ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター32『大学選抜精鋭部隊です!(その2)』

『劇場版 ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース ~炎のさだめ~』

 

チャプター32『大学選抜精鋭部隊です!(その2)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昭和村で激戦が続く中………

 

ワールドエリアでも戦闘が起こっていた。

 

アリクイさんチームとキツネさん分隊、レオポンさんチームとおおかみさん分隊、そしてカチューシャ達プラウダ&ツァーリ機甲部隊がワールドエリアへのゲートを通過して行く。

 

狭いゲートを順に通り抜けているので、狙いが付け易くなった大学選抜チームからは一斉攻撃が襲い掛かる。

 

しかし、狙われる事は百も承知であったので、ゲートを潜るタイミングをズラしたり、煙幕を張るなどで防御策を行った。

 

そんな中で、部隊の最後尾に付けていたカチューシャのT-34-85が、追って来る大学選抜チームのスーパーパーシングに向かって発砲。

 

だが、砲弾はスーパーパーシングの装甲を貫けず、弾かれる。

 

「おーい、今は逃げる時だよ、カチューシャ」

 

するとそんなカチューシャの姿を見たレオポンさんチームのポルシェティーガーが減速し、カチューシャのT-34-85の傍に寄ると、ナカジマがそう呼び掛ける。

 

「呼び捨てにしないで!」

 

「じゃあカッちゃん!」

 

カチューシャがそう返すと、ツチヤが割り込んで来てそう言う。

 

「何略してんの! 陣にだってそんな風に呼んでもらった事ないのに………ゲフン! ゲフン!」

 

若干ラブコメの様なトークを漏らしてしまい、カチューシャは態とらしく咳払いする。

 

「…………」

 

一方の陣は、相変わらず無表情でだんまりである。

 

「お熱いね~」

 

「良いから、カッちゃん急ぐなり!」

 

ホシノが茶化していると、同じく速度を落として近寄って来た三式改から姿を見せていたねこにゃーもそう言う。

 

「逃げるならアンタ達だけで逃げなさい! 私は戦うっ!! ニーナ達の仇よ!!」

 

そう言いながら、後方から迫って来る大学選抜チームを睨みつけるカチューシャ。

 

高地からの撤退戦や、先程ニーナ達を撃破された屈辱が、プライドの高い彼女には許せない様だ。

 

「力むなよ、カッちゃん」

 

「戦うのは皆でだよ」

 

「煩いわね! 何でそんなに構うのよっ!!」

 

尚も呼び掛けているナカジマとスズキに、カチューシャはそう怒鳴り返す。

 

「友達を気に掛けるのは当たり前もも!」

 

「そうぴよ! そうぴよ!」

 

するとそれに対し、ももがーとぴよたんがそう返す。

 

「! と、友達っ!?」

 

動揺した様子を見せるカチューシャ。

 

「そうそう。僕達、もう友達にゃあ」

 

「その友達の頼みだからさあ、聞いてよ」

 

そのカチューシャに向かって、ねこにゃーとナカジマは更にそう言う。

 

「し、仕方ないわね! 友達の頼みだし、聞いてあげるわっ!!」

 

カチューシャは照れた様子を見せながら、撤退に専念し始める。

 

「カチューシャに友達が………うう」

 

「良かったな、ノンナ」

 

その光景を見ていたノンナが嬉し涙を流し、彼女のIS-2にタンクデサントしていたデミトリがハンカチを差し出す。

 

(完全に保護者だな………)

 

そんな2人の姿を見て、そんな事を考える白狼。

 

『照れているカチューシャ様も素敵です』

 

「アンタは何を言いながら、何を撮影してんだ?」

 

クラーラの方も、照れているカチューシャを写真に取りながらロシア語を話し、近くに居た隆太にツッコミを入れられるのだった。

 

やがて一同は、ワールドランドのウェスタンランドへ到達。

 

地面が剥き出しの路地となり、戦車が通過すると砂埃が舞い始める。

 

その舞い上がる砂埃で、大学選抜チーム側は狙いが付け難くなる。

 

「騎兵隊が襲って来るにゃっ!」

 

「「アワワワワワワッ!!」」

 

ねこにゃーがそう言うと、ももがーとぴよたんがノリノリでテンプレ的なネイティブアメリカンの叫びを挙げる。

 

