狼。

 

だがその直後!

 

別のトランプが、再び白狼の眼前に迫った!

 

(!? 回避の仕方を読まれたっ!?)

 

「終わりだ、小僧」

 

思わず目を見開く白狼に、影将軍はそう言い放つ。

 

(やられるっ!!)

 

そう悟る様に確信した白狼。

 

………しかし!

 

突如横合いから飛んで来た『何か』が、白狼の顔に命中すると思われたトランプに突き刺さり、そのまま壁に張り付けた!

 

「!?」

 

「! 何っ!?」

 

白狼も影将軍も驚きを露わにする。

 

トランプを張り付けた『何か』………

 

それは『ナイフ』だった。

 

「! アレはっ!?」

 

そのナイフに見覚えを感じる白狼。

 

それは、自分にとって因縁深い相手が使っていたナイフだった。

 

「よう、何俺以外の奴相手に苦戦してやがるんだ………」

 

そう言って姿を現す親衛隊の戦闘服を来た黒森峰歩兵………

 

『朽葉 蟷斬』

 

「蟷斬………」

 

「新手か………」

 

意外そうな表情を見せる白狼と、油断無く構える影将軍。

 

「漸く日本に帰って来てみれば、黒森峰は他の学校の連中と一緒に大学選抜のチームと試合中だって言うじゃねえか。この俺を差し置いてそんな大戦だなんてよぉ」

 

「いや、お前が………」

 

勝手に武者修行の旅に出ていたのがいけないだろうが、と言おうとして、嘗て自分も個人的事情で部隊を離れた事を思い出し、言葉を飲み込む。

 

「………まさかお前に助けられるとはな」

 

そして露骨に話題を変えてそう言い放つ。

 

「別に助けたワケじゃねえ。お前を倒すのはこの俺だからだ」

 

「何処のベジータだ、お前は?」

 

テンプレ的な蟷斬の台詞に、白狼はそうツッコミを入れる。

 

「2対1か………別に問題は無いが、念の為だ………影分身!」

 

とそこで、影将軍が動いたかと思うと………

 

何と!

 

その姿が2人になる!

 

「もう何でも有りだな………」

 

その光景を見て、呆れる様に呟く白狼。

 

「神狩 白狼。テメェは引っ込んでろ。俺が2人とも片付ける」

 

そう言って蟷斬が白狼の前に出る。

 

「その自惚れが強い所は変わらねえなぁ。お前こそ引っ込んでろ」

 

だが白狼はそう言って、蟷斬の隣へ並び立つ。

 

「敵を前に内輪揉めか? その隙は見逃さんぞ」

 

とそこで、2人の影将軍の内、1人………影将軍Aが影剣を手にし、蟷斬の方へ斬り掛かる!

 

「来やがれっ!!」

 

蟷斬が右手にナイフを逆手に持って構える。

 

「フフフ、受け切れるか?」

 

押し切る自信の有る影将軍は不敵に笑う。

 

「ヘッ………」

 

だが、蟷斬の方も不敵に笑ったかと思うと………

 

「コオオオオオオオォォォォォォォォーーーーーーーーー………」

 

蟷斬は、独特な呼吸の仕方を始める。

 

すると、蟷斬の身体に、オレンジ色の電流の様なスパークが発現する。

 

「むっ!?」

 

その様子に軽く驚きながらも、剣を止められず、蟷斬と切り結ぶ影将軍A。

 

すると、その途端………

 

そのオレンジ色のスパークが蟷斬の持つナイフに伝わり、更にナイフから切り結んでいる影剣へと伝わり、そして最後に影将軍の影剣を握る手へと伝わった!

 

「! ぐあああっ!?」

 

手に焼ける様な痛みが走り、思わず飛び退く影将軍A。

 

「!? 何だっ!?」

 

慌てて残りの影将軍………影将軍Bが、蹲る影将軍Aの様子を覗き見る。

 

「!? コレはっ!?」

 

見れば、影将軍Aの影剣を握る手から、まるで焼けているかの様な煙が上がり、オレンジ色のスパークが迸っている。

 

「今のは………」

 

「んぐ………んぐ………」

 

白狼が目を見開く中、何を思ったのか蟷斬は水筒を手に取り、中の水を口に含む。

 

「パパウパウパウッ!!」

 

そして独特な掛け声と共に、含んでいた水を歯の間から押し出す様に吐き出したかと思うと………

 

何と!

 

吐き出した水が、まるで円盤の様になって回転するカッターと化した!

 

「! トランプカッターッ!!」

 

咄嗟にトランプを投げ、その水のカッターを相殺する影将軍B。

 

「お前………今、何をした?」

 

「へっ、本来ならお前を倒す為に見せる技だったんだがな………」

 

白狼が尋ねると、蟷斬は不敵に笑ってそう返す。

 

「コレが俺の身に付けた新たな力………『仙道』………『波紋法』だ!」

 

そして影将軍を見据えてそう言い放つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

パワータイプのアイアンオフィサーと打って変わって、奇妙な術を駆使するトリックスターの影将軍。
それに翻弄される中、一騎打ちへと持ち込む白狼だったが………
そこへ何と蟷斬が出現。
新たな戦闘技術『波紋法』を披露します。

戦車道は選択授業ですが、他にも忍道や華道なんかがあって、その中に仙道が在ったのを思い出し、仙道と言えば波紋法だなと思って、仙道を取ると波紋が使える→ガルパンの世界には波紋が有るなんて妄想に至りまして。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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