とそこで、埒が明かないと思った大学選抜チームが、3部隊に分散。

 

1部隊が追撃を続け、残る2部隊が十字路で左右に分かれ、カチューシャ達が進んでいる通りに建物を挟んで並行している通りへ入った。

 

そして、建物と建物の間に隙間が開く度に砲撃を加え始める。

 

「囲まれますぜ、ジェロニモ」

 

「如何しますか、ジェロニモ」

 

ナカジマとねこにゃーが、カチューシャをネイティブアメリカンの有名な戦士に見立てて呼ぶ。

 

「誰がジェロニモよ!? せめて書記長か同志と呼びなさいよっ!!」

 

「物騒だな呼び名だな、オイ」

 

しかし、カチューシャはお気に召さない様でそう返すと、海音が思わず呟く。

 

「オイ姉ちゃん! この辺の建物は皆ハリボテだぜ!」

 

するとそこで、ピョートルが移動する戦車や車輌の振動でユラユラと揺れている建物を見てそう報告する。

 

「! なら突っ切っちゃって! セットみたいな物なら簡単に破壊出来るわっ!!」

 

すぐさまそう閃くカチューシャ。

 

「How! 了解、ジェロニモッ!」

 

「だから誰がジェロニモよっ!?」

 

相変わらずジェロニモ呼ばわりして来るねこにゃーに、そうツッコミを入れるカチューシャ。

 

「良し! ありったけの煙幕を焚けっ!!」

 

紫朗がそう言い放ち、大洗連合歩兵達が一斉に煙幕手榴弾を投げる。

 

大量の煙が辺り一帯に充満し始める。

 

その煙幕の中に紛れ、砲塔を後ろに回したポルシェティーガーが建物のセットに突っ込む!

 

やがて、先行していた2部隊が、カチューシャ達の行く手に先回りし、狙いを定める。

 

しかし、大量の煙幕に遮られて何も見えない。

 

「視界が………!」

 

と、1輌のスーパーパーシングの車長がそう漏らした瞬間………

 

建物の中を突っ切って来たポルシェティーガー、三式改、2輌のT-34-85とIS-2が、逆に大学選抜チームの2部隊を包囲した!

 

「! しまっ………」

 

「遅いよ」

 

慌てて1輌のスーパーパーシングが信地旋回でポルシェティーガーの方を向こうとしたが、それよりも早く接近したポルシェティーガーが、至近距離からエンジンブロックに発砲!

 

エンジンが爆発し、スーパーパーシングは白旗を上げる。

 

「オノレッ!!」

 

「ぶるああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

随伴の歩兵部隊が仇を取ろうと、ポルシェティーガーにバズーカを向けたが、そこへ竜作の投げた無数の銃剣(バヨネット)が殺到する。

 

「「「「「うばああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」

 

銃剣(バヨネット)が身体中に突き刺さり、ハリネズミにされた大学選抜歩兵達が次々に戦死判定となる。

 

「俺に生きる実感をくれっ!!」

 

「「「「「びゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」」」」」

 

更にハンターが、マチェットを振り回しながら、大学選抜歩兵達の中を駆け抜ける!

 

「…………」

 

冷静な様子で、スーパーパーシングの砲塔基部に砲弾を撃ち込み、白旗を上げさせるノンナ。

 

『アゴーニッ!!』

 

そしてクラーラのT-34-85も別のスーパーパーシングに発砲。

 

すると、スーパーパーシングの車体前面に命中した砲弾は激しく爆発!

 

「「「「「のわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」」

 

飛び散った砲弾の破片が、周囲に展開していた大学選抜歩兵達を戦死判定にする。

 

如何やら、榴弾を撃ち込んだ様である。

 

何故徹甲弾ではなく榴弾を撃ったのかと思われたが、その答えはすぐに分かった。

 

榴弾を撃ち込まれたスーパーパーシングの、外付けされた増加装甲が、まるで糊が剥がれたかの様にズルリと車体から滑り落ちる。

 

「!? 装甲がっ!?」

 

如何やら、榴弾の爆発の衝撃で、溶接付けだった増加装甲を無理矢理引っぺがした様だ。

 

「カチューシャ様! 今ですっ!!」

 

「喰らいなさいっ!!」

 

そして装甲が剥がれたスーパーパーシングの車体下部に、カチューシャのT-34-85から放たれた徹甲弾が命中!

 

一瞬の間の後、スーパーパーシングから白旗が上がった。

 

更に、三式改も砲撃し、チャーフィーを1輌撃破。

 

しかしそこで、背後から別のチャーフィーが現れ、三式改を狙って来る。

 

「ねこにゃーっ!!」

 

だが、三式改の車内ではねこにゃーが、自分達の体力不足を自覚し、ここ最近身体を鍛えに鍛え抜いて身に付けた筋力をフルに使い、砲弾ラックから6キロの砲弾を軽々と取り出し、ぴよたんに投げ渡す。

 

「ぴよたんっ!!」

 

それをぴよたんは片手でキャッチすると、そのまま装填しつつ、砲塔を旋回!

 

「ももーがぁーっ!!」

 

そしてももがーが、固い左操縦レバーを難なく引き、三式改は滑る様に信地旋回。

 

チャーフィーよりも先に狙いを定め、発砲!

 

三式改の常識外れの動きに動揺したのか、チャーフィーが放った砲弾はあらぬ方へ飛び、外れる。

 

一方、三式改の方の砲弾はチャーフィーを的確に捉え、命中。

 

爆発が起こると、チャーフィーから白旗が上がる。

 

「良し! 後は歩兵部隊だけだっ!!」

 

「一気に押したれぇっ!!」

 

戦車部隊を全て沈黙させた事を確認すると、海音と豹詑がそう声を挙げる。

 

「クッ! 円陣防御っ!!」

 

生き残っていた大学選抜歩兵達は背中合わせになる様に円陣を組み、防御態勢を執る。

 

「ココからは俺達の出番だぜ!」

 

「行くぜ、オイッ!!」

 

と、態勢が整う前に速攻しようとしようと考えたのか、一部の大洗連合部隊歩兵達が円陣を組んでいる大学選抜歩兵達に向かって駆け出す。

 

すると、その瞬間!!

 

何処からともなく、小さな四角い白い紙の様な物が連続で飛んで来た!

 

「!? うわあっ!?」

 

「ぎゃあっ!?」

 

その小さな四角い白い紙の様な物は、突撃を敢行した大洗連合部隊歩兵達に襲い掛かる。

 

小さな四角い白い紙の様な物が戦闘服に突き刺さり、倒れた大洗連合部隊歩兵達は戦死判定となる。

 

「! オイ!!」

 

「大丈夫ですかっ!?」

 

速人と飛彗が倒された歩兵の傍に駆け寄り、小さな四角い白い紙の様な物の正体を確認する。

 

「コレは………」

 

「『トランプ』………?」

 

思わず目を丸くする2人。

 

大洗連合部隊歩兵達の戦闘服に突き刺さっていたのは、トランプだった。

 

するとそこで!!

 

まるで紙吹雪の様に、無数のトランプが空中からヒラヒラと舞って来た!!

 

「!?」

 

「うわっ!? またっ!?」

 

突然のトランプの紙吹雪に動揺する大洗連合部隊歩兵達。

 

「! 妙だぞ! このトランプッ!!」

 

紫朗が、一見無作為に舞っている様に見えるトランプが、ある物に向かって集まり始めているのを見てそう声を挙げる。

 

そのトランプが集まり始めている物とは………

 

クラーラのT-34-85だった!!

 

『!? コレはッ!?』

 

驚いたと同時に身の危険を感じ、車内へと引っ込むクラーラ。

 

舞っていたトランプは、まるで生き物の様にクラーラのT-34-85へと殺到し、虫の様に表面に張り付いて行く。

 

「クラーラッ!?」

 

カチューシャが叫びを挙げた瞬間に、クラーラのT-34-85は完全にトランプに覆われてしまう。

 

次の瞬間!!

 

張り付いていたトランプが一斉に爆発!!

 

「!?」

 

「うわっ!?」

 

「トランプが爆発したっ!?」

 

カチューシャが目を見開き、ナカジマとねこにゃーが驚きの声を挙げる。

 

やがて、爆煙が晴れて来ると………

 

表面が全て黒焦げになり、白旗を上げているT-34-85の姿が露わになる。

 

『申し訳ありません、カチューシャ様』

 

「コレは敵の攻撃なのかっ!?」

 

クラーラがロシア語でカチューシャに謝罪する中、トランプが敵の攻撃だと思った隆太が辺りを見回す。

 

「! 危ないっ!?」

 

するとそこで、何かに気づいた飛彗が、隆太に飛び付いて共に地面に倒れる!

 

「うわっ!?」

 

その直後!!

 

2人の頭上を人の背丈程も有りそうな『巨大なトランプ』が、フリスビーの様に回転しながら飛んで行った!

 

「!? あべしっ!?」

 

回転しながら飛んでいた『巨大なトランプ』は、別の大洗連合歩兵隊員にぶつかったかと思うと、その歩兵隊員の戦闘服を切り裂き、戦死判定にして倒した!

 

「!!」

 

陣が両手に持って腰溜めに構えたラハティ L-39 対戦車銃を宙を舞っている『巨大なトランプ』に向かって発砲する。

 

だが、『巨大なトランプ』はヒラリヒラリと舞い、弾丸を躱してしまう。

 

やがて『巨大なトランプ』は、撃破されたスーパーパーシングの上に、大洗連合に絵柄の面を見せる様にして降り立った。

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

大洗連合全員の視線が、そのトランプへと注がれる。

 

次の瞬間!!

 

『巨大なトランプ』がパッと消えたかと思うと、入れ替わる様に白い戦闘服に身を包み、白いマントを羽織って、頭全体を覆う様な透明なヘルメットを被った大学選抜歩兵が現れた!

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

「何だテメェはっ!?」

 

大洗連合歩兵達が驚きを示す中、白狼は現れた奇怪な大学選抜歩兵に問い質す。

 

「フフフフ………お初に御目に掛かる。私は大学選抜歩兵精鋭部隊員の1人、『影将軍』」

 

すると、白い男………『影将軍』はそう名乗りを挙げ、何処からともなく取り出したトランプの束をスプリングする。

 

「『影将軍』?」

 

「将軍とは御大層な名前やな」

 

「フフフ………」

 

豹詑が嫌味の様にそう言うが、影将軍は不敵に笑い、意にも介さず、今度はトランプをオーバーハンドシャッフルする。

 

そして、その中から1枚のカードを引いて、絵柄を確認した。

 

「ほう………ジョーカーか」

 

そのカードがジョーカーである事を確認した影将軍は感心した様な様子を見せる。

 

「何よっ!? 如何言う意味っ!?」

 

影将軍の余裕綽々な態度が気に障ったのか、カチューシャがそう怒鳴る。

 

「貴様等の未来を占ってやった、ジョーカーは希望の光………運は有る様だな」

 

「! 馬鹿にしてっ!!」

 

その不敵な様子が更にカチューシャを刺激し、彼女の乗るT-34-85から影将軍に向かって砲弾が放たれた!

 

「フッ………」

 

だが、砲弾が影将軍に命中するかに思われた瞬間………

 

トランプが舞い散り、影将軍の姿が忽然と消えた!!

 

「!? 消えたっ!?」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

カチューシャと大洗連合歩兵達は驚愕する。

 

「その運が本物か如何か、試してやろう」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

そこで背後からそう声が聞こえて来て、一同が振り返ると、そこには悠然と佇む影将軍の姿が在った。

 

「何時の間にっ!?」

 

「フフフ………」

 

影将軍はまたも不敵に笑いながら、左腰に差していたフェンシングの剣に似た細長い刀身の剣を抜き、大洗連合に向かって構える。

 

「影将軍に続けーっ!!」

 

すると、先程まで戦意を失っていた大学選抜歩兵達も戦意を盛り返し、逆に大洗連合に突撃して来た!

 

「! 迎え撃ちなさいっ!!」

 

「「「「「「「「「「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

咄嗟にカチューシャがそう言い放ち、大洗連合は乱戦に突入するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

ワールドエリアで戦うアリクイさんチームとキツネさん分隊、レオポンさんチームとおおかみさん分隊、プラウダ&ツァーリ機甲部隊。
順調に敵戦車部隊を撃破して行ったかに見えましたが、そこへ大学選抜精鋭歩兵『影将軍』が参上します。

モデルは、またもデルザー軍団から『ジェネラル・シャドウ』です。
モチーフ通り、トリッキーな戦法を使って来ますのでお楽しみに。

そして次回はいよいよ福田が知波単の最終兵器を持ち出します。
一体それは何なのか?
お楽しみに。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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